海釣りをしていると頻繁に釣れるのがフグ。
クサフグ、ショウサイフグ、アカメフグ(ヒガンフグ)、サバフグ、トラフグなどなど。各地で様々なフグが釣られているが、これらの交雑フグの存在が問題になっている。
ショウサイフグとゴマフグの大量交雑種が存在
温暖化による海水温の上昇でフグの生息域が北上し、雑種化が進んでいる。北海道や東北で水揚げが増えてフグを食べる機会が広がる中、雑種は毒の含有部位が異なる可能性があるが、見た目で判別しにくい。業界団体は「より高い技術が求められるのに調理資格の基準に地域差がある」と指摘し、食中毒を起こさないよう国に調理資格の厳格化を求めている。
こちらの記事では本来日本海側に生息しているゴマフグが生息域を拡大(温暖化によるとみられる)し太平洋側に進出して、ショウサイフグと交雑して雑種フグが登場しているということを問題視されている。
2012 年以降、茨城県、福島県、および岩手県沖で大量に漁獲されるようになった種不明のフグが問題となっていました。2012 年から2014 年にかけてこれらの各県で採取された試料252 個体のDNA を調べたところ、ショウサイフグとゴマフグの間の雑種149 個体を確認し、その内訳は雑種第一世代が131 個体、雑種第一世代が純粋なショウサイフグやゴマフグと再度交雑した戻し交配個体が18 個体であることを明らかにしました。
水産研究・教育機構の高橋洋准教授により2017年5月に発表された研究結果によると、2014年までの間に捕獲された個体のDNA検査の結果、交雑した第一世代の存在と、雑種と純粋なショウサイフグとゴマフグとの交配個体が確認されたとのこと。
この時からしばらく時間もたっているため、事態が悪化している可能性もある。
雑種フグによる課題
雑種フグの存在による課題は以下の通り。
- フグごとに異なる毒の部位が判別できにくなる
- 交雑が繰り返されることにより毒の部位が変動する可能性もある
- 毒の部位によっては取り除くことが難しくなる可能性もある
またフグは地域により摂取する餌と蓄積される毒がことなってくるため、一概に判断できないところも注意する必要がある。
釣り人による自己調理の問題
こういったフグの交雑については水産会社も水際で対応していて、特徴が異なるもの疑わしいものは流通させず廃棄しているとのこと。
一方、釣り人の中には専門知識がないまま、フグを自己調理して食べている人もいる。みなさんの周りにはいないだろうか。
フグは交雑により毒の部位が従来と異なる個体が存在しているほか、毒の量は地域によっても異なるため自己判断での調理では大変危険だ。くれぐれも行わないようにしたい。
2017年度も厚生労働省により公開されている事例だけでも、フグによる食中毒は全国で19件発生し22名が被害にあっている(参照)
フグ交雑の事例
出典:札幌市
「ショウサイフグ×ゴマフグ」のほかにも、「トラフグ×マフグ」の交雑個体などもみられる。これから他の交雑が生じる可能性もある。
また、無毒の「シロサバフグ」や「クロサバフグ」と猛毒の「ドクサバフグ」の判断は専門業者でも誤ることがあるほど見分けがつきにくい。
フグ類はその食味がいい。
一方、一歩間違えると取り返しがつかなくなることをしていると改めて認識したい。