今回は身近な都市河川に生息していて、誰でもチャレンジしやすいハクレンと釣り方を紹介する。ハクレンは生態と釣り方さえ押さえれば、1m近い大物を1日に何本も釣ることができる。実際の釣行ノウハウから導き出した釣り方なので、ぜひ試してほしい。
ハクレンとは
ハクレンはレンギョとも呼ばれる中国原産の魚だ。
レンギョにはハクレン・コクレンの2種がいる。国内に生息するレンギョの99%以上がハクレンと言われていて、コクレンが釣れることは非常に稀。過去にコクレンが釣れたという確かな情報は1件だけである。
この記事では、レンギョ=ハクレンを指すこととしてお話しする
日本にはもともと生息していなかった外来種で、戦後のタンパク源として中国より移入された。
中国ではこのハクレン・コクレンの他にソウギョ・アオウオの4種を合わせて四大家魚と呼ぶ。
「家魚」とは簡単にいうと養殖される魚のことで、上記4種はそれぞれ食性の違いから同じ池で養殖することができる。
池に草を撒くとそれを「ソウギョ」が食べ、その糞より植物プランクトンが発生し、それを「ハクレン」と「コクレン」が食べる。さらにそれらの糞や藻類を餌としてタニシなどの貝類などが繁殖しそれを「アオウオ」が食べるという非常に合理的な養殖の方法が確立されている。
日本へは「ソウギョ」を目的とした移入であったが、他の3種の稚魚も混ざっていて、特にハクレンの稚魚が大多数を占めていたといわれている。
この4種は流下卵という繁殖方法を持ち、産み落とされた卵はそのまま河川を流れて孵化する。そのまま海に流れ出してしまえば浸透圧で死滅し、底に沈んだり障害物に引っかかったりしても死滅してしまう。
この特徴的な繁殖方法が日本では唯一、国内最大の流域面積を誇る利根川でのみ適応し定着した。そのため、レンギョは国内では利根川水系とそれに繋がる荒川水系で多く見られる。釣れるサイズは80~95cmくらいが9割を占める。
台風の影響が落ち着いた荒川へ
11月初旬。台風による増水、濁りの影響が残る中、状況の確認へ荒川笹目橋付近へ向かった。
この付近は彩湖からの流れだしもあり、真冬でも水温が安定しているため、多くの魚種を狙うことができる。
この日は、前日から午前中まで鯉釣りをしていたので、到着は14時半。
浮きが見える16時半くらいまでの短時間である。
荒川は護岸まで泥がきており、増水の凄まじさを物語っていた。水の濁りもまだ抜けきっていないようだが、頻繁にもじりや抜けが見られ魚の活性も高いようだ。
ベテランのヘラ師達からは時折歓声があがる。
ハクレン釣りのタックルと餌。マッシュポテトで釣れる
メーターオーバーのハクレンを狙うとは思えない仕掛け
中層魚であるハクレンは、べた底を狙うより、浮き釣りで狙うのがオススメだ。
ヘラブナのように練餌を打って寄せて釣る。仕掛けはヘラブナの仕掛けをそのまま強くしたようなもの。今回のタックルは磯竿1.5号にベイトリール、道糸はPE2号にリーダーが6号。
1mの大魚とはいえ、走り回る魚ではないのでハリスは3号で十分。シーバスロッドでも十分代用できる。
餌はヘラブナ用のマッシュポテト。これを粉:水=4:3で練って使用する。
マッシュの水分量は写真ぐらいがいいと思う
まずは餌をうって、寄せに徹する
最初は短いスパンで餌をうってハクレンを寄せる必要がある。そのため、ミニトマト大に付けた練り餌を20秒ほどで打ち返していく。
すると2投目、前触れもなくいきなり浮きが消し込む!
