シーバスやブラックバスやショアからのヒラメ釣りは釣り人口が多いだけあって、いろんな人がいる。
なかにはちょっとおかしな人もいる。
たとえば、SNSにシーバスことスズキをUPすると、心無い人から、「それはセイゴだよ」というようにコメントがついているのをみたり。
ビギナーが、
「ちっさいけどヒラメを釣りました」
と、うれしそうにUPすると
「それはソゲでしょ」
みたいにシッタカというかマウンティングするような人がいる。
スズキ=(セイゴ・フッコ・スズキ)という総称であって、それを全部シーバスと呼ぶのはそれぞれの自由なんじゃないかな。と思いながらも、人は匿名になると急に攻撃的になってしまうから始末が悪い。とはいっても、最近じゃ、実名なのに無駄に攻撃的な人もいるんだけどもね。
そういうのはどうでもよいんだけど、たしかにがっしりしたシーバスを釣りたい。
セイゴとかじゃなくて、もっとデカイやつを釣りたい。
当時そんなことを思っていた。
これは、東京に住んでいるとき、いやうそだ。東京に川崎から通っているときの話。
シーバス釣りはなかなかチャレンジできていなかった
東京湾、いうなれば湾奥は日本有数のシーバス釣りのメッカ。
所謂、マンメードストラクチャー(人工建造物をかっこよくいった用語)だらけで、かつての水質汚濁のイメージもあって、とったスズキを食べずリリースすることも多く、シーバスはかなり繁殖している。
と、知っていながら、なかなか手をつけていなかったなと思い、当時ナマズ釣りにこっていたわたしは多摩川某所に出かけた。
このときは或る理由で仕事が手につかず。すっかり飽きてしまって、夕方になると、いわゆるロクピタ(18時にダッシュで仕事を終えること)で帰宅するのが大体19時30分。
当時のメンバーには、「んじゃ、俺帰るわ。あと頼むわー」と、毎日言っていた気がする。これはやがて仕事をやめるから、自分がやっていることは彼一人でできるように引き継ぐ一環であった。(ということにしている)
帰宅後、鼻息荒く適当に菓子パンあたりをかじって、足早にリーダーを組んでバイクにのって多摩川の河口に通っていた。
胸が高鳴る。
バイクが疾走する。
多摩川も大師橋をすぎれば、まさに河口。
羽田空港を発着する便や京浜工業地帯のネオン。
大潮満潮潮どまり1時間でポイントに滑り込んで、下げの2、3時間まで釣りをするという予定だ。
「釣れない」を繰り返して得るもの
何かの釣りをするとき、その釣りをやっている先人がいると釣りは楽だ(ただし性格がいい人)
だって、その人に、いつ、どうやってやれば釣れるか聞けるしね。おかっぱりの釣りの場合、ポイントが要になるので、それが聞ければもう釣れるまではあと一歩ぐらいまで行っている。
が、このとき、わたしのまわりには、シーバスを多摩川河口でやっている人がいなかった。
というか、釣り人がまわりにいなかった。
社会人になって以来、釣りからはなれていたので、まわりにそういった人がいなかったんだと思う。
ということで、日々、自分でGoogleマップとにらめっこをして、それらしきポイントを定めたり。
たとえば海老取川とか。
で、実際にいくと、干潮だとあのあたりは干潟になって釣りにならないんだなーということに気づいたり。
フローティングミノーやトップウォータープラグ以外はかなりつらい釣り場なんだなーと気づいたり。
釣り人は、こうして、いろんな失敗を繰り返していく。
一度根がかりをして、同じところで根がかりをしてしまうのはダメだけど、最初の根がかりはどうしようもないところも多い。
そんなこんなで、俺たち釣り人は、いろいろな知識を経て、次の釣行に活かしていく。
最初はぜんぜん釣れない。
アタリもなんにもない。
ほんとうにこんなところでシーバスが釣れるんだろうか。
・・・
と、あるときに、ウェーダーを着たシーバス狙いの釣り人が、川をさらに下っていくのを見た。
釣り慣れている人なんだろう。
或る日、同じようにためしにくだっていくと、そこには、ある障害物があって、とある時間帯は常夜灯光が照っている。
そこに多摩川のゆるやかな流れのヨレがぶつかっている。
釣り人特有の「ここは釣れる」というイメージ
釣り人共通の意識として、「ここは間違いなく釣れる」というものを感じるときがあると思う。
空気の様子。
風の向きや強さ、潮、水の濁り、ベイトが騒いでいる様。
などなど。
そういった好条件が重なると、なんだか鳥肌が立って鼻息が荒くなる。
ちらほら、ボラとは異なるような重量感のライズがみられる。
ボラが跳ねるときはだいたい連続で跳ね、重量は軽め。シーバスが跳ねる時は、エラ洗い的なうごきをしながら重量感を感じるような気がしている。
慎重に深さを確認しながらウェーディングしていく。
きっとアカエイがいるので、すり足で。
深さは無理せず、ひざ上ぐらいまでにしておく。
そこから障害物と流れのヨレが生じる上流部分にキャストする。
水深はおそらく深いところでMAX2mぐらい。
きっとシーバスはサゲのながれにのって海へ下るボラっこやらのベイトを障害物付近に生じた暗がりに潜みつつおそいかかっているはずと仮定する。
ならば、ソコだな。
というポイントがどんな釣り場にもできる。
それは時間帯によって異なるかもしれないけども。
ダイワのショアラインシャイナーバーティスZのシルバーに黒い背のカラー。このフローティングミノーをキャスト。
勝負は早かった。
着水をして、流れされながらスローリトリーブして、2、3巻きしたあたりだろうか。
グワン。
と、バイト。
たぶんこれはシーバスだ。
デカイはず。
多摩川のサゲの流れがあるのと、かなりの重量感。秋はシーバスがベイトをさかんに食べて太る時期。なかには抱卵しているものもいるだろう。
とにかく重い。
ミディアムライトのパックロッドがバットから曲がる。
はじめは竿をたてて障害物やそのまわりにある牡蠣殻でPEラインがすれないようにする。
そしてエラ洗い。
エラ洗いの連続。
ここでロッドを下げる。
どこか聞いたことがるのだが、シーバス釣りのプロは、エラ洗いを予知して、ラインテンションをゆるめたりするそうだ。そうすると、シーバスはエラ洗いせず、また潜る。
というようなことは当時の予備知識にはなかったので、そのシーバスはもぐったり、エラ洗いを何度も繰り返した。
そして、観念したかのようによってくる。
ここでわたしはフィッシュグリップをつかいたくなかったので、ランディングネットですくい、シーバスの口を右手でしっかり押さえる。暴れるシーバス。
すごい力だ。
・・・
いそいで陸へ。
動悸がすごい。
アドレナリンが最高潮なんだろう。
こうして、この日は数本のシーバスを釣ることができた。
デカイシーバスの口には大人の男の拳がかるく入ってしまう。
このあたりの写真はどれがいつ釣ったものかわからないが、最高で80cm弱。
どれもが、腹太で重い。
その後も釣れ続いて、数本のシーバスを釣り、予定時刻を大幅に過ぎて、深夜も深夜のど真ん中すぎ。
やがてサゲどまりが来て、ようやく帰宅した。
翌朝も仕事がある。
でも、また明日もこよう。そうおもった。
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※多摩川河口でシーバスを釣るときは水深の浅さを意識したほうがいい。泥底ならよいが、意外と根(+牡蠣殻)が荒いため、沈むルアーはご法度だと思う。フローティングミノーがオススメ。それと、牡蠣殻にフックが引っかかるとすぐにハリ先が甘くなるのでスペアも重要。