人生初の一つテンヤマダイ。やはり「手ばね」は現代釣法にかなわない!?@外房飯岡沖

リンクにプロモーションが含まれます
外房の一つテンヤマダイの釣果
スポンサーリンク

~この記事は約 10 分で読めます~

ORETSURIをご覧のみなさん、こんにちは。サラリーマン・アングラーの釣人割烹です。

みなさんにも、人生で「いつか必ずやってやろう」と思いながら「今度でいいや」と先延ばしにしている案件が、二つや三つはあるはずです。

筆者にとって「一つテンヤマダイ」の釣りがそうでした。

言わずもがなですが、コマセを使わず、文字通り極細のPEラインに1個のテンヤをつけ、エビ餌でマダイを狙う釣法です。

たびたび書いてきましたが、わたくし、手ばね竿&テンヤ仕掛けで大鯛に挑む千葉内房の伝統釣法「竹岡式手ばねしゃくりマダイ」に魅せられ、何度も釣行しています。その一方で、一つテンヤも含め、工業竿&リールという現代釣法(要するに、ごくふつうのタックル)でマダイを狙ったことが一度もありませんでした。

釣りのキャリアとしては偏っていますが、手ばねしゃくりにのめり込み、一つテンヤをあえてやろうという意欲も必要性も感じませんでした。しかし「最先端の釣法を知らずに伝統釣法を語る資格はあるのか?」という声もあるかもしれません。確かに考えてみればその通り。一つテンヤをやることで、手ばねしゃくりへの理解が深まるかもしれません。

目次

手ばねで東京湾のマダイに連敗、トラウマを負う

今回の一つテンヤ挑戦には、お恥ずかしい伏線があります。

実は昨年12月と今年1月、東京湾で手ばね竿を振るいましたが、2回とも本命ボウズ。しかも、筆者だけでなく船中ゼロでした。特に1月は寒さに耐え、東京湾の航路わき50ヒロ(75m)の深場を索敵。手ばね竿の限界に近い深さで巨鯛を狙ったのですが、気配すらありませんでした。

寒い冬、吹きっつぁらしの船の上での釣行2回。計16時間、修行僧のように果てしなく手ばね竿をしゃくり続ける。それで本命なし。いやがらせだろ。

脂のりまくりのカンパチなど「お客様」もありましたが、手ばねしゃくりでマダイ連敗は初めて。「ボウズ上等。ボウズが怖くて釣りができるか!」と強がりつつも、やっぱりあれです。PTSDを引きずるわけです。

そんなときに、たまたまスマホで外房・飯岡の「幸(さち)丸」の公式サイトを見たのです。

真っ先にチェックするのは、もちろん最新釣果。連日のように竿頭が2ケタ釣っている。やるなぁ。同じテンヤ仕掛けで同じ魚を狙って、なぜこんなに差が出るのか。地域や魚の活性の問題だけでないような気がする。そういえば、しばらくマダイ見ていない。百魚の王のご尊顔、拝みたいなぁ。

「一つテンヤ真鯛」初挑戦はあり合わせのタックルで

ついに人生の先延ばし案件の一つに挑むときがきた……というわけで、船宿に電話を入れて2月前半の休日を押さえました。

出船は午前4時半。前日は平日で、会社から夜遅くに帰宅。着替えてそのまま寝ずに車を転がし、いざ外房へ。愛と忠誠を誓った伝統釣法への裏切りとも言え、ちょっと心がとがめます。

出船を控える幸丸(飯岡漁港で)

マダイは難しいという思い込みがあり、目標は1枚。3枚釣れたら万々歳、くらいに考えており、おそるべき現代釣法の威力を思い知ることになるとは想像もしていませんでした。

月明かりのなかポイントへ向かう

照明を消した船は漁港を出て、月明かりのなか沖を目指します。風があり、うねりも強い。さすがに太平洋は「巨大な池」東京湾とは違います。

不眠と運転の疲れから暖かいキャビンで寝落ち。約1時間でポイントにつきました。外はまだ暗く、海はかなりうねっています。それでも中乗りさんがパラシュートアンカーを入れると、船は少し落ち着きました。

客は10人ほどで、筆者の釣り座は左舷ミヨシ。

みな一つテンヤマダイの専用竿を用意しているようです。

筆者のタックルは以下の通り。

ロッド:シマノ「SEAMIGHTY R 73 240」
リール:シマノ「CEDONA C3000」

ざっくり言えば7:3調子、2.4mの船用汎用竿に廉価版の小型スピニングというあり合わせタックル。ちょっと不安を覚えました。

道糸(シマノ「タナトル4」)0.8号 150mをリールに巻き、フロロカーボン(サンライン「トルネードKONG」)2.5号5㍍の先糸を摩擦系ノットでがっちり結節。テンヤはダイワの「紅牙タイテンヤSSシリーズ」を使います。

