どうもー。源流〜外洋まで、ORETSURI自称淡水担当の大谷賢史です。
知人のクリリンがピンチだと聞いてナメック星に行っておりまして、お久しぶりのレポートとなってしまいました。失礼しました。
ブルマさんから借りた宇宙船の中で、あ〜、明日休みじゃん。釣りいきてーなー。でも炎天下とか、りーむー。んじゃま、涼しい山で釣るべか。と、軽いノリでイワナ釣りにいってきました。
とはいえ、日々の都会暮らしで身体はなまり、我らが56年組の雄・阪神タイガース鳥谷内野手でさえも進退を問われる体力の衰え隠せぬアラフォー世代。
そもそもとして私の一生で、山岳渓流を遡上するような知識も経験も体力もあったためしはなく、本当は寄る年波関係ないのだが、あの頃は良かったなと日々過去を美化する毎日。
それでも天然イワナへの憧憬は強く、んじゃ身体鍛えるべし!という問いかけを自分自身にするものの、ウンチで不精でテイタラクな私がイワナのために日々是鍛錬也とジム通いすることは皆目なく、え?連邦の量産機?恐るるに足らんわ!と見て見ぬふり。
じゃあ、どうするか?
そこは小学生時代から釣り雑誌とまっぷるという地図雑誌を繋げて読み漁ってきた、社会で何の役にも立たない知識を総動員し、林道やハイキングコースの脇に川が流れている釣り場を記憶のノートから引っ張りだす。
そこで今回計画したのが渡良瀬川水系・黒坂石川でのイワナ釣りなのです。
長々書きましたが、私のような体たらくでも、体力に不安のあるお子様や御年輩の方でも釣りやすく、車から降りてすぐに天然イワナが釣れるマル秘ポイントに行って来ました。
手軽に入渓できますが、安全第一の行動と、天気のこまめなチェック、万全な事前準備で入渓して下さい。誰でも最初は初心者ですから、はじめてのポイントや深山に入る際は、ハンディGPSを購入するか、登山用アプリをダウンロードしてから釣行するとよいでしょう。
YAMAPというアプリは、電波の届かない山の中でもGPSが使える優れものですよ!また、モバイルバッテリーもお忘れなく!!
まあ、この黒坂石川は川と林道が隣接しているので迷う方が難しいですが、念には念をの精神で。
渡良瀬川水系と言えば・・・
渡良瀬川水系といえば、日本発の公害事件ともいわれる足尾鉱毒事件の舞台。栃木の旧佐野町出身の議員・田中正造が明治天皇に直訴したことは社会の教科書にものっていたので覚えている人も多いんじゃないでしょうか。
当時アジア最大規模と言われた銅山と精製所から排出されるガス等により付近の山が枯山となり、下流水域に甚大な被害を及ぼした我が国初の公害訴訟の舞台と、皆さま学生時代に、いちいち言葉が難しーんだよ!普通にいえよ!だから勉強やる気なくすんだよチキショー!と一度は思ったのではないでしょうか?
水俣病、イタイイタイ病と並んで有名な足尾鉱毒事件。
現代においては、後世に伝えるために敢えて足尾地区だけは植林せずに禿山のままにしてありますが、周辺地区は川も山も復活しています。公害があって人々の記憶に鮮明に残された渡良瀬川水系だからこそ、過度に人が立ち入らず、自然が多く残ったというのも皮肉な話です。
あくまで私の印象ですが、つまりは天然・純天然イワナが秩父や丹沢なんかよりも楽にたくさん釣れるというわけなんです!た、たぶん。
いいから早く釣れや!というお声が聞こえて参りますが、イワナ釣りというのは浪漫でございますので何卒ご容赦を。
釣りは焦らず、まあ、R122を日光方面に進んだ先にある美しい「草木ダム」で缶コーヒーブレークでもして下さいまし。
黒坂石川で実釣り
黒坂石川は、渡良瀬川上流域の草木ダムに流入する小さな河川です。見ての通り、道路から徒歩1秒です。
黒坂石川は脇に道路が走っており、枝沢は林道があって入渓が非常に楽なイワナ釣り場。その分、釣り人が入りやすく、魚を釣られ切り易いポイントともいえます。
解禁から半年経って、きっと一番魚が居ない時期ですので、狙うは釣り人が狙いにくい木がせり出して居たり、流れが複雑だったりする所謂「竿抜け」ポイント。
黒坂石川本流はチャラ瀬が多く、ポイントが絞りにくかったので、まずは名も知らない枝沢からスタートすることに。
ちなみに黒坂石川にはいくつかの枝沢が流入しており、どこも苦労せず楽に入渓できます。先行者が居たら迷わず次の沢に行けば万事OKです。
魚に貴賎なし。釣りに貴賎なし。
の、ORETSURIの信念そのままに、どうしても桐生イワナに会いたい一心で、キジ(ミミズ)餌のちょうちん釣り、ちょうちんテンカラ(延べ竿の毛バリ釣り)、ルアー釣り全て持参。
悔しい思いをしないように3種のタックルを用意したが、そこは大谷。仕掛けつくんのめんどいべ。結ぶだけでOKなルアーや!
