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釣り好きが高じて海街「逗子」に移住してそろそろ2年

4月の海は浅場の水も温くなりはじめ、5月にかけて大潮まわりは潮干狩りにうってつけになる。ほかにタイドプールなどの磯遊びもまた楽しい。

約2年前に逗子に越してきた。

9年ほどつづけた仕事をやめ、まったく関係のない釣りをテーマにしたウェブメディアをはじめたこともあり、もう東京もそんなにいく必要がないし、どうせなら海のそばで暮らしたいと思ったのだ。

人に話すと、「平田さん、伊豆って東京から遠くないですか」と言われることもある。

逗子の「ず」

伊豆の「ず」

たしかに漢字には同じく「豆」が入っている。

だから、あまり地理とか地方に興味がない人からすると確かに同じようにみえるものなんだろうなーと思う。

逗子海岸

逗子は海街だ。

厳密にいうと山もある街なのだが、やっぱり海の印象が強い。

この街には、休日の朝、散歩するのにちょうどいい浜がある。

今の暮らしは平日も休日も、その境がまったくないので、平日でも休日でもこの浜を歩いたりする。

この海は逗子海岸と呼ばれていて、釣りの世界では「逗子新宿湾」ともいうらしい。これは湾に面した地区が逗子のなかでも「新宿」というからだ。

逗子の海に磯があるのは、あまり知られていない。

磯。

というと、本格的な磯を想像してしまうと思う。

だけども、葉山から鎌倉あたりに点在している岩場は「磯」と呼ぶにはちょっと気が引けてしまうようなやさしさがある。

三浦半島でも横須賀以南、三浦あたりの磯は荒々しかったりするが、このあたりの磯はそれほどダイナミックに隆起しておらず、のっぺりしている。

釣りの世界では浜から続いている磯を「小磯」とも呼ぶらしいのだが、逗子の磯はそういった類なのかもしれない。

この海はかなりの遠浅だ。

そして、この磯場は干潮時にだけ姿を現す。

引っ越してきて、魚が釣り放題だ。やったぜ。と、感じたのを思い出す。

だけども、逗子海岸は浅い。本当に浅い。海岸線から100m以上沖にいってもまだ腰下ぐらいの水深だったりする。だから海水浴という点ではより安全だと思う。

では、釣りの視点からみるとどうか。

シロギス釣り

海岸から釣りをすると、小さなシロギスや小さなクロダイぐらいしか釣れなかったりする。クサフグの数は矢鱈に多い。もうすこし沖までSUPやボートで行けば回遊魚なども釣れるらしいのだが、まだチャレンジできていない。

この日、大潮の干潮を見計らって逗子海岸にむかってみた。

新逗子駅南口あたりの裏手あたりは桜並木がある

市内を流れる川は多くはないが、その一つの田越川沿いは桜が満開だった。

この田越川には堰がなく、かなり上流まで潮の影響を受ける。写真ではかなり浅いが、満潮になるとさらに1mは水位があがり、新逗子駅の裏あたりまで60cmぐらいのスズキが上ってきてびっくりする。

ほとんど誰も釣りをしないということもあって、クロダイも多い。だけども、このクロダイたちはゆったり岸壁沿いまでくるものの、一向に釣れない。「見えている魚は釣れない」という言葉そのものだ。

逗子 田越川にはクロダイがたくさん

田越川にはクロダイが本当に多い

このクロダイは45cm以上あるような個体も多く、河口で釣ったものを食べたら案外うまかった。

以前は川崎に住んでいたこともあって、そばを流れる多摩川の水色になれていた。そんな眼からすると、引っ越した当初の田越川の水はかなり澄んでみえた。

春は海の濁りが入るが、11月~3月ぐらいまではかなり澄んでいる。

透明、といっても大げさではないぐらいの澄み具合なので、そこにいる生き物を食べてもそれほど問題なさそうな気がする。わたしはテナガエビやモクズガニやマハゼなど、多摩川の魚介類を食べていたので、まったく気にならない。

さらに歩いていくと、ところどころ下げ潮に乗り損ねたボラが口をパクパクさせている。

そうこうすると、やがて海岸につく。

電車でこの街に着くひとは、JRでも京急でも、それほど気張って歩かないでもいつのまにか海にたどり着く。

逗子は駅から海が近いのだ。

海岸を歩くと潮が引いていき、打ち上げられたワカメ、フクロノリがなかば干からびている。海に向かって右側(小坪・鎌倉側)は岩礁帯で、左側(葉山・田越川方面)は砂地だ。

