肉と違って魚の種類は多岐にわたっている。
釣り人でも名前がわからなかったり見分けにくい種類もある。
特定のブランド魚であるかないかに関わらず、スーパーや魚屋ではいろいろな背景があり魚の正式名称が伏せられたり間違われたりして流通していることもしばしばだ。
以前、カサゴという名前で売られていたムラソイの話を書いた。
カサゴもムラソイもほぼ味が変わらないとは思う。
でも、やはり自分で食べるものくらいは自分でわかって食べたいものだ。
メバルという名のクロソイが売られていた
今回、ある魚屋を通りかかったところメバルが売られていた。
近海めばる!!
と、あった。
この『近海』という用語をみて、で、どこで獲れたの?と思うのだが、それはいいとして一目でメバルでないのではと思い観察してみた。
すると、魚やの爺さんが「お兄ちゃん、めばるうまいよ!」と声をかけてくれたので、なるたけフレンドリーなトーンで、「おじさん、これ、クロソイっすよね」と若者口調で言ったところ、「そう、ソイ!最近関東でも売られてうまいよーと」と潔いお返事が返ってきたので悪い気もせず、クロソイってあんまり神奈川じゃ釣れないしなー、鍋にも良さそうだと思い買ってきた。3尾で500円なのでリーズナブルでもある。
爺さんから「どうする?はらわたぬいとこうか?」と提案を受けたものの、釣り人たるもの、ハラワタをぬくあたりからやりたいし、胃袋と肝臓あたりも食べたいなと思い、「だいじょぶっす」と若者気取りで返しておいた。35歳である。
クロソイをさばく
一旦自宅に帰って、魚を冷蔵庫にいれ、外で人と会って帰ったのが5時間後ぐらいだろうか。
クロソイと断定しているが、ソイやメバルの仲間は、マゾイであったり色々ややこしい。同じ名称に統合されてもあきらかに違う種類じゃないかという見た目のものもいる。
クロソイの場合、マゾイよりこの涙骨という目の下の骨がギザギザしている。
あ、ギザギザしているね。クロソイだね。たぶん。
比較的容易に剥がれる鱗を落とし、腹を開いてきれいにする。魚をさばくのも慣れてきたものだ。
鍋にするにしろ、塩をふってドリップといっしょに臭みをぬいておく。
カサゴやソイ類の頭部からはいいダシが出るので、調理ばさみで割っておこう。
身を三枚におろしたあとの中骨も調理ばさみで切れ込みをいれておくと短時間でダシが出やすい。
胃袋は調理ばさみで切れ目をいれ胃液を洗い流しておく。肝臓は血を洗い流す。
この両者を日本酒につけておこう。
刺身ように皮を引く。以前オピネルのフィレナイフでやっていたこの工程も、柳葉包丁を使ったほうがラクだなと思うようになってきた。
刺身はスダチと塩で食べてみた。ああ、旨いよ。熱燗によく合うよこれは。
半身は皮をバーナーで炙って食べてみる。ああ、どちらかというと皮目があったほうが旨いなクロソイってやつは。
雑多な鍋用野菜とクロソイのアラを炊いてだしをとって鍋にした。
実にいいダシがでる。
身はどうだろうか。
紅葉おろしと長ネギと食べてみる。ああうまい。小型のタラのような味だ。
鍋が似合う季節がやってきたんだなー。
炙ったクロソイの刺身をしゃぶしゃぶにしてみる。こいつは旨いや。上等上等。
ノーマル刺身もしゃぶしゃぶにしてみる。うまうま。
肝臓はどうだろうか。うん。癖がなくコクがあってうまい。爺さんにワタをぬいてもらわなくてよかった。ワタをぬいてもらって胃袋と肝臓だけくださいとか言いにくいしな。
あ、でもあそこの魚屋に通ってるマダムが、爺さんに、「内臓と骨をぜんぶもらえるかしら?犬のエサにするので」といっていたことがあったな。魚好きの犬かなのかな。
そして、胃袋。
わわわ。珍味だな。癖がない牛の上ミノといったところだろうか。これは捨ててはいけない部位だな。
まとめ
こうしてメバルという名で売られていたクロソイの恥辱をそそぐことができた。
クロソイはうまいのだ。
ということで全国の魚屋さんにおいては、あまり一般消費者にしられていない魚でも正式名称で売っていただき、店頭POPや売り子の食べ方説明などで補足いただきたいものだ。
それにしても魚の種類ってわかりづらいよね。