この記事では「釣り人がなぜ遺体に遭遇しやすいのか?」について、その理由を考察しました。
毎日のようにニュースにでてくる釣り場での遺体発見。
そして、発見者は「犬の散歩をしていた近隣住民」もしくは「釣り人」という報道。
なぜ釣り人なんでしょうか?
釣り人は遺体によく出会う?
筆者が都市河川河口で遭遇した遺体、じゃなくて服のかたまり(砂泥でぱんぱん)
映画やドラマをみていると、川や海で遺体をみつけた釣り人に刑事が事情聴取しているシーンがでてきますね。
「死亡推定時刻はゆうべの20時ごろとおもわれます」
「腐敗がすすんで浮き上がってきたんでしょう。2週間はたってますね」
「つけられていた重しの残骸がみつかりましたが、ガイシャ1人では縛れないので他殺かと」
などなど。
その他、毎週のように釣り人が遺体を発見したというようなニュースが流れてきます。
最近でも、頻繁に釣り人が水辺の遺体を発見しています。
- 川の中州に性別不明遺体 釣り人が発見、通報
- 男性遺体、湖に浮く…はだしで丸刈り、身長174センチ 釣り人が発見 入院していた可能性も/埼玉・蕨署
- 琵琶湖の沖合1・5キロに男性遺体、釣り人が発見 身長165センチ、短髪白髪交じり
- お揃いの救命胴衣つけ…海岸で夫婦の遺体見つかる 船で釣りをしていて誤って転落か 愛知
- 《千葉・女性バラバラ殺人》海に浮かぶ遺体の一部、釣り人は魚をリリース
- 港に下半身だけの遺体 釣り人が発見し通報 兵庫・赤穂
- 秋田運河に乗用車転落、男性死亡
- カヌーで不明の男性 沖島で遺体見つかる
・・・
それは、田んぼの脇を流れる用水路。
それは、都市河川の河川敷。
それは、河口。
それは、漁港の岸壁。
それは、ヒラメなどが釣れるサーフ。
・・・
様々な水辺で多くの遺体を発見する釣り人。
では、釣り人が事件解明のキーパーソンになるのかというと、だいたいそんなことはありません。
ただ朝まずめや夜釣りで好きな釣りをしていただけなのに、偶然遺体に遭遇してしまっただけ、これがほとんどのはずです。
刑事ドラマでも釣り人はサクっと事情聴取で終わり、だいたい疑われませんね。
本当は、第一発見者として何度も状況説明を求められるのが常です。
なぜ釣り人は遺体を見つけやすいのか?
一見すると死体にみえるものが水辺にはあってビビることも
では、なぜ釣り人は遺体に遭遇しやすいのでしょうか。
これは以下の理由があるのでしょう。
朝まずめや夜釣りなど人が寝ている時間帯にも行動しがち・・・
釣り人は執念の生き物です。
釣果を上げたいがために、ほかの人が行動しない時間帯に行動するというのも例外ではなく、ごく普通の行為です。
夜通しの釣り、未明から朝まずめにかけての釣り。
こうした時間帯は、統計的にも犯罪発生率が高いことがわかっています。
また、闇に乗じて、犯人が遺体を投棄したり、隠ぺいする時間帯としても高いと言えます。
出典:神奈川県警
殺人事件の加害者側の視点にたったときに、やはり遺体を隠蔽するには目立たない夜間を選びたくなるはずです。
他殺ではなく自殺のケースも、白昼堂々人に見られながら自殺するよりも、だれにも止められないで「ひっそりと命を絶ちたい」という意識が働くのかもしれません。
その他、他殺・自殺以外に事故死という可能性もあります。
事故死の場合は、どんなケースでしょうか。
- 夜間酔っぱらっていて橋、堤防、水路から落下
- 見通しの悪い夜の河川敷や港で、車のブレーキとアクセルを間違えて落下
こんな場面が考えられます。
誰よりも水底を熱心にさぐったり、遠投してルアーを引いたりするため
人が行動しない時間帯に水辺にいることが多いだけでなく、釣り針で方々を熱心に探るという行為も遺体発見につながりやすいと言えます。
仮にガスで膨れ上がった遺体などは浮力のため、ルアーなどでひっかけたとしても、引き寄せられることがあるわけです。
そもそも水辺はいろんなものが捨てられたり流されてくる場所
日本には、「水に流す」という言葉があります。
「よし、これまでのことは水に流して、これからは仲良くやろう」
この言葉は過去の争いやわだかまりなどを、「すべてなかったこと」にして清算することを指します。
民俗学的な見地からも日本人には、こういった水によって物事を浄化する思想があるのかもしれません。
日本が水が豊富な国なのは間違いありません。
何らかの汚れ(余分なもの・邪魔なもの)がでると、水で洗い流してしまう。
家や店舗の周りを水で流して清める行為は、街を歩けばよく見られます。
その汚れは、自分のまわりにはなくなるが、やがて下流にくだっていくわけです。
今は豊かな時代で、社会保障の仕組みにより、知識さえあれば、お金がなくても誰でも生き続けることができる社会です。
一方、さかのぼれば、社会保障などなく、誰も頼りにできないような時代がありました。
親類もふくめて、だれも頼ることができない。
みんな同じような環境だったり、親しい人にこそ言えないことがある。
結果、なんとか自己解決しようする。
そういった悲しい思考の流れから、飢饉が起きると養えない子供を間引くという習慣もありました。
飢饉以外にも村社会において受け入れることができない子供(婚外子)なども、間引かれ闇に流されたのかもしれません。
うまれたばかりの赤ん坊を養えないという理由で、生んだそばから枕を押し当て圧死させ、川に流したことも実際にあったといわれています。
遠野物語のカッパ、水木しげるのマンガにでてくる妖怪・川赤子などなど。
それらの妖怪は、共同体から水に流されて、その存在をやましく思うヒトの想像力が作り上げたものなのかもしれません。
このように人を殺しても、水に流せば清めれる。穢れが消えて、リセットされる。
そんな思想が知らず知らずのうちに受け継がれているのでしょうか。
はたまた、たんに隠蔽性が高いからなのかわかりません。
理由はわかりませんが、殺人犯は今日も誰かの遺体を川や湖沼・海へ投棄するわけです。
水辺で遺体を発見したら・・・・
釣り場にいったら遺体を発見してしまった。
タコ釣りをしていたら死体を引きあげてしまった。
そんなことも、これから釣りを続けるのであれば全くないとはいえません。
もし水辺で遺体を発見することがあったら、触れず、すぐに警察に通報しましょう。
第一発見者としての聴取は、無実でも長時間になりがちです。
個人的に、今まで水辺では犬・鼠・謎の哺乳類(豚?)の死体を目撃してきましたが、これからも人間の遺体には出会いたくないものです。
また自分が遺体にならないように十分気を付けたいと思います。
みなさんも安全には気をつけて釣りを楽しんでください。