ここが逗子海岸の西端。

砂止めなのだろうか。小さな堰堤のようなものがある。

ここから腰ぐらいまでつかれば逗子・大崎までの磯場に海岸沿いに歩いていくこともできる。が、水もだんだん温くなってきたとはいっても、まだそんなに濡れたくないよなーという気持ちがわいてくる。

今、わたしには0歳の息子がいる。彼がもし成長して、この場に一緒に立ったとする。

そして彼がいう。

「父ちゃん、海からそのまんま入っていこうよ」

わたしは一瞬だまったあとに、こういう。

「おう、そうだな。俺もそう思っていたんだよ」

調子がよい親である。内心寒くないかなー、風邪ひくのいやだよなー。などと思ったりしている。

人の親になるまでは、世の中の親はみんなすごく大人っぽく見えたのだが、実はちがう。親も外にみせないだけで内心いろいろと葛藤して生きているのだ。

きっと、わたしは将来、海に入るか入らないかという一見どうでもいいことに葛藤する。

でも、自分の子が何かをやりたいと冒険心で前のめりになったときに、いや待て待て、落ち着け、というような引け腰になるのはいやだなあと思う。

特に自然に関することであれば、法に触れず、人の迷惑にならないことであれば、どんどんやれ!といってやりたい。

そんなしあわせな未来を考えながら、海岸線に逗子と鎌倉をつなぐ道をゆく。

海沿いの道は車やバイクで走っていても最高だ。

この道をいけば遠くに伊豆半島がみえて、材木座海岸・由比ヶ浜へとつながっていく。途中の小坪港には降りることができない。それと、この道を歩いて海岸沿いに鎌倉へ行くこともできない。これはちょっと残念ではある。

