「マジか!1投目で高切れして高価なルアーをロストしちまった」
「うわ!折角大物がかかったのに、PEから高切れだよ」
だれにでもよくある話です。
一方、PEラインの高切れは、釣り場にゴミを増やす原因にもなります。
キャストを伴う釣りであれば、ルアーが誰かにぶつかる可能性もあり大変危険。
今回はPEラインに「高切れ」が生じる11の原因と効果的な対策を紹介します。
そもそも「高切れ」とは?
高切れしたPEライン
高切れとは、キャスト・根がかり・アワセ・ジャーク、シャクリなどの負荷により道糸が突然切れてしまうことを指します。
似たような釣り用語に「ハリス切れ」「リーダー切れ」があります。
こちらはハリスやリーダー部といった、道糸より先端部の断線を指します。
続いて、高切れの原因と対策を解説していきます。
①PEラインの摩耗劣化
PEラインは複数の繊維をよりあわせて製造されています。
直線強度に大変優れているわけですが、フロロカーボンラインなどと比べて、摩耗に弱いという特徴があります。
摩耗しているPEラインには「ホツレ」や「毛羽立ち」が生じ、強度が低下してしまいます。
特に1号以下のPEラインは少し摩耗しただけで、強度が低下し、手で引っ張っただけで簡単に切れてしまうことも。
「塩噛み」「砂噛み」など、中長期的に発生する摩耗以外に、実釣に短時間で強い摩耗が発生する場合があります。
代表的なPEラインの摩耗原因は以下の通りです。
- オマツリで他の釣り人のPEラインや仕掛けと引っ張りっこになる(潮でのオマツリ、サバなど青物でのオマツリ)
- タチウオ、サゴシ、フグなどに噛まれる
- 船底、舵(かじ)、根に擦れる
<対策>
まず、釣行前に使用する長さ分のPEラインを点検しましょう。
100mキャストしたり沈める釣りであれば、最低100m。釣り場で高切れしたり、ラインが余分に出ることを考えると、200m分はチェックしておきたいところです。
また釣行時に上記の摩耗原因が生じた場合は、該当箇所を点検しましょう。
ちなみに、深場のタチウオでオマツリがあった場合は、オマツリした時点での水深分はチェックが必要です。
釣り船の場合、レンタルタックルのPEラインは必ずチェック!
②竿のガイドやスピニングリールのスプール傷
「新品のPEラインなのに投げるときにPEラインが切れた!」という話をよく聞きます。
所謂「キャスト切れ」です。
Amazonのレビューなどでもよく書かれていますね。
これは、PEラインの品質以前に、使用している竿とリールが高切れの原因になっていることもあります。
釣り竿のTOPガイドのリングが「SiC(Silicon Carbide)素材の場合、そうそうリングが割れません。
一方、ハードガイドなどはいつのまにか割れや傷が生じることもあります。
ハードガイドの割れ。高確率でアワセやしゃくり切れの原因になる
TOPガイド以外についても同様です。
ガイドの傷に気づかないでフルキャストすると、PEラインは簡単に高切れします。
特に1号以内は、すぐに切れます。
リールのスプールをコンクリートに直置きしてませんか?
ガイド割れは比較的わかりやすいのですが、意外と盲点なのがスピニングリールのスプール傷です。
スピニングリールをコンクリートに直置きしたり、釣り場で雑に扱っている場合、高確率でスプール傷が生じています。
スピニングからPEラインが放出される際に、スプールの縁との摩擦が生じます。
このとき、スプールエッジに傷があると、まるでヤスリのようにPEラインを削っていくわけです。
<対策>
- すべてのガイドを点検する
- 特にTOPガイドのリングは「SiC」素材を選ぶ
- スピニングリールを雑に扱わない
- 使用前にスピニングリールのスプールエッジを点検する
- スプールエッジの傷は研磨するか、スペアのスプールを購入する
※SiCガイドでも割れることがある。見えない割れもあり、カッターナイフでガイドの内側を1周なぞると、割れたところでひっかかる
③ルアーやオモリ重量・仕掛けとPEライン号数のズレ
ライトアジのビシは負荷の大きい仕掛け
リールに巻いているPEラインの強度と、ルアーやオモリの重量や仕掛けがあっていない場合、高切れが起きやすくなりまsじゅ。
これはキャストや、潮受けした道具による瞬間的高負荷にPEラインの強度が耐えられずおきる現象です。
<対策>
- ルアーや仕掛けの重量や形状に合わせてPEラインの選択をする
意外に盲点なのがライトアジ用のビシ(コマセカゴ)です。
一見オモリ重量は軽そうに見えますが、コマセを詰めると潮受けし、PEライン1号程度では高切れ確率が増えます。
PE2号を使うと安心です。
1.5号以下の場合は先糸を必ずつけましょう。
④魚のサイズや引きに強度があっていない
青物狙いで細PEは致命的。特にコマセ釣り
狙う魚のサイズや引きの強さに、PEラインの太さがあっていない場合は、高切れが生じます。
特に青物は泳力が高く、瞬間的な引きによって高切れが生じてしまいます。
コマセや泳がせ釣りの乗合船では、他の釣り人のPEラインが太糸であるので、オマツリした瞬間に瞬断してしまうことも。
<対策>
- 釣り物にあったPEライン号数を選ぶ
⑤ショックリーダー太すぎ