用意した2種類のタイテンヤ。ねじ込み式のオモリを加えて10号にした

エサの活きエビは、船上での現金決済で10匹1000円。「多めに入れておきましたよ~」。向後(こうご)直樹船長は筆者の息子ほどの年齢ながら、てきぱき、懇切丁寧、気配りの対応が素晴らしい。

まだ暗いので白ピンク(夜光塗料)の10号テンヤをチョイス……と言っても、これと定番の赤金しか持っていないのだが(涙)。

エビの尻尾をハサミで落とし、まずは背中側から頭と胴体をつなぐように孫針を打つ。これで頭が落ちにくくなる。そして親針を尻尾側から刺し通し、腹で抜く。身をまっすぐに整え、エビのズリ落ち防止の針金をしっかり刺す……エサづけは超ていねいに!

「では、始めてくださ~い。水深は36m。重たいテンヤでも食いはあまり変わらないので、しっかりと底をとってくださいね~」

「エビよ、大物に食われてこい!」と念じつつ、若船長の合図と同時にフワッと軽くキャスト。人生初の一つテンヤマダイです。

 1投目でアタリ、2投目で本命のマダイ!

10号テンヤがユルユルと沈んでいき、糸がリールのスプールからスルリ、スルリと出ていきます。

最初はフリーで沈めていきます。しかし底が近づく3色(30m)あたりから魚の食いに備え、指で道糸に触れ、テンションをかけながら慎重に落としていきます。ここらへんは基本動作。

糸はミヨシ側(左舷の筆者から見て右側)へ流れています。残念ながら、こりゃトモ有利の潮ケツだな。

はて、底はどこ?

糸を出しては張り、出しては張りを繰り返しながら、竿先を見つめます。道糸は斜めに倒れている。4色目に入ってすぐのあたりでフワッとふけました。着底したようです……が、底潮が速いのか、すぐに斜めにピンと張る。10号なのでコツン、コツンと底をたたく手応えがない。う~む。いまいち、よく分かりません。

まあいい。ここは着底したと断定。フワリと頭上まで竿をあおったあと、道糸を張ったままゆっくりと竿を下げていきます。いわゆる「テンションフォール」というやつです。

ククッ。

おっと。1投目でアタリが出ました。問答無用!……と即合わせしましたが、空振り。巻き上げると、エビが胴のあたりでちぎれ、親バリと孫針に分かれてしまっている。 なるほどね。合わせが早すぎたのかもしれない。

2投目。着底させたあと、少し待ち、再び竿をゆっくりあおる。テンションをかけつつエサを落としていく。

クッ。

底に着いて糸がふけるやいなや、またアタリがきました。

ほんの一瞬待つと、ガガッと強めのアタリ。ここでピシャッと合わせると魚が乗りました。

リールのドラグは1㎏の引っ張りで糸が出るよう完ぺきに調整済み。容赦なく糸をゴリゴリ巻いていくと、途中で竿がグン、グンと曲がります。

PEからフロロの先糸に変わって、浮いてきたのは本命。おおお、やった~!

小さいので抜き上げます。25㎝。千葉県の漁業規則では、20㎝以下のチャリコ(マダイの幼名)は放流と決まっているのですが、かろうじてクリアしています。小さくても鯛は鯛。引きは強いし。うれしき。

午前7時すぎの満潮まで、まだ1時間以上ある。活性は高そう。どんどん行こう!

どうやら、しゃくり上げたテンヤを底に落としたときにアタリが出るというパターンのようです。チャリコは直ちに海へお帰りいただく。30㎝前後を何枚か上げ、すっかり明るくなった飯岡沖で、この日最初のヤマ場が来ました。

「ズドン」というすごい衝撃

それはまず、クン…という小さなアタリでした。リールを巻いて竿先を下げる。臨戦態勢です。

次の瞬間、前よりも無防備なコン、コン…というアタリ。

鋭く大きく、のけぞるように合わせます。しかし、のけぞりきる前に筆者の体が起こされました。異様な重みで竿がのされ、穂先が海へ吸い込まれていきます。

針がかりの衝撃を音にすると、ズドン!という感じでした。

「うおっ、来たよ、来た」と思わず声が出ます。73調子の汎用竿が真ん中あたりから曲がっている。

ジィーイーイーッ!

