JR逗子駅前には、魚佐次という三浦半島界隈でとれる魚を漁港直で仕入れている魚屋さんがあります。築地を通すわけでもないので、これがまた新鮮なのです。
ちょっくら駅に向かう途中に店先をのぞいてみると、季節や天候等によって入荷されているものが異なっているので飽きず、これがもうおもしろい。
この日も、ちらっとのぞいてみたところ、近海産のワタリガニが。
なかなかサイズもよくうまそーだなー。小サイズで380円、大サイズで600円ほど。
都内のスーパーで国産ワタリガニの大型をみたことがあるのですが、活きではない状態でたしか980円ほど。
比べるとやすいもんですねー。
蟹や海老は死後の自己消化が早めなので、活き以外は価格がかなり落ちるようです。
この蟹を買おうかとおもったのですが、
あ、
ふつーにとりにいけばいいじゃん。と思い、その夜、三浦半島某所に向かうことに。
こういったのを古来より地の利というのかもしれませんね。
深夜の三浦半島某堤防でワタリガニをとる!
場所は前回ワタリガニ(ノーマルガザミ)を捕獲したところと同様です。
潮位をみて時間調整しつつ干潮にきたものの、どうやらうねりがあるようで海底の砂が巻き上げられ、ヘッドライトをつけてもなかなかワタリガニを発見できないという悪条件。
ここで改めて、読者のみなさんにたも網をつかった深夜のワタリガニ獲りノウハウをおさらいしますと、最適な状況は以下の通り。
-
- たも網が海底までとどく水深であること
- 干潮、かつ潮位が低い
- うねりや波がなく海底の砂がまっていない
- 濁りがない
つまり視認性がたかく、網がしっかり海底にとどく状態ということですね。
ワタリガニの場合、比較的護岸や岩に張り付いているイシガニとことなり、砂地の上を蟹移動していることが多い気がします。
まだわたしはみたことがないものの、産卵期の満月の夜はパタパタ泳いでいるそうです。
ということで、こりゃ条件も悪いし、帰ろうかなーとおもったところ、
「ライトを2本にして視認性を高めるべし!」
という声が脳内で聞こえまして、
手持ちのLEDライトとヘッドライトを融合させ、光軸を一つにして海底を探ってみると。
み、見えるぞ!私にも見える!
濁りの入った海底がやっと確認できました。
そこで、護岸沿いの砂地をチェックしていくと。
む!なんだか青と白の幅広系の蟹が!
タイワンガザミ!?
とりゃー!タモ網アターック!
よっしゃー。タイワンガザミでした。なんだかんだで初めてとったなー。
このあと、目を凝らして砂地をさぐっていって、もう1杯。
カニ獲り奥義、秘技つばめ返し!
ほかにもタイワンガザミを2杯ほど逃し、今日はタイワンガザミの夜なのかなと思いきや、
大型のイシガニが登場。
タモ網アターック!
よし、なんなくゲット。
ん?
そこにいるのはノーマルワタリガニ?
かえす刀で、
秘技つばめ返し!!!
というかんじで、なんと1網でイシガニとタイワンガザミ(メス)の2杯をゲットです。
タイワンガザミは腹子がはいって食べごろのメス。
サイズは、この通り。
この後もオスのタイワンガザミと、大型のイシガニをゲットし、帰ることに。
撃墜した戦果(カニ)の確認
帰宅したあと、風呂場に蟹を並べてみます。右端が、タイワンガザミオス3杯、真ん中がタイワンガザミメス、左端がイシガニ。
タイワンガザミの顔はこちら。ちょっと性格が悪そうです。なんとなく麻生太郎さんに似ている気がしなくもない(わたしは麻生さん好きです)
つづいてタイワンガザミメス。尻蓋が幅広い。
タイワンガザミメスの顔はこちら。メスだからなのか、こころなしか可愛い顔つきのような気がしなくもない。
念のため比べてみましょう。
うーむ、変わんないかも。。。
つづいてガザミ界の重装歩兵ことイシガニ。
なんというか、ファイアーエムブレムで例えるならアーマーナイトかと。機動力は低いのですが、その装甲と両爪から繰り出される必殺の1撃は、手軽な磯遊びにおいても、けっこうやばいレベルです。
ということで、夏休みに子供ちゃんとたのしく蟹取をしようと思っているかたは、ぜひトングを活用ください。軍手をしたぐらいだとハサミでやられて泣きをみますよ。
このイシガニ2匹もオス。
タイワンガザミ(ワタリガニ)を料理する
さ、ここからはタイワンガザミ料理をすすめていきます。
前回のガザミは、ケジャンにしましたね。
ケジャンには辛み味噌ベースの、ヤンニョム・ケジャンと、醤油ベースのカンジャン・ケジャンがあります。
そういえば、そのむかし大学1年生のころ焼肉店でアルバイトをしていた時代からヤンニョム・ケジャンは食べたことがあったのですが、大久保や赤坂の朝鮮料理屋でみるカンジャン・ケジャンは食べたことがなかったんですよね。
しかも、あれも赤坂で食べようとしたら1人前2500円とかして、なにごとかと。
じゃあ、You、自分でつくってしまえばいいじゃない?
