2021年にシマノの人気カウンター付きリール「バルケッタ」「バルケッタBB」がモデルチェンジしました。
旧型との違いや使い勝手について実機をもとに解説します。
釣り物ごとにおすすめの番手も紹介!
バルケッタについて
旧型の17バルケッタ300HG
バルケッタはシマノから販売されている船用ICカウンター付き小型両軸リール。
名称はイタリア語「Barchetta」に由来していて「小船」というような意味合いです。
もともとシマノには「小船(kobune)」というリールシリーズがあり、そちらに由来しているのでしょう。
バルケッタは安定した性能で餌釣りからルアーまで、ライトゲーム全般で使用できます。
2017年モデルが登場した時点では、競合するダイワのICカウンター付き両軸リールに対して優位性が高く、多くの釣り人に選ばれてきました。
▼当時ダイワが販売していたICカウンター付きリールライトゲームICV150H
<当時の優位性>
- デザインの優位性:ダイワ 15ライトゲームICV150HはICカウンターユニットが角張っていてデザイン性が低かった
- ユーザー側で電池交換可能:ダイワ 15ライトゲームICV150Hは電池交換メーカー対応だった
- 軽量:17バルケッタで190g。ダイワ 15ライトゲームICV150Hは280gと重かった
ちなみにバルケッタは以下のような変遷をしています。
- バルケッタCI4+ → 17バルケッタ → 21バルケッタ(最新)
21バルケッタ(&バルケッタBB)での主な変更点
左:21バルケッタBB150DHHG 右:21バルケッタ150DHHG
次に新型の21バルケッタとバルケッタBBで変更された点を見ていきましょう。
- 旧型に比べて価格が割安になった
- バルケッタに300番(旧バルケッタBB600番相当)が登場した
- カラー変更
- ハンドル長の変更
- ハンドルノブ変更
- シングルハンドルモデルの登場
- クラッチ部の変更
いろいろ変わってますね!
次にそれぞれの変更点について解説していきます。
価格
21バルケッタは全体的にスペックは向上しているのにも関わらず、17バルケッタと比較してやや安価になりました。
マーケティング的観点のほかに、後述の「クイックラッチ」がノーマルクラッチに変更されている点も影響しているのかもしれません。
旧バルケッタ300HGは約18,000円程度で販売されていましたが、21バルケッタは150HG(旧300HGに相当)16,000円ほどで購入できます。
※その後シマノは値上げしたため実売価格も1000円ほどUP
バルケッタに300番が登場
17バルケッタシリーズでは、PE3号が200m巻けるモデルはバルケッタBB600番のみでした。
▼バルケッタBB600はPE3号を巻くようなコマセ・泳がせ釣り・エギタコ等で選ばれていた
新型の21バルケッタでは、バルケッタとバルケッタBBの両方に300番(旧バルケッタBBの600番に相当)が登場しています。
PE3号を巻きたいコマセ釣り・泳がせ釣り・エギタコなどで、バルケッタからも選べるようになったわけですね。
▼300番はHG・PGともにシングルのパワーハンドルです。
カラーの変更
左から、21バルケッタBB150DHHG、21バルケッタ150DHHG、17バルケッタ300HG
バルケッタは旧型のグレー系シルバーから落ち着いた黒系のラメになりました。
バルケッタBBはマットブラックが採用されています。
ハンドルのカラーについては旧型とほぼ変わらない構成です。
バルケッタBBはオレンジ系のアルマイト処理で仕上げられているので、好き嫌いが分かれるかと思います。
17ゲンプウ。ハンドル軸がオレンジのアルマイト加工
筆者は17ゲンプウでこのオレンジハンドルモデルを持っているのですが、ハンドル軸は黒・グレー系にしたほうがふつーに売れるような気がします。
これは上位機種のバルケッタとの差別化のために、あえてやっていることなのでしょう。
販売の攻め方は奥深いですね。
ハンドル長の変更
左から、21バルケッタBB150DHHG、21バルケッタ150DHHG、17バルケッタ300HG
昨今のロングハンドル化のトレンドを受け、バルケッタ・バルケッタBBともに、ハンドルが長くなりました。
21バルケッタ(BB)の150DH-HG(一番の売れ筋)と旧型で一番人気であった「バルケッタ300HG(ダブルハンドル)」と比較してみます。
それぞれハンドル長は以下の通り。
- 21バルケッタ(BB)の150DH-HG:55mm(全長110mm)
- 17バルケッタ(BB)300HG:51mm(全長102mm)
21バルケッタでは4mm(全長8mm)ほどハンドルが長くなっています。
このハンドルは18ベイゲームなどで用いられているタイプと同じです。
