【図解】タイラバをめぐる「三つの誤解」を考える

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タイラバで釣った真鯛
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みなさん、こんにちは。

大阪で単身赴任生活をエンジョイするサラリーマン・アングラーの釣人割烹です。

関西に来て早くも4カ月。釣りの幅を広げるべく、関東ではやらなかった新しい釣りにいろいろ取り組んでいます。

その最たるものがタイラバです。

もともと関西では盛んな釣りで、関東、東京湾や相模湾でも着実に広がりつつあるようです。

4月末に初挑戦して3カ月あまり。

まだトウシロウですが、これまでの気づきや学びを記録にとどめておこうと思います。

目次

つまらないと思っていたタイラバにハマるまで

そもそも筆者はもっぱら餌釣り派で、基本的にルアーはやらない。

これまで真鯛は主にエビ餌の一つテンヤ仕掛けで釣ってきました。

これが一つテンヤ。底を取れるギリギリの軽いものを使うのが鉄則

  • アタリ=魚が餌(擬似餌含む)を口に入れるアクション
  • 合わせ=釣り人が魚を針に掛けるアクション

釣りにおいては、この二つのプロセスこそ、魚と釣り人の駆け引きの核心であり、最もスリリングで面白い部分だと思っています。

一つテンヤの釣りは、アタリに鋭く合わせて真鯛のカンヌキを太いテンヤ針で貫くもの。

ところが、タイラバは着底したら一定の速度で巻き続け、アタリがあっても合わせを入れず、そのままただひたすら巻き続けよ、と言う。

「なんとまぁ面白くない釣りか」

タイラバを馬鹿にしていたわけです。

やったこともないのに「退屈きわまりない釣り」と決めつけていたのです。

そんなタイラバを、なぜはじめることになったのか。

それは、日本一うまいといわれる明石海峡のブランド真鯛を釣るためです。

会社の釣り仲間たちからも「明石の鯛を釣れ」と言われ、大阪へ送り出されました。

明石あたりは潮の流れが速く、フワリフワリと落ちていく一つテンヤは通用しません。

そもそも、やらせてくれる船宿がない。

明石海峡にはタイラバ、もしくはビニールの擬似餌仕掛けを使う「鯛サビキ」の船しかないわけです。

鯛玉(タイラバヘッド)にネクタイ、スカート。

筆者には子供だましとも思える仕掛けで真鯛に最初に挑んだのは、単身赴任直後の4月下旬。

運よく食べごろサイズを1匹ゲットしました。

それにしても、明石鯛はうわさに聞く通り、すごく旨い。もっと釣りたいぞ。


オモリとネクタイ。なぜこんなもので真鯛が釣れるのか。最初はさっぱり分からなかった

というわけで5月上旬に2度目の釣行。

兵庫県明石市林崎漁港の村由(むらよし)丸に乗りました。

ここで屈辱を味わいます。

誰ともしゃべらないソロ釣行。

明け方に港を出て、昼ごろの沖上がりまでひたすらリールをただ巻きし、釣果ゼロでした。

完全無欠のボウズ。ところが、隣の釣り人は次から次に釣り上げ、7枚で竿頭でした。

これ、ふつうに心が折れますよ。

船を下り、ぐったりという筆者に、村由丸の船長からきつい言葉が飛び出しました。

「おとうさん! 下手くそすぎるわ。タイラバまったく分かってへんわ!」

息子ほどの歳の差がある船長(なぜか筆者を「おとうさん」と呼ぶ)が、関西弁のマシンガントークでタイラバについて熱く語ります。

この船長、へんてこな金髪で、いかにも昔ヤンチャしていました、という印象(あくまで印象です!)。

学校のお勉強もろくにしなかったんだろうが(印象!)、論理の筋が通っていて、表現もじつに的確。おそろしく地アタマがいい。