ということで挑戦です。
レシピはオリジナルなので、スタンダードなものを知りたい方は他のサイトをチェックしておきましょう。
①冷凍術→からの解凍術
まずワタリガニは生でも食べられるという説もありますが、わたしは、石橋は素材から自分でチェックしてから渡る派に所属しておりまして、念のため1日冷凍します。
まー1日冷凍するだけでは、それほど風味や触感も劣化しないだろうという予測。
解凍は、流水ではなく室温で解凍しました。だいたい2時間ぐらいあればよいですよ(6月末のこと)
②尻蓋をとって洗う
尻蓋あたりは褐色の汚れがついているのでこれはすべて洗い流しましょう。魚介調理専用のブラシがあると便利です。
※魚介調理専用のブラシ=固めのナイロンブラシで、魚の血合いなどもこすりとれるもの。こんなのです。使いかけの固めの歯ブラシを漂白剤で消毒してつかってもよいですよ。
③尻蓋をとってエラ(ガニ)をとりのぞく
いわゆる、蟹はくってもガニ食うな、のあれです。この部位はたべてもおいしくないですし、海の汚れをすっている、車やバイクであればエアフィルターみたいなもんなので、しっかり取り除きましょう。指で簡単にとれます。
もし進撃の巨人がグルメであれば、事前に人間の肺を取り除いてたべるのではないかと思います。とくに喫煙をする人に肺をふくめてがりがり食べたらまずくて吐き出すかもしれませんね。
④砂袋(じゃりじゃりしたもの)を取り除いて四等分にする
口元に砂袋があるのでそれを取り除き、調理ばさみで脚を4等分します。
また、爪や脚はそれぞれお真ん中あたりに切り込みをいれておきましょう。漬けダレが良く染みますよ。
アーマーナイトじみたイシガニ氏と異なり、タイワンガザミとガザミは防御力が高くないので、すんなり切れるはず。
⑤秘伝の漬けダレをつくる
まー秘伝といいましても、冷蔵庫やそのあたりにあるものを使っただけなのですが、『秘伝』といっておけばなんとなくうまく聞こえるのが不思議ですね。『漁師風』『シェフの気まぐれ』と同様です。
まず使う野菜類は、ショウガ、ニンニクをそれぞれスライス、その他、長ネギ、玉ねぎ、にんじん、ナス(タレを吸い込み意外とうまい)、プチトマト(たまたまあったので)、ピーマン、青唐辛子(の代わりに乾燥島唐辛子が登板)
続いて、タレにつかった調味料は、しょうゆ、みりん、日本酒、白コショウ、ナンプラー(生臭さをおさえコクを増す)、レモン汁、ごま油、フライドオニオン、フライドガーリック、といった具合です。
朝鮮料理の場合、焼肉のタレやキムチをつけるときも、果実をつかうのですが、今回は用意がなかったので利用せず。
代表的な果実は、梨、ミカンやオレンジ、リンゴです。これらをつかうとみりんだけのコクよりさらに深みがでて、素材の臭みなどもおさえることができますよ。
⑥秘伝の漬けダレに蟹を漬けこむ
そのタレに蟹を漬け込みます。タレの量が足りない場合は、容れ物を傾けたり、おたまで蟹全体にかかるようにするとよいですよ。
今回は大きめのタッパーがないので、鍋で漬け込みました。
ちなみにジップロックをつかうとカニのとげとげで余裕で穴があくので注意です。
漬け込み時間は、冷蔵庫で1日寝かせるとよいかと思うのですが、まーすぐに和えてたべてもまったく問題なく味がしみこんでいます。お時間がある方は冷蔵庫ので寝かせましょう。
カンジャン・ケジャン実食
炊き立ての白飯にのっけてっと…
う、うめー。
おいしいでもなく、うまい、でもなく、
おもわず、
うめー。
と、口走ってしまう味です。
なんだこれは!飯をかき込む動作が止まらないぞ!飯かきこみ自動システムかよ!ぬおーだれかとめてくれ!
というようなご飯泥棒具合です。
このタイワンガザミは腹子もあるので、まろやかかつ甘みのある味。
むむ。殻に卵が。
これは、韓国あたりでもやるようなのですが、ご飯を入れてかき混ぜて食べるとよいですよ。
つづいて、翌日のこと。
冷蔵庫でねかせたオスのタイワンガザミを食べてみました。
メスのガザミと比べて腹子のまろやかなコクがないのは当然なものの、身は甘く、ガザミと同等レベルのうまさでした。
まとめ
前回、ヤンニョム・ケジャンをつくり、今回はカンジャン・ケジャンを作ってみました。比較するとまーどちらも旨すぎるというやつなのですが、カンジャン・ケジャンのほうが味がシンプルなので量は食べられるなーと思いました。
ポイントさえ見つければ、ワタリガニもかんたんにとれるこの季節、たも網、蟹網等でねらってみてはどうでしょうか。
ではでは。
ヤンニョム・ケジャンを作った話はこちら
イシガニの行方はこちら
ガザミ類の取り方はこちら