どうやら地域にもよりますが、晩秋・初冬のハゼを焼き干しにしてダシを雑煮にするという食文化があるようです。
あるようです。
といってるぐらいですので、今回の料理をためしてみるまでわたしはまだ味わったことがなかったわけです。
この焼きハゼのダシ、想像しただけでも旨そうだ。
どんな料理にしてやろうか。
あ、そうだ、干し椎茸が駅前のお茶屋さんで安かったからあれと甘辛いツユにして蕎麦にしてみよう。と、はやくも妄想が膨らんできました。
11月もすぎればハゼもサイズが大きくなり、15~20センチほどに成長しています。
今回はそんなマハゼの焼き干しを作り、蕎麦をつくってみましょう。
ハゼの焼き干しを作る
まず、ハゼを用意しましょう。
今回は12尾。逗子の住宅街を流れる田越川で釣ったものです。
住宅街ときくと、すこし引いてしまうひとがいるかもしれませんが、水質はいいのです。隣駅までいけばホタルもいるぐらいですからね。
マハゼは下処理が手間ではありますが、だし目的であればもう少しまとまった釣果があったほうがよいかと思います。
もし、この記事をみて、蕎麦をすすりてーと思った方は、30尾から50尾釣っておくとよいと思います。
焼いてからカラッカラに干したハゼは保存もきくので、下ごしらえの作業は一回にまとめて中長期的に保存食として活用していくとと、あれこれ使えておもしろそうですね。
まずハゼの鱗とエラと内臓を落とし、血合いをきれいに流したあとに安日本酒につけておきます。
ガスコンロの魚グリルで弱火で炙る。
強火で油断していると、あっという間に焦げるので注意です。
だんだんこんがりしてくる。適宜裏面も炙っておきましょう。
そんでもって、こちらが炙りおわったもの。
これだけで、七味マヨネーズでも旨いと思います。居酒屋で出てくるコマイみたいだな。
このように、下処理の仕方によっては頭部と胴体が分裂していますので、部下とハゼは丁寧に扱いましょう。
これを外の空っ風で2日ほど乾燥。
うむ、からからですな。
その後、冷蔵庫で冷やしながらさらに数日乾燥させておきます。
すっかり、からっからになったようですな。
おほほほん、助さん格さん、もういいでしょう(さぞ旨みも凝縮されていることでしょう)。
ハゼの焼き干し+干し椎茸+日高産真昆布でダシをとる
と、ここで干し椎茸の登場です。
仙台風の雑煮では干し椎茸からダシはとらないのですが、今回は、独自に蕎麦つゆにあいそうだなと思い、用意してみました。
そうそう、干し椎茸って意外と高いんですよね。これで850円ぐらいで売られているのが450円ぐらいでした。
日高産昆布と焼きハゼ干と干し椎茸という出汁トリオ。
鰹節いれるとかふざけんなよ。という声が聞こえてきそうだったので今回は自重しております。
これにぬるま湯をそそぎ、一晩寝かせておきましょう。
夏場はたぶん腐るので秋冬だけの技ですね。
そして、次の朝・・・
・・・
・・・
・・・
ほほう。水が、いい塩梅にダシ色になっておるわい。
この状態から沸騰させ、沸騰するかな?もうしそうかな?というタイミングで昆布をとっておき、沸騰したらトロ火でぐつぐついわないようにして、10分ほどさらに加熱、以下の調味料で蕎麦つゆに仕立てましょう。
- 砂糖(ばさ)
- しょうゆ(どぼどぼどぼ)
- 本みりん(どぼ)
- 安日本酒(どぼどぼ)
いつもながら分量は適当です。自分の好きなように味を付けましょう。できあがった味、それがあなたの味です。
結果的に甘辛いな、となっていればよいと思います。
蕎麦が入ることを想定して関東風であれば多少味付けがこいやんけ、というぐらいが良いかもしれません。
味をつけたら、しばらく火にかけて日本酒とみりんのアルコールを飛ばす。
焼きハゼ椎茸そばを仕上げる
蕎麦は、セブンイレブンで買っておきました。180円ぐらいだったかなと。
最近、セブンイレブンのプライベートブランド戦略はかなり進んでいますよね。だいたいのものがコンビニで揃うという便利さ。まさにコンビニですな。
たっぷりの湯を沸かしてゆでましょう。
ゆであがったら、ザルにうつして流しておきましょう。
温蕎麦の場合も一回ぬめりを洗い流してから熱湯にくぐらせたほうが舌ざわりがよいのです。
盛りつけは、頭の分離してないハゼと椎茸に長ネギ、そして柚子の皮をたたいたものに七味。
柚子は皮をきってから表面を包丁でたたいてやると香りがさらにたちますよ。
まずツユから。
おおお。ぬおおおお。
なんと味わい深いつゆなんだ。
カツオとは異なる繊細な白身魚の旨みと幾分川魚にありがちな風味(くさいわけではないんです)。
これに干し椎茸の香味パンチが合わさり、縁の下の力持ちとして昆布が機能している。俺たちの昆布。
と、わけのわからないことをいってみましたが。
まー。奥深い味です。
この季節柚子の皮もいいですね。
勢いあまってどんぶり2杯食べてしまいましたよ。げふん。
出汁がらのハゼで甘露煮をつくる
出汁がらとなった昆布と椎茸とハゼはもったいないので、雪平鍋に移し、調味料で味付けをしましょう。
- 砂糖(ばさばさ)
- しょうゆ(どぼどぼどぼ)
- 本みりん(どぼ)
- 日本酒(どぼどぼ)
※水あめがあると照りが出てさらにいいです。
頭が分離してしまったものも、みな平等に甘露煮に。
落とし蓋としてキッチンペーパーをかぶせて、ことことことと30分くらい炊いたことでしょうかね。
この通り仕上がりました。
うなぎのタレみたいな香ばしい匂いがします。
頭からかじってみると、骨もやわらかで丸ごと食べられますぞ。
ああ滋味深い。にしん蕎麦のように、温蕎麦に甘露煮にしたハゼを飾ってもいいかもしれませんね。
貴公はハゼつけ蕎麦の旨さを知っているか?
翌日。あれだ、蕎麦ゆで過ぎたな。と、思いつつ、そうだ、このハゼだしにウェイパースープをブレンドしたらつけ麺のスープによさそうだ。
<ブレンドした材料>
- ウェイパーor創味シャンタン(うちの近くのスーパーでは売っていない)
- ネギ油(具入りのものがおすすめ)
- 黒コショウ
- 七味
どーーん。中華麺の代わりに日本そば。
ずるずる。
うわ。うわわ。
超絶うまいぞ、なんだこれは。
例えるなら鴨南蛮のような奥深いコク。
うーむ、もうあれですよ。日清さんはどん兵衛焼きハゼ蕎麦を出すべきだなこれ。
あっさりなれども、芯のあるハゼ出汁に動物スープが加勢することで、破壊的な同盟軍になるというかなんというか、
えーっと、まー、すごいコクということです。
まさに蕎麦業界のイノベーションですなこれは。
ぜひ味わってほしい。
揚げ玉をいれるとさらにパンチが効いてうまいです。国士無双。
今度は、ダブルスープで淡麗ハゼラーメンでも作ってみようと。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)