日本全国に分布して特定外来生物として駆除対象される運命にあるブルーギル。
釣りの対象としても、ブラックバス釣りの外道とされ、好き好んで釣る人も少ない。一方、大型を狙って釣るのは面白いし、食べてもうまいのはあまり知られていない。
今回は、ブルーギルの生態や釣り方・美味しい食べ方を紹介する。
ブルーギルとは
荒川で釣れたブルーギル。婚姻色が出ている。
ブルーギルは、ブラックバス同様サンフィッシュ科の魚。
名前の由来はエラ(Gill=ギル)が青いため。実際のえら蓋の色は濃紺に見える。
北アメリカ原産で、小魚や甲殻類だけでなく魚類の卵等も捕食するため、バスと並んですっかり害魚として認識されてしまった。
最大で30cm程度まで成長するが、成長スピードが遅く20cmを超える個体は少ない。小型の個体は細長く、成長するにつれて体高が高くなり肉厚になっていく。
日本各地で釣れるが、ブラックバスの密放流にともない、バスのエサとして同時に放流され広まっていったといわれている。
春になると浅場にポケット状の巣をつくり卵を産み付ける。山上湖等、水温が低い場合は夏場まで産卵している個体がよくみられる。
食性は雑食。
甲殻類・魚類・水生昆虫・水面に落下する羽虫・トンボ・甲虫類も良く食べている。
産卵場所を守るブルーギル。比較的水温の低い野池での風景(夏)
野池の夜釣りで釣れたブルーギル。夜間は日中より反応がよくない
ブルーギルが生息しているところ
野池。手前に小型のブルーギルが群れている。
ブルーギルの生息地は幅広い。
ブラックバス同様、平地の河川・湖沼・人工の野池などをはじめ、山上湖のような比較的水温が低いところまで生息している。
目立った構造物がないようなポイントでも見られるが、基本的には水草や立ち木など障害物がある付近に多く群れている。
夏場の野池では、比較的浮いていて、常に水面に落ちてくる昆虫類を意識していることが多い。
ブルーギルが釣れる季節や時間帯
小型のブルーギル。手の平サイズのブルーギルは身が薄い。
春から秋までがよく釣れる季節。
春は岸際に産卵関連の個体が巣を作るため、見ながら釣ることができる。
夏は浮いていることが多い。
秋以降は深場にいき、あまり餌をとらなくなるという点ではブラックバスと似ている。
ブルーギルの釣り方
ブルーギルは、雑食で動くものへの反応もよいためエサ釣りだけでなく、ルアー釣りでも狙うことができる。
エサ釣り
<ウキ釣り>
ブルーギルはエサ釣りであればウキ釣りで釣るのがよく釣れるし面白い。
タナはあまりこだわらなくてもよく、ウキ下を1メートル程度にし、ミミズをつけるのがもっとも釣れる。
針のサイズが小さすぎると飲まれるため、マス針等の小さすぎないものを用意しよう。
エサやハリの大きさにもよるが、ウキに反応があるとすぐに引きこまれるので、躊躇なく合わせる。これが針を飲まれないコツ。
<ミャク釣り>
ウキをつけないミャク釣りでも釣れる。ただ、基本的に視線より上にある物体への反応がよいため、釣果はウキ釣りに劣ることが多い。
ルアー釣り
ゲーリーグラブでつれたブルーギル。
ブルーギルは、ルアーへの反応もすこぶる良い。
- プラグ類
- スピナー
- ワーム
等、さまざまなルアーで釣ることができる。
ブルーギルは、「小さく丸い物体」に反応しやすく、ワームの切れ端を小指の先程度にちぎったものの食いがよい。
基本的に警戒心が薄く好奇心が旺盛なので釣りやすいが、25㎝を超える個体は歳を経て賢いのだろうか、ルアーを見切ることも多い。
▼ワームでは「グラスミノーSS」が、かなり釣れる。サイトフィッシングではピンクやパールホワイトが見やすい。
ブルーギルの飼育
ブルーギルは、外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)によって、特定外来生物に指定されている。そのため許可なく飼育できない。
また、その許可も以下のような要件が必要なため、個人が趣味等で買うことは許可されない。
外来生物法では、飼養等(飼養・栽培・保管・運搬)をすることは原則として禁止されていますが、学術研究、展示、教育、生業の維持等の目的で行う場合については、主務大臣の許可を得ることで飼養等をすることが可能です。
出典:環境省
出典:環境省
その他注意点として、ブルーギルは生きたまま移動することが禁止されている。
釣ったものを食用にする場合も、何らかの形で、釣り場にて締めることが必要。
ブルーギルはうまい
メガバスX30で釣れた良型のブルーギル。このサイズになるとかなり引きが強い。
ブルーギルは、メディアによる刷り込みに加えて、主に生息している水域の様子から、「食味がマズイ」というイメージがある人もいるかもしれない。
一方、ブルーギルもブラックバス同様、北米では食用としてよく食べられている魚だ。
愛称として、パンフィッシュ(フライパンにすっぽりおさまる)と呼ばれソテーやフライにして食べられる。大量に生息している琵琶湖周辺では別名「琵琶湖鯛」として呼ばれることもある。
筆者も高校生までにブラックバス同様、数度食べたことがあるが、白身で淡白な味の魚だと感じた。
持ち帰る際は、現地で締めて血抜きをししっかり保冷して持ち帰る。
淡水で釣りをする人にありがちだが、締めて血抜きをせず、野締め状態になって保冷していないことがほとんど。
「食べたら臭かった」というのは持ち帰りまでの温度管理がされていないことがほとんど。
特に夏場につったものは、青臭さが強くなるため注意しよう。
調理する際はヒレがかなり鋭い。
調理前に、調理ばさみでヒレをすべて落とし、体表のぬめりがまな板に憑かないように新聞紙などを引いて調理するとよい。また、皮目に独特のにおいがあるため、しっかりすき落とすとよい。
ブラックバスと比較すると、3枚におろしたときに身が取れにくい。頭と内臓と皮をすきとった状態で小麦粉をまぶしムニエルにするのがもっとも簡単でうまいと思う。
寄生虫もいることがあるため(どんな魚でもいるが)、生食は控えること。
食味については、外来魚は基本的にマズイイメージがあるが、身だけにしてしまえばクセがなく美味しい。
どの魚でもそうだが、魚のニオイ等は生息場所にもよってくるので、その味を魚のせいにして蔑むのはあまりよくないことではないだろうか。
関連アイテム
▼エサ釣りで狙う場合、針をのまれやすい。また口が小さいためプライヤー類では飲まれた針を外しにくい。
▼ブルーギルを釣るタックルはバス用のスピニングタックルがよい。ウルトラライトクラスで、25cm以上の個体を釣るとバスより引きが強いので面白い
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