ワタリガニ(タイワンガザミ)獲りのススメ

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大型のタイワンガザミのオス
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ここ20年ほど、関東エリアの湾内で簡単にとれるようになったタイワンガザミ。色が鮮やかな青なのとガラが派手なので、人によってはリリースしてしまうこともあるのではなかろうか。が、このタイワンガザミも「ワタリガニ」の一種であり、食味は抜群なのだ。今回はタイワンガザミの獲り方についてお話しする。

目次

関東で取れるワタリガニはだいたいタイワンガザミという説

タイワンガザミは、鮮やかな青と白い胴が特徴

タイワンガザミのオスは青く、腹は白い

ワタリガニ類は、第5脚がオール状で海をパタパタと泳ぐ。見たことがある人はわかると思うが、外敵に気づいたときには意外とすばしっこく泳ぐのでびっくりする。

ワタリガニといえば「ガザミ」と「タイワンガザミ」が有名だと思う。だけど、関東ではほぼタイワンガザミが隆盛になってきている。東京湾や相模湾で「ワタリガニ」として捕獲されるのは大体タイワンガザミなのだ。これは2000年代からでここ20年ぐらいの話らしい。

水温なのか、アマモの減少なのか。そのあたりは不明だけども、とにかくとれるのはタイワンガザミが多い。

もともとタイワンガザミは西南のあたたかい海に多く生息していたのが、平均水温もあがったり海流の影響によって関東の湾内の浅場と沖をいき来しているのかもしれない。筆者としては、アマモ説というよりは、水温説が強く関係しているのではないかと推測している。

タイワンガザミは産卵シーズンの梅雨時によくとれ、夏場ひと段落して、秋以降水温が落ちはじめ深場に落ちる前になるとまた群れる。夏場もそこそことれるが、脱皮個体も多いので身がすくないとされている。なので、味の旬は秋冬。たしかに、秋冬のタイワンガザミは身がつまり甘い。メスも内子があり、加熱の程度によって実にうまい。

タイワンガザミオス

大型のタイワンガザミは1,000円以上で販売されていることも

タイワンガザミのシーズンと効率よく獲る方法とポイント

捕まえたタイワンガザミ

タイワンガザミもたまっているところではダブルでとれたりする。

タイワンガザミを効率よくつかまえられるシーズンは梅雨時と8月後半から10月前半程度まで。9、10月は台風の影響も濃くなるので、底荒れするとしばらく目視での捕獲は獲りにくくもなる。なかでも9月は最盛期といえる。

捕獲方法は、カニ網、籠(漁業権等、使用場所には注意)、たも網、素手での捕獲がある。ではどの方法がいいかというと、海域の地形や潮色、ゴミの有無によって異なるので一概にはいえない。

足場や水深の関係で海に降りることができない場所ではタモ網での捕獲は不可能だし、濁りが強いところは、標的を確認できないので蟹網を投げてひたすら待つほうがいい。

タイワンガザミは砂地(砂泥地)に生息しているので、底が砂のエリアを狙いたい。蟹網は底が岩礁帯だと容易に根がかるので、砂地との相性もいい。

潮色が濁っているエリア・日では目視して獲ることは難しいが、海が澄んでいる場所、ゴミが少ないところでは、夜間にライトで照らして目視して網ですくう方が効率がよかったりする。このたも網での蟹すくいは、見えているため独特の興奮がある。

タイワンガザミ 青いカニ 模様

たも網ですくうときの達成感はひとしお

蟹の姿をライトでとらえ、ライトの光量を落として、必要以上に警戒心をいだかれないようにする。その後、障害物の位置や蟹の移動経路を想定しながらたも網ですくう。このとき、状況によってたも網で追いかけてすくうこともできるが、片方の手にもう一つたも網や棒をもって追いこんだほうが効率はあがる。

夏から秋には、底をはなれ海面付近をパタパタ泳いでいる個体を見かけることもあるが、このときは海面付近のみを泳ぎがちなので比較的すくいやすい。

タイワンガザミの好ポイントはシロギスなどと一緒で、寝回りや根際の砂地がよい。産卵を意識した個体などは、岩場と砂地の際で定位していたりする。そのため、イシガニと同じ場所にいたりする。夜の海をヘッドライトで照らしてみているとタイワンガザミの隣にイシガニがいることがある。

なぜ岩場(磯)と砂地の間なのか。

これは岩場と砂地の間に餌がたまるということもあるかもしれない。様々な小動物の餌になるプランクトン類がたまるし、小魚や貝も多いし、死んだ魚介類がやがて漂着する。

海の公園の潮干狩り

潮干狩りなどが行われる海岸の波打ち際も夜間は好ポイントに

ほかに、餌という観点では波打ち際付近も同じような条件ではある。

海水浴シーズンとその後の秋の夜長に海をライトを照らしているとタイワンガザミをしばしばみる。波打ち際には、打ち寄せられる魚や貝の死体などがたまるからかもしれない。

河川の影響をうけるところにも多い。

これは川から有機物(餌)が流れ込んでくるかもしれない。基本的に海にいるが、汽水域ぐらいまではあがるようで、雄雌ともにタイワンガザミは河口の投げ釣りなどでもしばしば釣れてくる。

