ORETSURIをご覧のみなさん、こんにちは。サラリーマン・アングラーの釣人割烹です。
ペンネームの通り、釣りのほかに割烹(料理)もやっておりますので、先日一つテンヤマダイ釣行の記事のその後を報告いたします。
我が家のウロコ取りは庭の水道で
なにしろ、釣行から帰宅した直後は疲れているわけです。寄る年波もあるし。それでも、帰りついて車を降りたら、庭の水道で竿とリール、仕掛け、雨合羽の洗浄をします。これは必須。というかクセ付いているので、やらないと気持ちが悪い。
そのあと魚の処理にかかります。今回はマダイ11枚(2枚は釣友におすそわけ)、ハナダイ1枚、ホウボウ1尾で、ウロコ取りが大変です。家の中でやると、飛び散って怒られるので、これも庭の水道でやってしまいます。
処理を終えた魚をクーラーボックスに戻し、かついで「ただいま~」と家に上がります。ひとっ風呂浴びたあと、台所を片付けて、さばいていきます。
パッパといきましょう。1.2kgのマダイの大物はのちに姿造りにするので、尾頭つきでエラと内臓をとったあとキッチンペーパーを腹に詰め、ペーパーとラップで簀巻きにして熟成させます。
冷蔵庫にいれるとかさばるため、封を切らないロックアイスを底に入れたクーラーボックスで保管します。保冷力の高いダイワ製だし、冬なので氷は1日以上もちます。
中型(ハナダイ含む)の6枚はすべてカブトとカマを落として内蔵を抜き、このうち2枚を下ろして「さく」を取る。その一部を刺身、ポワレとして晩飯に出します。あとは熟成。小型の5枚は雀開きにして塩を振り、網に入れて干物にします。
ホウボウは三枚下ろしにして、皮付きで熟成へ。以上が処理、調理の方針です。
①マダイの「潮汁」はコラーゲンたっぷり
中型をさばいたあとの「アラ」(カブト、カマ、骨)で、潮汁(うしおじる)を作ります。シンプルなお吸い物ですが、これほど美味しいものはない。しかも、これがのちに鯛めしのダシとなるのです。
わが家の作り方は以下の通り。簡単です。
- あらに沸騰した湯をかけ流して臭みを取り、塩を適量振り、しばらく置く
- 鍋に水を張り、日本酒をたっぷり加え、だし昆布とあらを入れて火にかける
- 沸騰する直前にだし昆布を取り出す
- そのまま煮込み、浮いてきた「あく」をひたすらすくう。これをどこまでやるかが味を決める
- あく抜きが終わったら火を止め、日本酒を少量加える
- 味見をし、塩を加えて味をととのえる
マダイのアラと昆布、塩だけで作る潮汁。美味でコラーゲンたっぷり
ひとかけらのあらと汁を椀に入れ、お好みで小ネギなどの薬味を加え、できあがり。
以上で、釣行当日の処理と調理は終わりです。
②天然マダイでつくる「鯛めし」は簡単で絶品
翌日は鯛めしを作りました。わが家は米4合をガスコンロで鍋炊きしますが、ふつうの炊飯器でもできます。調理の流れを写真と動画で説明します。
米をといで規定量の水を張った鍋からオタマで水を捨て、同量の潮汁を鍋に加える
だし昆布を1枚、お米の上に載せる
昆布の上に中型マダイを載せ、醬油と日本酒を適量加える
あとは、炊く
炊き上がり!
炊き上がったら、鍋から鯛をとりだし、身をほぐして骨を取り除きます。完成したプラモデルを分解していくような作業です。
骨をひとかけらも残さないよう集中してやる!
