釣りの良さは、いろいろある。
たとえば、出会いがあるという点。
ビジネスやプライベートで接点がなくても「釣り」というテーマがあれば、むかしからの友達のように盛り上がることができたり、無理して話さなくても黙って竿を出すことで、同じ時間をすごせたり。
釣りはいいなー。
ってことで、今回は、ビジネス系メディア「Books&Apps」を運営している安達裕哉さんと船釣りにいってきました。
どうやら以前からORETSURIをご覧いただいていたようで、本当にありがたい限り。わたしも、Books&Appsはサラリーマン時代から読んでいました。いろんな記事をSNSでシェアしてコメントしてましたね。はい。
おそらくビジネスパーソンで、ある程度SNS感度が高い人は一度はBooks&Appsの記事を読んで考えさせられたり、感情を動かされたことがあるんじゃないかと。
安達さんとは同じくウェブメディアを運営している立場なんですが、Books&Appsは検索エンジン主体のアクセスではなく、SNS経由のアクセスが多く、1記事あたり数万~数十万以上のPVになっていることもしばしば。
ということで、その存在は気になっていたわけなんですが、ある時、安達さんが船釣りをはじめたという記事を読みました。
それが『30代後半からは、意図的に「教えてもらう側」に回り続けないと、学びがどんどん下手になる。』という記事です。
これ、ほんと秀逸です。体験したことからの思考のアウトプットだよなーと。あえては言及しないですが、組織内で胡坐をかいている「おっさん陣」はぜひ読んでほしいと思います。
ということで、安達さんとはアマダイを釣ることになり、幾度からの天候不良&再調整を経て、当日になりました。
葉山沖のシロアマダイから狙う
季節は12月の半ば。船宿は葉山鐙摺港たいぞう丸。
たいぞう丸は「デカアマ」と呼ばれる大型のアマダイを中心に狙っている船宿。朝方は葉山沖の水深60m前後で、幻の魚「シロアマダイ(シラカワ)」を狙ってから、40分ほど移動して城ヶ島沖から東京湾口あたりの水深100~120m付近を流すのが河村丈史船長のルーティンになっています。
朝7時出船。ほぼ全員電動タックルのなかで、漢の手巻兵。
安達さんにも手巻きタックルをすすめておいた
こちらが安達さん。なんだか、鋭そうっすね・・・。
笑うとこんな感じです。
話してみると気さく。丁寧にいろいろ教えてくれます。船釣り以外には、山登りをよくするそうで、ウェアはパタゴニアでしたね。
安達さんはアマダイ釣りはじめてということで、一応先達として、一通りアマダイ蘊蓄を披露。
この日はオモリをかませないほうがよかった
「安達さん、移動中はオキアミの尾の先っぽをハサミでカットしておくことで実釣時間を少しでも長くするんですよ」
真面目な性格とみた
すると安達さんもオキアミの尾をカットしてましたね。
よくみたらシマノのチタニウムグローブがわたしと色違い。
そうこうして葉山沖。
水深は60mぐらいだったかなと思います。シロアマダイはアカアマダイと比較してやや浅場に分布する様子。
ああ、釣れたな。
貴殿でしたか(ノーマルトラギス)
このトラギスは珍しくイカリムシがたくさんついていたなと。せっかく釣られたのだから、見えている体表のイカリムシをすべて取り除いてリリースしておきました。これが釈迦牟尼の心。
え?シロアマダイはどうなったかって?
あー、あれはそう簡単に釣れないから幻なんですよ。反対舷で小型のシロアマダイが釣れていたんですが、わたしの場合、最低でもキロクラスからしか相手にしていないんです。
それに冒頭からシロアマダイ釣れたとかいう絵が出てしまったら、話としてもうまくまとまらない。なので、釣れないのが正解なわけです。いやそれは釣りたいけど。
ということで城ヶ島沖へ。
ついに、城ヶ島沖で安達さんがアマダイを釣る
船は30分弱走って城ヶ島沖へ。
このエリアはデカアマと呼ばれるアカアマダイの大型がちらほら釣れるところ。気を引き締めて臨みたいところ。右隣の安達さんがきちんと誘えているかを見つつの釣り。
飲み込みが速いので、たぶんそのうち釣れるんだろうなーというような雰囲気が漂っていましたね。
わたしも丁寧に誘う。
この日は3本針仕掛けにガン玉をつけて底上をはわせていたんですが、底潮が流れていないようで、餌のオキアミが砂泥にまみれてしまうので、後半からガン玉をとって高めのオモリ位置から誘う釣り方で釣っていました。
と、ここで安達さんがアマダイを釣る。
小型。
まずまずサイズ(むしろうらやましい)。
ここで丈史船長から「平田さん、また先こされちゃいましたね!」という煽り文句をかけられるという体たらく。
サキコサレチャッタ。
