みなさんは中古釣り具を買ったことがありますか?
比較的、中古竿を買ったことがある人は多いと思います。
では、中古リールについてはどうでしょう。
一気に購入経験者が少なくなるはずです。
なぜか。
リールは竿と違い、内部を確認することが難しいからではないでしょうか。
そして、確認しづらい内部こそ、リールの心臓だからです。
以上の理由から、わたしは基本的に中古リールを買わないようにしています。
一方、いくつかの条件に合致しているリールは買うこともあります。
先日もある両軸リール(実売価格23,000円が1万円強)が魅力的だったので、購入を検討したのですが、あれこれチェックしてとりやめました。
今回は「中古リール購入」で失敗しないためのチェックポイントを解説します!
中古リールはリスクの塊。これが大前提
外はきれいでも・・・。中古リールはブラックボックス
まず伝えたいのは、中古リールはリスクの塊ということです。
これが大前提。
特に海で使用したリールには、いつの間にか浸水して内部に塩がみしているものも、しばしば存在します。
- 海に落としたことがある
- ドラグをゆるめた状態(グリス切れ)で海水を浴びた(船の移動時や時化状態)
- 釣行後のメンテナンスをしていない
こんな条件にあったリールもあるわけです。
たとえば船のコマセ釣りに出かけたとき、朝一の出船前に隣の釣り客をみたら、リールや釣り竿にイワシミンチが大量にこびりつき乾燥したままだったり。
たぶん、帰宅後にリールを洗うなどのステップがないまま、繰り返し釣行しているのだと思います。
そういった人がもしリールを中古市場に手放したら、きっと内部の状態も期待できない気がします。
そもそも、リールは新品でもギアなどパーツのかみ合わせ等で差があり、巻き感や音に個体差があることが知られています。
中古リールは、個体差がある新品リールを使いこむことで、さらに千差万別な影響を受けているのです。
以上から、自分が使う道具にシビアな人は中古リールに手を出さないほうがよいのです。
はじめにまずこの点を理解してから、それでも中古リールを買う必要があるならば検討していきましょう。
中古釣具の販売STEPは各社それぞれ
「小傷」という言葉も人それぞれ
中古釣具を手に入れる手段はいろいろですが、企業と個人にわけて考えてみましょう。
企業の場合
企業とはいえ、中古リールを仕入れて販売するまでにステップにかなりばらつきがあります。
- オーバーホールやパーツを変更して販売する企業
- 基本チェック項目を点検して全体の汚れをしっかり落として販売する企業
- 同チェックして汚れが付着したまま販売する企業
などなど。
当然ですが、中古リールの販売価格は、人の手が掛からないほど安価です。
たとえば、ある程度リスクを許容できるのであれば、汚れが付着したまま販売する企業が安く購入できてよいかもしれません。
たとえばハンドルノブに深刻なコマセ汚れがあっても、中性洗剤とタワシ・歯ブラシで十分落ちます。
他に、ハンドルノブだけ純正品やカスタム品と交換してしまう等の選択肢もあります。
個人の場合
個人から中古リールを購入する場合、以下の選択肢があります。
- メルカリやヤフオク
- その他ネット経由
- 知り合いや友人
知り合いや友人であれば、そのリールがたどってきた道を想像しやすいはずです。
一方、中古売買アプリ経由では相手の顔が見えないため、それなりにリスクも高まります。
掲載画像が鮮明でなかったり、状態を本来の状況より、ポジティブに伝える傾向もあります。
「1、2回使ったっきりのほぼ新品のリールです」
「ほぼ未使用です」
などなど。
本当に、ほとんど使っていないリールもありますし、そうでないものもある。
個人売買では、企業を介す取引よりも高いリスクをふまえた上で購入検討する必要があるのです。
中古リール購入時の重要チェックポイント10個
リールを頻繁にメンテナンスする人はごく少数
次に、実際に中古リールを購入する際のチェックポイントを紹介します。
①店舗ではスタッフ(詳しい)にリールの状態を聞く
まず店舗で中古リールを購入検討するときは、リールに詳しいスタッフを呼んでもらいましょう。
検討するリールについて気になるところを質問してみたり、実際のところ「買い」なのか聞いてみるのです。
すると、値札や外観だけではわからない情報が得られることもあります。
<具体的な質問>
- 売る前に内部チェックってしてるんですか?
- ハンドルのストッパーがやや戻るところってみんなそうなんですかね?
- 実際、○○さんだったらこれ買いだと思いますか?
