兵庫県の明石沖は播磨灘と大阪湾の間にある明石海峡により海流が速くなり、身の引き締まったタコが獲れる産地として全国的に有名です。
夏頃に毎日放送でやっていた憤懣本舗というコーナーで同地域のタコ釣りと職業漁師の衝突をたまたまみて、これは全国でもいえることなのではないかと思い記事にまとめてみます。
毎日放送動画:明石沖で違法タコ釣りが急増…残された針でけがをする漁師も
問題は釣り人のマナー悪化から
そもそも明石沖の規定部分は第一種共同漁業権海域で定められた漁師のみがタコを獲れるエリアですが、平日100隻、多い日には500~1000台を超えるプレジャーボートが集まり、タコを釣っているそうです。
このタコを釣ること自体が漁業法違反です。
漁業権が設定されている水面であっても、他の漁業や遊漁が直ちにできなくなることはありませんが、漁業権の対象となっている漁業の操業を妨害したり、漁場の価値を損なうようなことがあれば、その行為の中止や排除を請求され、または漁業権侵害として告訴され、20万円以下の罰金に処せられることがあります。特に採貝・採藻漁業等を行っている漁場内では、アワビ・サザエ等の貝類、ワカメ・コンブ等の海藻類、エビやタコ等の定着性の水産動物を組合員以外の者が採ると漁業権侵害となるおそれがありますので、そのような漁場では採らないようにしましょう。
明石の場合、さらに問題なのは以下の点です。
- タコツボを沈めたエリア(ブイあり)に意図的に入って釣りをしてまう
- タコツボにタコテンヤを根がからせてしまい、漁師が巻き上げ時に怪我をしてしまう
- タコツボを狙って釣りをしタコツボからタコを誘い出し釣り上げてしまう
- 底引き網漁の引き網(150メートル程度ある)の上にボートを乗せて網を切ってしまったりする
>タコツボを狙って釣りをし、
>タコツボからタコを誘い出し釣り上げてしまう
( ゚Д゚)海賊かと。まるで略奪ですね。
編集のせいもあるかもしれませんが、毎日放送の動画を見るかぎり、釣り人各位は自分の欲ばかり主張してまったく見当違いなことを言っているとしか思えません。
こういった問題はほかの釣り場でも
明石の場合はタコの問題ですが、このような釣り人と漁師の間でおきる問題が頻発しています。釣り人一人ひとり、また遊漁船ごとに船長がマナーやルールを順守しなくてはいけないことですね。
エリアは変わりますが、千葉県の富津では『海苔棚シーバス問題』が起きているそうです。
富津の海苔棚まわりはベイトが集まりシーバスがかなり釣れるようです。ルールとして漁協が海苔棚周辺の釣り禁止を定めているのにそれを無視した個人の遊漁者や遊漁船があるというわけです。
ルールを守らない釣り人と遊漁船があるなか、ルールを守っている遊漁船もありみなさんがどちらを選ぶかは自由ですが、後者で釣りをするほうがずっと気持ちよい釣りができそうです。
釣り人はあくまでも遊び、漁師は仕事
明石の場合、漁師側が事態をうまくまとめようと、タコを一般の遊漁者がとれるように一定のルールを提案しているようです。
昨年から市漁連の漁場管理委員会で議論し、独自のルールをつくった。タコ漁の最盛期ではない1~5月、10~12月と海の日(今年は7月18日)は捕獲可能とし、方法は疑似餌による釣りのみ▽100グラム以下は海へ戻す▽1人10匹まで-などと定めた。日本釣振興会や全日本釣り団体協議会、明石市農水産課、県水産課、明石観光協会なども賛同。県水産課によると、マダコに関する独自ルールを設けるのは県内で初めてという。
このように漁師側から提案をうけて妥協点を見いだせればよいですが、多くの釣りの場合、漁師の活動を妨げた時点で漁港や海域が釣り禁止になったり立ち入り禁止になったりします。
漁港は自治体から借り受けているものですので、漁協に全面釣り禁止や立ち入り禁止にする権限はないのですが、自治体や港湾の管理事務所や警察署等に禁止されなくても、漁協により禁止となった時点で、我々釣り人は堂々と釣りができなくなってしまうわけです。
参考:千葉の小湊港でのカマスギャング釣りトラブル
最後に
多い時には1000隻をこえる船にのった明石のタコ泥棒の話からはじまった本記事。
釣りは多くの人にとって遊びだと思います。
遊びだからこそ、ルールやマナーを守ってスマートにやるのが大人ではないでしょうか。
またルールやマナーを知らない子供がいれば、それを教え諭すのが大人の仕事ではないでしょうか。
釣りがより親しみやすく、釣りをしない人からみてもスマートな趣味になる日をのぞんでやみません。