我が家七不思議の一つ、謎の「塩イナダ」失踪事件について

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塩イナダ
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2018年1月の話。

伊豆半島の西側。西伊豆の田子に「塩かつお」というのがあると、西伊豆町に勤めている人から聞いたことがあって、気になっていた。

塩かつおってのは、一本釣りで漁獲したばかりのカツオの内臓をぬいて、塩漬けにして、沖に上がってからも1か月ほど塩漬け。その後、冬の西風で干してできるという代物。

とても塩っ辛いものの、茶漬けなどにすると絶品だそうで。ははーん気になる。

そんなときに、平塚庄治郎丸のライト五目で出船して釣れたのがイナダ。

これで「塩イナダ」をつくってみようと思ったわけです。釣り人たるもの、魚を買うぐらいなら自分でもつくれるんじゃないかなと。

イナダ

このイナダ。

そんなに大きいサイズではないものの、マルアジの泳がせ釣りで釣れたもの。

相模湾で釣ったマルアジ

こちらがマルアジ。マアジと比較して棒状で脂ノリが薄く、さっぱり系で食べる以外では、揚げ物に向いている魚。

相模湾で泳がせ釣り

当時は、予備竿として97スコーピオンというベイトリールをつかってたんだなと。

今思うと、ハンドルが短くて海では回収が遅くてきつめだったなと。このあと、スプールは錆びたんだよな。やはり淡水用リールは海で使わないほうがいい。

で、持ち帰ったイナダがこちら。上にちょっと見えてますが、ヒラメも釣れた。

イナダって中学生ぐらいの顔をしている。

冬場のイナダといえば、「イナダでもやや胴が太い」という説があるのだけど、たしかに太目。

これを丁寧に下処理する。

塩漬けする前に、鱗・血合い・エラあたりをきれいにとって洗っておく。

これを大量の塩で覆う。

写真だと、まだ塩が弱いんですが、ドバドバ、ドッパンっと、500gぐらいつかっておけばよいと思う。そんなに遠慮すんなよ。こまいこまい。ってやつで。あとは1日冷蔵庫で寝かす。

本家の塩カツオは1か月は寝かせるらしいんだけど、まーそこは大人の事情ってことで時短でよろしくちゃん。

丸ごと干すので、腹にもからっ風が入って良く乾くように、爪楊枝でホールド。

ベランダで陰干しするんだけど、こんな具合に、ビニール紐でフックをつくって吊るすとよい。

干し続けるとこうなる。

イナダのミイラみたいな。

このレースのカーテンがやけにペラペラなのは100均のだから。今は違うよ

雨の時は屋内で愛で、晴れた日は直射日光があたらないようにして干す。

かれこれ2週間ぐらいはたったか。

時は過ぎ。

晴れてイナダはこうなった。

それっぽい。

これが、「塩イナダ」だと言われれば、そうだよな。間違いなさげ。

そう、頷かざるを得ない仕上がり。

頭部もしっかり干しあがっている状態。

これは削って、お茶漬けにしたら出汁感もあってうまいんだろうなー。梅干しあたりをかましつつね。

腹もすっかりミイラ状態。

乾燥してはがれた塩をなめてみると、旨み。

要は、イナダから染み出た旨みが、いい具合に塩に吸い込まれて冬のからっ風で乾燥したわけで。これは、まさに「イナダ塩」。

料理につかえるなこれは。

がはは。いいネタできた。と、思っていたんだよね。

思っていた。

なんだか不穏な言葉遣いになってたなと。

料理につかったらうまかった。

じゃなくて、思っていた。ときた。

未だ為していない人、未だ為されていない系の物言い

どういうことなんだ。

ちょっと、署で詳しく聞かせてもらおうか。

・・・

いや、それには及びません。

よく聞いてください。

実はですね・・・。

このできあがった塩イナダをね、さらに1か月ぐらい部屋の中に干していたわけだ。イナダくせーなーとは思いながらも。その部屋干しで熟成がすすむんじゃないかなと思ってね。

今日び、だれだってアミノ酸を増やしたい。

釣りや魚料理界隈も、なにかと「熟成の一つ覚えみたいな人」が増えているわけで。なんでも寝かせればいいと思っている。そういう風潮にはどこかで喝をいれたい。お前に本当の魚を食わせてやる!ってね。

だけど、わたしもやっぱりそこは否めない。

人間だれしも、アミノ酸を増やしたい。

アミノ酸スコアが呂布ぐらいになった状態で、心から満足した上で、記事を書きたかった。

超絶!自家製塩イナダが滅法オススメな件について」みたいなタイトルの記事をね。

したかった。

はい、もう過去形。

なんで、2年前以上のことを語っているのか。

早く先を話せ。

実は。

部屋干しをして1か月後ぐらい。たぶん2月中旬ぐらいだったと思うんだけど、仕上げに太陽光にあてようとしたのだ。

やっぱり仕上げって重要でしょ?仕事やってる感を出すのに。

「仕上げに太陽神に祈りをささげて、出来上がりです」

みたいな。世の中のやってる感なんて、みんなそんなもんだよ。なんの意味もない。

で、ベランダに干したんだ。俺の塩イナダを。

そんで、外出して、夕方あたりに帰ってきてさ、すっかり屋外が暗いなか取り込むでしょ。塩イナダを。

それがね…。

ねーんだ。

塩イナダが。

なんにもねー。

・・・

「フハハハハ。お客様、ご覧ください!タネも仕掛けもござーいません。先ほどの立派な塩イナダ、このフイフイの古代インド魔法で四次元世界に消えたーのです!」

だれおま。

それにしてもだ、なんならビニール紐さえもないっていう。

一瞬頭の中がパニックにはならないまでも、脳内が??????????????????????で埋め尽くされる状態。

金田一少年、刑事コロンボ、シャーロックホームズ、名探偵コナンみたいな、どいつも推理偏差値80強の助っ人が総動員してこの謎を解こうとしている。

風が吹いて飛んでいった?