ほぐした身を鍋に戻し、かき混ぜて完成。お好みで白ごまや小ネギを加えます。
骨を取り終わったころに、むらしが完了
かき混ぜて、できあがり
③マダイの「カルパッチョ」にはごま油もよく合う
魚の身は、釣った直後はプリプリの歯応えで美味しいのですが、やはり冷蔵庫で数日熟成させると旨みが増すわけです。
クーラーボックスの氷を変えながら熟成させること5日。週末の夜、わが家に友人たちを呼んでパーティーを開きました。
オードブルはマダイのカルパッチョ。
熟成させた「さく」を刺身にし、丸皿に円形に並べていきます。そこにミョウガと大葉の千切りを散らし、タレをたっぷり回しかけます。タレはごま油(大さじ2)とポン酢(同)を混ぜる。比率は1:1です。そこにチューブ入りのゆず胡椒を適量溶く。最後に、全体に白ごまを振りかけます。
熟成させた身はトロットロ。口の中でごま油と溶け合い、ポン酢やツンとするゆず胡椒の香りとあいまって濃厚なのに爽快。こりゃたまらん!
④マダイの「姿造り」には華がある
メインはマダイの姿造り。アジやヒラメ、キンメダイ、タチウオなど、やろうと思えば何でも姿造りにできますが、やはり百「魚」の王マダイには華がある。良型なので迫力満点です。
ポイントは、マダイのカブトを落とさずに下ろして刺身の「さく」をとること。三枚下ろしができればかんたん。ググれば参考動画がたくさん出てきます。
熟成のためキッチンペーパーとラップで簀巻きにしたマダイ。腹の部分にペーパーをギチギチに詰めておく
熟成完了!
姿造りなのですが、台座があると見栄えがよくなります。
大根を厚さ2cmほどで輪切りにし、さらに半月状に二つに切る。これにそれぞれ竹串を刺したものが、尾頭を持ち上げる台座になります。持ち上げたあと、刺身の「つま」で台座を隠しましょう。そして、骨の部分に大葉を敷き、刺身を盛りつけていきます。
鯛の姿造り
刺身はマダイとホウボウ。客の人数も考え鰹のタタキ(スーパーで購入)を加えた。時間に追われ焦って作った。雑なこと、この上ない(涙)。
キロオーバーのマダイなので、わが家の平皿には載らず、木製の盆を使いました。小ネギや大葉、ミョウガなどの薬味をたっぷりのせましょう。食用菊などを配すると本格的な感じになります。
⑤「皮炙り」はポン酢で肴に!
姿造りを作った際には副産物もあります。
カマ(胸びれ)や刺身にするために引いた皮、身が残る腹骨、血合い骨など。
カマは煮付けても塩焼きにしても旨いのですが、皮や腹骨なども捨てるなかれ。これをまとめてステンレス製のバットに入れ、軽く塩を振り、お客さんの前でバーナーで炙ります。
皮に軽く焦げ目がつき、身が白くなるまで比較的しっかり炙りましょう。これを、大根おろしやもみじおろしを溶いたポン酢につけて食べると超絶旨い。
家庭用のバーナーは何かと便利
これはもはや「料理」とも言えない安直なものですが、姿造りと同じように目でも味わうもの。
お客さんに「おおっ、すごい!」と喜ばれます。もちろん、一人で日本酒をやりながら焙ってもいい。最上級の酒の肴です。
⑥小型のマダイで「一夜干し」がオススメ
小型のマダイは干物にしましょう。
背中から出刃包丁を入れて、カブトまで割り、開きます。これを雀開きと言います。10%食塩水を用意するのは面倒で、筆者は振り塩派。「アルペンザルツ」をパッパと適量振り、これを干物用の網に入れて外に干します。
干す時間は一晩で構いませんが、筆者は24時間干します。身が締まって旨味が濃縮されます。できたらそのまま冷凍庫へ。かなり長持ちします。食べるときは冷凍庫から出し、凍ったまま魚焼きグリルに入れ、焼きましょう。
背中からひらく「雀開き」
このマダイの一夜干しをつかって、先に紹介した鯛めしにすることもできます。
潮汁がなければ白だしと酒、醤油を入れ、だし昆布の上に干物をのせて炊く。あとは同じ手順で。素晴らしい鯛めしになりますよ。
寄稿者
釣人割烹