根ずれ対策や、歯ずれ対策で、ショックリーダーを太くする場合があります。
PEラインの強度より、ショックリーダーの強度が高いと、根がかりした際にPEラインから高切れしてしまいます。
トレードオフの関係ですが、ショックリーダーとPEラインのラインシステムの強度は、リスクをよく考えておきましょう。
<対策>
- PEラインよりショックリーダーを強くする場合、根がかりしない場所を選ぶ
⑥先糸(ショックリーダー)をつけてない、短い
PEラインは摩耗に弱く、結び目もフロロカーボンやナイロンラインより強度がでません。
そのため、サルカンやルアーとPEラインを直結すると、結び目から破断しがちです。
また、根が多い場所などはPEラインがすれて高切れしやすくなります。
リーダーが短い場合で、海底の根の隆起が激しい場所では、PEライン部分に擦れてしまうこともあります。
<対策>
- 適切な太さのショックリーダーをつける
例:PE1号→フロロ4号、PE1.5号→フロロ5号
⑦結ぶ際に生じる摩擦熱の影響
PEラインは、ポリエチレン繊維で、熱に弱いという特徴があります。
結び目を作る際には、摩擦熱が生じます。
特に細糸の場合、対策をしないで結ぶと強度が劣化し、高切れの原因になります。
<対策>
- 結び目を作る際は唾液などで湿らせる
⑧ベイトリールのバックラッシュ
PEラインを巻いたベイトリールでの高切れ原因でよくあるのが、キャスト時のバックラッシュです。
バックラッシュとは、キャスト時に下糸側が出てきてしまい、上糸側と絡んでしまい固着する現象を指します。
固着する際にPEラインや結び目自体に瞬間的に強い衝撃が加わり、高切れの原因になります。
ラインが瞬間的に高切れしない場合も、結び目になってしまった箇所の強度は弱まります。
<対策>
- メカニカルブレーキ以外の補助ブレーキ精度が高いリールを使用する
- ショックリーダーを必ずつける
- 釣り場についていきなりフルキャストしない
⑨キャストの際に生じる負荷
PEラインに負荷が生じやすい投げ方があります。
オーバーヘッドキャストをする際に、反動を強くつけすぎるとPEラインに瞬間的な負荷が生じ、高切れしやすくなります。
また投げることを想定されていない船竿の場合、PEラインが穂先部分にガイドが絡みやすいので注意が必要です。
繊細なカワハギ竿などでは、最悪、穂先折れとPEライン高切れが同時におきます。
<対策>
- ペンデュラムキャストを覚える(振り子の投げ方)してルアーを飛ばすことができます
- 船竿でオーバーヘッドキャストをしない
⑩タックル持ち運び中の傷
PEラインを通したままの場合、いつの間にか傷がつく
タックルをセットしたまま車の中や、部屋に置いている場合は知らない間にPEラインに傷が生じている場合があります。
また釣り場や船上での移動中も、PEラインに傷が生じることがあるので注意が必要です。
特に磯場を移動する際は、岩との擦れがあるので、不用意にタックルを地面に置かないようにしましょう。
<対策>
- タックルの移動には注意する
- 毎度タックルをセットしたままの場合は、PEラインの摩耗を点検しておく
⑪ドラグ性能が低い
ドラグ性能が低いリールの場合、強い引きに対してなめらかにドラグ機構が作動せず、PEラインやハリスに瞬間的な負荷が生じやすくなってしまいます。
ハリスやリーダーがPEラインに対して細ければ、そこから切れますが、PEラインの摩耗状況によっては、PEラインから高切れしてしまうことも。
<対策>
- 細いPEラインで大物を狙う際はドラグ性能が滑らかに動く高価格帯のリールを選ぶ
まとめ
よく、「何もしてないのに新品のPEラインが切れた」「このメーカーは粗悪なPEラインを売ってる!」というようなAmazonのレビューを目にします。
もちろん、工業製品に初期不良はゼロではありません。
一方、メーカーのせいにするだけでなく、本当に自分の釣り方や道具に不備はなかったのかを見つめなおすことも必要ではないでしょうか。
- 竿とリールの点検は十分だったか
- ターゲットや釣り方にあった号数(lb.クラス)であったか
- 投げ方は問題なかったか
- 使用前後のライン点検はしっかりやっているか
以上を毎度やっていると、PEラインの高切れのほとんどが自分の扱い方に起因することがわかります。
本記事を読むことで、PEラインの高切れが減るとよいですね!
まわりで、高切れが多いと嘆いている人がいたらシェアしてあげてください。
関連アイテム
▼細いPEラインとサルカンとの直結は避け、リーダーをつけましょう
▼PEラインの摩耗はフッ素コートスプレーの使用によって軽減します。ガイド抜けなどは抜群によくなるのですが、ショックリーダーと結ぶ際に、滑りが生じるので注意が必要です。接着剤などでサポートしましょう
▼PEラインの毛羽立ちが目立ってきたら、高速リサイクラーをつかって、下糸側を上糸とひっくり返す「天地返し」をするのも一つです。毎度PEラインを買い替えずに済むエコな使い方です
▼高切れではないですが、PEラインのノット抜けが生じやすいという場合は、ノットの摩擦係数を上げるスプレーもおすすめです。前述のフッ素コーティングスプレーですべすべになってしまった場合など、釣り場でのノット結節の強度を上げたい場合にもおすすめ。