と、タックルベリーで100円で買ったブレットンのスピナーを結び、入渓。
結果として水量の乏しいこの時期の枝沢ではルアーを通せるポイントは少なく、直ぐにちょうちんテンカラに変更することになりました。まさに時間の無駄!
ちなみに、ちょうちん釣りとは源流釣りではよく使われる釣り方で、竿の全長よりも極端に仕掛けの全長を短くした釣り方です。木がせり出しているポイントにも仕掛けが振り込める方法。
ウィークポイントは、餌付けやポイント移動時に一度竿を畳まないといけない点ですが、想像するよりも遥かに手間を感じませんでした。
ただ、イクラなどの餌持ちが悪い餌を使うと手返しがわるくなるのでオススメしません。が、イクラが特餌になる可能性もあるので、今回は日持ちするマルキューの瓶詰めイクラを持参しました。
ちょうちん餌釣りは、5.4メートルの渓流竿に道糸0.8号通しで全長2メートル。ちょうちんテンカラ釣りは、3.6メートルのハエ竿に道糸2号1.5メートル。
毛針は詳しくないのでよくわからないのですが、白っぽいドライフライ(水面に浮く毛針)を使います。
格好つけてさもこれがベスト!のように書いていますが、本当は家にあったハリス2号2メートル付きの市販の糸付きチヌ針の針を切り取って、そこにフライを結んだだけの超お手軽仕掛けです。
ヤマメ釣りでは必ず0.4号以下の糸を使う私ですが、源流イワナ釣りは、糸の太さで釣果が変わらないと思っていますので、根掛かりや小枝に引っ掛けても強引に回収でき、且つ滝壺や落ち込みの風圧にも負けない強さで振り込める太糸を使っています。
ぶっちゃけ、先行者が入っておらず、そこにイワナが居ればテクニックやタックル関係なく普通に釣れます。
「イワナは悪食」と言われる所以です。
というわけで、
シュワッチ!
シュワッチ!
シュワッチ!
シュワッチ!
シュワッチ!
・・・
逃げるチビ魚もいね〜(*´Д`*)
普通釣れなくても、チビ魚の’走り’くらいあるはずなんだけどなー。
この沢、魚ぜんぜん見えないよー。こりゃあ、放流サイズのチビイワナまで根こそぎ釣られて持ち帰られてんな〜。
※両毛漁協及び群馬県の規則により、15cm以下、一日20尾以上のイワナの採捕は禁止されています。
次の沢、次の沢!
源流釣りは、テンポが大事。
前述の通りイワナ釣りでは、そこにイワナが居て、エサが流れてくれば簡単に食ってくるもの。滝壺などの一級ポイントであっても、何回か流して釣れなければ、次のポイントに移動するのがセオリーです。
エサ釣りと毛針釣りでは各々に適したポイントがビミョーに異なり、釣り上がるスピードもビミョーに違うのですが、そこである程度水深があるポイントは帰り掛けのエサ釣り用に残しておき、トップ(水面)までイワナが出てきそうなポイントだけテンポよく打って釣り上がる作戦に!
イワナの’走り’を確認!
遡行していると本日初めてのイワナの’走り’を確認!
ま、絶対数は少なそうだけど、魚がいることはわかった。疑心暗鬼であったが、少しテンションが上がる。
竿抜け(他の釣り人が竿を出していないポイント)を狙えば奴らは釣れる!
ただ、どうも瀬(浅場)に出ていないようなので、深めの水深を探れるエサ釣りにチェンジします。
そんな感じで一旦川から上がり、林道に戻ると、そこはラピュタなナウシカなもののけ姫なミヤザキワールド。
廃棄されたユンボが自然に飲み込まれ、苔むしています。
しかもよく見ると、
ユンボの車体から木が生えてるっ!!!
