『マコ』というあだなで呼ばれることがあるマコガレイ。投げ釣りをしてマコガレイを釣ってほくほくしていると、背後から急に「マコですか?」みたいに言われることがあり、一瞬びっくりします。
このマコガレイの刺し身はヒラメに匹敵する、もしくはヒラメよりうまいという噂を耳にしました。マコガレイについて解説した後に、実際に釣り上げたマコガレイで検証してみます。
<今回の料理>
- マコガレイの刺身
- マコガレイの肝醤油茶漬け
- アラ汁(マコガレイ+マアジのアラ)
- マコガレイの煮物
マコガレイとは
マコガレイは北海道から九州までの内湾の砂泥地に生息しているカレイ。
英名は「Marbled flounder」学名の「Pleuronectes yokohamae」は横浜周辺でよく漁獲されたためついている。カレイ目カレイ科に分類される魚で、「城下かれい」というブランドは大分県日出町沿岸で漁獲されるマコガレイのこと。
マコガレイの『マコ』は卵をさす『真子』に由来する。もともと春の産卵シーズンにのっこみの個体が浅場でたくさんとれ、卵巣をもった個体が好まれたことに由来しているとされる。
一般的には煮魚にされることが多い。東京湾では激減していて、稚魚が放流されているものの、依然として個体数は少なく幻の魚とも呼ばれる。
釣りの対象魚としては、秋から年末までの乗っ込みガレイと、産卵後の3月~5月付近までの戻りガレイが親しまれている。身に脂ノリがよいのは産卵後に肥った夏の個体。
マコガレイの下処理
どん。
マコガレイ36センチです。背中が盛り上がってますね。
産卵後、体力も十分回復しているんだと思います。
分厚い。
ちら。
なんと マコガレイがおきあがり なかまになりたそうに こちらをみている!
なかまにしてあげますか?
→食べる
仲間にする
すまそ。
マコガレイは鱗が細かいのですが、これをしっかりとりましょう。
よく切れる包丁と技術がある方はスキ引きでもOK。
尾鰭がうちわみたいですね。
腹側もふっくらしています。これは期待がもてそう。
エラに開いている穴は、釣り場にて背中側から調理ばさみの片刃で締めたときに貫通したものです。
胃腸をつぶさないように、慎重に腹部をあけてみると・・・
なんじゃこの肝の大きさは。
肝っ玉母さんかよ。
血抜きもしっかりできているので、白いですね。これは肝醤油にしてみましょう。
開腹もこのようにすると内臓なども取りやすいです。
切り取った部位はアラ汁などに利用しましょう。
水洗いしたあと日本酒につけておきます。
食道から胃に入るところに釣り鈎がフッキングしていますね。
ハリスも4号なので、このかかり方であればそうそうばれないはずです。
カレイの場合、待ちの釣りであるのと、居食いも多いので、枝針と下針の2つを食べていることもしばしば。
今回の個体もそうでした。
どーん。
口の大きさは大人の小指がちょうど入る程度。
この口でアオイソメや岩イソメをずるずる吸い込むのでしょう。
魚の口や歯の構造をよくみておくと、実釣のときにアタリがあったときの待ち時間や、釣れてからのやり取りもイメージがわきます。
マコガレイは歯がないから、飲ませてもほぼ大丈夫だなーというように。
魚体の構造をしるという点で釣った魚を自分で料理してみるのは有効な手段ですね。
マコガレイからサクをとる(腹側)
頭部を切り離し血合いを洗い流し、水分をよく拭きとって、中心線に刃を入れます。
今回は腹側を刺身に、背側を煮つけにするので、腹から調理することに。
カレイやヒラメを腹・背で2度たのしむとき、背側が見栄えがよいので煮付けなどにするほうがよいでしょう。
未成熟の卵巣。これは煮つけへ。
続いて、さばいていく。
じょり、じょりじょり。
じょりじょりじょりじょり。
ヒラメやマコガレイの場合をうまくさばくコツですが、一気にさばくのではなく、まず縁に刃先でラインをとり、そこから徐々に骨を感じながら開いていくとよいです。
このように。きれいにサクがとれます。
反対側も同じように。
じょり、じょりじょり。じょりじょりじょりじょり。
じょりじょり。
ということでサクが2つとれました。
身が白い。
やや尾側に血がのこっている箇所があるものの、全体的には血抜き成功というやつでしょう。
すぱ。
エンガワと身を切り離し腹骨をすいておく。
腹骨がついた身はアラ汁につかいます。
じょりじょり。
こちらが皮をはいだエンガワ。
これは絶対うまいやつだ。
肝醤油と和えて軍艦巻きにしたらうまいでしょうなー。
マコガレイの肝の下処理