・・・
これは、空振り。
ハクレンの餌釣りはこの空振りが非常に多い。如何にアタリを掛けていけるかが面白さのひとつだ。
ハクレンは確かにいるが本アタリが出ない
何投か続けていくと徐々に浮きにフワフワと動きが出てくる。
ハクレンは練り餌の下でバラけた粒子を吸込む。そのため、吸い込みや泳いだときの水流で浮きがフワフワと上下する。
他の釣りでは完全に掛かるようなアタリが出ても我慢しなくてはいけないのだ。
このようなフワフワとしたアタリの中から本当に餌を吸込んだ
「ツンッ」
という本アタリを見極めて瞬間的にアワセを入れなくてはいけない。この見極めが釣果を大きく左右する。
今回はフワフワと動くサワリはあるのだが、中々食いアタリの「ツンッ」がこない。
仕掛けの微調整が功を奏する
この日のハクレンは仕掛けから少し離れたところでバラけた粒子を食べているようだ。そんな推理をしてみた。
これを解消し、吸込み易くするためにハリスを+8cm長くしてみる。
すると、これがハマったようでハリスを変えて1投目から「ドンッ」という強いアタリが出る。
すかさずアワセると腕が押さえつけられるような重みが乗り、ノソノソと魚が動き出す。
竿は満月に曲がりハクレンも必死に抵抗する。引きの強さは走り回るというよりもひたすら重くトルクのある戦車のよう。
ジリジリと糸を出されては巻き、出されては巻く。
この重さに数分間耐えているとようやく一瞬動きが止まり姿が見えた。90cmほどのアベレージサイズのようである。
しかし再び身を翻し潜っていく。
5分ほど耐えていると観念したようでようやく顔を出して横たわった。すかさずタモで掬い上げゲット!
90cmくらい、重さは7kgくらいのアベレージサイズ。
ハクレンは水と一緒に植物性プランクトン・藻類などをエラで濾しとって食べる
意外と可愛… くないか。
魚体に負担が掛からないようにすぐにリリースする。
そして再び餌を打つとすぐに反応が続く。
数投続けていると今度は待望の「ツンッ」。これも上手く乗って80台をゲット。
更に続けて90cmくらい
ここからは怒涛のラッシュでほぼ1投1匹ペースで釣れまくる。
アタリを待っている時間よりも魚とファイトをしている時間のほうが圧倒的に長くなり、餌が減らなくなってしまった。
結局9本釣ったところで空には月が浮かび暗くなり、浮きも見えなくなって終了となった。
腕は心地よい疲労に包まれ、夕焼けに染まる荒川を後にした。
ハクレン釣りのまとめ(エサ釣り)
- タックルは磯竿1.5~3号、シーバスロッドでOK。長めで柔らかめの竿なら大丈夫
- 仕掛けはヘラブナ釣りの仕掛けを強化したもの。道糸6号。ハリスは3号程度で十分
- 針は伊勢尼の13~15号程度。丸型の針で同じくらいのサイズであれば問題なし
- 浮きは大きめでトップが18cm以上あるものがよい。鯉用の浮きか大きめのヘラ浮き
- 餌はヘラブナ用のバラける練り餌ならなんでも可。グルテンはバラケが弱いので寄りがあまりよくないまずはドンドン寄せるべし
- アタリは鋭く大きなアタリを合わせる。弱いアタリや大きいけどゆっくりのアタリはスレ掛かりに
なりやすい - 最初は一日やって3匹釣れれば上等。なれれば10匹も目指せる
- 外来魚だからといって陸に放置しない。死体が腐乱して自分の釣り場を汚す、死体の放置は不法投棄です
- リリース目的での引っ掛け釣りは魚体へのダメージが大きいので控えたい。周りの釣り人からも嫌がられる
- 必ずタモ網で掬い、タモ網でリリースしたい。投げてのリリースは魚体へのダメージが大きい
ハクレンは魚種としてもとてもマイナーであると同時に、釣りとしても知られていない部分が多い。
一方、身近な都市河川で手軽にメーターオーバーが狙える数少ない釣りである。
数釣り、繊細さ、大きさ、ゲーム性という釣りの醍醐味を十分に含んだハクレン釣りにみなさんもぜひチャレンジしてほしい。
アングラ―
まつともの釣師(@BigGame_BigOne)
レンギョ・アオウオなどの淡水大魚やベイシャークなど大物釣りをやってます。基本は餌釣りですが、シーバスや管釣りのトラウトなどにも力を入れてます。レンギョ釣り普及活動中。釣ってみたいという方は積極的に招待しています。ぜひお声かけください。