仕事柄、釣り業界の各当事者のサイトをよく拝見します。
先日グローブライド(ダイワ)さんのリーディングアームという形状記憶合金利用の天秤を購入し、1度使用したあと、丸くたたんで二度目に別の船宿でいざ準備しようとしたところ針金の根本が折れていました。
よくSNS上では、釣り竿が折れたとかリールが壊れたとか、ラインがすぐ切れたというように立腹している方をお見受けするものの、扱いの問題も多いのだろうなと思っています。
今回の自分の場合はどうか。
天秤自体は、コンパクトに丸められるということですので、丸めてボートバッグにいれ他の備品と干渉しないようにしていました。これはたぶん通常の使用の範囲内なのではないか。
とはいえ、使用者としてこれが自分の落ち度なのか、それとも製品の構造上の要素があるのかわからないので、グローブライドさんのヘルプデスクに電話したところ丁寧に対応いただき、購入した上州屋さんの別店舗経由でグローブライドさんに送られチェックして連絡するとのことでいったん対応待ちです。
こちらの件は上州屋さん経由で、新品に交換いただけることになりました。
グローブライドさんの場合、釣り以外にも多岐にわたって製品展開をしているためきっちりコールセンターを用意しているのだろうなというのが全体的な印象です。
ほかにもウェブアンケートというものを用意していて積極的にユーザーの声に耳を傾けようとしている姿勢が感じられます。
と、ここで他の釣り具メーカーの場合はどうなのだろうと、いろいろとチェックをしてみたところ、海釣りの仕掛けを多く手掛けている株式会社ハヤブサさんのページが印象的だったので紹介します。
ハヤブサさんの場合
これがハヤブサさんのメインサイトですね。昨今のウェブデザインのブームからは離れていますが、デザイン面でかなり独自性の強いサイトでインパクトがあるなという印象です。
で、デザインはどうでもよいのですが、このページのフッター部分にいくと、
む。
クレーム募集というコンテンツがありました。
クレーム募集?
へー積極的にクレームを募集しているのかな。
と、クリックしてみたところ以下のページにたどりつきました。
「鈎が錆びてた…」「大物を釣ったらが鈎が伸びた!」
ハヤブサへの不満を感じた皆様の声をお聞かせ下さい。どんな些細なことでもかまいません。皆様の感じたことを少しでも多く改善し、より良い製品造り、より良い企業を目指していきます。皆様に気持ちよくアウトドアライフを過ごしていただくことが、私たちの願いです。
お気軽にご入力ください。
なにこの誠実さ。
こういった形で、失敗を前向きにとらえ研究開発に活かす姿勢というのはなかなかユーザーに伝えにくいものですが、このように積極的にクレームを受けとめていくコンテンツを用意しておくのは良い案ですね。
サービス提供元の会社の姿勢を感じて好印象を持ちました。
わたしは、仕事の一つとして人材ビジネス向けのコンサルティングも行っているのですが、どの業界でもミスやクレームは隠したくなるものです。
人材ビジネスの場合は、ウェブサイト上に口コミを掲載していたりしますが、掲載されないクレームもたくさんあるわけです。
- キャリアコンサルタントの対応が悪い
- 連絡がない
etc.
一方クレームなんてものは、どんな優良企業にもあるものなので、積極的に開示していって改善の姿勢をみせることが、攻めの経営につながるのではないかと思います。
たとえば、食品等のスーパー西友では、お客様の声としてどんなくだらないクレームでも責任者による回答をそえて掲示しています。
「消泡剤をつかっていない○○という豆腐がなくなった!ふざけるな!」
こういった常識人からみるとしょうもない人への回答も、
「誠に申し訳ございません。○○については全店で売り上げが芳しくないため、商品を入れ替えさせていただきました。○○と同様の品質と思われる消泡剤をつかっていない△△という商品を代わりにいれてありますので、一度そちらをお試しいただければ幸いです」
というようにしっかり回答しているのをみると、大多数の常識人からみれば、西友さんはしょうもないクレームにしっかり回答していて素晴らしいなと思うわけです。
これも、ユーザーの不満をしっかり受け止め、謝って改善するところは改善し、無理であることはしっかり無理と伝える仕組なのでしょう。
▶さらに進んだCRMの仕組み
さらに進んだCRMの仕組み
ハヤブサさんのコンテンツが素晴らしかったので共有しようとおもってこの記事を書きましたが、さらに進んで、西友のCRM手法をとりいれて、
「50センチの真鯛を△△の鈎で釣ったらが鈎が伸びて逃がしてしまった!ふざけるな」というクレーム対して、
「申し訳ございません。当社スタッフが実際に50センチの真鯛(想定重量○○)を△△の針で釣った確認したところ、現状の仕様では釣り方によっては鈎が伸びてしまうことがわかりました。本内容は研究開発部門に共有しまして、素材の選定ならびに成型・研磨工程を工夫しまして改善するようにいたします。新規格でご提供するまでは○号の○鈎をご利用いただければ幸いです。今後ともよろしくお願いします」
であったり、
「○○のPEラインを新品でつかってみたところ、30㎝のシーバスが釣れただけで切れてしまったぞ!」というクレーム対して、
「申し訳ございません。該当ラインの出荷番数を確認したところ、強度に問題はございませんでした。一方なんらかの形でPEラインに傷が入っていた可能性もございます。ぜひ今一度当社製品をご利用いただきたく代替品を送付させていただければと思います。今後ともよろしくお願いします」
というような対応をうけたら、わたしだったら、たぶんそのメーカーの製品をさらに使い込むだろうなと思います。(わたしだったらそのような喧嘩腰のクレームはしないのですが)
ウェブに『お客様からのお叱り集』(クレームというよりはお叱りという表現があっているような気がしないでもない)というコンテンツを用意していけば、カスタマーサポートサイドや研究開発再度の練度もあがりますし、釣り道具についてのコンテンツが無数に出来上がり、該当キーワードに対して一定価値があるようであれば、結果的に自社製品ユーザーを集客することにつながるかもしれません。
上の内容は人材ビジネス企業に提案していたものの、「まーちょっとむずかしいですよね」という観点で流れてしまいましたが、他がやらない「まーちょっとむずかしいですよね」をやる企業が突き抜けるんだろうなーとビジネスコンサルタントとしては思うばかりです。
遊漁船業界もカスタマーサポートを突き詰めていけばこちらのような内容がいいのではないかと思います。
※ほんと言葉はわるいですが遊漁船のオーナーのみなさんは、webから予約もできないしフォントが崩れて、スマートフォンにも最適化されていないしょうもないクソサイトを捨てて、ちゃんとサービス業としての経営体制を見直していったほうがよいですよ。
もしくは、ちょっと古いですがザッポスの奇跡を読むことからはじめましょう!