肝は刺身用の肝醤油にするために日本酒につけて冷蔵庫においておきました。
白濁天。
日本酒を捨てると、
おお。プリン体の女王みたいなのがでてきましたね。
ここに醤油をいれて、木べらでつぶしていくわけですが、これがまーすごい弾力でなかなかつぶれません。
鮮度が良いからなのか、もともと肝自体がハードなのか。
カワハギと比較するとあきらかに固めですね。
つぶしきったら、醤油を合わせて万能ねぎ。
マコガレイの刺身を肝醤油で食べる
こちらがマコガレイの刺し身。
やや薄づくりにしています。
まず、醤油だけで食べてみると。
ああ、うまいよこれ。
淡白な味のなかに旨みがあり、たしかにヒラメに匹敵します。
人によってはヒラメよりうまいというのかもしれません。
このマコガレイの刺し身はヒラメに匹敵する、もしくはヒラメよりうまいという噂を耳にしました。
ヒラメよりうまいのかという点。
これは、食べた時期や個体にもよりますし、人の好みにもよるのでしょう。わたしの味覚センサーでは、それほど差異がうまくわからず。
濃い味になれてしまっているので、塩だけでたべて比較してみるなど訓練が必要な気がしています。
肝醤油につけて、
まいて食べる。
・・・
・・・
・・・
わ。なにこれうまい。
肝醤油によりコクが増しつつ、口中で絶妙なハーモニーを醸し出していますね。
親戚からいただいた大吟醸をかますと、ああ、いいですな。
カレイには日本酒がよく合う。
いつも安酒ですが、たまにはこういうのもよいですね。
続いて、エンガワを。
・・・
ふぁお。
めっちゃうまい。
やはりカレイでも、よく運動するエンガワは旨い部位のようですね。
マコガレイの肝醤油茶漬け
あまった刺身を肝醤油に和えつつ、軽く持った白飯にのせ昆布だしをかける。
すりごまあたりもよく似合います。
ああ、うまいようまいよ。
これはたまりません。
茶漬けというよりは、昆布だしごはんなわけですが、実に美味です。
マコガレイのアラ汁
つづいて、アラ汁。
黄アジの刺身で残ったアラとカレイのアラを霜降り処理してから炊きます。
- アラに熱湯をかけて血合いやヌメリなどを洗い流す
- 冷水でよくこすって洗う
- 鍋に昆布と水+日本酒+みりんor東肥赤酒をはり強火で炊く(蓋はあけておく)
- 沸騰したら昆布を取り出し、中火でアラをさらに炊く
- 出汁が十分に出たタイミングで、火をとめ、味噌を解き入れる。
※炊いたあとのアラをざるで濾してしまうと、骨もなく飲みやすいです。濁りが気になる人は弱火で。強火で蓋をあけたまま加熱するとアルコールと一緒に魚介の臭みもぬけます(と信じています)
出汁がでたら、火を止めて味噌をときいれる。
シンプルながらも味わい深い風味。
カレイの場合、やや臭みがあるもんですが、霜降り処理など工夫をすれば気になりません。
マコガレイの煮付け
ということで腹側を刺身にしてアラ(頭部など)でアラ汁にしたわけですが、背側はどこにいったかと。
ハイこちらです。
すこし冷ました熱湯を全体にかけたあとに流水でながして臭みをとりましょう。
あ、湯の温度が高過ぎて皮が破けました。。。
沸騰させてから1分ぐらい冷ましてからつかうとよいようです。キッチンペーパーで覆って、その上からお湯を流してもよいかも。
飾り包丁を背側に×印にいれると火の通りもよくなり味もしみこみやすくなります。
キッチンペーパーを落し蓋側にして炊きます。
煮汁は
- きび砂糖
- 水あめ
- 醤油
- 東肥赤酒
- 生姜スライス
- 水(で、煮汁を2倍量に薄めます)
※今回はやや甘じょっぱいなと感じる程度の分量にしてあります。好みで自分味を発見してみてください。
はじめ強火で沸騰したら中火以下にして10分。
白髪ねぎを盛り付ける(皮が破れたところを偽装しています)
ふっくらできあがりました。
今回はメバルのあっさり短時間煮同様、10分以内の調理で薄目の煮汁でつくりました。
あっさりしてうまいなという味わいですが、個人的にはカレイはもっと甘辛く濃い目の煮つけにしたほうがよいなと。
マコガレイの刺身はヒラメに勝るとも劣らない旨さ
ということで、マコガレイの刺身や煮付けなどを料理してみましたが、白身の最上級の魚とも呼ばれるヒラメと同等のうまさだなと感じました。
いい魚って、さばく前から身に張りがあって筋肉の盛り上がりが感じられるんですね。いざ、さばくと、身質がよいと包丁を押し返してくるような感覚があります。
そのあたり、今回のマコガレイはよかったなーと。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)