九州を中心に人気の沖釣りでの「落とし込み釣り」。
頑丈なサビキ仕掛けを使い、中層でイワシやアジなどのベイトをかけて底付近のタナに落としこみ、ブリやヒラマサなどの青物やヒラメやハタ類などの底物を狙う大物釣りです。
今回は一見単純で運任せの要素が多そうな落とし込み釣りで確実に釣果を上げるコツを紹介します。
落とし込み釣りは運まかせの釣りか?
「落とし込み釣りは、餌となるイワシやアジがかかれば本命がヒットするかどうかは運任せ」
そのように考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそうではありません。
実際に同じ船に乗って同じような仕掛けを使っているにも関わらず、人によって釣果に大きな差が生じたり、どのような状況でも毎回きっちり釣果を出す人がいるのがその証拠です。
もちろん運も無関係ではありませんが、ある一定のポイントを押さえていれば釣果は自ずと変わってくるので、この記事では具体的な実釣テクニックを仕掛け投入の段階から順番に説明します。
コツ1:船長の合図と同時に投入!
落とし込み釣りでは船長の合図と同時にすぐに仕掛けを投入して下さい。
ここでモタモタしていると、潮の流れが早くベイトの群れが小さい場合はすぐに船の下を通過してしまいます。そうなると、肝心のベイトをかけそこなってしまいます。
また、大物は基本的に「早い者勝ち」なので、いち早くベイトを掛けて狙いのタナまで落とした方がヒット率は高くなります。
ポイント到着までに準備をすませ、マグネット等を船べりに設置し仕掛けが絡まないように注意しながら、投入のタイミングで遅れを取らないようにしっかりと準備しましょう。
コツ2:リールのメカニカルブレーキとサミングで落下速度を調節
サビキ仕掛けがベイトが泳ぐタナの近くまで落ちたタイミングで、メカニカルブレーキを少し締めるかサミングで落下速度を調整します。
ベイトとなるイワシなどは繊細なので、落下速度が速すぎると掛からず、逆に遅すぎても仕掛けを見破られるようで掛かりません。
基本的にはベイトの活性が高く群れの規模も大きい場合は早めの速度で、掛かりが悪い場合は少しずつ遅くして下さい。
どのスピードが常に正解ということはなく、その日の状況によって臨機応変に対応することが求められます。
コツ3:余計なアクションは厳禁!あくまでも自然に落下させる
ベイトのタナを仕掛けが通過する際には、竿を上下させるといった余計な誘いのアクションは厳禁です。
コマセを用いた釣りであればそれは誘いになりますが、落とし込み釣りではそうした動きはベイトに余計な警戒心を与えてしまいます。
あくまでも自然な落下の動きで食わせるように意識してみましょう。
コツ4:ベイトの掛かりが悪い場合は、ハリス号数と針サイズをチェック
時折、スピードをいくら調整しても掛かりが悪い場合があります。
これはハリスが太過ぎるかハリが大き過ぎることが原因となっていることが多いので、仕掛けをスケールダウンして様子を見ましょう。
このため、仕掛けは複数のサイズをそろえておく必要があります。
コツ5:釣果を左右する最大のポイント…こまめな底取りとベタ底厳禁
イワシやアジなどのベイトが順調に掛かり仕掛けがそのまま着底したと考えて下さい。
実はここから仕掛けをどう動かすかが、釣果を左右する最大のポイントです!
