先日、或る釣行前日のこと。約2年ヘビーにつかっているシマノのゲンプウ200PGを何気なく巻こうとしたんですね。
するとゴリゴリっとした感触があり、スムーズに巻けないことがありました。
あ。
ある程度釣りなれた人ならわかる現象ですね!
思い返せば、人に貸したときに海中に落水したり、ホースから出る海水がジャバジャバかかってしまっていたりと、それなりにダメージを受けていたのかもしれません。
きっと考えられるのは「塩噛み」です。
リールの塩噛みについて
タックルが海水に水没したあとのドブ付けは自己責任で
船用リールは当然海水対応していて金属部位がさびにくい素材でできています。
ハイエンドのモデルはベアリングも錆に強く、筐体の気密性も抜群。
一方、船釣りは海水の雨をかぶることもあり、岸釣りにくらべるとよりハードな使用環境です。
いつのまにかリールの筐体内に海水が入り、水分が蒸発して、塩分が結晶化。
同時に海水にふくまれる不純物も固着し、それがギアやクラッチの操作性を悪化させます。
塩噛みがひどくなったものはほぼ固着化し、使用感の悪化だけでなく、ハンドルが回せず実釣での使用は不可になることも。
ハイエンドリールの場合は部品数が多く、内部メンテナンスは高度です。
一方、ゲンプウ200PGのようにシンプルなリールはさほどメンテナンスに慣れていないひとでもトラブルなく点検可能。
そこで今回は、塩噛みの原因に対処するために内部メンテナンス作業をすることにしました。
塩噛み疑惑のゲンプウ200PGを分解したらわかったのは・・・
こちらがゲンプウ200PGです。
分解するためには、小型のプラスドライバーと、六角レンチが必要。
あとはリール同封の設計図を手元に、開けていくだけです。
ウェブにも分解図があるので、これをノートPCなど、大き目の画面で開きながらでもよいと思います。
出典:シマノ
ゲンプウ200PGを分解していくなかで注意点がひとつあります。
シマノの両軸リール全般がそうなのですが、ドラグ調整音用のピンの存在に注意しましょう。
上図では、⑬が金属ピン、⑭がバネで、⑫が樹脂の蓋です。
このパーツは何も知らないで分解すると、だいたいバネの力でピンが飛んでいき、いつのまにか無くしてしまい発狂します。
個人的に魔のピンと呼んでいる
上の写真、中央部の小さいバネとピンなのですが、これ床の割れ目とかにハマったりして本当になくしやすいです。
あけるとその勢いでピン!と何処かに飛んで行ってしまいます。
ピンが飛ばないように慎重にあけて、飛んでいってもまわりをすぐ探せるように整理しておきましょう。
その点に注意すれば、分解は楽です。
※ドラグ作動音がなくモデルはメインギア内、ドラグワッシャー付近にもこのピン+バネ+樹脂蓋があります。これも注意
では、愛用のゲンプウ200PGはどうなっていたか・・・
・・・
・・・
・・・
え、塩噛みしてないやんけ!
メインギア、レベルワインド連動部分、クラッチ部分をみても塩噛みは見られず、グリスもほどほどに残っていました。
2年ぐらいつかって、途中1回は開けてメンテしましたが、無傷なのが意外でした。
しかも、ギアの軸をもってまわしてみると・・・
あれ、ふつーにスムーズに回せるぞ。
なんだこれ。
と、しばらく、点検していたら、あることに気いたのです。
爪楊枝の先のかけらに注目
こちら。
そう、謎のI状の樹脂部品が欠けて内部に入っていたようです。
おそらく、いや、十中八九、この欠片がギア部分の歯に入り込んでスムーズな回転を阻害してたのでしょう。
それにしても、どこの部品なんだろう。ボディ下部の水抜き穴など、外部から中に入ってしまったのか・・・。
と、おもったら違いました。
写真赤丸部分にある樹脂の突起が欠けて落ちたようです。
この部品、クラッチを切るときにクラッチユニットの金属部を支えるものらしいのですが、これが幾度の衝撃で掛けてしまったようです。
こちらは17ゲンプウの同部分なのですが、赤丸に凸状部位がありますね。
このあたり、低価格なのでしょうがないですが、樹脂系リールの弱さなのかもしれません。
リールは精密機械。
今回の欠落部品は全体からみると、けし粒2個分ぐらいの大きさしかないですが、ギヤにハマるだけで回転が著しく劣化してしまいます。
よくわからず無理やり回したら、レベルワインド接続部など、部位によっては連鎖して破損する部分もでてくるかもしれません。
ちなみにこのあと元通りにし、グリスを足して、つかっています。
当該凸部位はなくても、極端にクラッチ操作などで不具合は起きないようです。
回転もスムーズですし、めいっぱい2年つかってもまだまだ頑張ってくれそうです。
17ゲンプウは5年ぐらいフルにつかっていますが、シマノはほんと丈夫ですね。
まとめ
今回はシマノのゲンプウ200PGを分解した話をしました。
得られた教訓は以下の通り。
- 釣行前にリールは点検しよう(今回は前日に気づいたからよかった)
- 釣行時は予備リールをもっていこう(釣っている最中になったら困る)
- ゴリ感があるリールは無理に巻かないで点検もしくはメーカーへ
- 低価格帯のリールはシンプルなので分解や問題の洗いだしも容易
釣り人もいろいろ。
自分で日常メンテナンスを一切しない人もいると思います。
とはいえ、今回ぐらいの内容でも釣具店経由でメーカーに依頼すると、依頼してから手元に戻るのに1か月ぐらいかかるんですよね。
その間にリールの予備がないのなら、買い足すなどが必要です。
やっぱり簡単な点検や修理なら、すぐに直せるスキルがあるとよいですね。
関連アイテム
▼ゲンプウは今回、破損部位がありましたが、通常に使用していれば5年ぐらいは問題なく使える丈夫なリールです。
▼シマノ純正。簡単なスプレータイプのオイルとグリス。グリスの粘度は低いのでメインギアやレベルワインドなどにつかうとあまり長く持ちません。
▼シマノDG04 (ACE-2 (旧呼名:DC) は両軸・電動全般のギア類に適したグリスです。
▼シマノプレミアムグリスは、両軸リール用ではなく、自転車用なのですが、粘度が高く、ギアやレベルワインドなどに塗るとかなり長持ちします。塗りすぎると巻き重りの原因になるので注意。自己責任でどうぞ。