2022年12月に神奈川県横浜市金沢区で釣り人の落水死亡事故がありました。
神奈川県警本部からの情報共有をもとに、本件に関する注意喚起をします。
※神奈川県・横浜周辺をはじめ、同じような釣り場で釣りをする方にぜひシェアください!
2022年12月に「八景島対岸」で発生した釣り中の転落死亡事故について
釣り人の間で「八景島対岸」と呼ばれるポイント
12月10日午前10時頃、横浜市金沢区にある人気釣りスポット「八景島対岸」で、80代男性が岸壁上に腰をかけるように釣りをしていたところ、落水し死亡しました。
ライフジャケットは未着用でした。
神奈川県警関係者によると、「八景島対岸や福浦岸壁(事故現場からみて東側)では死亡につながった海難事故は過去10年間なかった」とのことです。
※落水等で通報がなかった等、現地で知らず知らずのうちに事故にあっている人がいるのかもしれません。
「八景島対岸」は岸壁上に乗らなければ安全な釣り場だが
海からみた事故現場付近
現場は成人男性の胸から肩程度までの高さがある岸壁によって歩道が保護されています。
壁の内側にいれば落水する可能性は皆無のため、ライフジャケット着用をする人はほぼいません。
一方、中には壁によじ登って釣りをする人もいます。
今回の死亡男性は「壁上に腰かけるように」釣りをしていたとのことですが、岸壁上を歩きながら釣りをし行き来する(いわゆるランガン)人もチラホラみかけたことがあります。
特に、エギング・タコ釣り・ヘチ釣り・ショアジギングは機動性が釣果につながることも多く、岸壁上を歩きがちです。
さらに、岸壁外にあるテトラに降りて穴釣りなどをする人も過去に目撃したことがあります。
その時は海上保安庁に通報があったのか、海上からの監視で発見されたのか、退去警告をうけていました。
壁の存在を邪魔に思い壁上に登る人は、現場をよく知らず、短竿で釣行する人なのかもしれません。
本件事故を受けて、県警関係者が現地を調査した際にも、数人護岸に腰をかけている釣り人がいたとのことです。
声をかけたところ、そのほとんどが「横浜市内に住む釣りの初心者で、釣り場のサイトを見てきた」と言っていたそうです。
釣り場情報サイトや釣果サイトには現地に適した装備・タックルが記載されていないところも多く、単純に「○○が釣れる」とあると準備不足で釣行してしまう人も確かに多そうです。
たとえば、岸釣りのちょい投げで用いられるような2m程度のエギング・シーバスロッドは同地では極端に釣りづらく、どうしても壁の上に上りたくなるというわけです。
現地には、5~10m間隔で釣り人由来の積みブロック(どこからか釣り人が運んで積み上げた)があるので、そこに乗って釣りをする人も多いです。
また、さらに釣り慣れた人は脚立を持参することも。
こうなってくると、落水の可能性は高まるのでライフジャケットを着用するのが安心です。
話は戻りますが、こちらが死亡男性が落水した場所の岸壁箇所です。
現地にいったことがある人はわかると思いますが、かなり高く、一度落ちると這い上がれません。
落水後、テトラまで泳ぐという選択肢もありますが、冬季に着ぶくれした状態で泳ぐのは至難の業です。
もともと泳げない場合や、急に落水するわけでパニックになって海水を飲んでしまう可能性も高いのではないでしょうか。
周辺で釣りをしたときにしばしば目撃していますが、飲酒をしながら釣りをする方もいます。
飲酒して落水をすればさらに死亡率があがることでしょう。
2022年12月10日の横浜付近海水温は16度程度。(参考:神奈川県)
1時間程度で意識不明になり、生存時間も1~6時間程度です。(参考:海上保安庁)
落水した釣り人を目撃し、救助しようとしても、引き上げることができる場所ではありません。
できるのは水汲みバケツなどをロープをごと投げ込むことや、クーラーボックスを空にして投げ込む程度ではないでしょうか。
そうこうしているうちに、水を飲んだり、心臓発作等で死亡することは容易に想像できます。
落ちたら助からない。そう思うことが大切です。
こちらが落水事故現場の陸地側です。
岸壁に高さがあるため、上に乗らなければ比較的安全です。
こちらが落水現場から見たヘリーポート側です。
前述の通り、岩壁内側には釣り人がどこからか集めたブロックや積み石があり、多くの人はその上に乗って上半身を壁上に出すようにして釣りをします。
「八景島対岸」は岸壁上に乗ってはいけない
こちらは落水事故現場から見た八景島マリンゲート側です。
本件事故を受けて、県警から横浜市港湾局に働きかけを実施した結果、同局において護岸に立ち入り禁止の注意喚起が行われました。
- 「護岸立入禁止」
- 「転落の恐れがあるため護岸上にのぼらないでください 横浜市港湾局」
具体的には、上記のような警告表示が設置されています。
現時点で、八景島対岸の釣り場は釣り禁止でも立ち入り禁止ではありません。
「護岸立入禁止」は護岸の上に登らないという意味合いです。
一方、本件のような事故が続くようであれば、管理者もさらなる事故対策に乗り出す必要がでてくるはずです。
これ以上釣り場をなくさないためにも、釣り場のルールやマナーは守るようにしましょう。
関連アイテム
▼堤防エリアでは膨張式のライフジャケットで問題ないですが、牡蠣殻等が多いエリアや磯場ではゲームベストタイプが安心です。