船エギタコで人気のリールであるテイルウォーク「OCTOPUS LIGHT REEL」。
コンパクトな筐体でタコ釣りに十分な最大ドラグ力があり、関西を中心にユーザーが多いリールです。
今回は「OCTOPUS LIGHT REEL」のスペック面についてのインプレを紹介します。
似たようなスペックで登場した後発のダイワ「フネ XT150P-OP」との違いは、一体どこにあるのでしょうか?
「OCTOPUS LIGHT REEL」と「フネ XT150P-OP」を買う場合、どちらがおすすめなのでしょうか。
テイルウォークのタコリールについて
東京湾のタコ釣りはテンヤの手釣りが主流であった(写真はエギタコ移行期の2020年。2021年からエギタコ率が8割程度に変化)
関東でも船エギタコは人気になり、テンヤとエギ両方の釣り方が楽しめる船でも8割強の釣り人がエギをつかった竿釣りを選んでいます。
もともと東京湾の船タコシーンではテンヤの手釣りがほとんどで、エギタコをやるひとはほとんどいませんでした。
テイルウォーク(エイテック)は船エギタコ黎明期からタコ釣りに適した竿やリールを販売していたブランドです。
特に関西方面ではテイルウォークのリールを愛用している人が多いのが特徴です。
シマノやダイワは魚種特化のリールをそれほど出していませんが、テイルウォークはその間隙を縫って多くのタコ用リールを販売し、タコ釣りに強いブランドのイメージを持っています。
<テイルウォークのタコ用リール>
- ELAN OCTOPUS WIDE VTN(エラン オクトパス ワイド VTN)(NEW)
- ELAN WIDEPOWER OCTOPUS SPII(エラン ワイドパワーオクトパス SPII 64BR)
- OCTOPUS LIGHT-PLUS(NEW)
- OCTOPUS LIGHT REEL(本記事で紹介)
OCTOPUS LIGHT REEL(54R)の特長と製品インプレ
クッション性×抜群の袋同梱。製品名の54はギア比5.4:1からついているものと思われる
OCTOPUS LIGHT REELはテイルウォークのタコ用リールのなかでもコンパクトなタイプです。
OCTOPUS LIGHT-PLUS(215g)が登場するまでは最軽量で、パワフルな大型両軸リールを使うのが一般的だったエギタコシーンにインパクトがありました。
特長は以下の通り。
- 軽さ(225g)
- 6点式遠心NEWブレーキシステム(ブレーキシューサイズが複数で微調整が可能)
- アルミセンターフレームと両サイドのカーボン複合素材のハイブリッド
- 60-75mm の2ポジションのシングルパワーハンドル
- 国産PE2号200m付き
- 51cm/1回転のローギア(ギア比 5.4:1)
パワーハンドルはかなり長く75mm。力をいれやすいがキャストの仕方次第ではクラッチが勝手に入ってしまうリスクも増える
筐体はマットブラックで差し色は赤系統で控えめ
4本編みPE2号200m付属。マグネットブレーキではなく遠心力ブレーキ。外部ダイアルはない
レベルワンドのリング形状は縦長の円。比較的糸詰まりしづらい
遠心力ブレーキはブレーキシューが複数。ただしぱっと見で理解できる仕様ではない
筐体下部ギアボックス内側にラインメモ付き。指でダイアルを回し使用PEを記録しておく便利機能
小型でパーミングしやすい形状。ライトエギタコにいい
ダイワ「フネ XT150P-OP」との違いはどこ?