長い年月を掛けて、ユンボのボンネットに枯れ葉や砂埃が積もり、そこに雨が降って湿り、バクテリアが住み着き、バクテリアやベントスたちが枯れ葉を分解して土を作り、そこに風や小動物などによって運ばれた木の実が落とされ、根付き、芽吹き、木に育ったのでしょう。
私にはユンボが10年はおろか5年も経ってないように思えるのですが如何でしょうか?
足尾鉱毒事件でもそうでしたが、人間が過ちを犯して自然を汚してしまっても、自然には人間が思いもよらぬスピードで原状復帰する能力が備わっているのだと見せつけられました。
環境問題や核の問題はニュースソースになり易かったり、プロパガンダで1点にクローズアップされてしまったり、過度に誇張されてしまい、うがった情報が世に蔓延ってしまうことが多いですが、我々釣り人は自然の偉大さを人より少しだけ多く知っていることが誇らしいです。
とかなんとか。
ただ単純に釣れねーよー。
助けてくれー。
念願の桐生イワナHIT!
駐車スペースよりざっと400メートル位釣り上がったが、毛バリに反応はなし。
転戦するか、このまま林道を釣り上がるかを考えるが、沢が細くなるし帰りが不安になったので、竿抜けポイントをエサ釣りで釣り下る。
とある小場所を流そうと、キジを水面に近付けると、待ってました!とばかりにイワナが水面まで上がってくるではありませんが!
ぽちゃん。
パクッ!
イッツオートマティック!
じゃじゃーん桐生イワナ第一号!
エサ落としたら直ぐに食いついてきました。エサがまだ空中にあるうちから浮いてきたことを考えると、イワナは空中のミミズを見てるんですね。
ほんとまあ、イワナは貪欲というか悪食です。
釣り人にとってはそこがまた可愛くもあり、イワナ釣りの魅力なんですよね〜。
魚は、6〜7寸ほどでしたが、本命の桐生イワナ。’サビ’と言われる茶褐色の婚姻色の出た美しいイワナさん。
サビは春〜初夏の体色なので、渡良瀬はこういう特徴なのかな?
もはや顔が黒いですな。
とりあえず、シブ日の1匹目なのでキープ。
私はキャッチ&イート派ですが、イワナだけは仮にたくさん釣れたとしても年に数匹しかキープしない(食べない)ように心がけています。
この自然の恵みを有り難く、美味しく塩焼きで頂きました。
さあ、俄然やる気出て来たぞ!
この川、イワナいるぞ!
山奥に分け入る!!!
・・・体力はないので、安全を期して転戦しまーす。
が、黒坂石川の他の沢を二つ見て回りましたが、車が停まっていたので入渓できず。
まだ釣り始めて1時間も経過してないので、大移動することに。
小中大滝・・・!?
車を発車させるとガソリンランプ点滅。
時刻は8時。
渡良瀬川は王子駅前から発する国道R122沿いとはいえ、ここは山の中。ガソリンスタンドは24時間営業ではないのです。
黒坂石川をなるべくノーアクセルで下り(笑)、草木ダムから数キロ下ってやっとガソリンスタンドに到着して一安心。
なぜか目に見える範囲にガソスタ3件並んでいますが、3店を満たす様な需要あるのかなー?地元同士でアレじゃないのかなー?といった疑問を抱えつつ給油してもらい、さらに下ります。
もう数キロ下ると「小中大滝」と書かれた信号交差点に差し掛かり、ここを右折。山を登って行きます。
ちなみに、小中川(こなかがわ)にある大きな滝で、小中大滝(こなかおおたき)と読みます。
小・中・大の3連滝をイメージしたのですが全然違いました。残念。
小中川は二又に分かれるのですが、支流の入渓ポイントにはルアーマン2名の先行者がいたので、本流の小中大滝を目指します!
まあ、道は舗装されているのですが落石多いので注意が必要です。
小中大滝駐車場着。
一歩車外に出ると
寒っ!!
小中大滝の看板があった信号交差点からのんびり上がること30分くらい山を登ると、ここが大滝なのかは定かではありませんが、トイレ(と言っても安定の汲み取り式)もある景勝地風の駐車場に到着。
この先も道はありますが、これ以上あがることへの不安と時間も押していたことからここで釣りすることに。
てゆーか、寒っ!半袖無理っ!
という寒さ。
ウィンドブレーカーを着用してイザ!
