ヒラメといえば味の旬は冬場ですが、水温が安定してくる初夏以降は、数釣りができる可能性がある時期でもあります。
今回は釣り船や手漕ぎボートで広範囲にヒラメを狙う際のコツをご紹介します。
ヒラメについて
最大1m、6キロ以上にも成長するヒラメ。
大型は座布団に例えられてザブトンヒラメとも呼ばれます。人によってことなりますが、全長30㎝・1キロ以下の個体は、ソゲと呼ばれリリース対象になることもしばしばです。
ヒラメ釣りのシーズン
食味のベストシーズンは身が厚くなり脂がのっている冬季で、厳寒期につれるヒラメは寒ビラメとも呼ばれ、市場でも高値で流通します。
食味ではなく、まずは一匹釣りたい場合は、初夏から夏場の高水温期を狙うとよいでしょう。産卵後のやせた個体も残りますが、産卵から1、2か月して身が戻ってきている個体(アラ食いをする期間)も混じります。
手漕ぎボートのヒラメ 釣りをオススメする理由(コスパがいい)
ヒラメ釣りというと、専門の釣り船か、ショアからルアーで釣るのが一般的です。
ここで手漕ぎボートをオススメ理由は、自分の意志で広く探れ、低コストで狙えるという点です。
遊漁船では、一回の釣行コストが船代10,000円前後で、釣り座による勝利要素も大きく、船宿の釣果をみても、ボウズが頻発する釣りです。
ショアからの釣りの場合、そもそも釣り場まで遠かったり、人気でエリアかつ朝まずめ等のベストな時間帯は5から10メートルおきにルアーマンが並び、ハードなコンディションであることは間違いありません。
ボート釣りの場合は一回の釣行コストがボート代MAX4,900円程度(二人で割勘にして約2,500)ですし、餌のイワシや、シロギス等は現地調達も可能です。
サビキやチョイ投げを組み合わせつつ釣ればボウズはないので、釣果においてはリスクがすくない釣りと言えるでしょう。
ヒラメ釣りのポイント
ヒラメは、主に5mから50m程度の砂地や岩礁帯に生息しています。100m以深でも釣れますが、春から初夏のシーズンは産卵や水温上昇にともなって沿岸部(水深20mより浅いエリア)に集まってきます。
このため、高水温期は手漕ぎボートで狙うことも可能です。
ヒラメの捕食と狙うタナについて
ヒラメというと、忍者のように砂地に隠れて頭上にきた小魚を捕食するイメージですが、岩礁帯に張り付いていることも多く、今日では動画などでその生態がよく知られています。
一方、積極的に餌を追っている個体は、イワシや小サバ、カマスなどの群れしたを積極的に追いかけ、ときに喰いあげています。
大型の個体ほど体力があるため、底付近から数メートル舞い上がり捕食することも知られています。
こういった生態に対して、狙うタナも、底べったりではなく、1mから5mほどと活性によって狙い分けていくことで釣果を伸ばすことができます。
底付近にドチザメやネコザメなどがいてバイトが集中する際は、あえて、タナを底から5m離すことが効果的です。
また、岩礁帯や漁礁付近の変化を狙う際も、底べったりの置き竿では、根がかりしやすいため、海底から離して手持ちでしっかり誘うとよいでしょう。
夏季はイワシの生け簀がヒラメを寄せる
三浦半島の手漕ぎボートエリアの場合、三浦海岸(金田湾)や葉山沖・佐島小田和湾などに、カタクチイワシの生け簀が設置されます。(参考:カツオ船への餌イワシ積込)
生け簀で囲われたイワシは、カツオ釣り等の漁業の活餌として利用されるのですが、生け簀内のイワシの鱗が落ちたり、弱った個体が海底に落ちる仕様で、そのニオイや音によりヒラメやマゴチが寄ってきます。
このイワシの生け簀は、年によって設置数が変動します。また、イワシがたくさん入ってる生け簀には、カモメ・トンビ等がよくとまっています。チェックしておきましょう。
イワシの畜養生け簀周りでヒラメを狙うときの注意
この畜養生け簀は、1本のロープで固定されていて、風向きや潮の流れによって360°回転する仕組みです。
生け簀付近で釣りをするときは、このロープと、固定されている角度と距離をよく把握して、アンカーをうって釣りをします。
ボートで狙うときは、ロープで生け簀自体に固定することは絶対にせず、漁業者が作業をしているときは近寄らないようにしましょう。
ボート釣りでのヒラメタックルはライトタックルがオススメ
遊漁船でのヒラメ釣りは、水深がやや深く、釣り客同士のオマツリをさけるという意味もあり、オモリの号数が50号以上ということもしばしばです。
一方手漕ぎボートであれば、必然的に水深も浅く、オマツリもないため、オモリは軽めで問題ありません。
20号~30号程度の軽めのオモリを中心に使用し、ロッドについてもこれらに対応しているものを用意しましょう。