2019年~2020年のライトエギタコでは、テイルウォークのOCTOPUS LIGHT REELが自然と選ばれるリールでした。
各メーカーがタコ用リールを販売していなかったので、競合優位性があったのです。
2019年のマダコ豊漁に沸くマーケットで、ダイワはエギタコ人気に着目し、2021年4月ごろから市場に投入したのがフネ XT150P-OPです。
フネ XT150P-OPは既存のフネXT150Pの筐体はそのままに最大ドラグ力を高め、ハンドルをやや長くし、よりローギアに振り切ったもの。
筐体デザインは同じで内部変更とカラー変更等でリリースできることから、比較的製品企画から市場投入までは早かったと思われます。
この動きに対して、シマノはタコ専用リールを出さず(開発速度の問題?orポリシーの問題?)、エギタコ専用竿とタコエギの展開にとどまっています。
結果、スピードで制したダイワの「フネ XT150P-OP」は圧倒的に売れ、東京湾のエギタコ釣りでも船上でかなりのシェアがあります。
<ダイワ「フネ XT150P-OP」とテイルウォーク「OCTOPUS LIGHT REEL」の比較>
それぞれの製品情報・スペック面を比較していきます。
- 価格:フネ XT150P-OPは定価16,000円、実売価格12,000円。OCTOPUS LIGHT REELは定価19,000円、実売価格11,980円
- 筐体素材:両者中心部はアルミ合金フレーム
- 自重:フネ XT150P-OPが5グラム軽い(220g)
- 最大ドラグ力:フネ XT150P-OPは9kg、OCTOPUS LIGHT REELは6.5kg
- ハンドル長:フネ XT150P-OPは60mm単体。OCTOPUS LIGHT REELは60-75mm の2ポジション(初期は75mm構成)
- ギア比:両者ともに51cm/1回転のローギア(ギア比 5.4:1)
- ブレーキ:フネ XT150P-OPはマグネット系ブレーキ(外部ダイアル)、OCTOPUS LIGHT REELは遠心力ブレーキ
- その他:フネ XT150P-OPはPE3号150m付属モデルがあり、OCTOPUS LIGHT REELはPE2号200m付属(明石海域対応)が標準&クッション素材のリール袋あり
※実売価格は記事公開時点でのAmazonプライム経由の価格
それぞれ補足します。
<価格>
フネ XT150P-OPは定価16,000円、実売価格12,000円。OCTOPUS LIGHT REELは定価19,000円、実売価格11,980円程度です。
釣り具全般がそうですが、一番人気のフネ XT150P-OPは正規販売の在庫が少なくなり、個人事業者がやや高めで販売しています。
OCTOPUS LIGHT REELは、やや在庫があるのか、比較的安価に購入できます。
※価格についてはシーズンオフ時の再入荷タイミングでまた安定します。
<筐体素材について>
両アイテムとも、アルミ合金フレームと樹脂素材をあわせたもので剛性に目立った差はありません。
<自重>
フネ XT150P-OPが5グラム軽い(220g)のですが、手に持った体感値では差は感じられません。
重量差はハンドル長も関連しているかもしれません。軽さが気になる人は、ゴメクサスのカーボンハンドルに変更するのも一つです。
<最大ドラグ力>
フネ XT150P-OPは9kg、OCTOPUS LIGHT REELは6.5kgです。
経験上最大ドラグ力は6kgあればだいたいのタコは釣り上げられます。
一方、釣り人からすると「タコ釣りで最大ドラグ力強めは正義」という認識があるため、そのあたりをふまえ高ドラグ力に設定したダイワの売り方が勝利している印象です。
タコ釣り単体でいえば、ドラグの滑り出しのスムーズさなど全く関係ないので、構造上の工夫です数字をさらに増したほうが売れるはず。
<ハンドル長>
フネ XT150P-OPは60mm。OCTOPUS LIGHT REELは60-75mm の2ポジション(初期は75mm構成)です。
それぞれシングルパワーハンドルでバランサーがありません。
投げるのが苦手でキャストミスが多い人はハンドルが勝手にクラッチオンし、エギやオモリが飛んでくる(ひとに飛ぶ)リスクはあります。
出荷時75mm構成のOCTOPUS LIGHT REELは、巻き上げの力は入れやすいですが、キャストをする釣りではより注意が必要です。
<ギア比>
両者ともに51cm/1回転のローギア(ギア比 5.4:1)です。このあたりはダイワが完全にあわせてきてますね。
<ブレーキ>
フネ XT150P-OPはマグネット系ブレーキ(外部ダイアル)、OCTOPUS LIGHT REELは遠心力ブレーキです。
細かい調整はブレーキシューサイズが複数ある遠心力ブレーキ搭載のOCTOPUS LIGHT REELのほうがしやすいです。
