フィッシュセールが生んだ波紋。水産資源と「漁業」「遊漁」問題のゆくえ

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フィッシュセールのサービス延期告知文
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釣魚オークション「フィッシュセール(Fish sale)」が2019年1月末のニュースリリース発信後に日本全国の釣り人、ネットユーザーを中心に大きな波紋を起こしました。わたしも、この話題があったからこそ様々なことを考えました。

ORETSURIでは以下の通り記事にしています。

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目次

筆者は一般の釣り人が出品する「フィッシュセール」については否定派

筆者のスタンスを改めて表明しておくと、一般の釣り人も含めた釣魚オークションサービスである限りフィッシュセールについては否定派です。

事業所や個人名が見える顔の見える漁業者等のプロがしっかり処理したものを、一般消費者もしくは商店が購入できるのであればそれはそれでよいと感じています。処理工程やルールなども厳格にサービス運営側が明記して、それに対して同意した人間が出品するのであればよいでしょう。

フィッシュセールが登場した背景には今日の釣り業界における釣り過ぎ・魚のあまり問題というのありますが、それはそうだと思います。

ただ、今その解決策としてウェブサービスで釣魚を売る釣り人(遊漁船含む)と消費者(飲食店含む)をマッチングするのは強引であるし不要なトラブルを生むと感じるばかりです。そのあたりは前述の2つの記事でお話ししました。

一方、このフィッシュセール問題の根っこには日本の政治における遊漁と漁業の取り扱いに関するグレーゾーンがあると感じています。

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遊漁のなかでも「釣り」という700~800万人程度ユーザー(潮干狩りや磯遊び等を含めるとさらに多い)がいると言われている領域をグレーゾーンのまま今日までもってきたことが原因だと考えています。

日本の釣りには欧米のように免許・資格が必要ありません。遊漁にあたっての条件も渓流や磯場等の海藻・タコ・貝類以外はそれほど厳密ではありません。

バッグリミットとも呼ばれる釣り人の持ち帰り数やサイズの制限は渓流以外ではそれほど厳密にされていません。持ち帰り数はそもそも渓流以外には法的な規定がほぼありません。

このグレーゾーンによって釣りが比較的自由にできているというのはもちろんあり寝た子を起こすなといえばそれはそうなのですが、そのせいでときに釣り人が肩身の狭い思いをしていることもあるはずです。

また、グレーゾーンの存在により日本各地で岸釣り、沖釣りに関わらず遊漁者と漁業者が一触即発の状態にあったりします。

原因はさまざまですが、日本近海では魚がとれなくなってきているという各種のデータがあるなかで、本来遊びで釣りをしている立場の釣り人があたかも漁業者のように立ち回りはじめると、さらに乱獲は加速するのではないでしょうか。

フィッシュセールの問題点のおさらい

フィッシュセールについての問題点は3つに集約されるかなと考えています。これはネットで顕在化している批判意見をまとめても細かいところは諸々ありながらも、だいたい当てはまるはずです。

  • 食の安全への問題
  • 水産資源への問題
  • 「漁業」と「遊漁」の軋轢がさらに生じるという問題

さらに言うならば、この3点について、フィッシュセール運営者の意識が低すぎるのではないかという点があるのだと思います。

フィッシュセールのFacebookページ

そいった点に怒りをもった人により、Twitterではフィッシュセールへの批判意見が大多数であります。

さらに、Facebookの同サービスページのレビューも大半が評価1という低評価爆弾が投げ込まれつづけるという状態になってしまいました。

他にFacebookでは愉快犯なのか捨て垢をあえてつくり無責任なコメントを返しているアカウントもあったり、なんともひどい状態にあります。

フィッシュセールの4月1日リリースは延期とのこと

そうこうしているうちに、事態を受け止めたフィッシュセールは4月1日のリリースを延期しました。

現在フィッシュセール(Fish Sale)サービスサイトにはサービス延期告知文が3月18日にUPされた

サービス運営者としては、指摘された課題について真摯に受け止め、その課題を解決してサービスのリリースを引き続き検討されているようです。

このことはウェブサービスをリリースしようとした2月の時点よりはだいぶ前進したような気もしています。

2月時点での質疑応答のありさまをみても、きっと想定される課題を何も考えてないで勢いでやってるんだろうなーと思われても仕方がないスタンスであったわけです。

このリリース延期発表の前には、フィッシュセール運営者が「津本式究極の血抜き」でYouTube界隈を中心に一定のファンがいる津本光弘さんをやんわり巻き込むという話がありました。

フィッシュセール運営者は、釣魚の出品時には同氏の動画を参考にしてほしいというような発信をしています。

FishSaleにいい意味も悪い意味も含め関心を寄せていただいていますので、ご期待に添えるように、津本さんの名に泥を塗らないように、誠心誠意、FishSaleをいいものにしたいと思います。
FishSaleで事故や事件が起きないようなサイト作りに励みます。
津本さんの動画によって、食中毒の危険性が少しでも減り、美味しく食べていただけることを切に願います。

フィッシュセールのFacebookより

これに対して津本さんは、動画の最後で口元に手をあてながら言葉を選び、Fish Saleについてはよく知らないが興味深く感じていて、指摘されている課題をどうするかに注目したいという趣旨の発言をしています。

津本氏は「正直中立」とのこと(YouTubeより

その他、フィッシュセール運営者については同Facebook投稿内で以下のようなコメントを書いています。

2.FishSaleで紹介してもいいという下記サイトをお持ちの運営者様はご連絡ください。
・毒のある魚一覧(写真付き)
・海洋生物(魚)レッドリスト一覧(写真付き)
・発泡スチロールを安く買える

このあたりを他者に頼るあたりを考えるに、食や消費者の安全などはやはり重要に考えられていないのではないかとやはり感じてしまうところはあるのですが、それはそれでおいておきます。

重要なのは前述のサービス延期レターのなかに、「遊漁」と「漁業」の間でさらに悪化する可能性のある軋轢について言及がないことです。

フィッシュセールについては、確かにサービスの運営自体は法的に問題がないのかもしれません。

一方、遊漁(釣り)と漁業で様々な衝突がありつつも微妙なバランスで成り立っている現在の釣りシーンに対して、やはりフィッシュセールはさらなる混迷をもたらすのではないかと思うばかりです。

すでに日本の水産庁・厚生労働省などの政府機関にも本件についての問い合わせが入っているはずですが、同内容についての検討や必要に応じての法改正などは時間はかかるかもしれません。

フィッシュセールというウェブサービスが呼んだ今回の波紋。

多くの人が魚釣りや水産資源について考えるきっかけにもなったはずです。

この国におけるこれからの「遊漁」がどのようにあるべきで、「漁業」ともども水産資源をどのように持続的なものとしていくかは引き続き重要なテーマになりそうです。

アイキャッチ画像出典:フィッシュセール

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フィッシュセールのサービス延期告知文

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