今年の盆休みは長く9連休ある。この長い休みを利用してどこに釣りにいくかを考えていた。
大阪の友人、りょう氏(@turiaka_ryo)と離島遠征で軟骨魚、淡路島でコブダイリベンジ、静岡サーフでメジロザメなど色々な候補が挙がる中、ずっといきたくてもいけなかったアカメの話で盛り上がった。
今年は高知遠征に決定となった。
予定は8月11日~8月17日までとし、宿無しで目一杯釣りを楽しむことにした。
「アカメ」は高知県で「注目種」とされている魚
アカメは高知県では「注目種」として設定されている魚だ。見た目はアフリカ原産の魚「ナイルパーチ」によく似ている。
他の県では一部を除いてほとんど見ることができないのだが、高知県内では沿岸部や河口部で身近にみられる。
高知県版のレッドリストには該当しないものの、地域独特の分布や生息状況から高知を代表すると認められている魚だ。
高知県ではアカメの取り扱いについて、以下の注意喚起をしている。
- 釣ったアカメは再放流しましょう。(キャッチ&リリース)
- 無用な殺傷はやめましょう。
- 販売目的のアカメの捕獲はやめましょう。
- 捕ったアカメを他の地域に持ち出さないようにしましょう。
- 他の地域で捕ったアカメを持ち込まないようしましょう。
出典:高知県
こういった注意喚起には法的な罰則がついているわけではないが、アカメを狙うアングラーは皆このマナーを守って釣りをしている。
釣りあげたアカメは丁寧にリリースすることで、生存率が高まり再捕・再再捕されている。他県からアカメを釣りにいく場合、行き当たりばったりではなく、一定の準備が必要なので注意したい。
台風発生によって釣行日程が短くなった
遠征の直前。お盆遠征アングラー達を深淵の底へと突き落とすようなニュースが舞い込んできた。
台風10号の発生である。
それも見事に盆休み中に直撃するという悲劇。
残念ながら、四国は予定の真ん中位に直撃しそうになり、泣く泣く日程を縮め14日の朝までとすることにした。
釣行日数が減るということはそれだけ、本命を釣り上げる可能性が下がる。が、台風の進路を変えられるわけでもないので、目の前の条件でベストを尽くすしかない。そう、思った。
高知アカメ遠征初日
初日は京都駅へ新幹線で向かい、車で拾ってもらい、りょう氏と合流した。
準備を整えて出発し度々運転を交代しながら高知へ。途中休憩も挟みながら、現地には翌日の朝7時くらいに到着。まずはアカメのポイントと餌の確保ポイントを見て回った。
ポイントでは5名ほどの釣り人がすでにアカメを狙って竿を出している。
話を聞くと前夜にもアタリがあったようだ。ポイント情報や狙い方など親切に教えてもらい、再度ポイントを見て回る。
何か所か周り、ポイントを確認し、今度はアカメの餌となるボラ、チヌのポイントを探す。
しばらく走り回り探していると大量のボラが溜まっているポイントを見つけた。
さっそくボラを釣るが中々掛からない。
2時間ほど粘ってようやく釣れたが、このボラはちょっと大きすぎる。
アカメの餌に適しているのは30~50cmほどだが、これは75cmほど。リリースし、次を狙うも群れが散ってしまいいなくなってしまった。
その後もボラのポイントを探し回るもなかなか確保できず、ボラを諦めてアカメのポイントへ戻り、チヌを狙うことに。
アカメ釣りの準備だけ先に済ませて夕方にフカセ釣りをはじめた。
流れが非常に複雑で数分単位で流れの向き、強さが変わり、なかなか仕掛けを落ち着けることができず苦戦を強いられる。
それでも流れが変わるタイミングで一瞬だけ時合いが有り、そこでなんとかキビレを掛けていった。
結局浮きが見えなくなるまでに25~35cmほどのキビレを3匹確保し、今夜はこれを餌にすることにした。
アカメ狙いのタックルについて
ここでアカメ狙いのタックルと仕掛けを紹介したい。
今回は初めてアカメを狙うため、相手のパワーを想像し、強靭なタックルを用意した。
沖磯から青物を狙うような泳がせ釣り用の竿にトローリング用のレバードラグリールをセット。これにPE10号を巻きリーダーとしてナイロン50号を5mセット。
アカメの仕掛けは一本針の余計なものをつけないもの。
ハリスはフロロ24号。針はGrand Tournament23号に孫針でチヌ8号を使用。この孫針を餌の魚に刺す。これに餌の魚を付けて水面付近を泳がせる。
アカメは水面を泳ぐ魚が起こす波紋、波動、音で寄ってくるようだ。
いよいよチャンスタイム 寝ている間に異変が!?