リールのスプールが回転し、道糸が勢いよく出ていきます。どこまで走るか……。でも、これはいつまでも続きません。逃げる敵はドラグの力で1kgの負荷を背負っている。5色近く出したところで息切れのようです。

針に掛かったマダイは、首を左右に激しく振ります。道糸をたるませれば、テンヤ親針のチモトに固定したオモリが振られ、針が外れやすい。ドラグを信じ、糸が出る、出ないにかかわらず、ひたすらゴリ巻きするのみ。

いつのまにか、背後で若船長がタモを構えています。ゆらり。水面に浮いた本命は……なかなかのサイズだ! 船長が瞬速ですくってくれました。

一つテンヤで取った1.2kgのマダイ

親針と孫針が両方とも口の中にかかり、魚は無念そうに犬歯をむき出しにしている。

「重さをはかりましょう。えーっと……1.2kgですね」

いやいや、こりゃたまらん! 船長がマイクで呼びかけます。

「ミヨシでいい型出ましたよ~。がんばってくださいね~」

幸丸の釣果情報では3kg、4kgが上がっています。筆者のマダイ自己記録は2018年8月にとった3.1kg・63cm。それを超えるやつがかかるかも……。期待に胸がワクワクします。

東京湾で釣った筆者の自己記録。船宿に掲示されている

船宿によると、5kgクラスになるとパワーは段違いで、楽々と8色も糸を出し、点在する根で道糸が擦れブレイクするケースが多いようです。

手ばねと一つテンヤの釣りを分ける要素

それにしても……。テンヤを投下するたびにアタリやサワリがあり、穂先や手もとにしっかり伝わってくる。これは(当たり前と言えば当たり前ですが)実に新鮮な驚きでした。

というのも、手ばね竿ではここまで微細な反応が取れないのです。

筆者の愛好する伝統釣法と初挑戦の現代釣法は、テンヤ仕掛けでマダイを釣る点で同じなのに、まったく異なるゲームだと思わざるを得ません。

手ばね竿

手ばね竿で大鯛を狙う

前者は、手ばね竿で針がかりさせたあと極太ナイロンラージを自らたぐる。後者は、工業竿でフッキングしたあと極細PEラインをリールで巻き取る。

見かけ上は、そこが明らかに違うわけですが、ゲームの質を分けるもっと大きな要素があることに気づきました。

両者を異なるゲームにしているもの。それは、ずばり「中オモリの有無」ではないかと思います。

どういうことか?

手ばねしゃくりのラインシステムは、以下の通りです。

①道糸~ナイロンラージ7号
②中オモリ~8号
③ハリス1~フロロ5号3ヒロ(4.5m)
④極小ヨリモドシ
⑤ハリス2~フロロ4号2ヒロ(3m)
⑥タイテンヤ~2号

一方、一つテンヤのラインシステムは、いたってシンプルです。

①道糸~PE0.8号
②先糸~フロロ2.5号5m(道糸に直結)
③タイテンヤ~10号

重たい中オモリと軽いタイテンヤを組み合わせた手ばねの仕掛けだと、投入したあと、まず中オモリが沈んでいき、それを追うようにタイテンヤがふわり、ふわりと沈んでいきます。

中オモリが沈みきると道糸はピンと張りますが、ゆっくり落ちていくテンヤが魚に触っても、底に着いても、その感触は中オモリによって途絶え、手もとまでほとんど伝わってきません。

手ばねのテンヤは標準が2号と軽いため、底潮が速ければ大きく吹き上がり、たなびいているかもしれません。

極論すれば、中オモリがはさまっているために、釣り人にはテンヤの位置や状態が分からないのです。魚探を見る船長が教えてくれる深さに合わせて道糸を伸ばし、テンヤが底にある、もしくは底近くを漂っていると推定するしかないわけです。

手ばねしゃくりのラインシステムでは、中オモリが微かなサインを邪魔している

手ばねしゃくりの道糸は太くて潮受けしやすく(潮に流されやすく)、しかも水に浮く太いナイロン製。中オモリの使用は伝統釣法の宿命といえます。

これを外すなら、テンヤをかなり重くしなければなりませんが、その分だけ魚の食いは悪くなります。

一つテンヤ真鯛の魅力と退屈さ

一方、一つテンヤは中オモリを使わず、テンヤが一直線にラインで結ばれています。テンヤの着底や魚のアタリ、サワリは竿先や手もとへ直に伝わります。

もちろん、手ばねしゃくりのラインシステムでも、魚がテンヤをしっかり食えば、中オモリをこえてアタリが手もとに伝わります。

しかし、一つテンヤのシステムは、より微弱なサインを伝達します。これにより釣り人はテンヤと魚の状態を判断し、合わせを入れ、針にかけます。それに比べ伝統釣法は「向こうがかり」に近く、ゲーム性では一つテンヤが明らかに勝っていると感じました。

