大騒ぎしすぎ?「ソウシハギ」の危険部位は内臓。誤認しやすい魚は「カワハギ」「ウマヅラハギ」「ウスバハギ」

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ソウシハギ
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メディア・マスコミは毒魚や寄生虫被害について大袈裟に広めがち。猛毒魚とされる「ソウシハギ」についても一緒です。

今回は、ソウシハギの危険部位と誤認しやすい魚(カワハギ・ウマヅラハギ・ウスバハギ)と見分け方について解説します。

正しい知識を学んで釣りを楽しみましょう。

目次

ソウシハギは生息域が北に拡大している魚

ソウシハギ。伊豆諸島で釣られたもの(以下、まつともの釣り師さん提供)

ソウシハギは、漢字では草紙剥。本来南方の沿岸部に多く生息している魚です。

近年の海水温の温暖化により、生息域が北上しています。また、太平洋側の場合、黒潮蛇行に伴い、流れ藻などと一緒にソウシハギが相模湾以北まで到達していることがしられ、神奈川・横浜の本牧海づり施設でも2017年に確認されています。

出典:本牧海づり施設

また、2018年には三重県でソウシハギがカワハギとしてスーパーで販売されたという事件もありました。

伊豆諸島など、平均海水温が高めの海域では一年を通して堤防からソウシハギが確認でき、堤防釣りでもしばしば釣れる魚です。

ソウシハギ。光のあたりかたや個体差で黄色が見えないこともある。

ソウシハギの特徴は以下の通り。

  • 細長い魚体(特にカワハギとの比較でわかりやすい)
  • 青い筆書きのような模様
  • 黒い斑点
  • 長いひれ

伊豆諸島の堤防では、海面を覗くと海面から2m以内の比較的浅いところに泳いでいるのを見かけます。

現地でも有毒という認識をされ、誰も持ちかえらないため、自然と大型の個体が多く、30~40㎝以上の魚体が優雅にひらひらと泳いでいます。生息域が重なるイシガキフグもそうですが、独特の風貌から捕食者も少ないようで、ゆったり波間を泳いでいるのが印象的。

伊豆大島岡田港のイシガキフグ

イシガキフグ。伊豆諸島では漁港内をうろついている

ソウシハギの泳いでいる姿を上から見ると細長く、ヒレが極端に長いのでカワハギやウマヅラハギ・ウスバハギとはすぐに見分けがつくはずです。

ヘチ釣り、遠投カゴ釣り、サビキ釣りなど、あらゆる餌釣りで混じる魚なので覚えておきましょう。

独特の色合いにより釣り人は持ちかえらないのがほとんど

口部分は、カワハギ・ウスバハギ・ウマヅラハギとそっくり

ソウシハギの有毒部位は内臓部分です。

餌となるイワスナギンチャク・オウギガニ類などに由来し、「パリトキシン」という猛毒があるので、内臓部分はすべて食べられません。

沖縄などでは、市場に並び「センスルー」と呼ばれて食用になっています。ただし内臓部位は同じく廃棄されます。

体表には毒はないので、素手で触ってリリースするのも安全です。

特にリスクを高めたくない人は釣れたら速やかに逃がすとよいでしょう。

人気の「カワハギ」も「ソウシハギ」と比べれば一目瞭然

スミイカテンヤにかかったカワハギ

カワハギの雄。背びれの付け根に長細い部位がある

つづいて、人気の釣り物カワハギです。

釣り慣れている人は、一目瞭然なわけですが、釣り自体になれていなかったり、常日頃魚に興味関心がない人は同じように見えるかもしれません。

カワハギも水深30m以浅にいることが多いので、生息域としてはソウシハギと重なります。

ソウシハギとの違いは以下の通り。

  • 身体が円に近い。ソウシハギは細長い
  • 黒い斑点と青い筆書き模様がない

今後、相模湾以北でソウシハギの個体数が増えてきた場合でも、釣り船では、自然と船長などが注意してくれるはずです。

コロナ禍で岸釣りをはじめる人も増えてきています。堤防釣りでは自分での判断が必要なので、間違えないようにしましょう。

よくわからない魚は持ちかえらないで逃がす、というのもトラブルに見舞われないための正しい判断です。

ウマヅラハギ

ウマヅラハギ

沖の瀬のウィリー五目で釣れたウマヅラハギ。カワハギより深場に多い

ウマヅラハギもソウシハギと誤認されやすい魚です。

比較的水深があるエリアや伊豆諸島であれば岸からも釣れますが、基本的には沖釣りのターゲットとして知られています。ウマヅラハギはかつては膨大な群れが東京湾などに移動してよく釣れたり漁獲されていたことがあるのですが、現在は目立って釣れる魚ではありません。

東京湾口など、水深があるエリアでウィリー五目をやるとしばしば釣れているのを目にします。

ウマヅラハギは色味や模様に差がありながらも、カワハギを横に引き延ばしたような魚です。

ソウシハギとの違いは以下の通り。

  • 尾びれが短い
  • 黒い斑点と青い筆書き模様がない

新江ノ島水族館相模湾ゾーンのウマヅラハギ

ウマヅラ=馬面の異名は、顔が馬のように長いことに由来しています。

カワハギ同様、冬場に肝臓がかなり大きくなる傾向にあり、血抜きをした個体の肝は美味。

フグカットウ釣り・カワハギ釣りの他、タイラバや一つテンヤでもよく釣れます。

ウスバハギはウマヅラハギとも似ている

大型のウスバハギ。50㎝前後の群れが溜まることも多い(ニッシーさん提供)

ウマヅラハギによく似た魚にウスバハギがいるのですが、ソウシハギとの見分け方は基本的にウマヅラハギと一緒です。

ウマヅラハギと比較してやや白い色味。ウマヅラハギは40㎝程度が最大サイズですが、ウマヅラハギは50㎝をこえる個体もいます。

ウスバハギの刺身(谷田 晴彦さん提供)

ソウシハギとの違いは以下の通り。

  • 尾びれが短い
  • 黒い斑点と青い筆書き模様がない

まとめ

かさごとして売られていたアカブチムラソイ

スーパーで魚が誤認されていたり、意図して偽装されていることはしばしばある

アニサキス同様、何かとメディアで騒がれがちなソウシハギと誤認されがちな「カワハギ」「ウマヅラハギ」「ウスバハギ」との見分け方について解説しました。

よくわからない魚をよくわからないまま持ちかえって食べる。

これはリスクが高いので問題です。

「加熱すれば安全」という加熱神話もフグ毒などでは当てはまりません。

日本は四方を海に囲まれた海洋国家です。

一つ一つの魚をきちんと認識し、毒の有無・味の差・旬などを考えながら釣りをすると、さらに釣りが奥深く面白く感じられるかもしれません。

「ソウシハギがカワハギとしてスーパーで販売された」という話がありましたが、スーパーや魚屋で売られている魚も完璧に安全とは限りません。

魚種の名前が異なっていたり、むき身などにされわからなくなっていることもあるわけです。

日本人にはゼロリスク信仰があるとよく言われますが、魚を釣ること、食べることにも必ずリスクが存在します。

このリスク判断には、正しい知識を深めていくことが大切です。

みなさんの参考になれば幸いです。

それと、毒魚だからといって、堤防に放置するのはやめましょうね。

ではでは。

平田(@tsuyoshi_hirata

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