人間は常に問いをもっている生き物。
釣り人も一緒です。
今日も世界では多くの問いが生まれ、答えが見つかっています。
そんな中、インターネットでは確かではない答えがいろいろと流布され、それがまことしやかに拡散されたり。
そんな、ウェブ上に転がっている『釣りのなぜ?どうして?』について、釣りメディアORETSURI編集長の平田が勝手に回答する本シリーズ。
今回の質問
渋い渋いといって、毎回沢山の釣果をSNSにアップしている人って何なんですかね?
質問者:マルイカさん
<平田の回答>
「神速ブロック、やさしくミュートをためしてみましょう!」
どうも、ORETSURIの平田 剛士です。
さて、早速今回の質問について考えてみます。
これはたしかにありますよね。
「ヒラメ4枚でした。ちょっと渋かったなー。。。」みたいなコメントと共に、SNSにUPされた50cm程度のヒラメ4尾。
ほかにも
「良型アマダイ7本。一番大きいので50cm。他は40cmと30cmぐらいでした。いやー底潮が吹きあがってキダイが連発して渋かった。次回こそはリベンジするぞ!」
「本命の真鯛は65cmを筆頭に4尾。ゲストはイシダイとワラサ。先週より渋めだったかなー」
などなど。
察するに、質問者さんにおきましては、たぶんこういった投稿をSNSで目にするたびに、
お前ら何言ってんだコラ!ジョトダコラ!
コチトラ、毎回「ボウズ」だコラ!
と、憤りというかイライラしてしまうんだと思います。
その気持ち、よくわかります。
だいたい、ヒラメだって、アマダイだって真鯛だって、いいサイズが2尾釣れれば御の字だろ。ということですよね。たしかにそうですね。
でも、ちょっと一歩引いて考えてみたらどうなるでしょうか。
毎回渋いといってたくさんの釣果をUPしている人は、一体どういった心理でSNSに投稿しているんでしょうか。また、彼らが置かれている状況はどういったものなのでしょうか。
関東あたりで海釣りをしている人、おかっぱりであれば、魚より人のほうが多いんじゃないかという環境で釣りをしていることでしょう。
沖釣りでも、やっぱり需要過多というか、それほど数も大きさも伸びないという実感があるんじゃないでしょうか。
そこに来て、やはり釣りには地方ドリームというのがあるわけです。
むかし、アメリカには「フロンティア」という概念がありました。より辺境に希望を見出して土地を切り拓いたり、原住民をガラス玉でだまくらかして土地をサクッと奪い取ることが正義と思われていた時代。
ここにないものがどこかにある。(かもしれない)
というのは、人間がいつになってもマインドに宿しているものなのです。
「ジオン公国の反乱」
「大航海時代」
「転職活動」
これらは、
今より、もっと良いもの・場所がどこかにある。
なりたい自分がいる。
という背景によって引き起こされたものです。
以前、北九州で一つテンヤをやったのですが、これが落としたらほぼ必ずアタリがあるんです。
こんなの東京湾とか相模湾ではありえないわけです。そのときは真鯛が何十尾も釣れたんですが、船長が「今日はいまいちだったねー。型もでなかったし」みたいなことを言っていました。
このとき、わたしは思ったんですが、やっぱり地域によって満足の平均値ってのがあるんだろうなと。
東京湾とか相模湾でアマダイを釣ったときには6,7尾釣れれば十分でも、アマダイがほぼ狙われていない海域で、場所がよければバンバン40、50と釣れてしまうようなところでは、6,7尾なんて、今一つなのかもしれません。
何が言いたいか。
釣りは「サイゼリヤのミラノ風ドリア」や「マクドナルドのハンバーガー」ではないということなんです。サイゼやマクドであればどこにいっても同じ味で、アレなスタッフもそれほどいないということです。
それが餃子の王将になってくると状況は異なってきます。まず、メニューが店舗ごとに違う。だから新規店舗に入ってメニューをながめて何を頼むか迷ってしまったり。○○店限定なんちゃら定食みたいなのがあるわけです。これは店長にメニューの裁量権がゆだねられているからですね。
おい、こいつは何をいっているんだ。
あなたは、今そう思いましたね?
わたしもそう思いました。このままでは飲食店について語るになってしまいます。
そろそろ軌道修正したい。
話を戻しましょう。
これはやっぱり地域によって釣果の満足の平均値ってのがあるんだろうなということです。
SNSに投稿している人がどこのエリアで釣りをしているかという点を把握しておいて自分の中の基準でデータを補正しておくとよいんだと思います。
もし人の釣果でイライラしてしまうようであったら、「あー北九州でオフショアか、こっちでいうと実際の釣果-80~90%ぐらいで考えるとよいんだろうなー」などとして、自分のなかで勝手に答えを導きだす。これはなにもディスりとかではなく、「渋い」と投稿している釣り人の気持ちに寄り添った行為なのだと思います。思いやりってやつです。
あともう一つ。
だいぶ薄れてきた感はあるのですが、日本人にとってはやはり謙虚さが美学だったりするわけです。これは概ねよい文化であるとは思います。
SNSをみていて、次のような投稿ばかりが流れてきたらどうしますか?
「よっしゃ!狙い通りにヒラメ4枚!!!!!!最大65cm!俺の凄さは #国士無双 #一騎当千」
「良型アマダイ7本!デカアマフィーバー到来!!!アマダイ業界の風雲児とは俺のこと #最強のアマダイ釣り師」
「真鯛は65cmを筆頭に4尾!午前中1時間で余裕のよっちゃんで4尾釣って、クーラー入らないので早上がり( ・´ー・`)午後の時間が有意義につかえてよかったわー。#真鯛プリンス #真鯛王国で考え中」
これらのドヤ投稿が、頻発するボウズに苦しめられているあなたのタイムラインに流れてきたとする。
そうなると質問者さんにおいては、やっぱりイライラしちゃうと思うんです。しかも、さっきの「渋かった」以上にイラっとしたりするんじゃないでしょうか。
どうでしょう。
もう、できるなら、「いいね!」ボタンじゃなくて、「コマセボタン」を連打したい。
降り注げよ、アミコマセ!
喰らえ、イワシミンチ!
と、なってしまうんじゃないでしょうか。
でも、実際にそうはなっていないのは、きっといろんな釣り人がしっかり謙虚な気持ちを保って、頑張って他人からいい人に思われようと努力しているからなんです。
どうでしょう。
謙虚な投稿と高慢・傲慢・増上慢な投稿。
どちらがいいですか?
最後にアドバイスとしては、他人のSNS投稿にあれこれイライラするようであれば、神速ブロック、やさしくミュートをためしてみましょう。
あなたのライフが3倍素敵になるはずです。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
※質問がないとエンドレスでYahoo!知恵袋などの質問を勝手に回答していく仕様です。子育て繫忙期のため、これはという質問のみ回答します。出前はしておりません。