人間は常に問いをもっている生き物。
釣り人も一緒です。
今日も世界では多くの問いが生まれ、答えが見つかっています。
そんな中、インターネットでは確かではない答えがいろいろと流布され、それがまことしやかに拡散されたり。
そんな、ウェブ上に転がっている『釣りのなぜ?どうして?』について、釣りメディアORETSURI編集長の平田が勝手に回答する本シリーズ。
今回の質問
正直沖釣りって、船長のおかげというか、釣らせてもらっている感が強いと思ってます。その点、岸釣りのほうが上じゃないですかね。船での釣りはやったことはないです。
質問者:岸釣りマンさん
<平田の回答>
「天は釣りの上に釣りを作らず。釣りの下に釣りを作らず」
どうも、平田です。
最近はおかっぱりより船釣りが多くなってきています。でも、岸釣りもおもしろいんですよね。
東京湾は台風の影響で釣りができない場所も増えてきていますが、これがよい影響をもたらして、資源回復につながればいいですね。
ところで、最近、うちの子がいたずらをするんです。やってはいけないこと、やったら父ちゃんと母ちゃんが叱ることを分かった上で越後屋みたいな悪巧み顔でチラ見をしてやる。具体的には、自家製栄養満点ポタージュスープを食べてて口の周りや手などが泥田坊みたいになっている状態でわんわん暴れる。
それで何をおもったかこちらを再度チラ見してから、たたんだ布団などに勢いよくダイブして「うっへー」みたいなことをやって、ポタージュスープを布団にすりすりして、うひゃひゃひゃと笑うのです。
・・・
え?あー、質問の件でしたね。
じゃ、早速いきますか。
さて、今回の質問。
一読して、ふざけんなこのやろいいますわ。うちの社員だったら殴ってますわ。と思いました。
でも実際にイライラしたからといって毎回人を殴っていたら、地上に牢屋がいくつあってもたりません。クラウド牢屋が必要になってしまいます。AWS上で構築するのがよいんでしょうか。
まあ匿名なので殴ろうと思っても殴れませんしね。それにわたしも殊更にものごとの波風を立てたいわけではないんですよ。世界平和を願って我が子に「凪」という名前をつけたぐらいなので。これはなるべく海釣りにいける回数が増えるようにとかじゃないんです。
ということで、安心してメモを取りながらわたしの話を聞くようにしてください。いつも通り、インサイトしながら進めていきます。
・・・
あなたはたぶん、岸釣りであんまり釣れてないのではないでしょうか。
自分で心から満足できる程度には釣れてない。そんな状況に対して、スマフォを開けば船釣りをしている人たちが矢鱈に魚を釣っている写真などがSNS上を流れてくる。イサキ40尾どや、アジ100尾釣った、タチウオ6070喜んで!などなど。
あなたが何を狙っているひとかわからないのですが、岸から釣ることが難しい魚も、船からだと沢山釣れたりするのは事実だと思います。
まず、ふりかえってほしいのですが、そうした岸より沖が釣れるという現実への嫉妬というか僻みがありませんでしょうか。
それと、どうも船釣りメインでやっている人から、岸釣りが格下に見られているような気がしている。明確にそうは言われていないけども、きっとそんな気がしている。自分を指名して格下と言われているわけじゃないんだけども、なんとなく、そう思われている気がしたりするのではないでしょうか。
あなたは岸釣りだって面白いし、やっとの思いで確保した釣り座で狙った魚を釣るのが好きなはずです。日々、自分の飽くなきネット検索力を屈指し、断片的な匿名情報をパズルのように組み合わせる。そんでもって、釣り場となるポイントを探して競合他社の営業マンをだしぬき、夜討ち朝駆けを繰り広げ・・・。
わたしも、岸釣りから船釣りもやるようになった人間です。なので、両方の良さがわかっているとは思います。
正直沖釣りって、船長のおかげというか、釣らせてもらっている感が強いと思ってます。
これは、たしかにその通りだと思います。
釣りで一番重要なのは「場所」です。
なので、そこを決めてくれるという点で50%ぐらいは追い風が吹いているんだと思います。丁寧な船長であればきちんと狙うタナなどもしっかり教えてくれるので、海中での魚のいる「場所」もしっかりふまえて釣りができるわけです。
まさに船長様様。俺たちの船長。略して「俺船」ってやつですね。略さなくてもいいけど。
だけどもいただけないのが、
岸釣りのほうが上じゃないですかね。船での釣りはやったことはないです。
という点です。穏やかではないですね。
岸釣りが上じゃないかと。
ということは、船釣りが下だというわけだ。
一体どうして、人は物事に優劣をつけてしまうのか。まだやったことがない船釣りに対して、ネットで得た知識や誰かに聞いた話で想像して、マウントをとってしまう。
けっ。あいつは、船にのってるから釣れるのが当たり前。岸でやってる自分は釣れない中なんとか釣ってるから武力が凄い。俺の苦労をみろ。この勝負俺の勝利。みたいな。
でも、考えてもみてください。土俵が変われば、そのなかでの勝負もあるのです。
例えば、機動戦士ガンダムで考えると、陸上ではガンダムが一番強いんですが、いざ水中に入ればシャア専用ズゴックもかなり強いんです。本気を出せば。パイロットの力量をいれなければ。なにより動きが速いんです。
え?なんのことかよくわからない?
