先日、メバルという名で強制的にアイデンティティの喪失を経験させられていたクロソイの名誉を回復した。
クロソイは無事メバルとして誤食されず、クロソイとして食べられ、めでたくわたしの一部として生きることなった。
食べるということは、食べたものと一つになるということなのかもしれない。
妙に哲学的な思考になるのが秋の夜である。
クロソイよ、お前とともに生きようぞ。
なにをいっているのだろうか。
まてよ、もう1匹塩をふったまま、チルドルームに寝かせておいたのだった。
クロソイのやっつけワイン蒸しをつくる
根魚は何にしても旨いのだが、ムニエルにすると旨い。
が、小麦粉をはたいてムニエルにするのがめんどくさくなったということもあり、助さん格さん、この日はワイン蒸しがよかろう。ははーご隠居。ということになった。
全体にクレイジーソルトをふり、すりこんでおこう。お腹の中にもすりこむのがポイントだ。
ORETSURIではクレイジーソルトを剛力彩芽ばりにゴリ押ししているが、ほんとうにおすすめだ。
かけるだけでだいたい料理が旨くなる。
フライパンにオリーブオイルを熱し、皮目にこんがりと焼きを入れる。
先日、ひさしぶりにマクドナルドにいったところ、両手に根性焼きのあとがクリリンのようにある青年がいて、いろいろと考えさせられた。
彼は、5年後、10年後、あの腕の火傷後をみて何を思うのだろうか。誰も知らない。
ざっくり蒸す
あとは、野菜(きのこ類・たまねぎ・ズッキーニ・ニンニクスライス)をいれて黒コショウをふって白ワインで蒸す。
※生タイムをいれると本格的になる。ズッキーニを輪切りでいれると料理がうまそうにみえるから不思議だ。フライドオニオンをいれると香ばさとコクが増す。
蓋をして弱火で蒸そう。フライパンの蓋がない場合はアルミホイルでおおってしまってもいい。
20分くらいたっただろうか。
クックパッドのように何分蒸すとかクソ喰らえだ。
読書をしながら料理をしていると、たまに料理をしていることを忘れてしまう。
そんなズボラな工程ながら、ガラス蓋をあけると、あら旨そうなクロソイだこと。
おほほほん。
ここで軽くレモンをしぼっても味がひきしまっていいと思う。
盛り付ける。
ズッキーニをきれいに並べてみると写真映えする。
このクロソイは3尾で500円。
つまり、1尾166円だったのだが、このようなズボラな調理工程でも、ビストロで1,500円ぐらいとるような魚料理ができるという自炊の恐ろしさ。
だんだんと料理ができるようになってくると、外食でまずくて高い料理をだしている店にはいったときにすさまじい後悔の念がおこることがある。
どうやったら、この素材をこんな風にして料理できるんだろう、「店主を出せ!」と、海原雄山よろしく心の声では憤っている。
これからも読者のみなさんといっしょに自炊力をあげたいものだ。
それと、これはプチノウハウなのだが、バニラアイスに黒コショウをすってから一緒に食べるとコクがありつつスパイシーで実におすすめだ。
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