船が出ない日もある
6月25日、本当は平塚から出船し、ジグで40センチくらいのサバやイナダやらを釣る予定だった。
先日から商談中・会議中も真剣な表情の裏側で余念なく脳内でシュミレーションし、釣りあげたサバを、ほくほくしながらサバの味噌煮にして、冷酒でいっぱいやる算段もできていた。ほくほく。
が、早朝、目覚めてみると、朝っぱらから風が矢鱈に吹いており、
主催者のほしけんさんから、
「各々がた、出船ならず。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び…余は千葉にバス釣りいくよ」
という趣旨の連絡があり、あれま計ならず無念ということで、ばたんと二度寝。
その間、こむろと青さんは城ケ島へ向かった模様であったが、ブラインドをあげて天候を見るまでもなく寝腐っていたところ、
昼手前に、城ケ島先発隊から、
「サバが爆釣。はよ来たまえ。コマセと氷買ってきて。しくよろ」と、
連絡がきたので、しかたねーなと、よちよち起き上がり、やっつけで道具をまとめて三浦半島を城ケ島まで向かった次第。
ウツボ釣りの記憶
思い返せば、数週間前のこと。
海平ナイロン5号(20lb.クラス)のハリスで逃したウツボ5匹のうち、2匹の頭部はふくらはぎくらいあったはず。地球を釣ったかと思ったら猛烈に引き、やっとこさ海面まで引き上げたところ暴君のようにローリングアタックであばれるウツボ。
あれはもしかしてメータークラスではなかろうか・・・
ハリス切れを考慮して、20キロ程度の負荷に耐えられる強固なサルカンを2連結する前であったので、すべてのハリスが切られてしまった。
鋭い歯と強力な顎をもった全身きんに君な彼らからすると、20lb.クラスのナイロンラインを断ち切るなど造作もないことなのだろう。
城ケ島へ
そんなこんなで、いつも通り、黒島岸壁へ向かうと、野良猫がきょうも、どんよりした目でむかえてくれる。
一匹ずつ、やあ、みなさんこんにちは。平田です。平田剛士です。猫が住みやすい神奈川県へ。次の参院選では何卒よろしくお願いします。と、丁寧に声がけをしていくが、当然猫十される始末。
で、この角をまがると、海。
ボウズ頭の釣り人とすれ違いざまに挨拶をすると、「がんばってね。風強いけど」とのこと。このように釣り人は他人でも挨拶をすることが多く、これは山登りの人が、山道ですれ違う人々に「こんにちは」とか声がけするのと一緒だ。どんなに日常でスレた人でも、自然にむかえばやさしくなれるもの。
岸壁は、ちらほら人がいる。強力な風。落ちたら死ぬよ。気を付けて。
ウツボ釣りの秘訣
小サバの群れは見えないため、堤防にわいているネンブツダイを釣り、ぶつ切りにし撒き餌に。先発隊がぶつ切りにした小鯖と合わせての撒き餌。
あなたは知っているだろうか。そう、ウツボ釣りの基本は撒き餌にある。
そもそも、ウツボは土着というか回遊するわけではないので、たくさん釣るためには、寄せなくてはいけない。
そのときに、現地調達をした魚のぶつ切りは、それはそれは効果的で、人が忌み嫌うその血生臭さをかぎ取ったウツボ諸氏らが、興奮して、岩場や、堤防の隙間から、ぬるぬる―と集まってくるところをほくほくしながら釣る。
これがウツボ師の秘密の釣法だ。と、いうか先日から試しているのだが、これはあたりだと思う。
で、小型60センチクラスをヒット。タモ網に入れるとぐるんぐるんと仕掛けごと網にからむのでやっかいだ。ようやく網からはずして写真を撮る。これは〆て、から揚げとかがうまいという口車で、青山家の晩御飯へ。
猫氏。同氏はこの堤防がなわばりのようで先日もいたのだが、ネンブツダイをバリバリとおいしそうに咀嚼していた。
回遊してきたサバがひと段落したので、ぼーっと海をみつめていたところ、
青さんが「平田さん、きてるきてる!」と、いうので、はっと置き竿をみると、竿が引き込まれ、ドラグが、じーじーと云っている。
とりゃーと合わせると、根がかりと間違えるばかりの重さで、ミドルクラスのシーバス竿がバットから海にひきこまれているかのように曲がっている。
巻けるとおもったら、根に潜ったのか巻けなくなり、思い切って竿をさらに立てると、根からでたのか、巻けるように。ようやく水面にあがってきたところをタモ網に入れようとしたら、別の釣り人がタモ網ですくってくれるという。有難い。水面のウツボは魔王のように暴れている。太い。これは1メートル超えたか・・・!
と、タモ網ヘルプの釣り人の網からウツボが脱出。
これはやばいと思ったが、今回はナマズ用のワイヤーハリスをつかっているので、網に入っていないがひっかかったまま持ち上げる。
で、ようやくあげて、はかってみると、んーおしい。90センチ強。
メータの道はまだ遠いよう。
90センチであれだけ引くのだから、メータークラスはどんだけひくのか。ウツボは、おもうに大きくなるほど後頭部のいわば胸囲が太くなる。
歯が欠けたウツボも多いが、このウツボは毎晩歯磨きをしっかりしているのだろうか、しっかりとしたたくさんの歯。これで噛まれたら骨までいくな、これ。
そんなこんなで暗くなって納竿。このウツボは逃がそうと思ったが、タモ網ヘルプの釣り人がハンマーで数回殴ったこともあり、こむろに進呈し、彼の得意な燻製ジャーキーにしてもらおうかと思ったら、
暗闇のおりた堤防上で捌いている途中、
「あ。やっぱ冷蔵庫がいっぱいで持って帰れねー」的な発言をするので、青さんに差し
上げることに。
こうして青山家に大量なウツボがいくというながれに。
から揚げ、煮つけ、佃煮、たたき、開き干し。青山家で奥さんがキレないかどうかは心配だが、食費も浮くし、まーいいだろうと無責任に思って家路へ。一日中風がやまない日であった。
ではでは。
<ポイント>