周囲は静けさにつつまれ、町は夏だというのに、ここは早春の雰囲気。
いいね〜。
小中川は、水量、水深がそれなりにあり、ルアーも十分通せますが、ここも入渓が楽なポイントなので、プレッシャーも高いと考え、にわかルアーマンの私のキャストテク、アクションテクではイワナは出せないだろうと判断し、エサ釣りにします。
エサはキジをメインにサシの2〜3匹掛け。
ここも駐車場から少し歩くと、すぐに二又にに分かれたので、勘だけ頼りに右側の枝沢に。
渓は美しく、どこで釣れても良さそうな場所ばかり。水はどこまでも透明で、これだけで幸せな気分になれる。
竿抜けを狙い、1級ポイントだけでなく、2級ポイント、3級ポイント、こんな所?というところまで丹念に探る。
数十メートルも行くと堰堤にぶつかった。
堰堤でヒット!
プレッシャー高い時期の堰堤は望み薄の場合が多いのですが、岩に隠れて堰堤下を除きこむと、洞穴というかオーバーハングというか、堰堤のコンクリートに穴が空きイワナが隠れられるようになっているではありませんか!
一番気になる洞穴ポイントは中央部にあるため、はやる気持ちを抑え、セオリー通り端から。
そー
ぽちゃん
アタリなし。
そー
ぽちゃん
アタリなし。
そしていよいよ洞穴ポイントへ
そー
ぽちゃん。
うっ、ちょうちん1.5メートルでは底まで届かん。
道糸短くしてるから、堰堤や滝壺ポイントだと底が取れない、ちょうちん釣りあるある。いや、むしろ無し無し。
仕方ない。竿先を水面に突っ込んで底取ろう。
底取れてるんだか、中層で留まっているんだか、アタリがあるんだか無いんだかようわからんが、イワナならきっと大丈夫!
と、自分に言い聞かせ一投目。
ぽちゃん。
反応なし。
同じポイントへニ投目。
ぽちゃん
竿先を水に入れてるからアタリもなにもわからないが、とりあえず竿先に神経を集中。
1分ほど待つも反応なし。
やっぱダメかぁ。
渋々仕掛けを回収しようと聞きあげると、25cm程のオレンジ色の腹をした魚が飛び掛ります!
エサのミミズがふわっと川の流れに乗った瞬間にイワナがリアクションバイト!
瞬間、竿に魚信が伝わりビビビビッと手元に伝わります。
ぬおっ!アタリじゃい!!
条件反射で竿を立てると、竿に魚の重みが伝わります。
頭上は木がオーバーハングしており、竿は立てられない。しかも岩の上に立っているのでタモ入れもできない。
うむ。どこでランディングするか?
いや、抜き上げちまうか?
一瞬迷うが、冷静に考えてここでのランディングは無理。
そう判断すると、子供の頃に憧れた高橋哲哉プロが磯から磯へ飛び移ってメジナを釣り上げる様が脳裏に浮かぶ。
俺も岩を一段降りなければ!
と一瞬右を向いた瞬間、あの残酷な感触の、
ふわっ。
ぎぃやぁー。
やっちまったー。
魚は反転してオレンジ色の腹を見せて、滝壺へ消えていき、私の雄叫びだけが虚しく耳残りする。
竿先を水中に沈めていたので、水の抵抗が掛かり、アワセが弱かったようで、ちゃんと針が口にフッキングしてなかったようです。
純真で悪食のイワナは、エサを食い損ねてしまっても、また同じ場所にエサを放り込むとまた食い付いてくる習性があります。
そう信じてエサを新鮮なものにつけ替えてすぐに落とし込む。
とはいえ、今回はバラしたので、どんなものか?
魚は釣り上げてもあまり警戒されないが、バラすと他の魚も警戒しまくるって聞く。
魚って魚語話しているんか?
っておいおい、集中!集中!
あーーー、出ないかーーー、くそーーー
と、疑心暗鬼になりながらもキャツが忘れられず、滝壺で15分も粘ってしまった。が、キャツもキャツの仲間も姿を見せることはなかった。
万策尽き、今日はこれで納竿とした。
実釣2時間で2ヒット1チビゲット。
なかなか厳しい源流イワナ釣りでした。
それでも、源流で釣りをすると何ともいえない清々しい気持ちになります。
渓は美しく、そこに住むイワナも同じく美しい。
日本に生まれて良かった。釣りをする人生で良かった。
そんな気持ちにしてくれます。
そして、いつか手にするだろう未だ見ぬタキタロウ(子鹿を丸呑みにしたという伝説級の大イワナ)を夢見て、リベンジを誓いました。
最後に、クリリンとナメック星は無事平和を取り戻しました。ご心配お掛けしました。
(おいおい、まだその話やってたのかよ!とツッコンだアナタはちょっと面白い人です。)
大谷賢史