釣りをして、それを料理していると必ずコンニチハするのが、魚に巧みに寄生してる寄生虫たち。
今回は実際に釣れた魚に寄生していた方々を紹介します。
【閲覧注意】ってタイトルに入れておいたので、クレームは受けつけませんからね。
1.アニサキス
寄生虫業界で、近年SMAP並みの認知度を持っている国民的寄生虫がアニサキスです。よくわかってない人も「アニキサスこわい」と口にするように、マスコミを中心に危険性が過度に報道されてきました。
そんなアニサキスですが、やっぱりサバ・タラ・イカ類などによくいるんですよね。
通常は肝臓回りなどに円をつくるように寄生している
こちらサバの肝臓。ふだんはこのようにサークル状態になって肝臓等に寄生しているものが、宿主のデッドを感知するや筋肉に移動、それに気づかないで生食すると酷い目にあうというのがこのアニサキスの怖さです。
一方、ほとんどの魚介類にアニサキスや類する寄生虫は寄生しますし、そんなことを気にしていなさんなとORETSURIでは考えています。
アナフィラキシーショックの可能性など過度なアニサキスアレルギーがある方以外は、恐れることなく加熱したり冷凍して食べればよいと思います。
アニサキス報道が増えてから、酢ではすぐに死なないとか、冷凍しても一定温度じゃないと死なないなどというアニサキス通がみなさんの周りでも増えましたね。
肝臓から取り除いたものがこちら。
アニサキスにも種類が複数いて、筋肉に潜り込むのが得意な個体とそうでない個体もいるようです。よく日本海側のサバは生食できるといわれているのはそういったことです。
マサバの内臓から筋肉部位(刺身の部分)へのアニサキスの移行率は、表2よりアニサキス・シンプレックス・センス・ストリクトの方がアニサキス・ピグレフィーと比較して100倍以上高いことが明らかとなりました。また、国内のアニサキス感染者100名より摘出した虫体の99%がアニサキス・シンプレックス・センス・ストリクトであったという調査結果が報告されたこともあり、アニサキスの種類の違いがヒトにおけるアニサキス症患者数に反映しているのではないかと考えています。
出典:http://www.tokyo-eiken.go.jp/assets/issue/health/webversion/web28.html
特にアニサキス症を発症しやすいのは、アニサキス・シンプレックス・センス・ストリクトという、主に太平洋側でとれるサバに生息している個体だと覚えておきましょう。
2.トビウオにいた寄生虫(種類不明)
続いてトビウオにいた寄生虫。たしかスーパーで買ったものです。
おい、肝臓のなかになにかいるぞ。
摘出しました。
もやしが縮まったかのような姿。
アニサキスなのだろうか。
こんな姿でした。貴公は誰ですか?ということで、種類は不明。
3.ものすごくよく見る、フィロメトラ。特に根魚とマゴチ
アニサキスとならんでよく見るのがフィロメトラ氏です。
カサゴ・ムラソイ・メバル・マゴチあたりをさばいていて、卵に黒い太めの線が見られる場合、血管ではなくこのフィロメトラかもしれません。
食べても無害ですが、ほとんどの場合かなりの兵数が寄生しているので、けっこうドン引き、なれないうちは食欲が失せるかもしれません。わたしは慣れました。
こういうの。これはメバルです。腹に包丁をいれてすぐわかります。
あー、おるなー。
・・・
・・・
・・・
ピギャー。
バビロン。
これがまー集団でうねうねするわけですよ。
でも、あまりにも頻繁にみるのでなれましたが、なれてくると不思議なもので、これ釣り餌とかにつかえないかなーとか思ってきます。
こちらはマゴチの卵に潜んでいたもの。
取り除いてしまえば問題なく食べられます。
歴戦の猛者は取り除かなくても食べてしまうのかもしれません。
4.ブリ糸状虫
ブリとかワラサ・イナダクラスを3枚におろしていると、なぞ陥没が。
これはもうこの方がお住まいです。
ブリ糸状虫。別名、ブリ虫。
こんな風に組織が溶けて穴が開いてるところにおわします。
・・・
・・・
・・・
ピギャー。
ブリ糸状虫も食べても無害ですが、見映え上、刺身にするときに溶けた組織部分をそぎ落としたほうがよいかなと。
スーパー等で購入する天然ブリの切り身には、このあたりをそぎ落としたあとが見受けられたり。まー害はないのでよいですが、一般消費者的には気づかず食べているんでしょうね。
5.テンタクラリア
テンタクラリアはカツオの筋肉に寄生している寄生虫です。
こちらはORETSURI読者から情報提供いただいた事例を紹介します。
カツオの腹膜付近に白い斑点がありますね。
赤い身に白い米粒状の点々が・・・
取り除いてみるとこの通り。
テンタクラリアはカツオに寄生していることが多い寄生虫で人体に影響は及ぼしません。
一方、見た目で不快に感じる人もいるようで、販売されているものでテンタクラリアが発見されるとクレームの原因になるようです。魚の販売って難しいですね。
冷凍して解凍すれば組織が壊れてわかりにくくなりますが、生食する場合ははっきり寄生しているのがわかり、大量に発見した場合は確かに食欲も失せることがあるかもしれません。
6.ウオノエ類
ウオノエとは、魚の餌と書くわけですが、釣れた魚の口からエイリアンみたいな御方がひょっこり現れたらそれがウオノエです。
これは冬の相模湾でLT五目釣りをするとわんさか釣れるマルアジに寄生していたもの。
群れにもよるのですが、この時の寄生率は7割ぐらいでした。
わんさか寄生しているので、こんだけとれたりします。唐揚げにしてやるかとおもったりするぐらい取れるわけです。
他にもウオノエの仲間には、タイにつくタイノエがいたり。
夫婦で規制していたりすると、ほっこりすることもしばしば。
寄生されていた鯛は口の中の半分をタイノエが占領していたりするんですが、どうにも自分では外せないんですよね。手がないという点で魚というのはそのあたり可哀想な生き物です。
サヨリにもかなりの確率で生息しています。
サヨリヤドリムシ。。。。
7.ウオビル類
釣れた魚をよくみたら、なにやらエラアタリから異質な触手みたいなものが、にゅるにゅるしてるぜ、って場合はこの方です。
このキューセン氏のエラをみると・・・
・・・
・・・
ひょっこりはん。
ってな具合に、ウオビルの仲間がいます。
こちらも食べても毒はないですが、気色悪いというのあるので食べるときは指でとるとよいですね。
リリースするときに、ウオビルだけとって逃がしてやると、いいことをした気になるので不思議です。
8.サナダムシ(条虫)類
こちらはスーパーで購入したアカブチムラソイに生息していたサナダムシ。
新鮮だったのか、まだ生きていました。
アカブチムラソイ氏。ま、新鮮だったということで。
アカブチムラソイは関東ではみられず、東北で釣れるらしいのですが、基本的にノーマルムラソイやカサゴなどと同じような食性なので、関東で釣れるムラソイやカサゴにもサナダムシが寄生しているということはあるのかもしれません。
最後に
ほかにもブラックバスを釣っていて、イカリムシ類をみたり。
釣れた魚を食べる場合、寄生虫がついているとテンションが下がるというのが大方のみなさんの心象かなと思います。
が、釣り人のみなさんとしましては、比較的魚に詳しいという点でその他の一般消費者とはことなるわけです。なので、アニサキスをはじめとして、過度に騒がず、冷静に対処していただきたいなと思うばかりです。
※ほかにもこんな寄生虫みたよー写真やエピソードを提供したいという方がいましたら、こちらからご連絡をいただけるとありがたいです。