雨がたくさんふって、なんとかく気が滅入る梅雨。
この季節だからこそ、おいしくなる魚もたくさんいるんです。特にためしてほしい魚が「マイワシ」。
マイワシが一年でもっともうまいのは梅雨シーズン
マイワシの旬は6月、7月の梅雨シーズンです。産卵にともない皮下脂肪が特に増えるのです。
国内での水揚げは圧倒的に千葉・銚子港が第一なのですが、これは利根川から豊富にながれこむ淡水と黒潮と親潮のぶつかるエリアでプランクトンが増えマイワシが集まるため。
こちらは横須賀長井産のマイワシ。
購入したのは逗子駅前で地元で愛される魚屋「魚佐次」さんです。
イワシは「鰯」と書くぐらいであって筋肉がやわらかく、内臓もすぐに溶けて腐っていきます。そのため、生食にするのであれば水揚げされたばかりがベストと覚えておきましょう。
梅雨シーズンは生食用のマイワシ(銚子水揚げ)が関東でも多く流通するものの、三浦半島西岸の逗子で消費するのであれば陸上輸送の距離が短い長井で水揚げされたものが鮮度がよいのではないかと思ったわけです。
魚は水揚げ港の名前で販売されるものなので、長井港水揚げといってもどこで獲れたものかは不明なのですが、それほど遠距離まで移動して漁獲するとも思えないので相模湾の沖合なのでしょう。
初夏の相模湾だと他にも、カタクチイワシとウルメイワシが漁獲されますが、とくに旨いのがこのマイワシなのです。
4尾で400円。
だいたい、「どれがいい?」と選ばせてくれるんですが、どうやら、選んだ皿の一尾に深く切り傷がついていた様子。これをみた魚佐次のおじいちゃんが、おまけしてくれて5尾に。こういうのは、対面商売のメリットですね。
傷が深いものは水気も身に入っているだろうと想定してこれは梅煮にすることに。
入梅雨イワシを刺身にする
こちら持ち帰ったマイワシ。
午後14時ぐらいに購入して、冷蔵庫のチルドルームにいれておき、捌いたのは深夜。本当は買ったらすぐさばいて食べるとよいと思います。
初夏の黄アジ同様、脂がかなり多い魚は、室温が高くなる季節はさばいている途中に身がデロンデロンになります。そのため、氷水(塩水にするとなおよい)につけながら調理するのがオススメです。
いい、顔してますねー。つややか。
これが日がたつと、眼がどよーんとして、身がへたり、血がどんどんにじみ出てくるのです。
いいマイワシはつややかで透明感があって、臭みはゼロ。
鰯のうろこはとれやすいものの、こうしてうろこが残っているのも目利きのポイント。
頭と腹部分をサクっとおとして、内臓をぬいて血合いを洗い落とす。
あんまりごしごしやると、あばら部分が崩壊するので注意です。ていねいに。
身が柔らかいので手でさばくこともできますが、よく切れる包丁をつかったほうがきれいに仕上がります。
内臓をとったあとはまな板を変えるのがベスト(食中毒予防&臭みが身につくのを防ぐ)
あとは尾側から大名おろし。
2枚。
3枚。
あとは腹骨をうすくすく。
皮は頭側の背からつかんで、あとは指のはらではがしていくと比較的うまくいきます。
先を焦ったり、身があたたまっているとこの脂肪がごっそり落ちてしまうので注意。
バットの上にキッチンペーパーをしき、マイワシのサクをならべて冷蔵庫に15分ほどしまっておきます。
これで、やや水分をとりつつ、刺身にもしやすくなるのです。
冷蔵庫にしまう前に骨抜きもしておくとよいでしょう。イワシの骨は柔らかいので、気にならない人は、そのまま食べてもよいと思います。カルシウム補給ということで。
手前はサクを数枚にスライスしたもの、奥はサクをざっくり3枚にしたもの
あとはやや分厚く切り身にしていき、盛り付ける。
鰯はこまかく切るより、斜に、あるていど分厚くきったものを数枚箸でとって、たっぷりの薬味と食べるほうが旨いと思うのです。
脂がすごい。
しょうゆとポン酢は好みなんですが、両方用意して、ちょっと脂にあきたとおもったらポン酢に切り替えるとさっぱり。
ねり梅をしゅうゆにまぜてもさっぱり。大葉もよく合います。
薬味はわさびよりは断然しょうがで、これはチューブよりは、ひと手間かけてすりおろしたほうが抜群にうまいです。
ちょうど青柚子が売っていたので絞ってみたんですが、柑橘の酸味をかけることによって飽きもこず、あっという間に一皿(70~100g級のマイワシ2尾)が消えます。
梅雨はイサキも黄アジも抜群にうまいですが、刺身にしたときに、さらに一等上にあるうまさなのがマイワシなんじゃないかなと。
臭みはまったくなく、下の上でとけていく甘み。
みなさんも鮮度が高いマイワシをみつけたら刺身にしてみるとよいですよ。酢漬けや梅煮もまた格別です。それはまた別のお話で。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
<イワシを刺身にするときのコツ>
- とにかく鮮度がよいものを選ぶ
- できるだけ早く調理する(当日中)
- 氷水で冷やしながら調理する
- 手指で触り過ぎない
- よく研いだ包丁で調理する
- サクにしたあとに一旦冷蔵庫で冷やす
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▼入梅雨イワシは脂がたっぷりなのですこし飽きる人もいるかもしれません。翌朝に持ち越さない軽い脂なんですが、練り梅や上等なポン酢で食べるのも乙です。