釣りという趣味は、日本においては「遊漁」として扱われています。
内水面では漁業権による、釣りのライセンス(釣り券)が存在していますが、それ以外では比較的自由に釣りができる国と言えます。
筆者の従妹はオーストラリアに住んでいるのですが、釣りをするためにはライセンスの取得(ネットで可能)やリリースサイズなどが厳密に定められています。
これはヨーロッパでも一緒で、国によっては釣りをやることができるのは本当に一部の層であったりします。
その点、日本は思い当たったら誰でも釣りにチャレンジできるという点はとても恵まれているのかもしれません。
一方、誰でも気軽にチャレンジできるということは、ルールやマナーを守れない人が参入してくることにもつながります。
かつて数度あったブラックバスブームではファッション感覚先行でルールやマナーだけでなく法律を守らない釣り人によるトラブルも散見されていました。
またバス釣り以外でも同じように、釣り場にごみを平気で不法時したり、釣り場に負担をかけ、他の釣り人に迷惑な行為をする人もしばしばみられます。
今回は、あまり面白い話でもないのですが「遊漁」としての魚釣りについて、法令面等を解説します。
釣りと漁業の違い
「釣り」に対して、釣り人がどのようなスタンスで臨んでいるかは人によっても異なりますが、法令的には、釣りは遊漁(遊び)として扱われています。遊びというのは非営利であるということで、営利目的の「漁業」とのすみ分けができています。
漁業法と水産資源保護法
遊びとしての釣りも漁業も、同じく限りある水産資源をとることで成り立っています。
有限である水産資源をとりきってしまうと様々な問題が起きるため、国は漁業法と水産資源保護法を定めています。
よく言われる「○○は採ってはいけない」という話は漁業法を根拠としているわけです。また毒物を流したり爆薬などをつかった漁法などは水産資源保護法によって禁止されています。
東南アジアには、ダイナマイト漁というものがまだ残っているところがあります。これは、爆薬をしかけて一定海域の魚を種類やサイズを問わず一網打尽にしてしまう方法なのですが、結果的に漁を行った海域の水産資源は減少してしまい、小型の魚しか取れなくなってしまう現状があります。
以前、日本にも沢に植物由来の毒を流す漁法がありましたが、これらも川の一定流域の生物をすべて淘汰してしまう漁法でありダイナマイト漁と同様の結果をもたらしました。
遊漁というと釣りが目立ちますが、釣りだけでなく以下のものが含まれます。
- 潮干狩り
- 磯場での採集
- 素潜りでの採集
漁業権の設定有無のほかに、日本の内水面、海面での行動はすべて法律に制限されると覚えておきましょう。
漁業調整規則
各都道府県では漁業法と水産資源保護法に基づき、知事が「漁業調整規則」を定めています。
これは都道府県によって異なるため、釣りや採集を行う自治体のルールを確認して遊ぶ必要があります。
漁業調整規則では以下のようなことが定められています。
- 遊漁者が使用可能な漁具・漁法
- 採捕できる大きさの規制
- 魚種ごとの採捕禁止期間
こうしたルールにを破り、摘発されると法的な処分を受ける可能性があるので注意が必要です。
海区漁業調整委員会の指示
海区漁業調整委員会の指示とは、漁業法に基づいて必要な場合、関係者に対し必要な指示をすることができるされているものです。
神奈川県では現在(2019-02-07)、以下のような指示が発動しています。
- 神奈川県地先海面におけるいわしの採捕を目的とする中型まき網漁業の操業制限
- 東京湾横断道路木更津人工島「海ほたる」周辺海域における水産動植物の採捕及び遊漁船案内の禁止
- 油いか、油布を使用する釣り又は延縄漁業の操業制限
- 神奈川県地先海面における宝石サンゴ採捕禁止
- まき餌籠の大きさ及び数の制限
- 横浜市金沢区白帆地先「金沢地区浅場」における水産動植物の採捕禁止
- 定置漁業の保護区域の設定
- 横浜市金沢区地先漁場における操業の制限
出典:神奈川県
これらは基本的に漁業者同士の取り決めではありますが、マイボート等で釣りをする際は、定置網漁業の保護区域等と干渉することもあるのでチェックが必要です。
遊漁規則
遊漁規則とは内水面漁協(川・沼・湖・池等)が漁協組合員以外が漁業権対象魚種の遊漁に対して一定の制限を設けていることです。
遊漁船業の適正化に関する法律
釣り船や渡船等の遊漁船には、遊漁船業の登録を都道府県知事から受けないと営業ができません。釣り人も、遊漁船登録がある釣り船に乗船しましょう。遊漁船登録済みの釣り船には損害賠償保険等に加入しています。