人間にはパンクという種族がいまして、常日頃ぼろぼろの服を身にまとったり、マッドマックスが好きなのでしょうか?鋭意革ジャンのカスタマイズにこだわり合金の鋲を肩あたりにうちまくり、ヘルレイザーみたいな風貌で高円寺の街をあるいていたりと、まー一見おっかないようにみえるのですが、だいたい話してみると心優しい人たちが多いなと感じています。
魚の世界では、スズキ目に属する方々が比較的パンクっぽい風貌をしているような気がしています。このグループは鋭い棘をもっているからかこそ、外敵に食べられにくいそうなのです。たしかに、スズキの幼魚であるセイゴなども、夏のハゼ釣りなどでかかったときになめていると、余裕でこちらの手を切り裂いてきますし、血もとまりません。
で、もったいぶりましたが今日の料理する魚はなんなのか?
スズキ目スズキ亜目イサキ科コショウダイ属のコショウダイです。
コショウダイについて
コショウダイという名称は、体表の背中から尾びれに走る黒い斑点が胡椒のようだからという由来と、小姓の着る服に柄が似ているからという説があるようです。どちらかというと前者のほうがしっくりくる気がします。
このコショウダイ、行きつけのスーパーで、
鯛
として売られていました。
たしかに身が黒コショウのツブをちらしたかのようです。
鱗を落とす
この背びれがかなりパンクです。この手のヒレが鋭い魚の場合、鱗を落とす前にキッチンバサミでヒレを落としておいたほうが無難です。
と、おもったものの、背びれだけはキッチンバサミのほうが壊れてしまいそうという状態。むーん。とりあえず背びれを残して頑固な鱗を鱗とりで取り除いていたものの、まんまと右手の人差し指が背びれに刺されて流血です。。。
頭と内臓をとりのぞく
気を取り直して頭を落とす。9割ほど刃をいれて内臓をきれいに出そうとしたものの腹びれの付け根が頑丈で難儀しました。
完了。血抜きされていない魚とはいえ、血合いが多い印象です。
口は、真鯛や黒鯛のような臼歯状にはなっていないようで、鯉の口にすこし似ていますが、すこしだけ歯もあります。もともと関西に多かった魚のようですが、相模湾などでは五目釣りや真鯛狙いのゲストで釣れたりするようです。
それにしても、背びれが半端ないので、またやられるなと、思い、いつかダイソーで買った植物の剪定ばさみを取り出してみました。これ、機械油がまぶしてあるのでよく洗っておいてください。
みよ。この厚重の太刀を!
チョキンチョキンチョキン!
ということで、背びれがとれました。それにしてもこれは刃の鎧だなと。スズキより堅い背びれである気がします。
コショウダイを3枚におろす
腹を洗って血合いをおとし、水気を清潔な布巾でぬぐいます。
つづいて、骨にそって3枚おろし。背びれや尻びれの付け根の骨がかなり硬いので、ちょっと出刃包丁を動かすコツが必要そうですが、なんとかおろせました。
骨は、潮汁用に、剪定ばさみでカットしておきます。出刃包丁でも対応可能ですが、真鯛同様骨が極めて固いので刃こぼれを避けたいなという思惑です。
ちょっとヘリの肉が減りましたが、腹骨をすいておきます。すいた腹骨には肉がついているのでこれも潮汁用へ。
コショウダイをサクにする
三枚におろした身の皮をすきます。皮はかなり頑強に身に張り付いているので、オピネルのフィレナイフのような薄いブレードのナイフですくとスムーズです。
サクのみためですが、イサキにそっくりですね。
これをORETSURIのFacebookページで、皮なしのサクの写真でクイズにしたところ、お一人だけコショウダイと当てた方がいました。かなり難問なのに、よくわかりましたね。すごいですよ。
血合い骨は処理するのが大変なのですいてしまいます。すいたものは潮汁へ。
こちらが刺身用。すこしだけ塩と酒をふってラップして冷蔵庫で寝かすことに。
もう半身は、塩と白ワインをすこしふっておきラップをして冷蔵庫へ。こちらはムニエルかポワレにしようかと思います。
この後の調理はまた別の記事で。コショウダイの刺身とポワレと潮汁が登場する予定です。お楽しみに。