すごい勢いでしゃべるタイラバ論の半分も飲み込めませんでしたが、筆者は文句なしに彼に惚れました。

「船長、もういい。わかった! また乗るから教えてよ」

こうして明石に通って村由丸に乗り、タイラバ沼にハマっていきました。

この船長と出会わなければ、タイラバの面白さを理解できないままやめてしまったかもしれない。ラッキーというほかありません。

村由丸から見た夕方の明石海峡大橋。本州と淡路島を結ぶ世界最長の吊り橋だ

筆者はタイラバをきわめるどころか、はじめたばかりの半可通です。

いつも船長から叱咤され修行する身ですが、世の中にはタイラバについていろいろ誤解があると感じています(当然ながら筆者も最初は誤解していました)。

これからそんな誤解を三つ選んで、考え、感じていることをお伝えします。

生意気は承知之介。

タイラバをやり込んだ方々には分かりきったことばかりかもしれないし、間違いがあるかもしれない。

そこらへんはどうかご容赦ください。

タイラバの核心は「潮噛み」だと思う

【第一の誤解】
「タイラバでは仕掛けをまっすぐに落とし、着底したらすぐに巻きはじめるもの」

釣りの記事や動画で、よくこんなふうに紹介されています。

筆者も最初は勝手に、タイラバの仕掛けをバーチカル(垂直方向)に動かすイメージを抱いていました。

これが、誤解の最たるものではないかと思います。

完全な誤りとまではいえません。

実際、垂直に落とし、垂直に巻き上げても真鯛は釣れます。

春先など活性の高いときには。

しかし、そうではないケースの方がずっと多いわけです。

実はタイラバを巻くとき、道糸に角度をつけ、斜めに引くとアタリが出やすいんです。

タイラバというのは、バーチカルではなく、基本的に「斜めの釣り」なのです。

肝心なのは、斜めに引くときに水の抵抗をしっかり感じること。

これはよく「潮噛みさせる」と言われます。

以下、順に説明します。

なぜ潮噛みさせると釣れるのか。

水の抵抗を受けながら引っ張られるタイラバは、ネクタイがヒラヒラとよく動き、魚に強くアピールするからと考えています。

ネクタイの動きが波動を生み出し、それを魚が側線(水圧や水流を把握する器官)で感じるから、と言われていますが、そこらへんは専門家ではないのでよく分かりません。

潮噛みをどう感じとるか。

リールの等速巻きを心がけていれば手もとにしっかり伝わってきます。

タイラバが水の抵抗を受けるとハンドルが重たくなる。

それで「潮噛みしたな」と分かります。

海中の潮は複雑に動いており、底から等速巻きをしているとタナによって潮を噛んだり、噛まなかったりします。

慣れればリールを巻いていると分かります。

ハンドルがグッと重くなったあとにアタリが出る、というケースが多いのです。

巻きが軽く、潮を噛んでいないときのタイラバはおそらくダラッと死んだ魚のような状態。

真鯛からみても魅力がないので、ガン無視されるのでしょう。

水の中は想像しにくいので、空気中で再現してみます。タイラバを扇風機の前にかざしてみると、ちょっとした角度や位置でこんなにもネクタイの動きが違う。

▼潮をしっかり噛むとネクタイの動きがいい

▼ちょっと場所がずれるとネクタイは動かない

タイラバの道糸に適切な角度をつける方法とは

では、どうやって潮噛みさせるか。

ここがいちばん肝心なところです。

タイラバを水流が押す強さと方向は、潮の流れと船の流し方(風や操船)で決まります。

潮が速く流れていても、仮に船がまったく同じ方向に同じ速さで動いていれば、潮の動きは見かけ上ゼロで、タイラバは真下に落ちていきます。

