人間は常に問いをもっている生き物。
釣り人も一緒です。
今日も世界では多くの問いが生まれ、答えが見つかっています。
そんな中、インターネットでは確かではない答えがいろいろと流布され、それがまことしやかに拡散されたり。
そんな、ウェブ上に転がっている『釣りのなぜ?どうして?』について、釣りメディアORETSURI編集長の平田が勝手に回答する本シリーズ。
今回の質問
私は釣りを教えるのが下手なのでしょうか?
最近釣りYouTuberの人気の影響なのか私の友達や知り合いから「釣り(だいたいルアー)を教えてほしい!」と言われます。
私も嬉しいのでなにがやりたいのか全て聞き、その初歩的なものを(動画のように簡単には釣れないよということも)教え、とりあえずエサも買い2、3回釣りに同行します。
なぜ2、3回なのかというと、この回数で彼らは飽きて行かなくなってしまうからです。
もうこれで4回くらい同じ末路を辿っています。
この際きっぱり断ってしまった方が良いのでしょうか?
ここから少々愚痴ぎみ質問になってしまうのですが、飽きてやめるきっかけとなってるものは私的に「思ったほど釣れない」「根掛かり三連発」の二つにあると思ってます、
根掛かりにいたっては私がライン結び直してあげてるのにその相手が「自分は不幸や・・・」みたいな顔してるのを見ると自分の〝釣りすらできずに帰ったことが何度あるか〟を思い出し上手いフォローが思いつきません・・・
この場合言葉がでなくても「辛いな、」とフォローした方がいいのか、正直に「うん、よくあることだから。」と言ってしまった方が良いのでしょうか・・・?
質問者:やまさん
<平田の回答>
「釣れる釣りを選ぶ!とにかく釣らせる!そしてホメる!」
今回のお悩みは、きっと、とても性格がいい人からなんだと思います。
大人になると、どうも、自分のまわりでおきる事象について自己反省して原因を分析する行為ができる人は意外と少ないことに気づきます。
だいたい、自分の言行を棚に上げて、誰かを批判する人が多い世の中です。
自分以外の誰かが悪い、会社が悪い、取引先が悪い、後輩が悪い、日本政府が悪い、自民党が悪い、アベガー、というように程度によっても異なりますが、自分を安全地帯において誰かを批判することになれてしまうと人間成長しません。
その点で、こういった自省できる人は素晴らしいなーと思うわけです。
んで、何の話でしたっけ。
あー、
私は釣りを教えるのが下手なのでしょうか?
という話でしたね。
これはですね、お会いしたことがないのにいうのもあれですが、たぶん下手なんだと思います。
ごめんなさいね。どういった方かわからんのですが、たぶん下手なんです。
教えるのが下手なので、みんな釣りにハマらない。
むかし、『釣り沼に仲間を引き込む方法』というような記事を思い付きで書いたことがありました。
これですこれ。
これを読んでいただければ、すなわちこの回答の答えになります。
じゃ、がんばってねー。バイナラッキョ。
・・・
と、見せかけて、わたしは教え方については少々自信がありましてね。
そんな冷たく突き放すようなことはしません。
そうですねー、うーむ。
わたしはここ数年でたぶん200人以上、いやORETSURIを通じてのイベントや情報発信で数千人単位で釣りという趣味に巻き込んでいるような気がします。
Facebookなどのタイムラインをみていても、最初は「船は酔うからやだ」とか「イソメがキモくて触れない」と、その昔は弱音を吐いていたおっさん各位から、ぴちぴちなお姉さん方まで、いつのまにか自分1人で釣りにいくようになったりするのをみて、自分の強引な巻き込み力だったり教え方の的確さにびっくりしています。俺の凄さ。最強の俺様。
って、自慢をしたいわけではないんです。
まずですね、わたしが誰かを釣りに誘うときに気づいたこと、こうしたほうがいいと思うことを挙げますね。
- 「釣りをはじめたい」が本気なのかを見極める
- 釣れる釣り、トラブルが少ない釣りを体験させてあげる
- とにかく釣ってもらう。アタリを味わってもらう
- とにかくホメる!