よくありがちなのが、ブリ類やタイよりもヒラメやハタなどの底物が釣りたいといって、そのままベタ底or 50センチほど上げた状態でアタリを待つことです。
結論から言えばこれではヒラメやハタはもちろん、ハマチやタイなども釣れません。
まさにこの釣りにおける最大の厳禁事項と断言できます。
なぜ釣れないのかといえば、そもそも魚は自分よりもかなり上を泳ぐエサに強く反応する習性(特に根魚やヒラメなどは顕著)があるので、ベタ底の状態では海底周りを泳ぐ魚にとっても極端にアピール力が低いからです。
最低でも海底から3メートル前後は上げてアタリを待つように意識して、その後も底取りを行ってタナをこまめにキープするのが鉄則です。
また、底取りを行うことによって根がキツいポイントでも根掛かりを回避することが出来るので、面倒がらずにしっかりと行いましょう。
コツ6:穂先の震えはベイトの活きの良さ
こうしてアタリを待つわけですが、ベイトが元気なうちは穂先が小刻みに震えます。そして、次第に弱ってくるとその震えが消えます。
このような状況では粘らずに、もう一度新しいベイトをつけ変えるようにしましょう。
ベイトのタナまで仕掛けを巻き上げる際に、竿先を大きく上下にあおって弱ったベイトを振り落すようにすると、何も付いていない状態で再度ベイトのタナを通過させることができます。
さらに振り落されたベイトがマキエとなって周囲の魚の活性も上がるので効果的です。
コツ7:竿先が突っ込む本アタリで巻きアワセを入れる
大物が近づくとベイトが食われまいと大暴れして穂先を激しく叩く前アタリが出ます。
経験してみると分かるのですが、このワクワク感こそが落とし込み釣りの最大の魅力です。
そのまま待っていると、すぐに竿先が一気に海面に突き刺さります。これが本アタリです。落ち着いてリールを巻きながらアワセを入れてやり取りを開始して下さい。
意外と難しいのがこのアワセのタイミングで、慣れるまではどうしても派手なアタリに反応して早アワセをしてしまうことが多いです。
そうするとすっぽ抜けたり、やり取りの最中に針外れとなることが多いので、必ず本アタリが出るまでは我慢して下さい。
ちなみに、竿先が重たくなったまま本アタリが出ない居食いのようなケースもありますが、その場合は少し穂先を上げてベイトが逃げる動きを演出してやると一気に食い込むことが多いので試してみて下さい。
コツ8:大型青物が出るポイントではドラグ調節が肝心
大型青物がヒットした際にラインブレイクとならないように、ドラグは強く引っ張れば糸が出ていくように事前にしっかりと調整しておいて下さい。
ドラグをガチガチに締めた状態にしていると、大型のカンパチやヒラマサなどがヒットするポイントではヒットと同時に一気に仕掛けを飛ばされることもあります。
大物相手にはしっかりと時間をかけてやり取りをすることをおすすめします。
コツ9:海底から引き離せるかどうかが勝負の分かれ目
落とし込み釣りでは、極論フィッシュイーターであれば全て対象魚となり得るので、どのような魚がヒットしてくるか分かりません。
いずれにしても、ヒット直後にいかに海底から引き離すかが重要です。
ポンピング動作をしっかり行って、少しでも早く引き離すように意識して下さい。
特に大型の根魚やヒラマサ・カンパチなどは根に突っ込む習性があるので、初期対応が遅れると即根ズレ、あるいはハリスがボロボロに擦れて途中で切れる可能性が高いです。
コツ10:仕掛けの交換はケチらない
オマツリや長時間の使用によってハリスがよじれてクセが付いているような仕掛けはベイトの食いに大きな影響を及ぼすので、すぐに新品に交換しましょう。
このようなちょっとしたことでも目に見えて食いが変わるので、仕掛けの交換はケチらずに行った方が良い結果に繋がることが多いです。
また、エソがヒットしてハリスに細かな傷が入っている場合も、強度が著しく低下するので交換することをおすすめします。
エソにかまれたハリスはズタズタ・・・
コツ11:サビキ仕掛けの針数について
仕掛けのハリスと針の大きさについては既に取り上げましたが、「針数」について気になっている人もいるかもしれません。
3本針や4本針、多いものでは6本針や8本針の仕掛けも販売されていますが、選ぶポイントは「ベイトの食い」と「手返しの早さ」です。
ベイトの食いが悪い場合は少しでも確率を上げるために針数は多い方が有利ですが、食いが良ければ針数が少なくても問題ありません。
であれば、最初から両方に対応できる針数が多いサビキを使うのがベストではないかと思うかもしれませんが、これには大きなデメリットもあります。
この釣りはヒットする魚が大きい為に基本的に玉網を使っての取り込みとなりますが、針数が多いとネット内の魚が暴れた際に残りの針が玉網の色々な場所に掛かってしまうことがよくあります。
こうなると全ての針を外してから再投入するまでに大幅な時間のロスとなり、手返しが明らかに悪くなります。
これらの事を考えると、経験を積んで慣れるまでは3~4本針仕掛けを使用した方がストレスなく釣りが出来るかもしれません。
「落とし込み釣り」の釣り方まとめ
落とし込み釣りについて、今回は具体的な実釣テクニックを紹介しました。
「待ちの釣り」のように思えて意外と注意すべきポイントが多く驚いた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうしたポイントを特に意識しなくても入れ食いのようになる場合もありますが、これらを意識して実行するかどうかで間違いなく釣果は大きく変わります。
落とし込み釣りはベイトがたまる秋にかけて全国各地で本格的なシーズンに入っていきます。皆さんも他の釣りでは決して体験できない興奮と楽しさを味わって大物をゲットしてみて下さい!