モシカシテコノママボウズダッタラドウシヨ。
というような最悪の事態が脳内によぎる船上。
相模湾側と比較してこの城ヶ島沖~湾口はアマダイの型はよくても数が出ない印象で、ボウズを喰らう人もチラホラいるんです。なにしろ、わたしは前回ボウズだったわけで。
ふぅ。景色でもみて気を落ち着かせるか。カームダウン。
安達さんはもうアマダイを2尾釣ったし、ちゃんと狙って釣れてるし、重要なのは自分のことよ。
よし竿先に全神経を集中していくぞ。俺にアタリを気取られないで餌をとれるやつがあろうか、いやない。
ビビン…。
む。いや貴殿陣営か…
貴殿三連星(アズマハナダイ、ヒメ、アカトラギス)。
続いて、ビビン…。
今回トラギスにしては、やけに水の抵抗が大きい気も。
「これは30cmないぐらいのアマダイかも」とか、安達さんに伝えて巻き上げると・・・
や、貴殿でしたか(ムシガレイ)。
ふぅ。
ちょっとここいらで陣形立て直そうか。
鶴翼の陣でいきたい。3本針で海底の巣穴に潜むデカアマを一斉攻撃したい。
・・・
と、周りでどんどんとデカアマダイが釣れるポイントに到着。
どうやら根際らしく、ベイトが集まるのか、アマダイの巣穴も多いのでしょう。
ここで海底から錘を1m上げて、アマダイの鼻先でオキアミがぷらぷら漂うような動きをロッドワークでやってみる。
と、モゾ。
モゾモゾ。グン!(合わせた)
これはあきらかに重い。いや海藻に根がかりとか潮受けしているからとかじゃないんだよ。デカアマの暴れているグングンという首振り的な動きがダイレクトに竿に伝わってくる状況。
水深100mちょっとだけども、この巻き上げが至福なわけです。
あーこれでかいな。バレないでほしいな。
40cmあるかな。50cmはないかもな。いやあってほしいけど。
そうこうして海面に浮上してきたのは、立派なアマダイ。
まさにデカアマだったのです。
大型のアマダイは頭部が立派よね
丈史船長がタモ入れしてくれて、長さをはかってくれたところ、45cm。
これは開いて干して、正月に炙る
みるからにうれしそうな人(たいぞうまるHPより)
うふふ。
これでボウズはなくなったことだし、面目も保てたというわけで、いろんな荷が肩からおりていきましたね。
おい、ここにトラギスを食べる魚がいるぞ
引き続きポイントは根際エリアのようで、たまに根がかりがありながらも、魚っ気はある状態。
そんなに底潮はながれていない
安達さんも無心で釣り続ける
手巻きはつらいよ
と、安達さんをふくめ3人ぐらいでオマツリがおきたようで、仕掛けを回収してもらうと・・・。
あれ、なんかついてる。
デカ!
・・・
・・・
・・・
古今東西、釣り人は大物を手に持つと思わずこのような表情をしてしまいます
なんと高級魚マハタ。
うらやましすぎる。この季節、鍋物に最高ですからね。ほんと。
どうやらオキアミを食べたアカトラギスを根際にいたマハタが発見して食い上げというシステムの様子。
マハタの歯はみての通りかなり鋭いので、4号ハリスだからこそあげられたのかも。デカアマ狙いは僥倖もひろうために、ハリス4号。改めて心に誓いましたよ。よかったよかった。
わたしもコツを得たのか追加アマダイ。
家庭のコンロで焼けるちょうどよいサイズ。
おい、なんか口の中にあるぞ。
ちょっと後学のために、確認させてください。
ゲロゲロゲー。
エビ。
名前がわからんので深海海老とでもいっておきましょう。城ヶ島沖の根際にいるアマダイはこういったエビを食べているんでしょうな。
オキアミ3Lよりはややサイズが大きいので、芝海老あたりをつけ餌にしてもよさそう。あとは淡水のテナガエビなどもよいんじゃないかなと。
その後は特に見せ場もなく、ただ時間だけがすぎていく船上。
潮は流れなくても風が強かったなー。
オキトラギスも異様に釣れてましたねー。
モクモク釣る安達さん
なんだか楽しそうですね
きちんと誘ってますねー
ゲスト類もかなり確保したようです。
持ち帰って、ブイヤベースにしたとのこと。
ということで沖上がり。
二人とも釣れてよかった。
40分ほど走って葉山まで帰還。
こちらが安達さんのタックル。
シマノ・ライトゲームCI4+モデラートtype73H195+シマノ・ベイゲームという玄人向けの構成。手巻きアマダイにもピッタリだったと思います。
<撮影協力>
ティネクトさんでは自社メディアの運営以外に企業のオウンドメディア運用支援をしているとのこと。
お世話になった船宿
アマダイシーズンは2隻だしで「デカアマ」こと大型のアマダイを狙う船宿。ハリスは4号推奨。電動でも手巻きでもOK。PE2号以下はオモリ60号、3号以上はオモリ80号基準。ちなみに、一番釣る人は手巻きリールなんだそうで。