潮の流れと船の動き、水がタイラバを押す力の関係は、下の2枚の図を参考にしてください。

潮・船・タイラバの動きの関係性①

潮・船・タイラバの動きの関係性②

図中の赤い点が船(釣り人)の位置です。

潮の流れや船の動きは分からなくても、水がタイラバを押す力の強さ(矢印の長さ)と方向は、仕掛けを投入すれば分かります。

さて、潮噛みで重要なのは鯛玉(ヘッド)の重さです。

水が押す力に対し、ヘッドが重すぎれば潮噛みせず、限りなくバーチカルな釣りになります。

反対に、ヘッドが軽すぎると底が取れないまま果てしなく流されていくわけです。

適切な重さの鯛玉を選ぶと、潮噛みし、角度がつきます。

これを図示すると下のようになります。船から仕掛けが前方へ出ていく「払い出し」の場合はB、仕掛けが背中の方に流れ、船の下へ飲み込まれていく「くわえ込み」の場合はDが理想的に潮噛みした状態です。

ヘッド重量と潮噛みの関係(潮下払い出し)

ヘッド重量と潮噛みの関係(潮先くわえ込み)

釣り船ではその日の海況を踏まえ、船長が基準の鯛玉(ヘッド)を指定します。

明石海峡の場合は、だいたいタングステン60gあたりからスタートします。

開始の合図のあと、筆者は落とし&巻き上げを繰り返しつつ、鯛玉を次々に取り換え、潮を噛む重さを探します。

ちなみに下の写真は、筆者が明石海峡の釣行で船に持ち込む鯛玉のラインナップです。

 


明石海峡の釣行で筆者が準備する鯛玉

最も軽いもので鉛6号(22.5g)、最も重いものはタングステン120g。

水が押す力が弱ければどんどん軽く、強ければ逆に重くしていきます。

斜めにタイラバを引くメリットはもう一つある

タイラバで他の客の釣り方をそれとなく見ていると、せっかく道糸が理想的に斜めに傾いているのに、巻き上げて入れ直している人がいます。

「もったいない!」と声をかけたくなる。

「バーチカル」の呪縛にとらわれているのか。

筆者の最初のころの釣りも、まさにそうでした。

明石海峡でこんなケースがありました。

激渋だったある日の夕方、潮止まりで底潮がほとんど流れず、最も軽い鉛6号のヘッドでもほぼ垂直に沈み、角度がつかず、潮噛みしない。

そこで、無理に傾きをつけるため、両軸リールで潮下の方向へ遠投。

無理やり角度をつけると、すぐにアタリが出て1枚とりました。

筆者はまだやったことはありませんが、スピニングリールでタイラバをやる人もいます(いわゆるスピニング・タイラバ)。

こういう状況では有利なんだろうな、と。

ただし、投げる方向は潮下側(水が押す方向の先)が鉄則です。

逆へ投げるとタイラバは押し戻され、道糸がたるむ。

等速巻きしても糸がピンと張るまでタイラバは動かず、根掛かりもしやすくなります。

潮先(※本記事では潮上を差す)へ、タイラバを遠投した場合

斜めに角度をつけて潮噛みさせる攻め方には、じつはバーチカルな攻めにはないもう一つ大きなメリットがあります。

タイラバでは、魚探に写った真鯛の遊泳層で巻き上げ&落としを繰り返します。

真鯛が底から数メートルの狭い範囲に固まっているとき、バーチカルだとあっという間に遊泳層を通過してしまいます。

これに対し、斜め引きだと真鯛の遊泳層でタイラバを引く距離が長くなり、ヒット率が上がるというわけです。

斜めに引くとタイラバが真鯛の遊泳層を長く泳ぐ

ただし、巻き上げと落としを繰り返すうちに、水に押されて仕掛けが船から離れていきます。

潮が釣り座から「払い出していく」場合は、仕掛けが遠くにいくほど伸びた道糸が潮受けしてふけ、タッチ&ゴー(着底即巻き上げ)が難しくなり、根掛かりの危険性が高まります。

