トビウオについて
トビウオと聞くと、捕食者に追われたりすると海の上を「ぴょーん」と飛んで逃げる魚としてよく知られていますね。
じゃあどんぐらい飛んじゃうのかというと、最高で400メートル飛んだという記録があるようです。
それって、うまれてくる種を間違えたんじゃ?って、おもってしまいますが、生きとし生けるもの、自分の生を選ぶことなどできません。南無。
それにしても、さぞサバイバル能力が高いんだろうなーとおもってBBCの動画をみたら、けっこうシイラの追撃をかわしたりしている。
うーむ。海の中ではマグロやシイラ、空に飛び立てば鳥の群れと、なんと自然界は無理ゲーなのでしょうか。
『保育園落ちた日本死ね』とか言っている場合ではありません。気持ちはわかるけども。
肉食魚や鳥さんからしたら、トビウオはうまいし、トゲ類もないので格好のエサなのでしょう
海外ではトビウオそのまんまのルアーもあるようです。Amazonでしらべてみたら、国内ではカラーリングだけトビウオを模したルアーがみつかりました。
青物釣れそうだなー・・・
和歌山産のトビウオを買ってきた
トビウオって、東京近辺では、よく八丈島産などの個体をスーパーでみます。んが、あんまり買う気にならなかったんですよね。
刺身は食べたことがあったのですが、みためがそれほどうまそうに見えないというかなんというか。なんなのでしょうか。みなさんはトビウオを買ったことありますかね?
まーせっかくこのシリーズの趣旨は、買わず嫌い食わず嫌いをなくしたいということなので、今回新鮮そうに見えるトビウオを買ってきて料理してみました。和歌山産だそうです。
それにしても胸びれ長いな
みたところ目も比較的澄んでいることですし、身もはりがあるので鮮度は高いのでしょう。
あ、そういえば、アジが氷漬けで売られているとき、目が白くなっているのってありますよね?あれは全部がぜんぶ鮮度が悪いのでなく、塩が氷水にまぜられていて、より鮮度が高く物流&販売できるからのようです。
うるるん
濃い塩水によって目が白濁するとのこと。とはいっても、あからさまに弱った鯵もいますけどね。
ヒレを広げてみると、こんな感じ。まさに羽だなこれは。ヒレ酒…無理だろ。
トビウオをさばいていく
料理するには胸びれと知りびれが邪魔なので、容赦なく調理ばさみでカットしておきます。
ヒレはスープのダシにつかうことに。
この時点でのスープはあら汁を想定。鱗もおとしておきましょう。
散髪終了です。ヒレがなくなるとボラやウルメイワシのようですね。
頭と内臓を落とします。
おうおう。ぶっつりやってやったぜ。御命有難くいただきます。
口が小さいですが、トビウオは動物性プランクトンを主に食べている模様。
大型で断面が四角くみえるから、ハマトビウオなのかな。
他に日本では中型種のトビウオとツクシトビウオ、小型種のホソトビウオというのがいるようです。
わかりますかね?
と、この断面をみていたら何かいますねー。
アニサキスなのか、シュードテラノーバか、はたまた、ほかの寄生虫なのか。
それとも、内臓器官の一部なのか、トビウオがたべた海洋生物なのかわかりませんが、まーこういうのをみるとちょっと引きますよね。合計2匹いました。
が、もはや寄生虫にもなれたので、せっせと調理を続けていきます。あの卵巣に大量に巣くう寄生虫フィロメトラだけはちょっと苦手です。
内臓がきれいにとれました。肝臓もくずれておらず、切断面もきれいなので、鮮度はよさそう
続いて、血合い等を流水で流します。トビウオの場合背骨のほりが浅いので、指でしごけば十分きれいになります。
3枚におろす。歩留まりはよくおろせたのですが、包丁の動かし方によってギザギザ感が顕著にでてしまいました。ギザギザではなく、骨にそってスーッと切るのがポイントですね。
腹骨をすきます。すいた腹骨には肉もついているので、スープのダシに使うとよいですよ。
皮をはぎます。ブレードの薄いナイフか柳葉包丁がベストです。
中骨は、抜くこともできるのですが、意外にしっかり骨が入っているので工数削減ということで、中骨にそって身をすいてしまいます。
トビウオの刺身
しっかりした刺身になりました。
