冬から春にむけて、対象魚が少なくなるおかっぱりの釣りの人気ターゲットでもあるメバル。
ルアーで狙う『メバリング』というジャンルも確立され、釣り人も増えてきています。
そんなメバルですが、長く釣り船の対象魚としても人気です。
今回は、船で狙うメバル釣りの釣り方やノウハウについて解説します。
船で狙うメバル釣りのシーズンについて
東京湾でのメバル釣りは2月1日に開幕し、例年釣果によって6月ぐらいまで続きます。
寒い時期は大型の個体が狙え、その後数狙いが主流になってきます。
メバルは3種類いる?
メバルは従来1種類とされてきましたが、2008年に、クロメバル、シロメバル、アカメバルの三種類に分類され、以降ではその考え方が一般的になってきています。
シロメバル
クロメバル
アカメバル
東京湾で釣れるメバルは岸でも沖でも、シロメバルが多いと言われています。
船メバルは、釣り初心者にもオススメ
釣り船で狙うメバルのポイントは東京湾内の近場であることが多く、波風が比較的すくないため船釣り初経験の方にもオススメです。
<釣り初心者にオススメのポイント>
- 狙うタナが底上と決まっていて狙いやすい
- 丁寧に落とし込み、丁寧に誘う以外に、複雑なアクションが不要
- 道具や錘が軽量かつ激しいシャクリがないので、疲れない
- コマセを使わないので汚れにくい
- 虫エサを使わないので、イソメなどが苦手な人も安心して釣れる
- むこうアワセの釣りなので柔らかめの竿であれば勝手に釣れる
こうした要素から、船釣り初心者でも比較的簡単に釣果を上げることができるでしょう。
船メバルには日中と半夜釣りがある
船で狙うメバル釣りには、日中の釣りと夕方から夜に釣る半夜釣りがあります。
もともとメバルは夜行性ですが、日中も活きエビをつかえば狙って釣ることができるということがわかり、日中の釣りも盛んになりました。
日中のメバル釣りでは夜釣りと比べて比較的細いハリスを利用し(ときに1号以下)、曇っている日や凪の日にアタリがでやすいと言われています。
なぜ曇りの日かというと、メバルは視覚がすぐれているため、仕掛けを見破られにくいためです。
凪の日を狙うという点については諸説ありますが、そもそも海が荒れているとメバルが食餌活動しにくいという点と、船の上下により仕掛けが暴れやすく、繊細なメバルが警戒して食わないという意見もあるようです。
船で狙う夜釣りについてはアナゴ釣り同様、避暑も兼ねて根強いファンがいますが、エサはアオイソメを使うのが一般的です。
船メバルに適したロッド
この釣りをやってみるとわかるのですが、一般的なライトタックルでも十分成立します。
ライトタックルの汎用竿の場合、投入後の仕掛けの操作はやりやすいというメリットがあります。
一方、釣果を伸ばすという点と釣趣を向上させるためには、以下の観点から3メートル程度の胴調子竿が最適です。
- 市販されている船メバル仕掛けが2.4m程度(サビキの場合は4m超)のため、短竿では扱いづらい
- 胴調子の竿はアタリを弾きにくく、かかった後に口切れを軽減でき、追い食いで一荷釣りをしやすい
いくつか船メバルに適したロッドを紹介しておきます。
リールについては、浅場ということもあり、LTタックル用の軽めのリールで1号程度のPEラインが100m以上巻かれていれば成立します。
船メバルの仕掛け
釣り鈎とハリス
エビやイソメを付けて釣る胴付き仕掛けと、サビキ釣りの2種類に分かれます。
日中の釣りの場合はハリス1号前後がメインです。
多くの船宿仕掛けの場合、胴付きの最下部の針が底上20cmに設定されています。
市販品の場合、最下部の針が底上40cmであることが一般的なようです。
活性が低い状態ほど、メバルは底付近で釣れるので、船宿仕掛けが有効と覚えておくとよいでしょう。
市販品では、ハヤブサの船極メバルが糸ヨレがすくなく、最下部の針も底上20cmにつくられているのでオススメです。
錘
錘は浅場メインの釣りということもあり、25号前後を利用するのが一般的です。
オマツリをさけるために具体的には船宿ごとのルールを守りましょう。
カワハギなどと異なり、メバルのオモリは黒く塗りつぶし目立ちにくくしたアイテムも人気です。
市販のものもありますが、一般的なオモリを油性マジックで塗りつぶすのもよいでしょう。
実際のところ、錘の色が釣果にどれだけ関わるかは不明ですが、できるところはやっておくと、実釣のときに集中力を切らさずにいられるのかもしれません。