軽めのオモリかつ、胴調子気味のロッドの場合、平目がバイトしたときの違和感も少なく、食い込みもよいと言えます。
好みですが、オモリ固定ではなく誘導式の仕掛けをつかうのもよいでしょう。
<推奨タックルイメージ>
- ロッド:7:3or6:4調子のライトゲームロッド
- リール:小型両軸リール
- 道糸:PE1から2号
- ハリス:5号標準。根が荒いところは8号以上をチョイスすることも
- 仕掛け:胴付きが基本。ハリスは1m~2mぐらいが操作しやすい
ボート釣りで、調達したいヒラメのエサ
手漕ぎボートでヒラメを狙うときにオススメのエサは以下の通りです。
<生命力が強い=よく泳ぐ>
- ギンパク(ウグイの幼魚)
- 小サバ(マサバ・ゴマサバの幼魚)
- 小あじ
- カマス(ルアーで釣る。群れがいるいないの差が大きい)
<生命力が弱い>
- イワシ(ウルメイワシ・カタクチイワシ)
- シロギス
※シロギスも上あごへのチョンがけであれば弱りにくいです。全体的に背がけは餌が弱りやすいですが針がかりはよいと覚えておきましょう。
このうち、ギンパクことウグイの幼魚は、釣餌として販売もされているので、安定して確保しやすい餌です。イワシに比べて、生命力が強く長く泳ぐ餌です。シーズンによって調達できないこともあります。釣り場付近で購入予定の場合は、あらかじめ店舗に在庫有無を問い合わせておきましょう。
その他のエサは、サビキやルアー釣り、ちょい投げで現地調達します。
ウルメイワシは、釣れた傍から弱っていくため、あまり餌には向いていません。メゴチはマゴチには有効ですが、平目の食いは劣ります。
海域やシーズンによって、調達予定のエサがとれないと、イメージしていた泳がせ釣りができないので、ボート店を予約するときに釣れている餌を確認しておく必要があります。
餌のつけ方
孫針があれば獲れたのだろうか。孫針がないからバイトがあったのだろうか。と悩む瞬間
餌は、イワシの場合は鼻がけや、下あごと上あごを針がけする方法があります。
ヒラメ釣りの場合、トレブルフックやシングルフックの孫針をつけることも多いですが、ヒラメはこれらの異物を見切ることもあり、エサがなかなか食われないときに、シングルフックの1本がけにするとバイトが出ることもあります。
孫針を使わないことにより、エサが弱りにくいという理由もあるのでしょう。
風と潮を読む!流し釣りを屈指しよう
活性の高いヒラメはベイトとなる餌を追い回しています。
一方、待ち伏せ型で移動を頻繁にしていない個体もいます。
こうした砂底や岩礁帯際でじっとしているヒラメを効率的に釣り上げるためには、アンカーを利用した1か所での釣りではなく、ノーアンカーでの流し釣りが効果的です。
流し釣りは、風と潮によってボートを流しながら広くポイントを釣る釣りですが、流れるスピードが速すぎるとヒラメがバイトする隙をつくることができません。
パラシュートアンカーと受太郎などのロッドキーパーを併用して釣るとよいでしょう。
裏技!?ノーアンカーで風上・潮上に漕ぎあがる
パラシュートアンカーがなく、ある程度の流れがある場合、潮上や風上に向かって漕ぎあがっていくと、船の移動が適度にゆっくりになりヒラメのバイトを誘うことができます。
特に流されてから、漕ぎあがる瞬間は、餌となる魚が絶妙なアクションをするようで、バイトが集中します。気を抜かないように竿先を注視しておきましょう。
アンカーをしない釣りの場合、知らない間にかなりの距離を流されていることがあるため、常に自分の位置と流されている距離を確認しながら釣りをしましょう。風が強く潮が速い場合は、流し釣りはあきらめたほうが無難です。
ヒラメのアワセは40秒なのか?
ヒラメの釣りは、平目40といって、アタリがあってから40秒待つというのが一般的です。
これはあくまでも基準で、エサの種類やサイズ・針のつけ方、活性等によって変わってきます。
ボート釣りで流し釣りや風上等に漕ぎあがっている場合で、胴調子気味の竿を使っている場合は、ボートの移動により自動的にアワセが決まり、意図的に合わせなくても釣れることもしばしばです。
基本は守りつつも、セオリーを妄信するせず、状況に応じた合わせを意識していくとよいでしょう。
ボートヒラメ釣りのゲスト
これぐらいのアカエイが来ると、ライトタックルでは巻けません。
ボートで狙うヒラメ釣りの場合、以下のようなゲストが釣れることもあります。
- マゴチ
- ワニゴチ
- アカエイ
- ウミヘビ類
- イナダ、ワラサ類
アカエイやウミヘビ類は、特にアンカーをして置き竿にしているときにかかりやすい魚です。
アカエイの尾の付け根には毒棘があり、刺されると危険です。
ボートでアカエイを引き揚げるのは困難でもあるので、なれないうちはハリス部分をカットするなどで対応しましょう。