<得られる情報>
- 傷がちょっと酷いんですが、許容できれば内部は問題ないと思いますよ
- ○○はどれも使い込まれていてハンドルがガタつきますが、この型番のリールのほとんどがそうなんです
- 実際巻きのシャリ感があるんで、オーバーホールして使うということになると思います
- 実は私も○○をもっていてかなりよいリールですよ。これも巻き感はほぼ変わらないと思います
などなど。
実店舗で購入するメリットはこういうったスタッフによる生の声を聞きやすいという点です。
積極的に質問してみましょう。
②店舗で手に取って現認する
中古リールは、なるべく通販で購入せず店舗で購入するのがおすすめです。
実際に店舗でお目当てのリールを手に取って現認すると色々な点が浮かび上がります。
- 意外と傷が多い(少ない)
- 「小傷」ってあるけど、これはちょっと気になるな
- 「汚れ多め」とあるけど、これなら落とせるな
- 手指につたわる違和感
- 音でわかる違和感
- 全体的に感じる違和感
通販では上記の点がどうしても把握しづらいわけです。
中古釣具においてグレード(等級)をしっかり公開している企業や、メンテナンスして販売している企業以外は、リスクがかなり高い買い方です。
③ハンドルの巻重りや違和感がないか確認
実際に店舗で中古リールを手に取るときは以下の点を確認しましょう。
ハンドルノブ
ハンドルノブの錆や塩がみは巻き感を著しく損ねるポイント
ハンドルノブにはベアリング入りとそうでないものがあります。
ベアリング入りのノブは、ゆびで回すと、高速で回転します。
両者ともに確認するのは以下の通り。
- 回転させたときにスムーズに回るか
- 異音がしないか(シャリ感は錆・塩がみ)
ハンドルノブがかしめてあり、取り外しできないものは、塩がみや錆びをはらんでいる確率が多いので特に注意しましょう。
ハンドルを巻いた際のゴリ感・シャリ感
ハンドルを巻いたときの違和感はメインギアの深刻な破損よりグリス切れが多め
ハンドルを巻くと「ゴリ感」や「シャリ感」があることがあります。
多くがノーメンテによるグリス切れか塩噛みです。
また、メインギアの歯掛けも存在します。
<例>
- 半クラッチでハンドルを頻繁に巻いている
- グリス切れ状態での酷使
巻き感がそれほど悪ければ、だいたいのシャリ感は、パーツクリーナーでオーバーホールして純正グリスを適量足せばスムーズになります。
※軽さを重視しているリールのメインギアにジュラルミン製のものがあるのですが、真鍮と比較してギアが劣化しやすいと言われています。あらかじめモデルごとに使われているパーツをチェックしておくのも一つです。
④ストッパー(ワンウェイクラッチ)の状態を確認
ワンウェイクラッチは劣化しやすい。特にジギング等、ハンドル操作が多い釣り物で使用されるモデルは注意
ワンウェイクラッチはハンドルの逆転を防止するためのパーツです。
とくに力がかかりやすいパーツであるのと、グリス切れによりスタードラグが緩んでいるときに海水が入り、劣化していることもしばしばあります。
メーカーによってはワンウェイクラッチ以外にも、メインギアの逆転を直接防ぐ機構を持つものもあります。
何度も回転させ、逆転しないか確認しましょう。
⑤クラッチがスムーズに切れるかを確認
クラッチは必ず何度も切って確認しよう!
