横浜市の「海の公園」といえば、無料でアサリがとれる貴重な人工の海浜です。
潮干狩りについてはアサリの2cm以内の稚貝は採取禁止で一人当たり2キロ。熊手類の制限などはあります。一人2キロのアサリが取れればひと家族でも十分にアサリを味わうことができます。
2019年はアタリ年だったのか、それほど苦労しなくてもかなりアサリがとれました。
が、ボランティア市民団体「海をつくる会」による調査によると、海の公園における2020年度のアサリは壊滅状態にあるようです。
「海の公園」のアサリが激減との情報
同団体によるFacebook投稿によると、「海の公園内」における20か所の調査で、ほんのわずかなアサリと稚貝しか採取できなかったとのこと。
アサリは砂地や砂泥地に深く潜る生き物ではないため、大穴ポイントなどもそれほどないことでしょう。
これらの情報から、「海の公園」では2020年の4月~5月の潮干狩りシーズンに家族が満足できるアサリをとるのは難しそうです。
なぜアサリがいなくなるのか
浅場のアサリをとるだけであれば、深場のアサリが生き残るはずだが・・・
では、なぜアサリが激減するのかというと、科学的なデータはありませんが、原因の一つとして考えられるのがルール違反の取り方をする人の存在です。
海の公園で潮干狩りをしたことがある方は一度は見かけたことがあると思いますが、大多数が膝下程度の水深でアサリを探す中、沖目をみると、ウェーダーを着用して長い柄のカイマキ(アサリマキ、ジョレン)でアサリを大量にとっている人がいます。
これらの人が沖から引き返してくるときに、一人で、カゴや網をみると数十キロと思われる量のアサリをとっていたり。
▼カイマキというのは以下のようなアイテムです。Amazonなどの通販のほか、一般的な釣具店等でも販売されているためつい買ってしまったという人もいるのではないでしょうか。
神奈川県の場合、共同漁業権の有無にかかわらず、以下の通り、こうしたかいまき・じょれん類の使用は禁止されています。
出典:神奈川県
「忍者くまで」は意外と盲点なのですが、使用が禁止されています。
以下は、公益財団法人横浜市緑の協会のサイトにあるQ&Aです
昨日、潮干狩りを楽しませていただきましたが、一部マナーの悪い方々のせいで不快な思いをしました。幅が15cmを超える長い柄がついた器具で、まだ1メートル以上の水深の場所で乱獲をしている方々です。
明らかに幅が15cmを超えているのに「15cm以内だ」と開き直られると、それ以上何も言えず、現場の方にお願いをして注意喚起の放送を増やして頂いたのですが、そもそも15cm以内と言い切るため、通用するはずもありませんでした。
そのような乱獲を許し、潮が引いた時に熊手一つで潮干狩りをしている子どもたちが楽しめないという状況はどうかと思います。
生態系のために見過ごしているというのであれば仕方ありませんが、そうでなければ、幅だけでなく、柄の長さを規制したらいかがでしょうか。柄の長さを規制すれば言い訳はできませんし、現場対応もしやすいかと思います。
一考頂ければ幸いです。
この度は、貴重なご意見をいただき、ありがとうございます。
海の公園では、潮干狩りのルールを、横浜市公園条例第6条に基づき、定めています。アサリの採取方法等については、①幅15㎝を超える貝採り器具の使用禁止②殻の長さ2㎝以下のアサリの稚貝採取の禁止③一人が一度に2㎏を超える貝採取の禁止という3つの規制を行っており、ホームページや園内放送、看板やチラシの設置という方法で周知を図っています。また、警備員が随時、砂浜の巡回パトロールを行い、違反者には口頭注意を行います。悪質な場合には、警察などの協力も得ながら強く警告するとともに、同条例第19条に基づき処分を行います。今後も、より一層お客様にルールを守って潮干狩りを楽しんでいただくよう努めてまいります。