ハンドルが長くなることで、より力をいれてリールを巻けるようになります。
巻き重りのする仕掛け・大きな獲物・潮の重さなどでも、より快適に巻けるようになったわけですね。
17バルケッタでは「標準ハンドルがやや短い」という理由で、ゴメクサスなどのカスタムハンドルに変更していた人も見かけていました。
新型では、ノーマルハンドルでも満足する人が増えるはずです。
ハンドルノブの変更
21バルケッタ150番ではハンドルノブが大きくなり三本の指でしっかり持てるようになった
ダブルハンドルモデルでは、ハンドルノブが2種類に変わりました。
17バルケッタの小型ハンドルノブは、21バルケッタの100番に受け継がれています。
150番のダブルハンドルモデルは、現行のシマノ両軸リールと同様に、やや大きめのノブに変更されています。
大きめのハンドルノブにより、パワーハンドルとまではいかないのですが、より力をいれて巻き上げることができるようになっています。
17バルケッタ300番の小型ハンドルノブは21バルケッタでは100番に引き継がれている
シングル・パワーハンドルモデルの登場
もともとバルケッタシリーズのハンドルは、バルケッタBB600HG・PG以外はダブルハンドルモデルのみでした。
新型バルケッタでは、300番(旧型600番相当)だけでなく、150番にもシングル・パワーハンドルモデルが登場しています。
クラッチ部分の変更
旧型バルケッタ300HG。スプール脇にレバーがあるのがクイックラッチ
旧型バルケッタのクラッチ部分は、やや硬めでした。
これは「クイックラッチ」機構がついていたためです。
クイックラッチというのは、クラッチレバーの横にあり、片手でスプールの回転を停止させるパーツでした。
特にメンテ不足でグリスが切れ気味のバルケッタは、このクイックラッチの存在で、クラッチ自体がかなり硬くなりがちでした。
腕力がない子供では、両手の親指をつかわないとクラッチが切れないこともよく見られました。
新型バルケッタでは同機構がなくなったこともあり、シマノらしいより小気味よいクラッチ操作が行えます。
ちなみに個人的にクイックラッチ機構はまったく使っていませんでした。
意図せぬ誤作動はあったので、クラッチがシンプルになり、操作がスムーズになるのは歓迎です。
クイックラッチがなくなり、シマノ独特の小気味よいクラッチ操作に
21バルケッタと21バルケッタBBの違い
左から、21バルケッタBB150DHHG、21バルケッタ150DHHG
次に21バルケッタと21バルケッタBBの違いについて解説します。
それぞれのスペック一覧は以下の通り。
<バルケッタの全モデルスペック一覧>
<バルケッタBBの全モデルスペック一覧>
CI4 +(カーボン複合素材)によって軽量
バルケッタBBに対して25g軽いバルケッタ。実際はこの重量差に明確に気づける人は少ないはず
旧型の17バルケッタと変わらず、21バルケッタはCI4 +(カーボンと樹脂の複合素材)によってボディの軽量化という点でバルケッタBBと差別化されています。
販売数が一番多い(当サイト経由のAmazon)「150DH-HG」での比較では以下の通り。
- バルケッタ 150DH-HG:195g
- バルケッタBB 150DH-HG:220g
バルケッタが25gほど軽量ですね。
細かいところですが、旧型バルケッタ300HGは190gだったので、新型モデルは+5g。
21バルケッタのスプールは穴あき
これはスプールとロングハンドル化の影響があるのかもしれません。
21バルケッタはボタン電池含め194g
21バルケッタBBはボタン電池含め218g
17バルケッタBBはボタン電池+PE2号を巻いて202g
ボディ剛性なのですが、以下のシチューエーションでは、ボディのたわみや軋みを感じます。
- 重い仕掛けを深場から巻き上げる
- 重たい魚を巻き上げる
ボディのたわみや軋みでリールが壊れるわけではないのですが、巻き上げる力は確実にロスします。
剛性が気になる人は、シマノであればベイゲーム以上、ダイワであればスパルタン以上のリールを選ぶのがおすすめです。
色
前述の通り、バルケッタは落ち着いた黒系のラメ、バルケッタBBはソリッド系のブラックです。
ハンドルのカラーはそれぞれ旧型と大差がありません。
<色が異なる場所>
- 筐体
- ハンドル
- メカニカルブレーキノブ
エキサイティングドラグサウンドの有無
タイラバではドラグサウンドの有無で興奮度に大きく差がでる
エキサイティングドラグサウンドは、ドラグの引き出しに対してドラグ音がでる機構です。
バルケッタには搭載され、バルケッタBBには未搭載です。
たとえばタイラバや大型のカワハギを狙う場合、ドラグをゆるめにつかうわけですが、ドラグサウンドが釣趣を高めます。