反対に「くわえ込み」の場合には、反対舷の釣り人とオマツリしやすくなってしまいます。

このため、ある程度のところで巻き上げて入れ直すわけですが、水の押す力が強すぎる場合もあります。

こうなると、巻き上げ&落としを4、5回やっただけで遠くまで流され、入れ直さなければならなくなるわけです。

この時には思い切って重めのヘッドに変えるのも一手です。重いタイラバならバーチカルに近い攻めとなりますが、巻き上げ&落としを何度も繰り返すことができます。

潮の速さによってはバーチカルな攻め方をしないといけないことも

むしろ根本的に発想を変え、リールをいっさい巻かず、タイラバを底近くの遊泳層で潮噛みさせながら真横に泳がせ続ける攻め方も可能なはずです。

船の動きで新しいポイントに入っていく。やっている人もいるのではないでしょうか。

要素が釣り合うと「タイラバ・トローリング」も可能なはずだ。

ちなみに、イワシなど餌となる魚がいて底から中層にかけて真鯛の反応が広く出ているときには、重たいヘッドによるバーチカルな攻めが有効です。

斜め引きだと底から中層まで広く探るのに時間がかかりすぎます。

重たいヘッドだと、底から中層までバーチカルに素早く探れます。

「物事には必ず例外がある。おとうさん、引き出しを増やせ!」と、筆者は年の離れた若船長から繰り返しいわれています。

一つテンヤの経験で、中層~上層でイワシを追う真鯛は一つテンヤでもタイラバでも釣るのが難しく、ジグにのみ激烈に反応するというケースがありました。

このため、タイラバ釣行でも筆者は念のためジグを持っていくようにしています。

財布に優しくないタングステン

【第2の誤解】
タングステンの鯛玉(タイラバヘッド)は、鉛よりも釣れる。

このタングステンという貴金属に筆者は最初、戸惑いました。

なぜこんなに値の張る材料を釣具にするのか。しかも、間が悪ければ歯魚のアタックや根掛かりであっという間に海へ奉納してしまうわけです。

財布が痛い。

安い鉛の鯛玉でなぜダメなのか。

タングステンは鉛より比重が大きいため、同じ重さでも体積が小さいのは多くの方が知ることです。

このため鉛よりも潮受けの影響が少なく、潮を切り裂いて早く沈み、シルエットも小さいため魚に見切られにくいとされます。

オモリとしての性能が鉛を上回っているのは明らかです。

同じ45gでも、鉛(左)に比べ、タングステン(右)はこんなに小さい

タングステンがなければ、みな疑問も抱かず「そういうもんだ」と安い鉛玉で鯛を釣っていたはずです。

ところが、研究熱心な釣具メーカーがタングステンの鯛玉を出したとたん、鉛玉の性能は変わらないのに劣後してしまいました。

明石海峡で船長が鯛玉80gを指定した場合、周囲がタングステンを使うなか自分だけ鉛玉を使えば、潮受けしてオマツリになりかねない。

かくして鉛玉は駆逐されていくわけです。

とはいえ「オモリとして優秀」だからといって、必ずしも真鯛が釣れるわけではありません。

海況によっては同じ60gでも体積の大きい鉛の方が潮噛みするケースもあるだろうし、潮止まりでは鉛玉6号(22.5g)を使う局面もあります。

すなわち、タングステンだろうと鉛だろうと潮噛みさせることが大切であり、「タングステンだから釣れる」というわけではない、と筆者は考えています。

日本一うまいと言われる明石鯛。これはタングステンで釣れたが、潮噛みさせれば鉛玉でも同じように釣れる

