みなさんは、アジを釣ったらどのように処理していますか?
一番多いのが、氷締め(潮氷につけて締める)なのかなと思います。わたしはと言えば、以前、或る遊漁船に乗ったときにアジを1尾ずつ速殺して、血抜きしていたところ、
船長からマイクでアナウンスがあり、
「アジは血抜きしなくても大丈夫なんで、氷締めしてもらえますか」
といわれて以来、なんだかなーと思いながらもだいたい氷締めをしています。
先日、ボートでアジングをした際に、船長が血抜きすると生のアジはぜんぜん違うと言われて食べてみて、やっぱり、血の味というか雑味がすくなくなり、保存性もあがるので、時間があれば血抜きしたほうがいいよねーと思うにいたりました。
今回はアジの血抜きについて考察していきます。
関アジの下処理方法
「ブランド鯵」と呼ばれるものが日本全国にあるわけですが、もっとも有名なのが大分の関アジかと思います。
これは、愛媛側でも同じ海域のアジがあがっていて、岬アジ(はなあじ)とも呼ばれているものなのですが、処理方法は以下の通り。
- 釣り上げたアジを船の生け簀にいれて、港までもっていく
- 港の海面生け簀で一定期間アジを落ち着かせる
- 海面いけすから、魚をすくい、エラ上に包丁を差し込み速殺・神経締め・血抜きを行う
- 温度管理をしながら出荷
だいたいはこのような工程です。
一度、関アジや岬アジ(はなあじ)を食べたことがあるんですが、身の弾力や旨み、雑味のなさが通常のアジとまったくことなるなーと感じたことがあります。
スーパーで売られていた関アジ。幅広で見るからに旨そう。
1キロ5,800円。。。
なぜ船宿の船長やベテラン釣り人は氷締めを推奨するのか
神経締めは締め具の必要性など難易度が高いながらも、理論的にも明らかに締めて放血したほうがうまいし保存性もたかまるマアジ。
では、なぜ船宿の船長は氷締めを推奨するんでしょうか。
また、ベテラン釣り人もなぜ、
「アジは氷締めでOKだから。血があまりないし」
みたいなレクチャーをするのでしょうか。
これはご本人たちにきいたことがないわけですが、きっと、以下のような理由ではないかなと思います。
- 自分が先人に教えられたことを妄信している
- アジを1尾ずつ血抜きされると、手間がかかり、コマセワークも断続的になり結果的に釣果が少なくなり、船全体の釣果に関わり集客に影響する??
- 船上で血抜きをされると、血で汚れるのが嫌だ(ちゃんと洗い流さない釣り人もいるはず)
- 船上でハサミやナイフなどを使うと怪我につながる
- 小型のアジは締めなくてもさほど血が回らない
といったところかなと思いました。
次に一つずつ補足していきます。
1.自分が先人に教えられたことを妄信している
これはどの釣りにも多いんですが、誰かに教えられたことを「そうあるべき」と思い込んでしまう人というのは遊漁船に限らず釣り業界には多いような印象です。
これは論理的な判断というよりも、ふるめの体育会系的な判断で、「いいから守れよ」みたいなところもあるかなと。
釣りをはじめると、いろんなところでこう言った論拠がない妄信系は多い気がしています。
「○○したほうがいい」「○○は▲▲を使う」というような指定や指示系については、自分の頭で考えて、なぜそうなのかを納得できればよいですし、そうでなかれば「なぜ○○なのか?」というようなことは物わかりのいい大人ぶらないでどんどん聞いていけばよいと思います。
2.アジを1尾ずつ血抜きされると、手間がかかり、コマセワークも断続的になり結果的に釣果が少なくなり、船全体の釣果に関わり集客に影響する??
これは、船長がそのように考えているかはわからないのですが、結果的にもし、乗客の全員が行えばそうなるかなーと思います。
一方、アジといえば、1日船で、3本針をつかえば数十尾からは百尾ぐらいは釣れることもある釣り物で、食べきれないんじゃないかと思うこともしばしばです。
ビッグダディ系の大家族でもなければ10尾前後いればまーいいと思いますし、干物等にしたかったりおすそ分けをするとしても20-30尾いればいいんじゃないかなと思います。
一方、やっぱり釣り客としては船宿のサイトやSNSでの発信情報をみて、「アジ、5-30、ぽつぽつとひろい釣りでした」みたいなのをもとに予約するので、スソと竿頭の釣果はそれぞれ伸ばしたいよなーという考えはありそうです
3.船上で血抜きをされると、血で汚れるのが嫌だ(ちゃんと洗い流さない釣り人もいるはず)
これは先日知人が言ったのをきいて、なるほどなーと思ったことなのですが、船上で血抜きするときに、座席でおこなったり血が飛び散ったりとかは船の持ち主である船長からしたらイヤだなというのはあるかもしれません。
血糊が乾燥しないうちに、しっかり海水で洗い流したり、雑巾で拭えばよいですが、釣り人にも、人や周りに配慮できないような方もいますし、そういう注意はメンドクサイのかもなと思います。
4.船上でハサミやナイフなどを使うと怪我につながる
比較的ハサミは安全だと思うのですが、船は常に揺れてますし、風や波の状況によっては座っているのがやっとのときもあります。
こうしたときにナイフなどを頻繁につかっていると、怪我をしやすいというはあるのかもなと思います。
5.小型のアジは締めなくてもさほど血が回らない
小型の魚だとそれほど血が回らないという話はいろんなところでききますね。
とはいえ、よく考えると魚の身体における血の含有率あたりは、サイズで変わるもんでもなさそうな気がします。
小型の魚は、調理が難しいため、生食よりは揚げ物などの加熱料理が多いということもあり、その場合、味の微妙な変化を誤魔化すことができるというのはありそうです。
最後に
今回は、以前から気になっていた「釣りのなぜ」の一つ、乗合船におけるアジの血抜きについて考察しました。
研究者ではないので、釣ったアジについて、氷締めと刃物等で速殺して血抜きしたものの味について、データから言及はできていません。
が、個人的には血は生食する場合、どの魚でも旨味というよりは雑味につながりますし、保存性を落とす要因だと考えています。
余裕があるときや、良型のアジは血抜きして、それ以外は氷締めでもよいかなと思っています。
みなさんは、どう思いますか?
SNSなどでコメントいただければと思います!
ではでは。
アジの血抜きの是非について(追記)
読者のみなさんから、以下の観点もあるのではと教えてもらいました。
- 血が出るとサメが寄るからでは?サメが寄るとアジが散ってしまう
- ナイフやハサミで締めなれてないと速殺できず、魚が暴れて身焼けや打撲が起きたり、エネルギーの消費によって旨味成分が減ってまずくなる
- 血が海に流れることによってアジの群れが散ってしまう
- アジのような青物は新鮮であれば血自体も旨み(風味)の一つなのですぐに食べるのであれば血抜きしないほうがいい
たしかにこのような観点もありそうですね。
また、以下のようなコメントもいただきました。
大分のアジ釣り遊漁船は個人用の生簀がついてる遊漁船があったり、神経締めで魚を締めてくれる遊漁船もありますのでHP等でご確認されたり、ご予約の際に各船宿さんに問い合わせてからご乗船されれば良いですよ。 https://t.co/EnmCMgzM8y
— 大分ブルーホーク【公式】 (@bluehawk2015) 2018年6月8日
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