さほどテクニックもいらず手軽に釣ることもあり、ビギナーにやさしいカサゴ。
食味もよいので人気の魚ですね。一方、カサゴは魚体に対して、身が少ないという特徴があるので、適した料理が限られてくるのです。
25cmを超える大型の個体は刺身でも身が確保しやすいですが、20cm前後の個体は煮付けにしたり唐揚げにするのがオススメです。今回はカサゴの煮付けを美味しく美しく作る方法を解説しつつ、実際の調理風景をお送りします。
横浜・南本牧沖で釣ったカサゴ。いやはや顔つきがじつにいい。
カサゴの煮付けの下処理
カサゴは大き目の個体が釣れたらエラをきって放血してから持ち帰ってます。
- うろこ処理・内臓、血合い処理・水分をぬぐっておく
これだけやっておけば4日はもつので、当日食べない場合も、初日に下処理だけやっておくとよいと思います。全体にかるく塩をふっておくと水分がぬけてチルドルームであれば7日は持ちます。これは自己責任で。
煮付けの下処理というと、基本はいろいろあるのですが、以下のあたりを守っておけばよいと思います。
- 鱗と内臓を完全にとる。血合いも忘れずに(腐敗・臭みの原因はしっかりとる)
- 飾り包丁をいれると皮がやぶれにくくなり、味もよくしみる
- 霜降り処理は80℃程度の熱湯で(沸かしたての熱湯は皮目が破れるので見栄えがわるくなるのです)
こちら、沖上がり時に血抜き。その後すぐに下処理をして数日冷蔵庫で寝かしたカサゴ
霜降り処理をしたあとのカサゴ。うろこも丁寧にとるとよいですよ
カサゴの煮付けの仕上げ
政治にライト・レフト・センター・無関心層・国粋主義者・マルキストなどなど、いろいろな主義主張があるのと一緒で、魚の煮付けにも様々なスタンスがあります。
煮汁の配合割合。
甘くするかしないか。
煮汁を加熱してから魚をいれるか。
煮る時にどのような呪文を唱えるか。
などなど。
個人的に思うのは、そうあんまり気張らないで、いろいろ試してみて自分がこれがいいと思った手法を愛せばよいんだと思います。
でもですね、自分の煮付けを愛するあまり、人の煮付けを否定したりするのはいただけません。
人生色々、煮付けもいろいろ。
世の中、いけすかない人もいるもんですが、そうした輩もいろいろな考えをもっていて、毎日自分の巣穴に帰り人の親であったり子であったりするので、愛をもって接したいもんですね。
あ、煮付けの話でした。
ORETSURI的煮付けの作り方はだいたい以下の通りです
- 煮汁は安日本酒+東肥赤酒+きび砂糖+水あめを混合しておく
- しょうがスライスのような薬味と似つけるかはその時々で
- 煮汁は冷たい状態から中火で約10分炊く
- 落し蓋はキッチンペーパーなどで
- 加熱して8分ぐらいしたら落し蓋をとって、煮汁を煮詰めながら魚に絡める
- もりつけて木の芽あたりをかざる
いろいろやってみたなかで、今のところ個人的なベストがこちらなのです。
調味料の混合と時短煮付け。このあたりが特徴かなと。
よく煮汁の混合で黄金比がどうのこうのってありますが、自分の中での黄金比がきっとあるので、そこに到達するまではいろいろやってみるとよいと思います。
甘辛くした方がいい魚もいれば、甘さをおさえてさらっと仕上げたほうがいい魚もいるし、魚体の厚さによって加熱時間も変わってきますしね。
最初は煮汁が甘辛くなってればいいんだと思いますよ。
むしろ、食べる人がすきな味付けに調整できるのが愛のある料理だと思ってます。
あいつは甘辛派だったなとか。
山下は甘いのきらいだったよなとか。
夏だから塩分多めがいいんじゃないかな。醤油多めで攻めてみよう。とか。
まー自由です。
せっかく自分で料理するんですから俺流の煮付けをつくってみればいいんです。
ということで、筑後盛(OKストアにうってる安い日本酒)+東肥赤酒+砂糖+水あめを混合しておき、下処理したカサゴを並べます。
あとはキッチンペーパーかアルミホイールをかぶせて中火で8分ほど加熱。
8分ほどたって、落し蓋をちらりとめくり魚の状態を見る。
ここで大体火が通ってそうだなとおもったら、落し蓋をはがして、魚のわきにおいてやや火をつよめて煮汁をにつめつつ魚に絡める。
あんまり鍋を揺すると身がもげるので、そっと行います。
これで仕上げなんですが、ぶりの切り身などでより照り焼きみたいに仕上げたい場合は、わきにおいた煮汁がしみこんだキッチンペーパーを菜箸でつかんで身をなでるようにしていくと、だんだんとつやがでてきます。
このあたりは、東肥赤酒と水あめの力です。てらてら。
ちょっと調子にのって煮汁を煮詰めすぎるとこうなります。
副産物としてカサゴの煮凝りをつくりたい場合は、もうすこし煮詰め時間をすくなくし、煮汁を残しつつ別皿にわけて冷蔵庫にいれておけばOK。翌朝の白飯にのっけてかきこむと至福。
今回は仕上げに、鞍馬山椒を散らしてみました。
松葉紋様の皿がよく似合いますね。
UPでみせたろか?
色合いのバランス的に木の芽を飾りたかった
この通り。
煮汁がもうすこしあったほうがよろしい気もします。
これはこれで甘辛くて、白飯が矢鱈にすすみ、真空状態で吸い込まれ2分以内にお茶碗が空になったという事実。
ほんの少しあるほほ肉が繊細な味で、またつくりたいなーとおもったわけです。
ではでは。
平田(@tsuyoshi_hirata)
関連アイテム
▼深めのフライパンがあるとカサゴやメバルの煮つけにも便利
▼鞍馬山椒は煮つけるときにつかったり飾ると味に変化ができてよいですよ
▼魚の煮付けには東肥赤酒をつかうとよいと縄文時代から決まっています。全国の板前さんもよくつかってます。
▼季節のおいしい魚を探すのに便利な書籍