アマダイを釣っていて、仕掛けがアマダイがいる底付近から上に漂うと黄鯛(連子鯛)がヒットする。
黄鯛は比較的容易に釣れてサイズも20㎝前後と小さいので持ち帰らないでカモメのエサにする釣り人も多い。
が、この黄鯛、脂乗りはすくないものの淡白でおいしい魚でもある。駅弁などで小さな鯛の塩焼きを真鯛の幼魚であるチャリコだとおもっていると、その実、黄鯛(レンコダイ)であることが多い。
黄鯛という名前のとおり赤地にやや黄が指しているものの、全体的に真鯛にそっくりだ。
真鯛を高級魚としてとらえている庶民からすると、『めでたい』にもつながるものであるし、底引き網の漁で安定して獲れ原価面を考えても販売者側からみても使い勝手がよいのかもしれない。
黄鯛の味
黄鯛は脂が少ない。そっくりな真鯛とくらべても大分さっぱりしている。
通常、脂が少ない魚は揚げて油分を補う調理法が知られているが、黄鯛の場合はそのサイズからして揚げるよりは、その風貌や淡白な味を生かした料理が似合っているような気がする。
- 塩焼き
- 昆布締め
- 酢締め
鱗と内臓とエラをとって姿のまま塩焼きにすれば、なんとなくハレの日の食べ物に見えてくるし、三枚におろして昆布締めにすれば旨みがまして味わい深くなる。
酢締めは、淡白な黄鯛をさらにさっぱりした味付けでいただくものだが、これも酢のもつ酸味の奥にある旨みやまろやかさで実に上品な味になる。
黄鯛の押し寿司を作る
今回は、10月末のアマダイ釣行で釣った黄鯛を料理する。
サイズは、手の平・・・
というのは嘘で、手にすっぽりおさまってしまう小型たい焼きぐらいのサイズかなと。
頭と内臓をとって、血合いを流しておく。
え?
横に、細長いのがいるって?
それは、カナガシラ氏だよ。
みんなが釣れたら放り投げてカモメにだいぶされるお魚。
頭の骨格が謎に固いホウボウもどき。こちらも淡白派の魚介である。
続いてこれらを三枚おろしにして、以下の漬け材料につけておく。
<酢締め漬け材料>
- 米酢
- 本みりん
- 砂糖(我が家はきび砂糖)
- 切り昆布
- 乾燥ゆず(2016年に買った柚子の皮を天日乾燥させたもの。1年たった)
冷蔵庫で一晩寝かせよう。夜じゃない場合は、適当に次の日になればいいと思う。
あんまり細かいことを考えるよりは、なんとなくでできた旨い料理のほうが面白い。
酢飯を作る
すし酢が販売されているので、それを使えばいいと思うが、自分で作る場合は、以下の材料をまぜて使おう。
- 米酢
- 本みりん
- 砂糖
- 塩少々
- 昆布だし(必要により)
そんでもって、炊き立てのご飯をボールにいれて・・・
すし酢をちょっとずつ振り入れて、しゃもじできるようになじませつつ、人肌まで温度をさげてラップしておこう。
酢飯を固める
酢飯をかためるのに、太巻きなどでつかうアイテムをつかってもいいけれども、今回は、弁当箱を使う。
理由は押し寿司用のアイテムがないからだ。
これね。
弁当箱に飯を詰め込み、ラップをして上から手でプレスする。
秋口につくった炙りサバ寿司の際に欲張って米を入れすぎたので、ちょっと加減したつもりではある。
この弁当容器を逆さにすれば、ほら、この通り。
飯粒の要塞ができる。
このまま、生クリームとイチゴでデコレーションしてみるのもおもしろいかもしれない。
ここで大葉の塩漬けを用意する。
しっかりつかって、しっとり塩と水分がなじんでいるな。いいぞいいぞ。
酢飯の要塞に、大葉を引き、黄鯛の酢漬けのときに漬け込んだ柚子の皮を並べる。
しっかりつかった黄鯛を並べる。
ちょうど3尾で、飯粒が覆い隠せたな。
黄鯛寿司、仕上げの一歩
できあがった黄鯛寿司をラップで包んで、弁当箱にもう一度つめて、冷蔵庫で少し冷やす。
が、冷やすとこの飯粒というやつはでんぷんがβ化してかたくなるので、秋であれば室温も高くないしラップで巻いて成型したあとに包丁で切るという流れでよいと思う。
どかーん。
こ、今回も飯粒が多すぎたようだな。
「まったく飯担当の責任者は何をやってるんだ。失敗を学習しないやつは無能である!次同じ事を繰り返したら、君のポストはないと思え!」
と、秋の夜長の料理ではこのようにわけのわからないセルフ説教を行っていたりする。
皮目はバーナーで炙っておこう。
包丁でカットするときは柳葉包丁(刺身包丁)を使い、丁寧に一口サイズにカットしていく。
スダチをしぼって食べてみると・・・
酢によってしまった黄鯛の身があっさりさわやかで実に上品な味だ。
飯粒は冷蔵庫で冷やしてしまったのでやや硬かったことをお伝えしておこう。
おまけのカナガシラ寿司
「へいらっしゃい。なんにしましょう。え?カナガシラ?お客さん、通だねー。今時分ホウボウさえも知らない人が多いのに、カナガシラだなんて。」
ということで、酢締めのときに一緒に漬け込んだカナガシラを握り寿司にする。
へい、お待ち!
ほうほう。なんだかそれっぽいぞ。
素人寿司にしては、見た目がそれっぽい。
で、味は・・・
淡白ですな。比較的歯ごたえがありつつ上品な味ですこと。おほほほほ。
飯粒大杉+ノーマル米では、押し寿司を冷蔵庫で冷やさない<補足>
黄鯛は筋肉中に水銀を微量に含んでいます。キンメダイなど同様。
妊婦さんは以下の摂取量を守ったほうがよいですね。
>1回約80gとして妊婦は週に2回まで(1週間当たり160g程度)
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/051102-1.html