- あるときから『引き営業』する
これです。
順に説明していきますね。
1.「釣りをはじめたい」が本気なのかを見極める
世の中にはいろんな人がいまして、釣りに向いてないひともいるんです。
そういった人にいくら釣りの魅力をといても無駄です。
じゃあどうやってそのあたりを見極めるか。
これはですね、『生き物が好き、魚が好き、アウトドアが好き、課題分析力が高い、凝り性、課題解決への興味が高い』
だいたいこのあたりの要素をもっている人を誘いましょう。
とはいっても、「釣りしたいんだよー連れてってよー」という人はいます。
そのときにですね、「なぜ釣りをしたいか」をききましょう。
その答えにあなたが納得できるようであれば、「○○だから釣りしたいんだね?」と再確認します。
すると、相手は「○○だから釣りしたいんだ」と返すわけです。
この技はマネジメントスキルの一つなのですが、相手が自発的に行動するようにまず相手に目標を決めさせるというわけです。
サラリーマンでもなんでもそうですが、「おめーはこれやってろよバカ!」といって、無駄に押し付けるよりも、目標は相談の上、相手に自分で決めてもらったほうが達成へのコミット力があがります。
ライザップについて、わたしはよくわからんのですが、たぶんそんな仕組みだと思います。
2.釣れる釣り、トラブルが少ない釣りを体験させてあげる
次はこれです。
もうですね。ルアー釣りがしたいという人がいて、その欲求がたしかにルアー釣りでしか解決できないのであれば、釣れていくのはニジマスの管理釣り場です。
ルアーをつかったエリアトラウトであれば、よっぽどでなければ誰でも魚を釣ることができます。
しかも根がわるわけでもないので、トラブルもすくない。
釣りに人がハマるためには、フィールドの良さもそうですが、まずアタリを味わってもらって、魚を釣り上げるという工程も必要です。
食いしん坊な人であれば、釣りあげたマスを一緒に料理して食べてもいいでしょう。
3.とにかく釣ってもらう。アタリを味わってもらう
もうね、あれです。釣れなかったらつまらんのですよ。初心者のうちは。釣れない釣りの深淵なんてわかるはずがあるまいて。
稀に負けず嫌いの人もいて、釣れないことが悔しくてなんども釣り場にかよって釣って自動的にハマっていく優秀な人もいますが、だいたい心が折れます。
とにかく釣ってもらいましょう。
釣ってもらうためには自分の釣りは二の次にして、全身全霊をかけて、一緒にいく人に釣ってもらいます。
季節やフィールドによっても違いますが、夏場のハゼ釣り、船のアジ釣り、堤防のチョイ投げであれば何かしら釣れるので、まずはそこからです。
※船釣りは高確率で酔うので、アネロンを飲んでもらい、無下に怒られない信頼のおける船宿にいくとよいです。
4.とにかくホメる!
次は『褒め』の徹底です。
だいたいの人がほめられたいのです。
もうね、とにかくホメましょう。
たとえば、
- キャストしてルアーがまっすぐとんだだけでホメる
- キャストの飛距離が5mのびただけでホメる
- 投げる姿勢や釣っているときの姿勢がきれいだとホメる
- なんだか釣りしてる姿似合うね!とホメる
- いいとこ投げたね。そこに投げられたら魚がいれば間違いなく釣れるよとホメる
褒め力が必要なんです。
釣りに一緒にいくときは全身全霊をかけてホメましょう。
わざとらしくはダメですよ。
本気で相手のいいところを見つけて褒めましょう。
それがみつけられないのはあなたの両目が節穴なんですよ。
釣れなくても、人間ほめられると、なんだかうれしくなる。
これが釣りにいくインセンティブになります。
5.あるときから『引き営業』する
営業には、押しの営業と、引きの営業があります。
最初は積極的に押してもいいですが、途中から引き営業に変えていくのも必要です。
たとえば、最初は釣りに積極的に誘っていたり、毎回一緒に行っていたとします。
このままでもよいですが、さらに釣り沼に引き込むには、ここで引き営業です。
「釣りに一緒にいこう」と言われたら、適当に言い訳をして断ります。
理由はなんでもよいです。
「わりー、父方のおじいちゃんのお姉さんが飼っているセキセイインコが2羽いるんだけど、そのうちの一羽がどうも風邪を引いたようなんだよね。だからいけないんだ。すまんな」
とか、
まーなんでもよいですが、断ります。
そして、「○○、そろそろ一人でいってみなよ。○○だったら上達はやいからさ、多分大丈夫だよ」
すかさず持ち上げる。
これです。
これもマネジメントスキルの一つですが、部下の能力を信じて任せてやる気を持たせるというアレです。
で、このあと、相手に素養があれば勝手に釣り沼にハマっていくはずです。
このあと、釣り沼にハマった人は持ち上げられて釣り沼に引き込まれたことに気づかないこともしばしばです。
あなたに対して、「自分はセンスがある」というような微笑ましい言動をするかもしれないですが、まーそこは親心とおもって大目にみてあげてください。
ではでは。
※質問がないとエンドレスでYahoo!知恵袋などの質問を勝手に回答していく仕様です。