暗くなり雰囲気もよくなってきたが一向にアタリはない。午前中に話したグループにも聞きにいくがアタリはないとのこと。
眠気には勝てず、堤防にビニールシートを敷いて横になる。
すると、すぐに眠りについてしまったようだ。
りょう氏に起こされたのは、あたりがすっかり明るくなってから。
どうやら私の仕掛けと、りょう氏の仕掛けが絡んでいる様子。
・・・
よく考えてみると、仕掛けは絡まない位置にセッティングしたはず。
気になって仕掛けを上げて確認すると、なんと、りょう氏の餌に噛み跡がありボロボロになっていた。
どうやらが夜中のうちにアカメが餌を咥えたがすぐに離してしまったようなのだ。
残念。
だけど、まだこの遠征は初日。
アカメがいることがわかったので更に気合が入った。
その後は一旦片付けて、ぽかぽか温泉で汗を流した。そしてランチはせっかくの高知ということで、やはりカツオが食べたく酔鯨亭へ。
カツオタタキは生カツオを使用しているということで、臭みなどが一切なく絶品であった。
普段スーパーで食べるカツオタタキとはこうも違うとは…。カツオが苦手な人も一度高知でカツオのタタキを食べてみてほしい。白飯とかきこむと、思わず力が湧いてくる力強い味わいなのだ。
ウツボのタタキも初めて食べたが、モチモチしていて美味い。
くじらのユッケは馬肉ユッケのような味わいでこれまた絶品だった。
うーんここまで食事が美味いと、こっちに住みたくなるな…。
2日目、涼しい夜。アカメの気配が薄い・・・
二日目の夕方。
この日は、二手に分かれて餌の調達をすることに。りょう氏は車でボラを探しに、私は堤防にてフカセでチヌ、キビレ狙いで竿を出す。
15分ほどコマセを打ち、仕掛けを流していると、やはり流れが緩んだタイミングでアタリ。
しかし掛けた瞬間に餌にならないサイズとわかりガッカリ。2分くらいかけて寄せると年無しサイズのチヌでした。
地元の方いわく「使えないことは無い」とのことだったので、一応キープ。
そして再開するとすぐにアタリがあるが、これはシロギス。
その後は中々流れが落ち着かず20cm、30cmほどのキビレと10cmくらいのヘダイを確保した時点で、りょう氏も戻って来て合流。りょう氏はエサを確保できなかったようだが、こちらでなんとか確保できたので、このままアカメのポイントへ向かう。
ポイントへ到着。
りょう氏は、特大のチヌ、私は30cmほどのキビレを泳がせる。
高知の夜は風が気持ちよく涼しい。外にいても心地よい風が吹き汗をかかない。
しかしこの夜は気配が薄い。
無情にも反応のないまま時間だけが過ぎていく。
朝になり目を覚ました時点で、さっさと見切りをつけて移動。餌も弱っていたため、再度確保に向かう。
最終日も餌の確保から・・・
下見の時点から船下や岸壁に多くのチヌがいたポイントへ向かうことに。りょう氏は元気なキビレを泳がせ、私は餌の確保のためカニでヘチ釣りをするもアタリなし。
りょう氏の方にもアカメの気配はないようで、再度移動することにした。
最初のアカメポイントへ戻り、フカセで餌確保し、そのまま朝までアカメを狙うことに。
到着するとこの日は大量のボラが接岸していて、更にフカセの人のコマセにも群がっている。
早速フカセでボラを確保。
中々食わせるのが難しく時間は掛かってしまったが、なんとか4匹を確保した。
そしてアカメのセッティング後、お昼ご飯の買い出しに向かう。
今日はアカメアングラーご用達である「くいしんぼ如月のチキン南蛮弁当」を頂く。
やはりご用達というだけあり絶品。
こういうのを「ドカ弁」というんじゃないだろうか。弁当とは思えないほどの美味しさとボリュームであった。
港へ戻り、釣りを続行する。
泣いても笑っても最終日だ。
しばらくすると何度か見かけていた方が登場。
今まで見かけてはいたが、お話はしてなかった。話してみると、台風前で私たちと同じく今夜が最後のアカメ狙いとのこと。
この方とは色々お話させてもらい一緒に竿を出すことに。アカメ狙いは今回が初めてとのこと。この方は「Y氏」とします。
夕方になると、2人組のアカメ狙いのグループがきたが餌が無いようでサビキをスタート。しばらくすると地元のアカメアングラーもやってきた模様。餌は確保してあったようで2人組の方たちも餌をもらっていた。
しばらくすると先端側に入った方にヒットした様子。
105cmのアカメであった。
今回4本目とのこと。すごい…
一緒にやってた方はまだ釣れてないとのことだったので、アカメ釣りが上手なようだ。
後から来た人にすぐ釣られてしまいちょっと悔しかったが、今夜このポイントに回遊してくることがわかり、希望が見える。
0時くらいになると2人組と地元の方もどこかへ移動していき、アカメ狙いは私たちとY氏のみになった。
アカメのこと、バスのこと、ナマズのことなどY氏と色々話をしながらアタリを待つ。
真夜中、ついに、アカメのアタリが!
しばらく待った1時頃。
突然りょう氏のリールからクリック音が響く。
アカメに餌を飲み込ませるためにリールのクラッチを切ってフリーにし糸を送り込む。20秒ほど待って、りょう氏が「アワセます」という声と同時に大きくアワセを入れる!
