人間は常に問いをもっている生き物。
釣り人も一緒です。
今日も世界では多くの問いが生まれ、答えが見つかっています。
そんな中、インターネットでは確かではない答えがいろいろと流布され、それがまことしやかに拡散されたり。
そんな、ウェブ上に転がっている『釣りのなぜ?どうして?』について、釣りメディアORETSURI編集長の平田が勝手に回答する本シリーズ。
今回の質問
ネットでは日々釣果を偽装した投稿があると思うんですが、それについてどう思いますか?魚の全長などの話です。
質問者:クレイジークロウラーさん
<平田の回答>
「釣果の偽装・捏造は、ものすごく寂しい」
縄文時代から日本では無数の捏造が行われてきました。釣果についても同じです。
縄文のむかしであれば、釣った魚の記録手段は極めてアナログであったわけだと思うのですが、それでもそういったことはあったはずです。スマフォも写真もないし、アプリもないわけで、それは現物を見せる以外は主に口頭による伝聞のみであったわけです。
たとえば、ここに縄文人モロがいます。
いつの時代もこういった人はいるのですが、彼はムラの中でも「釣りに関してはワイが実力No.1や」と、何を基準にしてNo.1なのかはわかりませんが、釣りをはじめとした狩猟について自信があるとのことです。その彼がなにやらこんなことをいっています。
ーーーーー
縄文人モロ「いやさ、こないだ狩った野兎の耳をね腐らせておいたやつ、あれよ、あれ。あれを鹿角針につけてさ、ワダツミのハナにブっ混んで待つこと半日よ。ちょっと仕事が大変で徹夜だったからさ、ワイ寝てたのよね、したら尋常でない引きがあってさ、こーんぐらいのワニ(古代におけるサメである)がかかったんだけどね。なんとかさ、ロッドワークを駆使してさ磯から浜に移動して釣り上げたわけよ。で、みんなを呼びに行く間にストリンガーが切られちゃってさ。いやーあのワニざっと長老の家ぐらいはあったぞ。GoPro HERO7があればなー。いい動画撮れたんになー。GoPro HERO7ほしいなー」
縄文人ナギ「なんてことだ…それはもしかしてワダツミサマじゃないのか。釣りあげたら大変なことになっていたぞ」
ーーーーー
というようなやりとり。
このときに釣りの実力No.1縄文人のモロ氏がばらしたというサメが長老の家ぐらいあったとのことなのですが、まーあれです。長老の家も犬小屋やとか、ブリとかの青物がはいるクーラーボックス並みということはないと思うんですね。
ノーマル人民の家が小屋ぐらいだとしたら長老なのだから、それなりに立派なものであったのでしょう。
それを超えるサメが当時のタックルで釣りあげることができたのだろうか。いやない。(反語)
というわけです。
いつも通りよくわからん話になってきたのですが、時代を経て、今はスマフォもあり、ゴープロもあり、アプリもあり、釣った魚はその場で撮影して #俺釣り写真部 とか #貴殿でしたか のタグをつけて、物理的空間を超越してより多くの人にツイートしてみたりなどができるわけです。
釣果がデータになって共有される。そして検証される。という流れで、「釣った魚のサイズ問題」「釣果の捏造」というのが、より激しく批判されるようになってきたわけです。
釣りの実力No.1縄文人のモロ氏であれば、逃がした獲物のデータがないので、口ではなんとでもいえるものの、現代のネット社会のようにデータをもとに語る場合は、捏造や虚偽の火種はあっという間に「炎上」として、徐々に燃え上がってしまうわけです。
このサイズというのは魚のジャンルによって、「すごい」「すごくない」の尺度が変わるんですが、大体以下の通りです。
- ブラックバス:50UP、60UP、70UP
- アジ・メバル:30UP(尺)
- シーバス:80UP(ランカー)
- キタマクラ:30UP(地獄枕)
- ベラ:30UP(鬼ベラ)
- ゴンズイ:30UP(鬼ゴン)
という具合にどんな魚でも、貴殿でも「すごいサイズ」というのはあります。
地獄枕。
とか、ものすごいパワーワードですね。
マグロとかはどうでもよいんですが、だれか釣ったことがあるんでしょうか。地獄枕を。
・・・
それはおいておいて、
魚を釣るときに誰しも、できれば大きい魚を釣りたいわけです。それが釣りにあるロマンと言いますか。
この「大きい魚を釣りたい」っていうのは、たいていの場合、人は自分のなかでの満足や感動を目的として求めているわけなんですね。
大きい魚を釣ることで、自分のなかで打ち立てた目標を達成していく。それが釣りの面白さの一つでもあります。
いつかは尺○○を釣りたい。伝説の『地獄枕』をハリス0.3号で釣りたい。そのために、釣り人っていう生き物は、クソ寒いなかでも竿を出すわけですよ。
こないだも2月の未明の堤防で寒さに加えて雨が矢鱈に降ってくるのに、「僕はこれからやるしかないですよ。あはは。釣りに行く日が選べないんで」という釣り人いまして、一瞬、この人バカなんじゃないのと思ったんですが、同時におぬしも釣りバカよなーと思い、ちょっとほっこりしました。
大きい魚を釣ることで、自分のなかで打ち立てた目標を達成していく。それが釣りの面白さの一つ。
が、
がですよ、
世の中には、大きい魚を釣ることで「自分のなかでの目標を達成していく」ということではなく、大きい魚を釣ったことにして、ネット上で注目を集めたいという人が登場してくるわけです。
貴殿たちの気持ちはよくわかる。
注目を浴びたいのはよくわかる。
でも、虚偽やら捏造をこねくり回して、あたかも実際に大きな魚を釣り上げたというトピックによって「RT」とか「いいね」とか「チャンネル登録お願いします」ってのはどうなんでしょうか。
「ふざけんなこのやろいいますわ。」
「あほんだらいいますわ。」
「うちの社員だったら殴ってますわ。」
・・・
すみません取り乱しました。
これはむかしマネーの虎に登場していた小林敬社長の一喝呪文なわけですが、わたしもそう言ってしまいたいぐらい、「ちょっとそれはよくないですよー」といいたいです。
古今の兵法書を読むに、大体のものには「戦争ってのは非情なんで、ありとあらゆる手段をもって勝利すべし。勝てば官軍」みたいなことが書いてあります。
こうしたことを踏まえて、SNS上で人気や評判を集めるのに、なにをやってもよかんべ、PVとかフォロワーとかチャンネル登録数というのは集めたもん勝ちみたいな風潮もあるとは思います。
でもそれって、寂しくないですかね。
わたしだったら、ものすごく寂しくてできません。
嘘で○○釣ったぞーって、心から喜べるのかというと、まー一般的な道徳観念をもっている人であれば無理ですよ。
釣果を偽装した投稿があると思うんですが、それについてどう思いますか?
ということで、やっぱり釣った魚のサイズがうんぬんっていうのは、誰がどう言おうと関係なく、自分のなかでの目標にしたほうがおもしろいしチャレンジしがいがあるとは思うんです。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
※質問がないとエンドレスでYahoo!知恵袋などの質問を勝手に回答していく仕様です。
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