ドラグ音が好きな人は上位機種のバルケッタを選びましょう。
エキサイティングドラグサウンドは、泳がせ釣りで置き竿をする際にも有効です。
目を離していても、ドラグ音でアタリに気づけるわけです。
バルケッタのみ100番が存在
100番(PE1号200m巻)はバルケッタのみ販売されています。
100番は150番に対して5グラム軽く、190g。ハンドルもより繊細な操作ができる小型のノブです。
小さな違いですが、ボディ重量が感度に直結する、カワハギやマルイカなどにつかうときには、バルケッタの100番を選ぶのも一つです。
シングルハンドルの差異(150番)
細かいところですが、バルケッタとバルケッタBBの150番の比較では、シングルハンドルはデザインが異なります。
バルケッタ150番のシングルハンドル=パワーハンドル
バルケッタBB150番のシングルハンドル=バランサー付ハンドル
バルケッタの150番はパワーハンドルタイプで、手のひらで包み込み、より強い力をこめるのに適しています。
深場・タチウオ・重めのビシ系をあつかう釣りはパワーハンドルのほうが巻き上げやすいはずです。
一方、バルケッタBB150番のシングルハンドルは、ゲンプウシリーズのようなバランサー付ハンドル。
デザイン性や力の伝達力ではバルケッタ、バランス面はバルケッタBBのほうが優れています。
このあたりは、好みがわかれそうですね。
21バルケッタと21バルケッタBBどっちがおすすめ?
悩む。どっちがいいの?という人も多いはず
バルケッタとバルケッタBBを比較し、「どっちを買おうか」悩んでいる方向けに筆者の主観で整理しておきます。
- 重さについて:25gは大差がない。そもそもより軽いリールが必要ならICカウンターユニットがないものを選んだほうがいい(スティーレSSなど)
- デザイン面:バルケッタBBのマットブラックは意外とかっこいい。が、ハンドルのオレンジは好みが分かれるはず。バルケッタは余計な色がすくなくていい
- 巻き心地:ベアリング数も同じで筐体の剛性も大差がなく巻き心地はほぼ同じ
- ドラグ音:バルケッタのみサウンドあり
- 価格:約4,000円の差(Amazon実売価格でバルケッタBB150DH-HG:¥11,740、バルケッタ150DH-HG:¥16,008)
上記を考えて、お買い得なのはバルケッタBBです。
バルケッタBBのハンドルがボディと同系色になり、ドラグ引き出し音がついて¥13,000円ぐらいであれば、筆者はとことんバルケッタBB推しになるかと思います。
が、購入するとなると現実をみなくてはいけません。
ゴメクサスのようなサードパーティ製ハンドルに変えると本末転倒なコストになってしまいます。
筆者の場合、ドラグ音はかなり重要にとらえているので、やっぱり「バルケッタがいいなー」という結論です。
ドラグ音が不要でハンドルも気にならない人は、バルケッタBBにしましょう。
2万円以内でこの性能が買えるというのはメーカー横断でもお買い得すぎます。
バルケッタやバルケッタBBの価格帯での競合製品は、ダイワでいえば、スパルタン IC、タナセンサーです。
スパルタンICのアルミフレーム(剛性)のニーズがなければ、機能的にも見た目でもバルケッタシリーズを選択する人が多いはず。
まとめ
今回はシマノの人気カウンター付きリール「バルケッタ」「バルケッタBB」のモデルチェンジ内容について解説しました。
2021年秋冬モデルにおける「旧型との違い」「バルケッタとバルケッタBBの違い」についてご理解いただけたかと思います。
価格面重視でハンドル色や形状などが気にならない場合はバルケッタBB。
ドラグ音必須でハンドル色や形状なども気にする場合はバルケッタという選択になりそうですね。
<参考>
※アイキャッチ画像出典:シマノ
21バルケッタと21バルケッタBBの実機ギャラリー
21バルケッタ
21バルケッタBB
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▼価格と汎用性重視ならバルケッタBB150DH-HGがおすすめ!
▼カワハギやマルイカなどテクニカルな小物釣りならバルケッタ100DH-HGがおすすめ!
▼ドラグ音・軽量・デザイン性・汎用性ならバルケッタ150DH-HGがおすすめ!
▼タチウオなど、巻き上げ速度+パワーハンドルが必要ならバルケッタ150HGがおすすめ!
▼ヒラメ、泳がせ釣り、ライトジギング、ディープタイラバならバルケッタ300HGがおすすめ!
※Amazonでは旧型の17バルケッタも販売されています。間違えないように注意しましょう。
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