ご提案いただいた柄の長さの規制につきましては、公園の設置者である横浜市に伝えてまいります。
たしかに海の公園でも「採取ルール」についての放送はかなり頻繁に行われています。
一方、それでも沖目で違法採掘をする人はチラホラみられます。これらの方は潮干狩りシーズン以外にも、ウェーダーをはいて、沖目まで採掘するので、それがアサリ資源の激減につながっているといわれています。
たしかに、一般の人がどれだけアサリを掘りにきても、一定以上は沖目にはいかないわけです。それと、かんたんな熊手や手掘りでは一定時間あたりの採取量もセーブされます。
そこに、ウェーダー+カイマキ・ジョレン使用者が入ってしまうと、本来アサリが自然に保護される沖目のエリアまで掘り起こされてしまい資源がへってしまうわけです。この沖目ほど産卵に関わる大型のアサリが多いため、たちが悪いわけです。
また海の公園や隣接する野島の沖目にはアマモ場が広がっていて、このアマモ林があらゆる生物のゆりかごになっています。カイマキを使う人はこれらのアマモの根部分を引っ掻きまわして、アマモを引き抜いてしまうことも問題になっています。アマモについても、植林によって定着化しているところもあり、大迷惑であります。
目立つところに潮干狩りルールが記載されているが・・・
他にもアサリの資源減少には以下の要因が考えられます。
- 夏場の高水温期の水質(赤潮・青潮)
- 冬場の嵐によってアサリが打ちあがり死んでしまう
- アサリを捕食するアカエイやツメタガイなどの食害
これらの複合的な要因もあるわけですが、人為的な要因が一つになっているのは残念なことです。
釣りでもなんでもそうですが、少数の人のルール違反によって、他の大部分がツケをくらうわけです。
▼冬場に稚貝が死ぬのも原因とされる
千葉県木更津、富津両市の東京湾で採集した大量のアサリの稚貝が水槽で冬を越している。木更津沖を中心に不漁が続くアサリ漁。冬の風による波で海底が巻き上げられ、稚貝が死ぬのも一因とされることから、対策として始めた「陸上越冬」だ。関係者は、特産の資源回復に期待を託している。
出典:朝日新聞
野島のアサリも激減とのこと
同団体によると、「海の公園」に隣接する「野島公園」のアサリ資源も同様に激減しているとのこと。
稚貝も少なく2021年の潮干狩りも難しそうとのこと
同会によると、3月に行った「海の公園」での調査ではさらにアサリがとれなくなり、稚貝もわずかとのこと。こうなると2021年度の潮干狩りさえも難しくなってくるかもしれません。
まとめ
2020年の横浜「海の公園」の潮干狩りが難しそうという情報を紹介しました。
潮干狩りは家族で楽しめる採集と食のイベントであって、楽しみにしている人も多いと思います。
残存した稚貝が成長したり、平潟湾内のアサリの幼生が移動するなど、将来的なアサリ資源量が回復するのを願います。
また、引用した文章にもありますが、一個人が現地で問題人物を注意するには限界があるので、行政を担う横浜市においては、もうすこし悪質なルール違反に対して対策を強化していただきたいところです。
<関連情報>
<追記>
その他、マダコの影響(2019年からマダコが大量に繁殖していて八景島近辺にも多く生息しているため)や台風15号16号による影響などもあるかもしれません。いずれにせよ、あまりアサリは期待できない2020年になりそうです。
<追記2>
新型コロナウィルス対策により海の公園での潮干狩りは5月6日まで禁止されています。
緊急事態宣言を受け、潮干狩りは禁止させていただきます。
新型コロナウイルス感染症に関する「緊急事態宣言」が発令され、市民の皆様に外出の自粛をお願いしていることを踏まえ、「海の公園」における潮干狩りにつきましては、5月6日(水)まで禁止とさせていただきます。
(「潮見表」も削除させていただきますのでご了承ください)
出典:海の公園