三崎港によくいく。
しばらく前は海釣りといえば城ヶ島にはまっていたが、今はその北側に位置する三崎港がわたしにとって主戦場に変わった。
この三崎港、定番の花暮岸壁などは、トイレも釣り餌屋もあり便利で楽しくて良いと思うが、朝の7時にはもう釣り座がなかったりするほどの混み具合でちょっと困ることもしばしばだ。
そんなことを考えながら、冬になると浅場に移動してくるという未だ見ぬマコガレイについてネット界隈で調べたところ、知る人ぞ知る穴場として北条湾という場所が見つかった。
三崎港・北条湾へ
手に入れた情報に鼻息を膨らませ、昼過ぎに北条湾へ。
たしかに人はほぼ居なくて、のべ竿青年一名。
あとはたぶんメバルだろう。ワームヘチ釣りの方が二名程度。
すいている。落ち着くなあと深呼吸する。
綾鷹をあおる。空がきれいだ。
先日、ダイワの竿置を購入した。求め安い価格で、軽くてコンパクト。リュックにもおさまる。チョイ投げくらいならこれで十分。これは便利だ。
竿置があると、竿先のアタリも取りやすい。なにより、竿を堤防に直置きするとリールともども傷がつく。
道具は大切にしたい。スプールのラインにふれる部分がやられると、投げるたびにラインが摩耗する。
そんな悩みもこれで解決だ。
そんなこんなで準備万端整った。綾鷹をごくり。もう一つおまけに、ごくり。
北条湾西岸に鎮座する『スナックダンディ』を眺めながらの釣り。
どんな三崎のダンディが通うスナックなのか。その他、いくつかある喫茶店なども魅力的で三崎の懐は底知れない。
こちとらはじめからマコガレイ狙いということもあり。釣り餌屋で二パック仕入れたゴン太青イソメを投げている。
竿先に小物のアタリが出るのがよくわかる。
しかしながら、わたしが狙っているのは君たちではないのだよと余裕を装い、通りすがりのおっさんに挨拶をする。
釣れず・・・
この北条湾、地元の方々の散歩コースでもあるようだ。
だが・・・釣れず。
移動しつつ北条湾の最奥から城ヶ島方面を見やると陽も陰ってきた。
ここで花暮岸壁方面の北条湾沿いに移動して、絡んだ糸に「どうしてこうなんだーふあー」と、愚痴をこぼすオッさんを見流し、釣り座を設けて投げると、落ちハゼというのだろう大型のマハゼ二匹、そしてシロギス、なんらかのナブラのむこうでヒイラギ、さらに船際の浮き釣りでスズメダイが上がる。所謂雑魚の面々である。
カレイのアタリは一つもない。
錆びた漁船のスクリューについた付着物をクロダイの40センチくらいが逆さになってついばんでいる。
ちょっと、どきりとして、天秤仕掛けのまま目の前に落としてみる。
余裕でスルーというのは予想通り。
ときおり、湾内でイワシが追われる。
おそらくシーバスだろう。バシャバシャ、ドボンとボイルもある。
花暮岸壁側へ移動
暗くなって花暮岸壁に移動する。イワシがざっとみて250万匹は群れている。
ヘッドライトを照らすとキラキラとした銀鱗の群れの下に、潜水艦のようなシーバスがちらほら見える。80センチ弱程度あるものもいる。
どれも平静を装っているが、時おり海面にベイトを追い込んでいるようだ。
冬場の三崎港には、東京湾のシーバスが集まるらしい。
シーバスロッドにルアーをつけて投げてみたが、まったくアタリもない。
見向きもされない。餌が多すぎるのも、食いが下がるのではないか。
そんな考えが鎌首をもたげ、ヤル気を失って帰り支度をすると、
サーっと軽トラが近寄ってきて、白髪のおっさんが岸壁下をライトで照らす。
「釣れた?」
「いや、ダメですねー。」
「なんだよ、ダメかよ。シマイサキくらい釣れればいいのにな。」
「何をとってるんですか?」
「あー、釣り餌。ガンガゼ」
ガンガゼというのはウニの仲間で針が長く毒がある。
おっさんは、長柄のタモ網でガンガゼをとる。
イシダイの釣り餌のようだ。今夜は少ないし、風もあるし水量があるからよく見えないとのこと。
荷台にのせたポリバケツを覗くと、あきらかに危険生物の面構えをしたガンガゼがわさわさしている。
帰宅して寂びしい釣果をさばいて、冷蔵庫へ。
翌日初秋に下処理していた弁天橋のハゼとまとめて天ぷらに。美味。嗚呼、雑魚釣りも雑魚釣りで愉しいもんだ。
ではでは。