浪子不動前から道路をくぐりぬけるトンネルがあって、その先にまた海がある。

この磯にも共同漁業権のルールがあるので注意

浪子不動前まで来ると、すっかり潮が引いて、岩があらわになっている。

無数のタイドプールがみえ、心が躍る。

あの水たまりにはなにがいるのだろうか。逃げおくれた魚はいるだろうか。

階段があるので磯へ降りよう。

前述の通り、このあたりの磯場はマイルドなので、磯といっても大したことはない。

浅い溝が走っているだけで、溺れる危険性もないので子供にも安全だと思う。足指や手はすりむくので、ウォーターシューズや軍手をしていくとよいだろう。

これはヒジキ。共同漁業権にふくまれるのでとることはできない。

こちらはアメフラシ。オレンジ色のそうめんみたいな物体が彼らの卵だ。地域によっては毒があるとされる

ワカメもこの岩場に生えている。これもとることはできないので注意。

ウニの長屋

ウニが器用に一体ずつ部屋におさまっている。穴は自然にあいたのか、彼らがあけたのか…

バフンウニ?とムラサキウニ。これもとることができない

これはカラス貝ことイガイ。クロダイやタコの大好物

年甲斐もなく興奮してしまうのが磯遊びのすごいところで、あっという間にこんなに歩いてきてしまった。

磯場の貝・タコ・海藻はだいたい共同漁業権の対象なのでとることはできないのだが、見るだけでも楽しい。

さらに歩いていくと、こういった崖がある。

この上にはサーファーズという店があって、潮風が気持ち良さそうなのでいつかいってみたいなー。と、思って2年たった。今年はいこうと思う。

このあたりまでで、100m以上は歩いた。

前述の通り逗子は遠浅で深くても脛ぐらいまでの水深しかない。こういったハーフパンツの水着に足指を守れるサンダルが気持ちいい。

これが大崎というエリアで、この崖の上には大崎公園がある。

シーバス用のシンキングペンシルがあった。

フックは劣化しているが、ボディに破損はなく、まだまだ使えそう。

それにしても満潮だったとしても、こんな遠浅エリアで使うルアーじゃないよなーと思ったり。人がなくしたルアーや仕掛けからは、釣り人の人となりが見えたりする。

ここから大崎の先端まで歩いていく。

左側にみえるのがサーファーズがある岩場。絶好のロケーション

向こうにみえるのが葉山鐙摺港

崖には防空壕がある。岩場にあがって歩いていくこともできそうだが、あえて水の中をジャバジャバゆくことにする。

アカモクに似ている海藻が多い。

岩場の間は砂地。沖合に珊瑚礁があるので、その死骸が砂になっているのだろう。それと、クサフグやハゼ類が多い。

左から、ワカメ、ワカメ、アラメ。アラメだけ漁業権がないのでとって佃煮などにできる

向こうに江ノ島が見える

タカラガイがちらほら落ちていた。中味は入っていない

タカラガイが落ちているのがわかるかな

タカラガイの仲間はみんな美しい

これだけきれいな海域であればワカメもうまくなるはず

崖からは降りてくることができない。いわゆる絶壁

さらにいくと大崎の突端についた。

よくみると、何かが祀られている。

近くに寄ってみると八大龍王とある。漁業者や地域の人が豊漁や海の安全を祈って祈願したのだろう。

もとは小坪湾の海中にコカブ根の龍宮(社殿なし)として存在していたものを、1897年(明治30年)に大崎の先端に祀ったのが始まり。
大漁時には、その日の漁で採れた一番いい魚を海中の龍宮に投げ込み、八大龍王に感謝していたそうです。1967年(昭和42年)に小坪マリーナ建設のため埋め立てられ、新しい港ができたときに現在の場所に移りました。

出典:逗子市

どうやらもともとは海の中にあったものを移設したようだ。

このあたりも、ワカメが透明な潮にたなびいている。すこやかに育っているなと思う。

大崎の先には小坪漁港と逗子マリーナが広がっている。

振り返ると、逗子海岸の方が小坪より遠く感じられる。

Googleマップでみれば、一目瞭然なんだと思うが、こうして実際に歩いて目にするとそれが実感できる。

大崎のV字の延長線上はしばらく根で、かけあがり部分の端に沖合からの波がぶつかっている。釣りではああいった際に魚があつまるのだろうな。いつだって釣りと魚のことが頭によぎる。

大崎の崖にもヒジキ

ところどころ、イガイの殻が砕けている。これはわたしもふくめて磯を歩く人が原因なのか、沖から続く溝をとってクロダイがはいって、バリボリとイガイをかみ砕いているのか。

これはフクロノリ。

フクロノリ抽出物は「フノラン」といい、キシリトール系の虫歯予防ガムに含まれていたりする。去年知ったがかなり意外。

イトマキヒトデ。

このヒトデはどこでも見られるが、鎌倉材木座とのあいだにある和賀江島あたりにもたくさん生息している。色合いが毒々しい。

これは「ナベカ」という黄色く鮮やかなイソギンポ科の魚。

磯の溝から溝を素早く動く。すぐに死角に隠れてしまうので捕まえるのが難しい。

次第に潮が満ちてくる。

海水に浸った磯場からは泡粒がでている。その粒の一つ一つが生き物のいる証なのかもしれない。絨毯のように広がるイガイが海水をすって殻の中にたまった空気を吐き出しているようも見える。

今回の磯遊びで持ち帰ったのはタカラガイ。

4つのうち3つが摩耗して艶がなくなっていたが、一つだけ艶がある状態

タカラガイは地域によっては貨幣の変わりに使われたり、魔よけの装飾などにも使われたとのこと。

今では南の国にいくと、首飾りやらなにやらの装飾になっている。接着剤で強引に異素材に貼りつけられているような様は安っぽくも思える。

だけども、こうして真夜中にじっと見ていると、どれも色合いや柄に個性があり、殻の滑らかさがとても心地よい。

タカラガイとはよくつけた名前だと思う。

それにしても楽しい一日だった。

この2年。

比較的釣りがしやすい東京湾側での活動や、なじみの船宿がある平塚までいっての沖釣りなどが多かった。

今年は地元逗子を中心として三浦半島西岸の海や山でもっと遊びたい。

地域で活動している人ともつながりながらも、もっと楽しいことを発信していきたい。

ORETSURIは、読者のみなさん、様々な協力者のみなさんのおかげで、釣り人を中心に年間100万人以上がみるメディアに成長した。

本当にありがたいことにサイトでの発信をきっかけに、ラジオなどのメディアに登場できたり、これまでの自分であればお会いできないような方々ともつながったり。なにより出会った人と一緒に釣りができて楽しい。

今年は200万人、来年は300万人と、もっと多くの人に釣りやアウトドアのおもしろさや魚のおいしさを伝えたい。

情報のまとめにとどまらず、あしたの釣りをもっとワクワクさせる記事を紹介していきたい。

平田(@tsuyoshi_hirata

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2017.06.02
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ABOUTこの記事をかいた人

平田 剛士

ORETSURI編集長。釣り歴30年ぐらい。いつの間にか釣りメディアをはじめていたもので人生不思議だなーと思っている今日この頃。 口癖は「釣りはいいよねー」