タングステンと鉛をもう少し掘り下げてみましょう。

比重というのは、ざっくり言えば水(1㎤=1g)と比べたときの重さの比率です。

鉛の比重は11.36。すなわち1㎤当たり11.36gあります。

これに対し、タングステンの比重は19.3(1㎤当たり19.3g)で、鉛よりはるかに重い。

明石海峡ではタングステン60gが標準ですが、その体積は、60÷19.3≒3.1㎤です。

これが鉛なら、60÷11.36≒5.28㎤で、タングステンの倍近い大きさになってしまいます。

タングステンの比重は「金」とほぼ同じ。

それ以上に比重が大きいのはプラチナ(比重21.45)くらいしかありません。タングステン、やっぱりすごいです。

これに勝つには、プラチナで鯛玉を作るしかありません。

ちなみに、プラチナの店頭小売価格は1g当たり4,000円前後。60gの鯛玉1個24万円になります。。。

いわゆるタイラバヘッドの「あたりカラー」の真偽について

【第3の誤解】
鯛玉、ネクタイ、スカートの色やデザインが真鯛の食いに影響する。

釣具店へ行くと、様々な色や形の鯛玉やネクタイ、スカートであふれています。

こうなると、はじめは何十種類も揃えないとまずいのでは?という気になります。

じっさい、釣具メーカーの動画や釣り人のブログなど、いろんな人がいろんなことを、もっともらしくしゃべっています。

筆者としては、釣行回数があまりにも少ないため何とも言えません。

とはいえ、これだけは言えます。

「鯛玉(ヘッド)の色は食いに影響しない」

いや、断言するのはまずいかもしれません。

「鯛玉の色が食いに影響した」と感じたことはない。

実際、筆者が持っている鯛玉の多く(タングステン玉はすべて)が、地金(じがね)で着色なしです。

厳密な実験をすれば、鯛玉の色が食いに影響する可能性はあるかもしれません。

しかし少なくとも地金の鯛玉で筆者自身が不便を感じたことはないし、周囲から「色を変えたら釣れた」と聞いたことはありません。

鯛玉のかたちについても、大別して首を振らない完全な球に近いものと、首を振る偏平なものに分かれますが、筆者はあまりこだわっていません。

一方、ネクタイの色や形状。

これらは食いに影響すると思っています。

筆者は現時点で明石海峡、鳴門海峡でしか本格的なタイラバをやったことがありません。

このエリアでは「ネクタイのみでスカートなし」というのが標準です。

ネクタイについては、オレンジ色単色かオレンジと黒のゼブラ(しま模様)が定番とされます。

こうなると、買うべきものは絞られます。釣具店に行って、あれも、これもと悩む必要はありません。

タイラバ歴3カ月という筆者のようなビギナーの場合、鯛玉やネクタイの色、形状の差などより、上手に潮噛みさせられるかどうかが釣果を分けると思っています。

潮噛みが自由自在になって釣果がぐんと伸び、「つ抜け」するかしないか、10枚目がとれるかどうかというレベルになって初めて、鯛玉やネクタイの選択が意味を持つかもしれません。

というわけで、明石海峡を目指すビギナーよ、地金の鯛玉にオレンジ・ゼブラのネクタイを買うべし!

そして、ひたすら潮噛み修行に精を出すべし!

といいつつ、わたくし、ネクタイたくさん買っています(涙)。

これにまでに買ったもの(のごく一部)

カラー鯛玉も(涙)


これにまでに買ったもの(のごく一部)

