唐突だけども、パキスタンとわたしについての関係性について話す。
パキスタンについてはじめて意識したのは大学生の頃だった。
はじめて海外に旅に出たのは大学2年になる前。
新学期が始まる1か月ほど中国にいったことがある。
そのころ友人だったが、今は疎遠になってしまった同級生が大久保の旅行会社で北京までの往復チケットを手に入れた。
正直、航空券を手に入れる仕組みというのがわかっていなく、当時はネットでのEチケット発行などもまだ定まっていなかったような気がする。
そのときまで飛行機に乗ったことがなかったものなので、航空会社にグレードがあることなど、てんでわからなかったがその時の航空会社はPIA(Pakistan International Airlines=パキスタン国際航空 )だった。
成田発で北京を経て、パキスタンの大都市カラチまでいく飛行機。
パキスタン航空といえば、ややリスク度合いが高めな航空会社としても知られている。
こんなデータがある
ここでAirSafe.comに表示されている航空会社のうち、日本乗り入れをしている航空会社に絞ったうえで、事故率の高い航空会社から順番に並べてみました。
7.60 エジプト航空
7.16 チャイナエアライン
6.83 トルコ航空
4.89 エアインディア
3.84 パキスタン航空
3.54 イラン航空
2.58 コリアンエアー
2.47 フィリピン航空
2.44 ガルーダインドネシア航空
1.60 タイ国際航空
1.50 シンガポール航空
1.45 キャセイパシフィック航空
1.36 日本航空
1.14 アシアナ航空
0.92 マレーシア航空
0.90 ヴァリグブラジル航空
0.81 KLMオランダ航空
0.74 ニュージーランド航空
0.73 アリタリア航空
0.59 アメリカン航空
0.55 エールフランス
0.37 ユナイテッド航空
0.33 エアカナダ
0.28 ノースウエスト航空
0.22 全日空
0.22 ブリティッシュエアウェイズ
0.19 スカンジナビア航空
0.19 ルフトハンザドイツ航空
0.18 コンチネンタル航空
0.16 デルタ航空
0.00 エミレーツ航空、ヴァージンアトランティック航空、フィンエアー、オーストリア航空、カンタス航空、エバー航空
出典:https://allabout.co.jp/gm/gc/75819/
これはオールアバウトの記事だが、@パキスタン航空は見事リスクランキング上位5位に座している。
もっとも、このあとも、チャイナエアライン、トルコ航空、エアインディアと色々のっているので、そんなことを気にしているよりは、死ぬときは死ぬと割り切って生きたほうが人生は面白いと思っている。
今となってはすっかりスパイシーな文化が好きでイスラム諸国も旅して、概ね好印象なのだが、当時は、イスラム自体をかなり異質なものとして感じていた。
日本が極東の湿潤文化であれば、中東諸国、イスラムやユダヤ、キリスト教文化は砂漠文化。
まず、成田空港の待合室にいくと、ブルカを着用している女性がいたり、スパイスの香りが漂っている。クミン系の腋臭のニオイもする。
みなさんは、はじめて乗った飛行機が滑走路を離れ、重力に逆らい宙にういた瞬間を覚えているだろうか。
あの浮遊感。
あれからなんども飛行機にのることもあったのだけど、いつも飛行機が滑走路を離れる瞬間は高揚する。
たしかはじめてのときは、これ、もしかして飛べないかも、みたいな最悪の出来事が頭の片隅に予感としてあった。
が、我らがPIAは、見事浮上した。
成田をでた飛行機はなんのトラブルもなく北京につく。
途中のトラブルといえば、パキスタン人がベルトサインがでても矢鱈に席をたって仲間と立ち話してしまう多動系の人たちだったということぐらいか。
我々は北京で降りたが、その飛行機は北京を中継して、パキスタンの大都市カラチに様々なスパイス臭と腋臭のニオイをのせて旅立っていった。
パキスタンとわたしには、このように薄い関係性があって、それ以降にパキスタンを旅したことはない。
いや、もう一つ、パキスタンを意識したことがある。
2013年にインド最西部のジャイサルメールを旅したときのことだ。
ジャイサルメール郊外の砂漠で一夜を過ごしたのだが、その時現地で契約をしたガイドが、砂がまじったチャイをすすりながら、何もない地平をさして「この砂漠の向こうはパキスタンだ。100キロない」といった。
ただそれだけだ。
日本にいると国境を感じないが、陸続きの国の場合、他の国を意識しがちなものだ。
わたしはいつかパキスタンにいくのだろうか。
まだわからないが、いきたいとは思う。
ものすごく、長い前書きだった。
今回は、そんなパキスタン産のマテ貝を食べてみたという話。
鎌倉でパキスタン産マテ貝を買う
鎌万水産という魚屋+八百屋がある。
ここはいろいろな魚介類があって最近よくいっている。
この日、陳列をながめていると、パキスタン産のマテ貝をみつけた。
パキスタンか。
パキスタンね。
と、冒頭の長い文章の事柄が想起されてしまったのだ。
買ってきた。
活きもよさそうだ。
このマテ貝、パキスタンからだと、空路PIAに乗ってやってくるのだろうか。
船旅にしては時間がかるしな。
生きている。
今回はバター焼きにする予定なのだが、野菜を準備する間、塩水につけてみよう。
すると、マテ貝というやつは、パキスタン産でもあいも変わらず塩分濃度に敏感で、ぴゅっと殻から脚を出す。
こんな風に脚がでる。
どこかしらパキスタン風を意識しようと、コリアンダー(パクチー)の根をたたいて刻んでおく。
エシャロットも刻んでおく。
これは玉ねぎでもよいかもしれない。
オリーブオイルで、ニンニクスライスと、シメジ、コリアンダーの根、エシャロットを炒める。
水ですすいだマテ貝を投入する。
加熱。
白ワイン+バターをいれる。
クレイジーソルト+白コショウで味を調整する。
できた。
タイムを飾ってみた。
味は日本のマテ貝と変わらず、癖のない味で、あっさりしているのでバター焼きというのは正解なのだろう。
マテ貝やらミル貝やらはこうした男性器に見えるビジュアルなので、話題にもしやすいのかもしれない。
今回は、パキスタンを意識して、カレーパウダーで盛大に味をつけようとおもったのだが、あっさりめがうまそうだったので、やめておいた。
パキスタンでは、ミル貝はマサラパウダーをかけられて調理されるのだろう。
こちらはインド・ジャイサルメールの溜池にいたナマズ。パンを投げるたびに狂乱がはじまる。勢いあまったナマズは階段の上まであがってきていた。