筋肉に対して、刃の入れ方はこれから勉強しようかなと思うのですが、刺身のエッジもいつもより立っているのでうまそうです。
わさびではなくすりおろし生姜と万能ねぎを薬味に食べてみると、身がもちもち。あっさりうまい。
トビウオは全身マッスル。なので脂はほぼないですね。
生で食べる時は、味付けをしっかりしたほうがいいかもしれません。
トビウオの刺身を3つの味付けで和えてみる
まずは、2センチ程度の刺身にします。そんでもって味をつけます。
①うっすら塩味のトビウオのたたき
うっすら塩味。具は長ネギ、千切り生姜のみで和えてあります。
このまま柚子の皮を入れて叩いてなめろうにしたほうが旨そうな気がします。裏技で海原雄山に怒られそうですが、昆布だしを入れて和えてもよさそう。
②トビウオの刺身・韓国風
韓国風といっても、ごま油と生姜とスライスきゅうりと万能ねぎ&新玉ねぎに塩コショウで味付けをして和えたもの。
コチュジャンをいれたかったものの在庫切れでした。
この取り合わせは実にしっくりきます。おすすめです。
お好みでレモンを絞ると夏の小鉢にも爽やかで似合いそうです。
コチュジャンは和えてもよさそうですが、これにレモン汁&コチュジャンをつけて食べてもうまそう。
③東南アジア風なトビウオの刺身
これは材料が多目なパターンで、誰が作るんだよという料理です。
パクチー、新玉ねぎ&万能ねぎ、トマト&ナス、刻みニンニクに、ごま油、マヨネーズ、ナンプラー、白コショウ、タイスキソース、レモン汁を和えたもの。
これはハワイのポキみたいな風味です。女性受けしそうな味です。
マヨネーズ+ナンプラー+レモン汁+(タイスキソースorスイートチリソースorケチャップマニス)というのはディップソースとしても無敵なので、ぜひためしてみてください。
ちょっと後半の調味料はアジア料理が好きな人でないと親しみがないかもしれませんが、アジア料理好きの場合、仕上げに、コリアンダーパウダー(パクチーの種子の粉末)をかけるとさらにエキゾチックな風味が出ますよ。
トビウオのタイ風スープ
今回、トビウオのアラでアラ汁を作ろうとしたのですが、後半の東南アジア風なトビウオを試食していたところ、なんだかタイ風なスープが飲みたんです。
そこで、アラ汁から一気に方向転換し、南国系にしてみました。
ビジネスシーンでプロジェクトの方向転換をとがめられることがあれば、「あ、これ、アジャイルっす!」「ピボットっす」とかいっておけば大体なんとかなります。
トビウオの頭からエラをとり、割っておきます。
集めたトビウオのアラに熱湯をかけて残った血合いや臭みを取り除きます。
鍋に、湯を沸かし、ショウガとニンニクスライスと唐辛子をいれ、はじめからナンプラーと酒を投入し、そこにトビウオのアラを入れます。先に調味料が入っていることでアラの臭みを軽減させる狙いです。
ちなみに、パクチーの根がある場合、包丁で叩いて、スープのダシにつかうとなんともいえない風味がでてよいです。フォーのスープをつくるときもパクチーの根は必須です。
こんな感じに煮だしました。
今回は具としては食べず、あくまでダシとして使います。器にスープを取り分けた後の写真なのでかさがへっています。
できあがり。
仕上げに刻んだパクチーをいれ、レモン汁を絞る。
うーん。実に美味。トビウオでなければいけない理由はまったくありませんが、いい出汁が出ています。
味がうすい場合は、このタイミングでナンプラーや塩コショウで調整してもよいでしょう。
ナンプラーのニオイが苦手な方は、加熱しているタイミングで調整するほうがよいです。
仕上げに、トビウオのタイ風雑炊を。
といっても、お茶漬けといったほうが近しい締めですね。
白米にトビウオの刺身を数枚のせ、トビウオスープをかけ、レモンを絞るというスタイル。これはさっぱりして、酒の締めにもよさそうです。
まとめ
途中からアジア料理好きのわたしの嗜好性がむき出しになった回でしたが、トビウオは調理もかんたんですし、可食部位もかなり歩留まりがよく、クセもないですし、いろんな料理につかえそうです。
スーパーでトビウオを買ったことがないかたはぜひためしてみてください。この日も満腹でした。日々感謝です。ありがたや。
ではでは。