ORETSURIをご覧のみなさん、ハイサイ!沖縄のニッシーです!
前回の冒険ではオカッパリからメーターオーバーのGT(ジャイアントトレバリー=ロウニンアジ)を釣り上げることができました。
僕のモットーは「キャッチ&イート」なので、しっかりお持ち帰りすることにしました。
120センチ、25キロオーバーという想定外なサイズだったので、クーラーボックスには頭しか入りません(笑)クーラーボックスも閉まらないという。
なので最寄りの漁港で製氷機を借り、氷漬けにしたGTを持って超特急で「ある場所」に向かうことにしました。
GTはゲームフィッシュとしてほとんどの人が食べない魚
ところで、「GTを釣った」という話はよく聞くんですが「GTを食べた」という話を聞いたことがありますか?
GTフィッシングとは、猛烈なファイトを楽しむ「スポーツ色が強い釣り」です。
GTを狙う場合、大部分の方がボートからのフィッシングツアーを利用します。こうしたツアーでは、GTの「キャッチ&リリース」を前提としている場合がほとんど。そのため、アングラーは釣り上げたGTを持ち帰ることが出来ず、食べる機会が少ないのです。
また、GTは市場でもあまり高値がつかない魚です。特に大型のGTは「さばく労力に見合った味ではない」と評価されています。
GTフィッシングのシステム上、食べる機会が少なく、値段も安いことから流通しないため、「GTは美味しくない説」が広がっているのかもしれません。
しかし、僕は自信を持って断言します!
「GTは美味しい魚」だ!
沖縄そば屋「帆掛きそば」でGTダシの沖縄そばを作ってもらう!
ということで、激闘をくり拡げたGTに敬意を払い、美味しくいただくことに。釣り上げたGTを持って向かったのは、「帆掛きそば」さん。
僕の釣り友達「前當(まえとー)」さんのお店で、ここでは一風変わった「沖縄そば」を提供されています。「帆掛きそば」の特徴は「無化調、かつ、そば出汁に地魚が使われている」ことなんです。
一般的な沖縄そばは、カツオ出汁がベースです。
ここでは、「チン、チヌマン、トカジャー、タマン、ムルー、シルユー、オーマチ、ミーバイ、カーエー、エーグワァー、イラブチャー、アーガイ、ミミジャー、シチューマチ、ビタロー、ガクガク、モンガラ…」などなどが使われているんです。
あえて沖縄方言で魚名を書いてますが、どんな魚か想像つきますでしょうか?
どれも沖縄ならではの魚ばかりです。
その日使われている魚によって、毎回そばの味が変化するので、来る度にワクワクです。
「フカセ釣りの名手」である前當さんが自ら釣って来た魚や、釣り仲間からの持ち込みの魚、市場で仕入れた地魚がスープのベースになります。
僕のねらいは、「GT出汁の沖縄そば」をより多くの方に食べてもらい、GTの美味しさを周囲にPRすることにありました!
左側が僕(ニッシー)、右側が前當さん
さあ、それではいよいよGTの解体に取り掛かります。
解体は、前當さんとの協力体制。軍手を装備して、特大の出刃包丁で開いていくことに。規格外のエラや頭周りの解体は、包丁ではどうにもならないので、ノコギリを使用しました。
身とモツ(胃袋、白子)は自分たちのお楽しみ用、アラはそば出汁用に分けていきます。
胃袋の中からは、呑み込まれたばかりのトビウオが出てきましたよ!
解体が完了したのは、40分後。
そば出汁用のアラだけで、90リットルのバケツがいっぱいに。このアラから、なんと200食分の沖縄そばが提供できるそうです!
ここからは前當さんが厨房に立ち、作業を進めていきます。
寸胴鍋にお湯を沸かし、GTアラを投入。かなり大きめな鍋ですが、アラが規格外サイズなので鍋が小さく見えます(笑)
煮詰めながら丁寧にアクを取り、GTの旨みをじっくりと抽出。そこに前當さんのブレンドが入り、沖縄そば出汁が仕上がっていきます。
厨房中に美味しい匂いが広がり、ワクワクも最高潮です!
そして、ついに「GT出汁の沖縄そば」が完成。もちろん、まずはスープからいただくことに。
味の感想は…
「上品で飲みやすい!!」
デカくてゴツい見た目のGTですが、出汁はとても繊細で、お上品な味です。
さすがGT!
出汁の中でも抜群の存在感で泳いでいます。しつこくない、あっさりした味わいだったので、スープまで残さずに完食してしまいました。
食べて頂いた方々の評判も上々!!200食分全て、訪れた皆さんに美味しく食べて頂きました。GTはきっと、みなさんのエネルギーになって身体の中を泳ぎ回っていることでしょう。
「初めてGTを食べた!」
「GTって美味しいんだね!」
という声をたくさんいただき、釣ってきた立場としても、本当にうれしかったです。
その他のGT料理も魅力的!
さてさて、最後に自分たちの楽しみにとっておいたとっておきのGT料理を紹介。
「GTの刺身&ニンニク醤油漬け」
刺身はブリに近い味。生で食べると、やや大味。このサイズのGTだと身に脂身が多いので、漬けにして食べると一層美味しくなる!
「GTのオリーブオイル焼き&フライ」
GTの切り身に塩コショウをまぶし、オリーブオイルをかけて焼き上げる。フライも身がフワフワで美味しい。個人的に大型のGTは火を通した料理があう気がする。味は共に鶏肉に近い味、繊細でバツグン!
「GTの兜焼き」
GTの頭をバーベキューグリルで、遠火から1時間じっくり焼き上げた一品。頬肉や目玉周りの肉が特に絶品で、頭だけでチキンの丸焼き以上の肉がとれる!
「GTの胃袋、白子のニンニク醤油漬け」
まえとーさん直伝。個人的に今回一番大当たりだった。塩で丁寧にヌメリを取り、茹でた後にニンニク醤油で漬け。胃袋はコリコリ食感、白子はフワフワ食感。噛む程に魚の旨みが広がる、ヤミツキ注意な味!
以上、「実はGTは美味しい魚だよ」というお話でした。
美味しい酒と肴を囲んで、釣り仲間と語らいながら夜を明かす。僕が「釣りが好きで良かった」と、心から実感出来る時間です。
釣れたら仲間と祝賀会でワイワイ、釣れなかったら反省会でワイワイ…
この時間を一番の楽しみに、僕は懲りずにまた海へと出かけるのです!
それでは、また!
シガテラによる食中毒について
南洋に生息する魚には魚類食中毒「シガテラ」をもつ個体もいます。
海域によりますが、GTことジャイアントトレバリー=ロウニンアジの大型個体も同様です。
有毒魚(人体にとっての)の発生は、渦鞭毛藻の一種によって生産されたシガトキシンが、魚介類の食物連鎖によって濃縮されることが原因です。
その他、カスミアジ、イシガキダイ、バラフエダイ、バラハタ、アオブダイ等も危険性がありますが、個体差があるためイシガキダイのように大型個体でも一般に流通しているものもあります。
出典:内閣府食品安全委員会
<参考情報>
寄稿者
ニッシー
- ブログ【沖縄冒険日誌】しままやー
- 「沖縄県うるま市の島々」で海のツアーをやっています。(シーカヤック、SUP体験等)
店舗情報
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- 電話: 098-973-3633
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