船メバルのエサと取り扱いの注意点
エサは淡水エビ
船メバルのエサは淡水のモエビ(スジエビ・テナガエビの子供が混合している)が使われています。
船宿にもよりますが、基本的にこのエビは船賃込みで、自由に補充しながら利用できます。
エサの活きを保つ
注意点としては、あまり多くのメバルをバケツにいれておくと酸欠で弱ってしまうので、使うだけ手元においておくとよいでしょう。
陽ざしが強くなる5月、6月については、バケツの水を補充するためにペットボトルの水を持参したり、バケツをタオルで覆う補法などが効果的です。
エサのつけ方
バケツからエビをすくい、尾羽をハサミで切り、きった場所から針先をいれ、中心がずれないようにし背側の第一関節までに抜くのが基本です。
注意点は、以下の通り。
- エビをバケツからとるときは、ソフトタッチで
- 爪で尾羽をきると、肉ももげてしまう可能性もあるので小型のハサミを使いましょう
- あまり深く刺すとエビがすぐに弱ってしまいます
エビの替え時
この釣りでは、エビの活きが悪くなると極端にアタリが遠のきます。
身が白くなったり、明らかに活きが悪くなっている場合は、粘らずエビをつけ変えたほうがよいです。
自分のなかで、〇回流したら餌をつけ変えるなど、ルール化しておくのもよいでしょう。
このように、アタリがないときはアカクラゲの触手が絡んでいることもあります。
こうなるとアタリが全くでないので超注意です!
船メバルの釣り方
ポイント到着前に仕掛けはセット!
多くのメバル釣りのポイントへは、出航後短時間で到着します。
この釣りはコマセで魚を寄せる釣りではないので、「先んずればすなわち人を制す」釣りです。到着次第、仕掛けをおとせるように、あらかじめ仕掛けを準備しておきましょう。
このとき、指に湿らせてから仕掛けを軽くひっぱり糸ヨレをとっておくと、手前マツリ(自分で自分とオマツリする)が軽減できます。
船長のアナウンスを聞く(棚はだいたい底上)
ポイントに到着したら船長のアナウンスをよく聞いておきましょう。
とくに水深の把握は重要です。
仕掛けは底上3メートルからゆっくり落とす
「水深30mでーす」
というアナウンスがあった場合、軽くリールのスプールをサミングしながら仕掛けを落とします。
その後、27m時点で一旦しかけをとめ、そこからはゆっくりゆっくり3メートル仕掛けを落としましょう。
錘をいきなり、ゴツンと、着底させると、付近にいるメバルの警戒心が高まってしまうというのが定説です。
着底後、ゼロテンション(負荷をかけない状態)でステイ
海底に錘を置くようにし、その後は、竿先を張らず緩めずの状態にして、竿を上下せず一旦待ちましょう。
1分ほどまってからアタリが出ない場合は、その状態からゆっくりリールを巻き上げてみるとアタリが出る可能性もあります。
また、しばらくしてアタリがでない場合は、2メートルほど巻き上げ再度ゆっくり落とすと、着底する場所が変わるため違う根上を探ることができます。
アタリがあったら放置
敏感な竿の場合、メバルが接近し、エビの逃げるときの様が手元でわかります。
が、多くの場合は穂先にアタリがでます。
メバル用の針は細軸で鋭いため、アタリがあった場合、強く合わせなくても向こうアワセでかかります。
かかったメバルのサイズによっては追い食いを狙う
メバルは根上にタテに長く群れていることが多い魚です。
竿先から胴にむけて魚の重さがのったら、ゆっくり巻き上げると、近くにいるメバルの追い食いが狙えます。
一方、かかった個体が良型の場合は、追い食いを待つと口切れする可能性もあるので1尾ずつ大切にキャッチしていきましょう。
仕掛けの回収時はゆっくり
モエビをまっすぐに針付けした場合でも、勢いよくリールを巻いて仕掛けをあげるとハリスがヨレやすくなります。
ハリスがよれてくると、エサの動きが不自然になりますし、仕掛け同士が絡む原因にもなるので注意しておきましょう。
取り込み時の注意
無事メバルを釣って海面までもってきたら、サイズをチェックしましょう。
メバル釣りに使われる針は細軸のため、型によっては取り込み時に折れる可能性があります。
良型の場合は迷わずタモ入れしましょう。
また多点がけの場合は、基本的に錘ごと船内に取り込んでしまってから取り外すようにするとよいです。
さらに釣果伸ばす方法!