「今の実力では、鯛玉やネクタイの選択で頭を悩ませる必要はない」という考えにたどりつくまでに、タイラバ仕掛けにしっかり高額投資している、というわけですね。

後悔、先に立たず。

後悔、後を絶たず。

釣り人が知るべき真鯛の行動学

以上タイラバにおける「3つの誤解」について書きましたが、ついでにもう一つ取り上げてみます

【番外編】
タイラバではアタリがあっても「合わせ」を入れず、等速で巻き続ける。

冒頭にも書きましたが、これぞ筆者の偏見の源でした。

「アタリがあっても合わせるな、だと?そんなのまともな釣りといえんだろ。ならば自動巻き上げ機でやればいい」と。

もちろん今はそう思ってはいません。

潮噛みでアタリを出していくテクニカルなプロセスは、実に興味深い。

タイラバの場合、真鯛の唇やその周囲で針が外側から縫い込むように掛かるケースが多いと感じています。

薄皮一枚の掛かりというか、ほとんど「スレ掛かり」です。

まるでゲーセンにあるユーフォーキャッチャーみたいだ、と最初は思いました。

人生初タイラバで釣った1枚。2本の針が鼻先とエラぶたに掛かっている

このような掛かり方で強く合わせれば、外れてしまいます。

グニャグニャと柔らかいタイラバ専用竿で、ドラグをユルユルにし、一定以上のテンションがかからない状態で、ひたすら巻き続ける。

タイラバはそういうものだ、とこれまで思っていました。

ところが、筆者とツイッターでつながるHolic岡崎(@Holic87250910)さんから、真鯛について面白い情報がもたらされました。

岡崎さんには、真鯛の生態を研究し、釣りもするというすごい友人がいます。

その友人によると、真鯛は以下のように行動すると言います(丸数字は岡崎さんのイラストに対応)。

・真鯛には、その日その時の状況で自分のいたいタナを泳ぐという習性がある。このタナを「好行性遊泳層」と呼ぶ。遊泳層の幅は2~3m
・タイラバを見つけ、エサだと認識したマダイは遊泳層から出てタイラバを追う=①
・タイラバにアタックし捕食行動を取る。この時、竿にガツガツというアタリが出る=②
・エサ(タイラバ)をくわえたマダイは元にいた遊泳層に戻る習性がある。これを専門用語で「帰翻(きほん)」と言う=③
・噛み潰したエサを飲み込む=④

真鯛の行動を説明する岡崎さんのイラスト。絵心あるな

これは真鯛を狙う釣り人にとって、非常に有益な情報だと思います。

一つテンヤ真鯛は、冒頭でも紹介したように鋭く合わせ、針でカンヌキ(口の横で上唇と下唇がつながるところ)を貫く釣りです。

この釣りで筆者は以前、ある漁師から以下のようなアドバイスをもらいました。

「鯛の口の中は硬い。鯛がこっち(釣り人の側)を向いているとき、どんなに強く合わせても針は絶対に掛からない」

「魚が釣り人に背を向けて突っ走るとき、くわえ込んだ針が自然とカンヌキにかかる」

漁師が筆者に言った「魚が背を向け突っ走る」は、岡崎さんの友人が言う「帰翻」とまさにピタリ符合しています。

タイラバで「合わせ」を入れる可能性

真鯛の「帰翻」という行動を考えると、タイラバでも「合わせ」が可能ではないか。

自身もタイラバをやるという岡崎さんは、筆者に次のようなメッセージをくれました。

「要するに②(イラスト参照)の段階で合わせを入れたり、ただ巻きを続けたりしていると、すっぽ抜けが起きる」

「もちろんハリが2本以上ついているので掛かることは掛かるが、その場合は口の外に掛かることが多いように感じる」

「マダイは噛む力が強いため②の段階だとハリが口の中でロックされた状態になり、いくら合わせてもパワーが針まで伝わらないのではないか」

「合わせのタイミングは帰翻の後。ここで掛ければ9割くらいはカンヌキに掛かる」

「合わせを入れなくても、帰翻のタイミングでリールのスプールを親指で押さえラインが出ないようにしてやれば、勝手に掛かる」

「追加でアワセを入れてやれば、より確実に口を貫くことが出来ると思う」

一つテンヤと同じようにタイラバでも合わせを入れることが可能、というより、合わせを入れるべきだと岡崎さんは主張し、実際にカンヌキを狙って合わせを入れているのです。

釣具メーカーのテスターを務めている関西のアングラー「ぬっしー」さんが、タイラバの合わせについて持論を展開しています。

アタリがあったら少し仕掛けを送り、魚に主導権を与え、ひと呼吸置いて合わせる。

この「送り込み合わせ」でキャッチ率が確実に上がる、と力説しています。

「合わせなし、ただ巻き」というタイラバの鉄則も、絶対ではないようです。

合わせてカンヌキを狙うには、もっと硬めの竿を使い、ドラグも締める必要があるでしょう。

やはり合わせない釣りは、筆者としては物足りないし、寂しいわけです。

今後、このスタイルを模索していくつもりで、その成否を報告します。

それでは、また!

釣人割烹(@tsuribitokappou

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タイラバで釣った真鯛

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