タイワンガザミをタモ網で獲るのにベストなのは大潮干潮な気がする

この日は9月の大潮干潮。

台風の影響の濁りがやっとぬけて、タイワンガザミが目視できる状態。こうしたときは干潮タイミングをねらって、素手もしくはタモ網ですくったほうが効率がいい。

なぜ大潮かというと、潮がよく引くため、普段狙えないポイントまで進めるからだ。干潟は海岸エリアは状況によってウェーダーをはいてすすむ。

波打ち際に群れている魚は、トウゴロウイワシの幼魚かな。

砂地を探索すると、岩場の際にオスのタイワンガザミを発見。

それほど大きくないが、これぐらいが平均サイズ。

岩場にはショウジンガニが複数個体いたり。

秋ということもあって、河川から下ってきたモクズガニもいたり。

こちらもモクズガニ。

穴にこれぐらい入っているときは素手ではとれない。餌でひきつければとれる。

こちらは岩場にはりつき、海面からでていたりするハゼ。名称不明。波がかかっているとはいえ、陸上に体をだしているムツゴロウのような存在。

波打ち際を歩いてみる。

すると、違和感のある場所が。

お分かりになるだろうか。

▼そう、砂にタイワンガザミが潜っているのだ。

こちらもオス。

バーレーンあたりから輸入されている鍋用の冷凍ワタリガニ(切りガニ)のサイズがこれぐらいな気がする。タイワンガザミは出汁もよくでるので、これぐらいのサイズが一杯いるだけで寄せ鍋の味が深くなる。有能だな。

ここまでオスが多いなとおもっていたら、メスもとれる。

比較的大型のタイワンガザミメス。

タイワンガザミのメスはオスの鮮やかな色と比較して、地味。これは生物界ではよくある話でそれほどアピールしないで済むからだろう。それに引き換え、オスは武力をたかめてアピールしないと繁殖を勝ち取れない。人間の場合は財力によってそのあたりもなんとかなるが、野生では財力は関係ないのだ。

タイワンガザミのメスはガザミに似ているため、以前はこれがガザミだとおもっていた時期もあるのだが、たしかに間違いやすい。

そこそこの大きさのタイワンガザミメス。

夏から秋のタイワンガザミは交尾をする時期でもある。交尾シーズンは意外と長く、初夏から秋ぐらいまで続くという。実際この日も複数個体が交尾していた。実際は交尾をするまえにメスを確保する行動であったりする。

夏の終わりに交尾をして、オスの精子がメス蟹の体内にのこっていて、半年以上たって越冬明けに産卵するときに効力を発揮するらしい。じゃあ、交尾タイミングは越冬明けでいいんじゃねえかと思ってしまうんだけども、それはそれで、越冬明けはあんまりエネルギーもないしね。起き抜けはつらいよ。そういうことなのかもしれない。しらんけど。

ダブルヒット。

これは交尾していた個体。大型のオスだけ持ち帰ることに。

蟹取りでは大体メスが優遇されて、抱卵しているメスや小型のメスは逃がされる。というか、わたしはそうしている。なんとなく。

こちらが今回の獲物。

オスのタイワンガザミはほぼ最大個体なんじゃないだろうか。メチャクチャデカイ。

だいたいのケースで蟹はデカくなるほど自信がでてくる。

このサイズはヘッドライトをあてても、両爪を広げて威嚇してあまり逃げない。前にでてくるなんてたいした自信だよ。それに、大型ほど、図体がでかいため網でとらえやすくなる。

鉄串を口に差し込み締めておく。釣り場でやるなら氷水でもいいと思う。

タイワンガザミやイシガニは鉄串で締めると尿?(褐色の体液)を出すので洗い流す

なんと、両爪を広げると50cm級。

上のメスもデカいけど、やはりオスのほうが大きくなる。

貴殿、ビグロっぽいですね。

なぜこんなに両爪が長くなるのか。

射程距離を長くする、威嚇用という進化なんだとおもうけども。歴史でいえば、長柄槍みたいなもんだろう。

イシガイやノコギリガザミのように、短いハサミをより強力にし重装歩兵化するという方向性もあったんだろうけど、進化の過程で自然とこうなったんだろうな。わたしだって、なんでもお前はそんなにひょろ長い?と聞かれたって正確に答えられないし、お互いさまだ。

それにしても、タイワンガザミをはじめ大型の蟹は構造的にほれぼれする。

夜の海でタイワンガザミを発見すると、あざやかな青い体と白い腹でかなりわかりやすい。

砂地に青と白を発見したその瞬間、自分のなかで「いた!」とつぶやくんだけども、あの興奮は生き物を獲るときに独特のもので、これからも続けていきたいと思う。

みなさんもためしてみてはどうだろうか。

タイワンガザミ&イシガニ獲り動画

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▼スーパーでみるワタリガニはバーレーン産の小型のタイワンガザミ類が多く安い。国産の「ガザミ」はかなり高価で、秋冬の大型は一杯1,000円以上する。国産のタイワンガザミの大型はあまり流通してない気もするけども、食味は「ガザミ」と変わらず美味。こんなにうまいものがとれるならば、買わずに獲りに行った方がお得。

▼たも網でタイワンガザミを狙う際は浅場。夏から秋のウェーダーはナイロンで十分

▼たも網はナイロン系の網目が粗いものが捕獲しやすいが、地形によって岩場が多い場合は網目が細かいものを選ぶ

▼ヘッドライトは光量を調整できるものがよいがそれほどこだわらなくても大丈夫。

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