一方、実際は釣り場で投げながら調整できるほうが便利。
外部ダイアルのマグネット系ブレーキはサイドプレートをあけなくてすみます。
エギタコ釣りでは一定の自重がある(重い)仕掛けをキャストします。
そのため多少の風でのバックラッシュリスクも比較的低く、マグネット系ブレーキで十分という印象です。
<その他>
フネ XT150P-OPは国産PE3号150m付属モデルと糸なしモデルがあります。
OCTOPUS LIGHT REELはPE2号200m付属が標準でクッション素材のリール袋がついています。
OCTOPUS LIGHT REELにはPE2号がついているわけですが、東京湾の海域では根が荒い場所が多く、高切れリスクが高く3号~4号が標準のため巻き替える必要がでてきます。
次にそれぞれの筐体を比較しながら見ていきましょう。
左:テイルウォークOCTOPUS LIGHT REEL 右:ダイワ フネ XT150P-OP
外観のデザインでは、フネ XT150P-OPのハンドルノブの主張(赤いアルマイト処理部分)が強いため、好みが出てくる箇所と思います。
ハンドルについて筆者は、OCTOPUS LIGHT REELのほうが落ち着いていて好きです。
筐体は似たような形ですが、ダイワ フネ XT150P-OPのほうがサイドプレート側に厚みがある印象です。
これはブレーキ機構の差もあるかもしれません。
OCTOPUS LIGHT REELは54というギア比由来のモデルナンバーの主張がありますね。
その他、メインギアカバー付近の文字主張は強めです。
OCTOPUS LIGHT REELのパーミングポジション。
コンパクトなので大人の手では完全に包み込めます。子供や女性のように手が小さい場合もしっかりパーミングして巻けます。
フネ XT150P-OP。親指が置きやすくスプール側に入りづらい。人差し指もしっかり固定できる
こちらはフネ XT150P-OPのパーミング。
実際に持ち比べてみると、よりしっくりくる(パーミング性能が高い)のはフネ XT150P-OPです。
OCTOPUS LIGHT REELは軽量化もあると思うのですがサムレスト(親指をおくポジション)部分が細く、強く握るとつかみづらさを感じます。
大蛸や障害物を海底から巻き上げる際、1日に何度もタコを釣りあげると、この差はでてくるはずです。
OCTOPUS LIGHT REELのパーミングは軽量化のデメリットか、やや力をいれづらい
肉抜き部は指で押すとたわむ。リール単体を落としてぶつけると割れるのでは?
微妙な差ですが、OCTOPUS LIGHT REELでパーミング時に人差し指を置く箇所は肉抜きしてあります。
力を入れるとこの部分がたわみます。
穴への指の入り具合もパーミング性能を落とす原因になっている印象です。
このようにしっかりパーミングするとわかる感触の差がわかる
「OCTOPUS LIGHT REEL」と「フネ XT150P-OP」どちらがおすすめ?
さて、ここまで読んで「OCTOPUS LIGHT REEL」と「フネ XT150P-OP」のどちらを買おうか迷っている方もまだいると思います。
意思決定の手助けになるような点をまとめておきます。
- 価格面:OCTOPUS LIGHT REELが比較的安価です。(正規販売ルートの在庫数が比較的あるため)
- デザイン面:落ち着いているデザインはOCTOPUS LIGHT REEL(文字多用以外)で、派手目がフネ XT150P-OPです
- 機能面:最大ドラグ力やハンドル面以外は巻き心地含めてほぼ変わりません。パーミングはフネ XT150P-OPがよりしやすいです。
- その他:人とかぶるのが嫌であればOCTOPUS LIGHT REEL(特に関東)、ダイワ好きであればフネ XT150P-OP
※価格についてはシーズンオフ時の再入荷タイミングでまた安定します。
個人的には見た目はマットブラック&差し色控えめなOCTOPUS LIGHT REEL(文字多用以外)が好みです。
パーミングのしやすさやブレーキ調整のしやすさという観点ではフネ XT150P-OPがよいと思ってます。
まとめ
今回は「OCTOPUS LIGHT REEL」のインプレを紹介しました。
後発のダイワ「フネ XT150P-OP」とは筐体のカラーリング含めぱっと見はよく似ているので、迷っている方も多いと思います。
それぞれいろいろと言及しましたが、両方いいリールです。
結論はどちらを買ってもちゃんとエギタコ釣りは快適にできるので安心してください。
<参考>
関連アイテム
▼テイルウォーク オクトパス ライト プラス 66Rは、OCTOPUS LIGHT REEL(オクトパスライト)の強化版です。自重-5g、最大巻上長:62cm/1回転、アルミハンドルノブが特徴。ノーマル品よりユーザーは少ないのでかぶりたくない人はこちらもよいですね!