わたしもよくわかりません。例え話をするときは、ちゃんと論旨を考え適確な例えをしないとこうなってしまいます。
さて、
ここは仕切り直して、船釣りの話に戻りましょう。
たとえば、乗合の船釣りは、人気の釣り物だったら船に20人ぐらい人が乗ります。隣の間隔が1m50cmぐらいしかない状況。そのなかでコンスタントに釣果を上げる。しかも人より釣るっていうのは工夫がなければ難しいことです。
しかも、置き竿にして、ポッキーを食べてぼーっとしていれば勝手に釣れる魚ばかりとは限りません。どんな魚も、タナを正確にとらえて、その日、その潮、その活性にあった仕掛けで、的確な誘いをかけないと釣れないのです。
ORETSURIを長く読んでいれば、筆者が裂ぱくの気合を帯びて出陣したものの、ボウズやそれに準ずる散々な目にあって足どり重く帰宅して、やけに熱っぽい「うらみはらさでおくべきか!!」的な記事を量産しているのを何度も読んでいるはずです。
「こうすればよかった」
「あれがダメだった」
「○○の人が釣れてた。あれは潮の流れが云々」
とかとか。
何が言いたいか。
船にのって船長がここで攻めるべしといってやったポイントでも、ボウズをこうむる人なんてざらにいるんです。船長や中乗りスタッフが教えてくれるっていったって、言うことを聞いてやってみても無念の思いで帰路をとぼとぼ歩く人なんてたくさんいるんです。それに、船宿によっては船長や中乗りスタッフを攻略するのが高難易度のところもよくあるんです。
しかも釣り船は1日船であれば1万円ぐらいは投資して、ボウズですよ。すごいつらい。表向きは釣友に「あはは、釣りは釣るだけじゃないからな」「いやー楽しかったよ。次回への参考になったなー」「○○釣れてよかったじゃん!」とか言っておきながら、だれもかれも内心はリベンジの炎をメラメラ燃やしています。船内で自分だけボウズという呪いなどもあったり。あれはすごくつらい。
つらい思いがいろいろよみがえってくるので、そろそろまとめていきたいと思います。
正直沖釣りって、船長のおかげというか、釣らせてもらっている感が強いと思ってます。その点、岸釣りのほうが上じゃないですかね。船での釣りはやったことはないです。
これはね、一度船釣りを経験してみましょう。いいお値段だけど。
ディスるのであればそれからでも遅くないと思います。
どこに住んでいる方かは知らないのですが、ちょっと難しめの釣りをやってみるとよいのだと思います。船用タックルがなければレンタルタックルでまず勝負してみましょう。
もし東京湾ならば、カワハギ、スミイカテンヤは、最高レベルの難しさだと思います。岸よりは釣れるかもしれないですが。また、タイラバをやってみて、ただあくびして巻いていたらでっかい真鯛が釣れちゃったりして、簡単だなと思ったりもすると思います。
でも、きちんと目前の海と魚に向き合っていれば、きっと、船釣りも奥深いし、岸釣りも奥深いということがわかるはずです。
釣りに貴賤なく、魚に貴賤なし。
いつか、きっとわかる日がくると思います。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
※質問がないとエンドレスでYahoo!知恵袋などの質問を勝手に回答していく仕様です。子育て繫忙期のため、これはという質問のみ回答します。出前はしておりません。