しかし仕掛けが宙を舞う。
確認してみると、針が泳がせているうちに餌のチヌの身体に絡んでしまい上手くフッキングできなかったようだ。
2人で呆然と立ち尽くしていたが、Y氏よりアカメは数匹のスクールで回遊するので、すぐ投げればまた来るかもしれないとのアドバイスをもらい新しいチヌを泳がせた。
その直後、再度りょう氏のリールから糸が出ていった。Y氏のアドバイス通りで、別のアカメが餌を探してうろついていたのだ。
今度はしっかり待ち大きくアワセると竿に重みが乗った!
が、またして仕掛けが宙を舞う。
今度はアワセ切れず餌のチヌから針を抜くことが出来なかった。
悔しさから崩れ落ちる、りょう氏。
私もY氏も掛ける言葉が見つからない。本気でターゲットを狙っているときにはよくある話ではある。
残りの餌は今のチヌが最後だったのでアカメの一撃で瀕死になったチヌを泳がせるしかなくなってしまった。
私たちの餌はりょう氏が瀕死のチヌ、私は約18時間泳がせ続けているボラのみとなった。
バラシはしたが、全体で3回のバイトがあったこと、まだ時間は1時過ぎたばかりであることなどから、まだチャンスはあるはずだと思い、3人とも気合を入れなおす。
・・・
翌日は、ふたたび京都までのロングドライブ。そういったことを考え、堤防にブルーシートを敷いて横になると、連日の疲労からすぐに眠りに落ちてしまった。
そして3時頃。
私のリールから少し糸が出る。
そして一瞬の間を置いて、何者かが一気に走り出した。
餌のボラが大きいことや、先ほどのバラシを見ていたため、十分に送り込む。
50mほど送り込んだところで思い切りアワセを入れ、更に10回ほどの追いアワセを入れる!針掛かりした感触を確かめると沖で巨大なアカメがエラ洗いをした。
デカいぞ!
その様子から間違いなく特大サイズのアカメであることを確認し、更にハリスが細いため暴れている間や走っているときにはクラッチを切りほぼテンションフリーで対応する。
しばらく耐えていると観念したのか横を向いて浮いてきた。
Y氏が一瞬のスキをついて口にボガグリップを挟み捕獲!
口にストリンガーを通して持ち上げようとするが重くて上がらない。
入水し下からアカメを担ぎ上げ、上にいるりょう氏とY氏に引き上げてもらいようやく陸揚げすることができた。
あまりの大きさに声が出なかった。
いや、上げた直後に叫んでしまったが、言葉にならなかったのだ。
りょう氏とY氏がブルーシートとメジャースケールを用意してくれて早速計測する。
130cm。重さは30kgはくだらないだろう。
アカメとしても特大サイズである。
できるだけ、弱らないようにバケツで水をかけ続けながら写真撮影。
改めて入水して再度撮影。
デカすぎる。とにかくデカかった。そしてカッコよすぎる。
傷だらけの身体は歴戦の強者の証だろう。古傷も多い。
15分ほど蘇生を行ってからリリースすると、アカメはゆっくりと暗闇に消えていった。
それから朝までは何も起こらず8時を前に撤収し、ぽかぽか温泉で汗を流した。
お昼はひろめ市場でカツオやウツボ、スジ煮などに舌鼓を打ち高知を後にした。
これもまた絶品であった。
最後に
アカメ釣りは今回が初めての挑戦であったが、想像していた以上に難しく、また準備も足りないところがあったと思う。
今回、想定していたのが1m前後のアカメであったことから、タモ網でのランディングを考えていた。が、あのサイズになるとタモ網でのランディングは不可能で、Y氏のボガグリップが無ければ捕れなかったかもしれない。
アカメは高知の釣人の努力があり、今釣りが出来る現状がある。
今回、その一面を見ることが出来たが、魚体を地面に触れないようにビニールシートを敷き、絶えず水をかけ続け、リリース時には自力で泳げるようになるまで蘇生を続けていた。
このアカメ釣りが今後も続けられるように、高知遠征で狙う釣人は、その思いを踏みにじるようなことはしてはいけないと思う。
次回、チャンスがあれば、さらに万全の準備をして臨みたいと思う。
またあの素晴らしい魚に会いたい。
タックルデータ
- ロッド:STANDING ROCK 11B
- リール:TICA TEAM ST668R
- メインライン:PE10号
- リーダー:ナイロン50号
- ハリス:フロロ24号
- 針:Grand Tournament 23号
- 孫針:管付きチヌ8号
アングラ―
まつともの釣師(@BigGame_BigOne)
レンギョ・アオウオなどの淡水大魚やベイシャークなど大物釣りをやってます。基本は餌釣りですが、シーバスや管釣りのトラウトなどにも力を入れてます。レンギョ釣り普及活動中。釣ってみたいという方は積極的に招待しています。ぜひお声かけください。
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