筆者はメバル釣りの達人でもなんでもないのですが、人一倍釣果を上げている人には以下のような特徴があります。
ミヨシ(船前方)側に釣り座を確保する
多くの場合、ポイントに一番早く入るのはミヨシ側です。
メバルやカサゴなどの根魚の場合、大型の個体ほど潮先で餌をとらえやすいところに位置していることが多いと言われています。
この釣りでもっとも人気の釣り座はミヨシ側です。
胴の間に釣り座を確保する
これは海の荒れ具合にもよるのですが、有利であったミヨシは、波による上下運動の影響を一番受けやすいポイントです。
柔らかい竿で、波の影響を吸収するという方法もありますが、固めの竿の場合、海底に錘を置いているつもりでも、意外と仕掛けが激しく上下してしまっていて、結果的にメバルが警戒心をもってバイトしないかもしれません。
その点、操舵室の横(胴の間)は船で最も揺れにくい場所であるため、初心者でも船酔いを気にせず釣りをしやすい釣り座です。
船長のアドバイスも受けやすいのでオススメです。
胴調子の長竿でサビキ仕掛けを利用
日によって、活きエビが優勢のときもありますが、活性が高いときは針数が多く、餌付け時間のロスがすくないサビキ仕掛けが有利です。
常連ほど、胴調子の長竿でサビキを手返しよく扱っていることが見受けられます。
キャストする
不幸にも釣り座に恵まれなかった場合は、攻める場所を変えるという方法もあります。
下手投げで、すこし先になげて手前にゆっくり探ってくるとアタリが出る場合もあります。
この釣りの場合、根がかりも増えてくるので諸刃の剣ではあります。
エビ餌を頻繁につけかえる
活きエビは活きているから釣れるということを覚えておきましょう。
釣れないからといって、粘るとさらに釣れなくなるので、5分に1回仕掛けをチェックするなどマイルールを決めておきましょう。
メバル釣りで釣れてくるゲスト
カサゴ
根上を釣るということもあり、カサゴが釣れます。メバルと同じような調理ができるので積極的に持ち帰りましょう。
イシモチ
他に、砂地が絡んでいるときはイシモチが混ざることもあります。おいしい魚なので、しっかり血抜きをして持ち帰ってもよいでしょう。
スズキ
ポイントによってはフッコサイズ(~60cm)のスズキがヒットすることもあるので、ドラグ調整もしっかりしておいたほうがよいでしょう。
メバルの仕掛けがハリス1号程度なので、オマツリを避けつつ釣り上げるのは至難の業です。
ベラ・トラギス
船釣りのおなじみゲスト、ベラやトラギスもよく釣れる魚です。
サイズによっては、持ち帰って調理してもよいでしょう。処理がめんどうな場合は唐揚げにするのがオススメです。
釣れたメバルの処理
メバルは群れで根上にいるため、基本的に釣れたらバケツに泳がせ、釣ることに集中しましょう。
アタリが遠のいたり、船の移動時に、メバルの片エラを調理ばさみでカットしてバケツに泳がせておくと血抜きが完了します。
血抜きをした個体は、いつまでも海水に入れ続けず、適宜クーラーボックス(海水+氷=潮氷)にしまって冷やしておきましょう。
メバルは棘に微毒があるといわれていて、刺されるとハオコゼやオニカサゴほどではないですが、じんわりと痛みます。雑巾等で魚体をつかむか、フィッシュグリップを用意しておくとよいでしょう。
メバル料理
メバルは湾奥の工業地帯でも釣れますが、場所によっては油臭さ・化学臭のようなものを感じることもあります。
一方、船で釣れるメバルは沿岸部で釣れるものと比較してクセがない個体が多いのが特徴です。
メバルの煮物
繊細なメバルの風味を損なわないように、薄目の煮汁で10分程度で調理を完了させる方法がオススメです。
メバルの刺身・カルパッチョ
あらかじめ血抜きをしておくと、よりクセのない刺身を味わうことができます。
刺身は当日味わうよりは、下処理後、2日ほど寝かせたほうが旨みが増します。
メバルの唐揚げ
ヒレをつけたまま、下味を薄目にしたメバルを唐揚げにし、もみじおろしとポン酢をつけて食べると、とってもおいしいですよ。
メバルのアラ汁・韓国風チゲ
刺身などの調理で余ったアラからはよいだしがでるので、アラ汁やチゲにしてもよいでしょう。