これはおそらく、細くて潮受けせず、大物を寄せられる強じんなPEライン、および、優れたドラグ性能を持つリールの登場で初めて成立した釣り方なのでしょう。

しかしながら、針にかけたあとのやり取りは手ばねしゃくりの方が圧倒的に楽しい。

一つテンヤでは、一定の引っ張り強度で糸が出るようリールのドラグを調整し、あとはハンドルをゴリ巻きするだけ。これは、極端な言い方をすれば機械的で退屈な作業です。

一方、手ばねしゃくりでは、道糸を握った自分の手のひらが最強、最良の「ドラグ」かつ「ハンドル」です。魚のパワーをじかに感じつつ、糸を握ってたぐったり、滑らせて送り出したり、変幻自在の駆け引きができます。

しかも、大きな鯛であればあるほど駆け引きはスリリングです。これ、ほんと。やってみないと分かりません。

魚を針にかけるのは、一つテンヤがおもしろい。でも、かけたあとは手ばねしゃくりがおもしろい。

そんなことを考えながら、幸丸のミヨシでテンヤを操ります。

終盤に手が合って5連釣!

早い段階で1.2kgをとったあと、満潮の時刻で食いが止まりました。この時点で本命を4枚釣っています。

若船長は、さらに沖のポイントへ移動。本命がポツリ、ポツリと上がります。サバフグなどのエサとりが少ないのは、ありがたい。

しかし、マダイばかり釣れると、マハタやヒラメなどの「お客さん」がほしくなる。釣り人は、まことに欲深い。

……と。アタリがあって合わせたら、本命とは異なる引き。メタボなホウボウ。これはうれしいぞ。

このあと3カ所目のポイントへ移動。そこで後半のヤマ場が待っていました。

なにしろ初挑戦で、マダイの誘い方や食いのパターンをよく知りません。しかし、たまたま魚と手が合ったのでしょう。赤金テンヤに交換後、40cm前後の中型が次々と針にかかります。他の客にアタリが出ないなか、立て続けに5回連続で本命をとりました。

「お。ドヤ顔か? 」(外野の声)

何を言う。自分ひとり釣れない、という悲しい展開も過去に多々ある。たまにはね、こういう時があってもいいでしょ。年をまたいで手ばねで連敗したんだぞ。でないと、釣りなんかやってらんないよ!

「それでは、港に戻りますね~。お疲れさまでした。いまから回りますので、釣果を教えてくださ~い」。午前11時ちょうどに船長が終了のアナウンス。

マダイ13枚、ハナダイ1枚、ホウボウ1匹。竿がしらは14枚で次点でしたが、船中最大は筆者の1.2kgでした。記録を更新できなかったのが心残りですが、それは望みすぎ。

初の一つテンヤの釣果。ビギナーズラックか……。

船上で買ったエビは30匹。これを使いきりました。本命と「お客さま」、さらには海に返したチャリコの分まで含めると、エビを30回落とし、2回に1回以上の割合で魚が上がってきました。打率は5割を超えている。

これは驚異といっていいと思います。現代釣法、おそるべし。

おかげさまで東京湾連敗でのトラウマは解消しました。魚の活性が高い日だったのでしょうが、一つテンヤは想像以上に簡単だ、という印象です。というより、手ばねしゃくりがそもそも難しい釣法なのでしょう。

一つテンヤで鯛の数釣りを初めて経験し、そこで感じた合わせのコツを手ばねしゃくりに反映させたいと思います。いよいよ乗っこみの春が近づいています!

マダイとハナダイの見分け方

今回の釣行では、ハナダイ(標準和名「チダイ」)も1枚釣れました。マダイ狙いでは定番の「お客さん」ですが、両者はなかなか見分けがつきません。

以下はマダイとハナダイの判別法です。ポイントは①顔の輪郭、②えらぶた、③尾びれ、④背びれの4つ。画像を参考にしてくだい。

寄稿者

釣人割烹

お世話になった船宿

千葉飯岡港幸丸

関連アイテム

関連記事

あわせて読みたい
内房伝統の手ばね竿で乗っこみ真鯛を釣る ORETSURIをご覧のみなさん、こんにちは。 サラリーマン・アングラーの釣人割烹です。 以前、千葉・内房の富津岬より南の一部地域で今も盛んな伝統釣法「竹岡式シャクリ...

ORETSURIフィールドレポーターについて

<お知らせ>
🌊Amazonタイムセール! 釣具も安い!
🌅楽天スーパーDEAL-人気アウトドア商品もポイント高還元!
🐙Yahoo!ショッピングならPayPay毎日5%還元!竿とリールが超得!
外房の一つテンヤマダイの釣果

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

記事をシェアしよう!
目次