いや、ベランダのフックにビニールでしっかり固定していたからそんなことはないはず。

そもそも飛んでいっても、着地点をみれば必ず見つかるはず。なかったでしょ。

死んだイナダは空を飛ばない。そのぐらいのことがわからないの?まだ塩イナダで消耗してるの?

ネコとかハクビシンとか狸?

これあり得るかも。いやでも、いくらなんでも塩っからすぎだから、近隣に棲んでいる獣各位でも、ちょっとこれを持ち運ぶのは遠慮するんじゃなかろうか。

狸とか裏の家にいたけど。狸より縦方向の移動に強そうなハクビシンもいてもおかしくないけどね。

それにしても、まだ塩イナダで消耗してるの?

タイワンリス?

うーん。いや、奴はこのベランダでもよくかけて屋根あたりに棲んでいる気配もするけど、ベジタリアン+昆虫食ぐらいだからな。イナダは食わないだろ。

しかも塩イナダならなおさらだよ。ビニール紐はカットしそうだけど。

カラス?

カラスはベランダに現れたことがなかった。それに、塩イナダが乾燥しているといっても結構な重さでそれを加えて飛んでいくには荷が重すぎるんじゃないか。

ヒューマン?

これはまさかの将門。

人間、っていうか泥棒が、酒の肴に塩イナダをかっさらっていったんじゃないか?マスターシーフみたいなのが。

でも、一般人にとって、ベランダに干してあってさ、矢鱈に魚臭い呪術道具みたいな塩イナダをもっていかないだろうよ。むしろ窓割ってタンス預金盗むでしょ。そんなのないけど。

という具合に、古今東西の推理のプロがそろっても解決しない。塩イナダ失踪事件。完全に迷宮入りという。

もはや、おきまりの「実は旨かった系の記事」も書けないし、封印したのです。

・・・

時は過ぎ。

或る日に、ひさしぶりに東京に仕事でいく用事があって、昼前ぐらいにコロッケパンをモグモグ食べながら駅にむかおうとした。

コロッケパンを食べながら仕事に出かけるやつなんて今時いる?って思うだろ?

それが俺です。

川沿いの道をゆく俺。香るコロッケパンのソース。

そしたら、いきなり後ろから何者かに頭を殴られた!

バシッ!

って。

グーじゃないっぽいけど。すごい勢いで。

振りかぶったハンドバッグみたいな遠心力を感じたのだけどアタリはソフトだったな。

海沿いののどかな街に引っ越してきて、はじめて人に絡まれた。どうしよ。

みたいに一瞬思った。

人間、不思議なもので危険がせまると神速で脳が動くんだ。

そんで、振り返りざまに、右回し蹴りだな。

その次は、意外に俊敏すぎる俺の反撃にひるんでいる輩との間を一瞬でつめて、寸勁。

これでKOだろうな。

経験上、KOで間違いないと思う。

そう思った。

が、バサババサバサ!

って明後日の方向に飛んで行ったのがトンビだったという。

ファッ!

ああ、やつか。

いずれにせよ、コロッケパンは実行支配したまま無傷で守り抜いたから、俺の勝利だな。専守防衛の尊さよ。先制攻撃ができないなかで、国を守るということの困難さといったら頭がさがるな。

そうおもった、その次の瞬間。

謎はすべて解けた!

金田一少年がね、吠えた。

塩イナダ失踪事件は、奴のしわざだと。

トンビしかいない。

奴に違いない。

むしろお前だ。

じゃあ、君の推理を聞かしてもらおうか。

はい、よく聞いてください。

トンビだったら塩イナダが塩っ辛くて食べないまでも、興味津々丸で、一応かっさらうんじゃないかと。

奴なら、ビニールひもごと、塩イナダをかっさらう武力をもっているなと。

マニアックな話で恐縮なんだけど、正確にいえば、一騎討ちでも、トンビはカラスに負けるんだけど、奴ら器用だし、羽の大きさと生み出される武力自体は、カラスより格上。

きっと、あれだ。

上空で旋回するうちに、ベランダの塩イナダに気づいて急降下&鷲掴みエブリデイみたいな感じで、ビニールひもごとフックから外して、再浮上。

所謂、ヒット&アウェイ。

そして、山沿いの上昇気流。

颯爽と風に乗る奴のドヤ顔が目に浮かぶ。

それで、あれだろ。人気のないどっかの家の屋根やら、山の樹にでもサクッと移動して、メシウマーって俺の塩イナダを食べようとしたんだろうな。俺が丹精込めてつくった貴重な塩イナダをよ。

だがな、そうはいかんぞ。

御前は、まんまと罠にかかったのだ。

その塩イナダは、猛禽風情が食せる塩分濃度ではないのだよ。

元からこうなることを想定し、あえて塩分濃度を濃くしていた計略なのだよ。「塩イナダの計」とはこのことだ。

以後よく覚えておくがいい。がはははは。

ってことで、イナダをまたいつか釣ったら、「超絶!自家製塩イナダが滅法オススメな件について」みたいなタイトルの記事が出ると思う。

それじゃ、お楽しみに!

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