ノーメンテでヘビーにつかった中古リールにはクラッチが劣化して、半クラッチになりやすいものがあります。
この場合の「半クラッチ」はクラッチを切ったつもりが切れてない状態を指すと思ってください。
また、クラッチを切るときの抵抗が異常に硬いものもあるので注意しましょう。
固いもののは塩がみしていたり、内部パーツにさびが生じて固着していることがほとんどです。
そもそも機構上クラッチが固めのリールもある。旧型バルケッタは固め
⑥ネジやナット類に注目する
細かいところですが、ネジやナットの状態を確認しましょう。
新品のネジやナットから交換していないかぎり、開け閉めをされた形跡があるネジやナットには3つの意味があります。
- メンテを適宜していたリール
- メンテをしようと思って蓋を開けたが、メンテしきれなかった
- メンテしたが、パーツの装着が間違っている、パーツが一部分変更されている。パーツの一部がない
などなど。
ネジやナットに開け閉めの形跡がないものは、一度も内部を開けたことがないリールの可能性があります。
全体の経年劣化や、巻き感等とあわせて、内部を想像するきっかけになります。
たとえば使用感が浅い場合は、下手に内部を開けたことがあるリールより、未開封のリールの方が安心感があります。
⑦ブレーキ類の確認(メカニカルブレーキ・サブブレーキ)
マグネット系ブレーキ。ノブがスムーズに動作しても、開くと磁石部分が錆びているものもある
メカニカルブレーキ・マグネットブレーキ・遠心力ブレーキ等は、可能な限り内部を開封して点検しましょう。
店舗での確認では、スタッフに許可を得たうえで行います。
ブレーキパーツが一部ないリールや、内部に錆が生じているものもあります。
メカニカルブレーキ蓋下にグリスがしっかりある場合は、そこからの浸水可能性は低いという判断も成り立ちます。
⑧スプールとスプール軸の確認
ブレーキパーツの数が少ないというような場合も
両軸リールの場合、スプールやスプール軸で確認したいのは以下の点です。
- 純正のスプールなのか
- 落下等による傷の有無
- カスタマイズの有無
- ブレーキパーツの個数確認
- スプール軸に曲がりがないか
⑨ドラグの確認(固着・サウンド)
長期間ドラグをフルドラグにしていたリールは、ドラグワッシャーが固着してしまっていることがあります。
ラインが付属しているスプールがハマっていれば、ラインをレベルワインドに通して、ドラグの動作を確認してみましょう。
また、ドラグサウンドがあるモデルでは、耳をあてて音の様子を確認します。
⑩メーカーから代替パーツが手に入るか確認
例:スペアスプールがあれば、スプールとスプール軸の劣化は無視できる
自分でオーバーホールやメンテナンスができる場合、代替パーツが手に入るかどうかも重要なチェックポイントです。
絶版リールでも、流通数が多い場合は比較的多くの代替パーツが販売されていることもあります。
あまり詳しくない人は、メーカーの純正パーツがサポート内(メーカーに在庫があるものか)なのかどうか確認しておきましょう。
シマノやダイワなど、大手釣り具メーカーの純正パーツは、全国の釣具店で取り寄せできます。
買い!な中古リールはどれ?
では、お買い得な中古リールにはどんなものがあるのでしょうか。
廃盤モデルで状態やリスクを許容できるもの
すでに廃盤になっているリールは新品で購入できないため、中古市場で手に入れるしかありません。
同モデルをどうしても欲しいという場合は、価格・状態をふまえて、リスクの許容ができるかを考えてみましょう。
問題なければ、「買い」です。
店舗やイベント展示品
中古リールとして扱われているものの中には、店舗やイベント等での展示品が含まれていることもあります。
こうしたリールは、人に触れられているものの、実釣では使用していないので、内部の状態がかなり良いことが多いと言えます。
展示中に小傷がついているものもありますが、ほとんど気にならない程度のことがほとんど。
新品の実売価格に対して、許容できる値引き額であれば、「買い」です。
汚れていることが低価格の理由になっているもの
実店舗の中古リールをみていると、ハンドルノブなどがコマセ等で汚れていることが理由で低価格になっているものがあります。
こうしたリールのうち、巻き感やクラッチの動作など、リール本来の機能が問題ないものは「買い」です。
ハンドルノブの汚れは中性洗剤とタワシ等で簡単にきれいになります。
洗浄後はハンドルノブ部分に注油しておきましょう。
購入メリットが薄い中古リールは?
あえて中古で買うメリットが高くないものもあります。
たとえば、新品と数千円しか変わらない中古リールは、リスクと得られるメリットを比較したときにメリットが薄いことがほとんど。
~5,000円ぐらい新品より安いという場合なら、すこしお金をだして新品を買ったほうがよいでしょう。
新品なら初期不良があっても、メーカーによるパーツ交換等がきくからです。
一方、中古リールの場合、一旦購入すると返品などのクレームは通らない前提で販売されています。
まとめ
関連アイテム
▼リールのメンテナンスアイテム。日常メンテは流水洗浄と乾燥で十分です。数度釣行したら、内部を開けず、オイルとグリスの注油をしましょう。数か月から半年に1回、パーツ洗浄・メインギアにグリスを足すなどをすると巻き感が回復します。ドラグユニットやワンウェイクラッチなどは指定以外のオイルやグリスを注油することで本来の機能性を損ねる可能性があります。注意しましょう。
▼ハンドルノブやハンドル部分は純正品や社外代替パーツに変えてしまうのも一つ。