神奈川県横浜市にお住いの小学2年生虹川まる男君からお便りが届いた。
「平田さん、こんにちは。いつもORETSURIを楽しみにしています。1周年おめでとうございます。最近ぼくは、ハゼ釣りにはまっているのですが、ハゼがあんまり釣れない川で細々と釣りをしていると、なんだか老人になった気がします。これについて調査していただけますでしょうか。」
冒頭から、このように話題を捏造しないとならないくらいハゼ釣りという地味な釣りはコンテンツとして成り立たない。
最近では、ハゼクランクというジャンルがうまれているが、ハゼはやはり地味だし誰でも釣れるというイメージがありつつ、今一つ打ち出し方が難しい。
ということで、やむにやまれぬ大和魂ということで、わたしは虹川まる男君の質問について調査するために、逗子の自宅近くを流れる田越川に向かった。
田越川中流部へ
中流部。
そもそも、一体川のどこからどこまでを河口といい、どこからどこまでを中流といい、その上が上流となるのだろうか。
川がもつ七不思議の一つである。
これについてわたしは明確な答えをもっていないのだが、たぶんここは中流部だろうというポイントにむかった。
多摩川や相模川などでハゼ釣りをしていた立場からすると、田越川の河口はハゼがまったく釣れない。
釣り関連の攻略本をみるかぎりは、河口でハゼが狙えるとのことなのだがまったく釣れないのだ。
潮流やハゼの産卵場所などいろいろな条件によって時代は変わったのだろう。
ということで、今日は捜索の範囲をひろめて中流部を狙ってみる。
川沿いを歩いていると、柵をどうやってこえたのか爺さんが磯竿を2本つかい釣りをしている。
たぶん、ハゼ釣りだろう。
ちょっと話しかけてみよう。
「どうもーこんにちは。釣れますかー?」
日本の釣り場では、この「釣れますかー?」が定型のあいさつだ。
「ん?おーこんちはこんちは。」
「どうですかハゼですか?」
「あーそうそうハゼなんだけどね、まだ1匹。へへへ」
そういって老人は、バケツにはいったハゼを見せてくれる。
15センチないくらいだろう。
「いつもここで釣ってるんですか?」
「昔はやってたんだけどね。最近また時間ができたから。へへへ」
そう老人はこちらをみてはにかむ。
『暇人』ということばがあるように、暇があるということは日本の国では恥ずかしいことであるのかもしれない。
その点で、我々はまだ忙しいのが最上であるという高度経済成長期の呪縛がとけていないのだ。
ちょっと社会派な話題になったが、とにかく数時間ハゼ釣りをしているおじさんもまだ1匹しか釣れていない。
このポイントはダメだろう。さらに上流を目指す。
む。黄色の鯉がいる。
が、やけに細長い。
よくみたら、草魚だった。
その近くにも草魚がいる。
鯉の幼魚の放流にでもまじったのだろうか。除草目的で放たれたのか、よくわからない。
ようやく釣りはじめる
釣りをするまで、けっこう引っ張ってしまった。
ようやくこの日の釣り場に到着した。
本当は、自宅から移動しはじめてから10分くらいしかたっていない。
仕掛けはこの通り。
三つ又サルカンの下側がスナップになっているものに、ナス型オモリをつける。ハリス1号の袖針でもつけておこう。
さっそく釣る。
対岸のかけあがりから、中心にしかけを落としつつ・・・
つつつ。
む。
貴殿でしたか(ヌマチチブ)
足元の草がバサバサいうのでよくみたら草魚が食事をしていた。
イネ科の草の穂は栄養価が高いのか、好んで食べているようにも見える。
つつつつー。つつつつー。
む。
おー、ハゼだハゼ。
水は、地球の生命です。
が、このあと続かず。
この川はなんてハゼの絶対数が少ないんだろう・・・
すこし下流へ。テクテク。
もうすぐ夕暮れだなー。
つつつつー。
む
おー、ハゼだハゼ。小粒だね。
という間に、夕暮れ。
まとめ
ということで、神奈川県にお住いの虹川まる男君へ、
「最近ぼくは、ハゼ釣りにはまっているのですが、ハゼがあんまり釣れない川で細々と釣りをしていると、なんだか老人になった気がします。これについて調査していただけますでしょうか。」
これ、ホントです。
でも、そういうわびしい釣りもおもしろいので思索の機会としてとらえればよいのではないだろうか。
というように今回は混じりっけなしの自作自演ネタだったのだけど、このように釣りやアウトドアについて取材してほしい物事があれば、お気軽にTwitterやFacebookページからコメントをどうぞ。